著者
長谷川 修一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.488-491, 2014-10-20 (Released:2017-06-16)

世界で唯一,楽器として利用されている岩石は,香川県からで産出されるサヌカイト(讃岐岩)であろう。サヌカイトは約1350万年前に特異な瀬戸内火山活動によって地表に噴出した溶岩が冷却してできた火山岩である。マグマから急冷したにもかかわらず,火山岩によく見られる発泡による空隙がほとんどない緻密な岩石である。サヌカイトが金属音を出すのは,非常に緻密でP波伝播速度が約6,000m/sと大きいため,動弾性係数が他の岩石と比較して著しく大きいことによる。
著者
長谷川 修司 平原 徹
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.216-225, 2011-04-10 (Released:2011-04-19)
参考文献数
44
被引用文献数
2 1

By comparing topologically trivial materials (Au, Bi, graphene) and topological insulators (Bi1-xSbx, Bi2Se3), we discuss what the features unique to topological surface states are. The properties reported so far for topological insulators are all explained by Rashba effect due to strong spin-orbit interaction and break down of space-inversion symmetry at surfaces. Topological arguments are not needed. Spin-split surface states with spin-texture Fermi surfaces, however, are very attractive play grounds for exploring spin-flow physics.
著者
長谷川 修 佐藤 ひでこ
出版者
一般社団法人 日本病院総合診療医学会
雑誌
日本病院総合診療医学会雑誌 (ISSN:21858136)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.62-67, 2023-01-31 (Released:2023-05-31)

音楽演奏家ジストニアでは,高度な演奏を行うときのみに,目的外の筋に力が入り,巧緻な 演奏動作を阻害する。不適切な筋の使い方を繰り返すと,その感覚記憶が脳に刻み込まれ,ジストニアが悪化する。原点に戻って再学習することが,改善への早道と考える。この考え方を,ジストニアで苦しむ8名のピアノ演奏家に伝え,少なくとも5名はリサイタルを開くまでに 回復した。改善した演奏家の経験を詳しく記した。上述の考え方を行動に移すとともに,脳に 違和感が走った瞬間にピアノを弾く意思を中止して脱力することを繰り返した。さらに,指伸 筋を単独で使用する鍵盤リハビリを研究して実践した。ジストニア治療には誤作動している脳 を自分自身で修正することが必須である。脳機能の特徴を理解した上で,必要に応じて他の治療法も用いながら,焦らずに正しい分離運動を積み重ねることが改善への近道と考える。
著者
新田 克己 長谷川 修 秋葉 友良 神嶌 敏弘 栗田 多喜夫 速水 悟 伊藤 克亘 石塚 満 土肥 浩 奥村 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2081-2087, 1997-08-25
被引用文献数
17

論争支援マルチモーダル実験システムMrBengoは, 法廷における論争をシミュレートする知識ペースシステムに, 顔認識, 表情合成, 音声認識, 音声合成, WWWブラウザなどのモジュールを結合したマルチモーダル実験システムである. このシステムは, 原告(検察官), 被告側弁護士, 裁判官という仮想的な三つのエージェントからなっている. ユーザは被告側弁護士に音声で指示を出して, 検察官と法廷論争を行い, 論争が終了すると裁判官が判決を下す. 論争の状況に応じて, エージェントの表情が変化するので, ユーザはそれを見ながら論争の戦略をたてることができる.
著者
長谷川 修一
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.336-344, 2010 (Released:2013-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
1

高松クレーターは, 重力探査によって発見された伏在陥没構造で, 高松平野南部の仏生山町を中心に直径約4km, 深さ千数百mの規模と推定されている. 高松クレーターをめぐっては, 1994年から約10年間, その成因と渇水時の地下水源としての利用について論争が続いた. 高松クレーター論争は, 学会における議論により, 「夢」と「ロマン」と「渇水の切り札となる水源」として, マスメディアの報道が先行した特異な事例である. また, 高松クレーターの報道によって, 行政が水源調査を行い, 民間会社が温泉事業に投資し, 市民が地域おこしの題材とするなど, 単なる科学論争を超えた社会現象になった. 本稿では, 高松クレーターに関する論争と新聞報道を検証し, 応用地質学の市民生活に貢献のあり方を考察した. 高松クレーターでは, 日本初の隕石衝突孔なら, 地底湖があればと市民に期待をいだかせる報道に対して応用地質学の論理展開を軸に表層地質, 物理探査およびボーリング試料の分析・試験データに基づき繰り返し反論・説明することによって, 一方的な科学情報による地元の混乱と科学者や技術者の信用失墜を未然に防止することができた.
著者
長谷川 修司
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.576-579, 2020-09-05 (Released:2020-11-18)
参考文献数
2
被引用文献数
2

物理教育は今国際物理オリンピック過去問シリーズ考える実験試験――国際物理オリンピック2006の実験問題
著者
市川 裕 佐藤 研 桑原 久男 細田 あや子 高井 啓介 月本 昭男 高橋 英海 菊地 達也 長谷川 修一 葛西 康徳 江添 誠 牧野 久実 小堀 馨子 鎌田 繁 中西 恭子 土居 由美 嶋田 英晴 志田 雅宏 櫻井 丈 小野 塚拓造 山野 貴彦 アヴィアム モルデハイ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ユダヤ教の歴史を調べていくと、のちに出現する二つの一神教、キリスト教とイスラーム、を生み出す基盤になっていることがわかる。宗教学の歴史は信仰を基盤とする西欧のキリスト教を宗教の一般モデルとしたため、このモデルから外れる諸要素は関心から外れた。しかし、イスラームとラビ・ユダヤ教はそれぞれ、シャリーアとハラハーを特徴とする啓示法の宗教であり、預言者に啓示された神の意志は、日常生活の行動様式を詳細に規定している。これら一神教の二つの異なる類型がともに古代ユダヤ社会に起源を有することを示して、一神教の歴史全体を動態的に理解する道筋を示すことは、人類の宗教史を考察する上で文明史的意義を持つものである。
著者
市川 裕 佐藤 研 桑原 久男 細田 あや子 上村 静 高井 啓介 月本 昭男 土居 由美 勝又 悦子 長谷川 修一 葛西 康徳 江添 誠 牧野 久実 高久 恭子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

今年度の主たる実績は、以下の三つに分けられる。第1に、2017年8月に、イスラエルのテル・レヘシュ遺跡で、シナゴーグの全容を解明する発掘調査を実施した。これによって、本シナゴーグは、モーセ五書の巻物を置く台座と思われた石は、天井を支える支柱の礎石であることが判明し、全体は簡素な矩形の部屋に過ぎないことが明らかとなった。ここから、シナゴーグの用途を、安息日のトーラー朗読にのみ限定して考える必要がないものと想定された。第2に、出土した西暦1世紀のシナゴーグの発見がもたらす意義に関して、同時代的、宗教史的、比較宗教学的視点から、研究成果を持ち寄って、公開シンポジウムを実施した。シンポジウムの全体テーマは、「イスラエル新出土シナゴーグから 一神教の宗教史を見直す」である。( 2018年3月2日(金) 13時-18時 東京大学本郷キャンパス 法文1号館 113教室。)第3に、シナゴーグがユダヤ社会において果たした役割の変遷を、古代から中世にかけて考察するシンポジウムを実施した。シンポジウムの全体テーマは「ユダヤ共同体とその指導者たち -古代から中世へ-」である。(2018年1月21日(日)13:00-18:00 東京大学本郷キャンパス法文1号館113教室。)カイロで発見されたゲニザ文書から推定される、中世旧カイロ市(フスタート)のシナゴーグと共同体の関係について、イスラエル人の専門家の知見を得られたことは、歴史的変遷を明らかにするうえで非常に有益であった。
著者
上宇都 幸一 越後 亮三 長谷川 修
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.45, no.390, pp.261-269, 1979-03-01

繊維媒体領域に外部から一様な平行光が入射する場合の媒体中でのふく射輸送を積分方程式法によって解析し、入射ふく射束分布、ふく射熱流束分布を明らかにしたが、とくに入射ふく射束分布については、散乱のアルベドが大きい領域で、ピークが形成されることを示した。また精度のよい指数積分核近似法を提示した。さらに本体系のふく射減衰関数はBickley-Naylor関数で表示できることを示し、二、三の積分公式を導いた。
著者
長谷川 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, pp.524-525, 1997-03-06

一般に人が対面して対話をする際には、言語によるバーバル(verbal)な情報以外にも、視覚を通して視線の動きや様々な表情、また身振り手振りといったノンバーバル(non-verbal)な情報の授受も頻繁に行ない、意思や感情のスムーズな疎通を図っている[1]。すなわち人が対話する際には、言語による論理や感情の表現に加え、表情の変化やジェスチャー(これらを人の日常的な対話モードと呼ぶ)を意識的/無意識的に活用し、高度な相互理解を達成していると考えられる。これに対し、現在広く利用されているコンピュータや家電製品と人との対話においては、コマンドやボタン群といった人にとって非日常的な対話モードが用いられるのが一般的である。このだめユーザは機械毎にその操作法を学ばねばならず、機械の多機能/高機能化が進んだ昨今ではその負担は大きなものとなっている。今後もこのような状況が続けば、本来機械は多機能になるほどユーザに歓迎される筈が、それ故に敬遠されるという事態にもなりかねない。近年このような状況に鑑み、人の日常的な対話モードを活用し、人と機械のスムーズな対話の実現を目指すマルチモーダル対話(Multi-Modal Interaction : 以下MM対話)の重要性が強く認識されている。本稿では、このMM対話研究の一領域として最近注目を集めている擬人化エージェントによるマルチモーダルインタフェース 1 について慨説する[2,3]。
著者
栁田 浩己 安藤 明彦 岡田 健太 長坂 昌一郎 石橋 俊 小谷 和彦 長谷川 修 谷口 信行
出版者
自治医科大学
雑誌
自治医科大学紀要 = Jichi Medical University Journal
巻号頁・発行日
vol.38, pp.27-39, 2016-03

神経伝導検査は,糖尿病神経障害を含めた末梢神経障害の評価に極めて有用である。その測定値は年齢や身長の影響を受けやすいとされるが,こうした影響に関する本邦の健常者での検討は少ない。今回,健常者ボランティアで年齢・身長・性別と,神経伝導検査各指標との関連を検討し,併せて当院での神経伝導検査基準範囲の設定を行った。神経伝導速度のほか,振幅・潜時・持続時間及びF波に関する各指標の基準範囲を求めた。年齢は上下肢の活動電位振幅と負の相関,身長は上下肢の活動電位振幅と負の,潜時と正の相関を認めた。F波に関しては,身長と最小潜時との間に正の相関(相関係数:正中0.79,脛骨0.78),平均潜時との間に正の相関(相関係数:正中0.76,脛骨0.72),最大潜時との間に正の相関(相関係数:正中0.66,脛骨0.64)を認めた。性別において多指標で有意差を認めたが,性別間の身長差・体格・解剖学的特徴に伴う差異が考えられた。軸索障害の指標として振幅の評価は重要であり,年齢・身長・性別の影響に関する留意が必要だが,今回の基準範囲設定により今後の診療への寄与が期待される。
著者
矢田部 龍一 八木 則男 佐藤 修治 長谷川 修一
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.42-49_1, 1997-09-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

本報告は四国の中央構造線に沿った道路建設に伴い発生した地すべり地の特性について検討を行ったものである。その結果, 地すべりは大半が切土に伴う崩積土のすべりであり, 規模は比較的小規模なものが多く, また, 中央構造線の断層破砕帯の地すべり地の粘性土のせん断抵抗角は小さく, 難工事となりやすいことがわかった。
著者
長谷川 修 坂上 勝彦 速水 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1666-1674, 1999-10-25
被引用文献数
9

本研究では,システムのモニタ上に人の上半身の姿を有する3次元コンピュータグラフィックス像(人間型ソフトウェアロボット:以下ロボット)を表示し,これに視覚や聴覚を用いた対話機能や,表情や視線,指さしジェスチャの細やかな制御機能を与え,実空間を対象とした人と計算機の円滑なインタラクションを図る.試作したロボットは,あらかじめ登録(学習)した実空間中(オフィス内)の人物や物体を視覚的に探索・捕そくし,それらの発見位置/時刻を履歴として管理するとともに,その3次元的な位置を発話と視線/指さしジェスチャで人間に示すことができる.またこのロボットは,新たな対象物の登録を対話的に行えるほか,その人物の名前や物体の名称/所有者なども併せて登録でき,こうした機能を活用して室内の状況に関して人間(ユーザ)と簡単な対話を行う(タスクをこなす)ことが可能である.