著者
森本 有紀 鶴野 玲治 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.348-356, 2014-07-30 (Released:2015-11-06)
参考文献数
21

本稿では,布の織り構造や糸・染料の要素に基づいて物理的に染色をシミュレーションする手法を提案する.本手法では横糸と縦糸の上下2層のセルを用いた布モデル内において,Fickの第2法則に基づき,染料の拡散を表現する.拡散係数は染色物理の理論に基づいて布繊維の多孔度や拡散経路の屈曲率などの染料や布のパラメータから算出し,布の織構造の違いや拡散の異方性などによる染色の特徴を表現する.染料の繊維への吸着には吸着等温式を考慮するモデルを提案する.また,簡単な染色技法を考慮するために,染料の拡散を防ぐ防染技法のシミュレーションを行う.結果画像からは本手法により染色独特の多くの特徴を表現できることがわかる.
著者
馬養 浩一 伊藤 浩 藤井 亮介 鈴木 光義 浅井 光太郎 村上 篤道
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.606-613, 2005
被引用文献数
1

動画像用電子透かし検出のための,新しい同期回復方法を提案する.従来の静止画を対象にした同期回復手法では,同期回復に要する計算量の問題などがあり,これらの手法をそのまま動画の同期回復に適用できない.そこで,本稿では動画像の時間方向の特徴を利用した同期回復によりこれらの問題を解決した.提案手法では,電子透かし信号を時間方向にスペクトラム拡散して動画像の各フレームに埋め込む.同期の回復では,まず,動画像を逆拡散してフレーム積分データを生成し,データの分散を利用して時間同期を回復する.このとき電子透かし信号がデータ上に幾何学パターンとして現れるので,次に幾何学パターンの規則性に基づいた効率的な相関計算により空間同期を回復する.違法コピー形態を想定した実験を行い,HD-SD ダウンコンバート後にアナログVTRコピーを実施した映像においても,同期回復後に電子透かしを正しく検出できることを確認した.
著者
福元 伸也 Rehman Anis Ur 森東 淳 大塚 作一 三部 靖夫 田中 宏征 武田 光平 野村 雄司
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.842-850, 2011-09-25
参考文献数
18

広告の意匠性と2次元デジタルコード(以下,コードと略す)を用いた情報伝達の容易性とを両立させることを目的として,コード撮影のために行う利用者の接近行動を距離センサにより検出することにより,コードを適応的に拡大表示する手法を提案する.まず,基礎実験として,実験1では,コードの拡大率とズーム時間の変化に対する利用者の印象変化を調査した.その結果,利用者が移動中の状態から一辺20cm程度の取得容易なコードサイズにズームアップした状態で停止する場合を想定すると,ズーム時間を1秒前後に設定すればよいことが明らかとなった.次に,実験2では,距離センサによるフィードバックを行ったプロトタイプを使用し,QRコード利用の未経験者4名を含む被験者14名による評価実験を行った.従来手法と提案手法との比較を行った結果,(1) 提案手法では平均情報取得時間が約1.8秒短縮される,(2) 提案手法では約1.5倍遠い位置での取得が可能となる,(3) 全被験者の86%(QRコード利用の経験者では100%)が提案手法を好む,という結果が得られ,本手法の有効性が確認された.
著者
阿山 みよし
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.362-367, 2006 (Released:2011-08-25)
参考文献数
13
著者
高木 佐恵子 松田 憲幸 曽我 真人 瀧 寛和 志磨 隆 吉本 富士市
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.386-396, 2003 (Released:2004-02-29)
参考文献数
17
被引用文献数
3

絵画は,心を豊かにするための重要な研究テーマの一つである.これまで,絵画に関する多くの研究では,実際の画材を再現するような機能を提供するばかりで,ユーザが描いた絵を評価し,アドバイスを与えるようなものはなかった.そこで,我々は,初心者のための基礎的な鉛筆デッサンの学習支援システムを提案する.提案システムは,モチーフに関するデータとユーザが鉛筆で画用紙に描いたデッサンの画像を入力とし,ユーザへのアドバイスを出力とする.提案システムでは,次の四つの機能により,処理が行われる:モチーフの特徴解析,デッサンの特徴解析,誤りの同定,アドバイスの生成と提示.提案システムの有効性を確かめるため,扱う対象を基礎的なモチーフに対する主要なアドバイスに限定したプロトタイプシステムを開発し,実験を行った.その結果,提案システムの有効性が確かめられた.
著者
河村 尚登
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.222-239, 2014-03-30 (Released:2015-11-06)
参考文献数
34
被引用文献数
1
著者
羽石 秀昭
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.748-754, 2008-09-25 (Released:2011-08-25)
参考文献数
4
著者
林 伸治 長谷川 修
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.726-737, 2005 (Released:2011-06-24)
参考文献数
12

顔検出はコンピュータビジョンで最も研究が盛んな分野の一つであり,近年,大きな進歩を遂げている.しかし,低解像度画像からの顔検出については,ほとんど研究されていない.本稿では,顔検出における標準的な検出器と評価画像である AdaBoostベースの顔検出器およびMIT+CMU評価画像を用い,24×24ピクセルの顔に対し88%であった顔検出率が,6×6ピクセルの顔に対しては39%まで低下することを示す.これに対し,「肩まで含む顔画像の使用」「画像の拡大」「特徴の周波数制限」「二つの検出器の統合」から構成される提案手法を示し,6×6ピクセルの顔に対して,71%の検出率が得られたことを示す.なお,上記検出率は,いずれも評価画像112枚に対して誤検出数100における値である.
著者
福本 麻子 塚田 浩二 蔡 東生 安村 通晃
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.311-318, 2005 (Released:2011-06-24)
参考文献数
17

本研究は19世紀西洋絵画を中心に,情報エントロピーとZipfの法則を用いて統計的解析を行っている.その結果,各流派に特徴がみられた.特に印象派絵画は複雑性が高く,同時に規則性をもつ(Zipfの法則に従う)傾向がみられた.
著者
米村 俊一 Chen Li Jen 大谷 淳 徳永 幸生 嶌田 聡
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.442-450, 2010-07-25
参考文献数
23
被引用文献数
2

本稿では,互いに遠隔地にいる人同士のインフォーマルコミュニケーションを支援することを目的として,テキストベースのCMC (Computer Mediated Communication)における「おしゃべり」を,黒丸画像によって 触発する“●”メディアを提案する.“●”メディアでは,創造的活動の認知プロセスに関する研究であるジェネプロワモデルに基づいて,話題の発想および話題の転換を触発する基本機能をデザインした.また,“●”メディアのコンセプトに基づくプロトタイプシステムを構築しコミュニケーション実験を行った結果,背景画像として提示した黒丸は,CMC上でのテキストによるおしゃべりの中で被験者の話題作りに関する発想を触発する と共に,触発される話題は話者相互の状況や心境までも含めた知識の共有につながるものも多く,ユーザ同志の相互理解を深める上で効果的なメディアであることが明らかとなった.
著者
神 展彦 芳賀 直樹 藤代 一成
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.160-164, 2017-01-30 (Released:2019-03-15)
参考文献数
8

グルーヴとは,演奏における音のうねり,リズムのノリや一体感などを表す音楽特徴で,よい演奏に必要不可欠な要素の一つである.グルーヴ可視化は,音楽的センスや聴力の個人差によらないグルーヴの習得や音楽経験に制限されない音楽の感動の共有など,さまざまな応用につながる.本論文では,MIDI信号として入力された音楽をインタラクティブに図形に変換する,直感的なリズム可視化システムSeeGroove2を提案し,ライブ演奏の可視化への応用やグルーヴ教育ツールとしての応用可能性を示している.演奏された音符それぞれに対して点をプロットし,滑らかに補間することにより,リズムパターンを多様な環状図形に即時的に表現できる.インタラクティブ性は,1,920 Hzで動作する入力系スレッドと60 Hzで動作する計算・描画系スレッドのマルチスレッド設計によって実現される.
著者
小鍛冶 徳雄
出版者
画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.p202-214, 1981