著者
澤登 龍彦
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.83-90, 1991-10-25
被引用文献数
2

吸収式ヒートポンプに関する最近の研究は,個々の機器に対する性能向上を目的とする実験的研究のほかに,吸収サイクルについて多くの方式が検討されている.しかしながら,各サイクルの性能を検討する際に不可欠な理論的成績係数・昇温値については明確なものがみられない.吸収式システムにおいては溶液の特性,特にその溶液濃度による沸点上昇の影響を考慮しなければならない.本研究は,溶液特性がデューリング則に適合する場合には各温度間に簡単な関係が成立することを利用し,種々のサイクルについて理論的性能を求めて検討したものである.
著者
百田 真史 井上 隆 川瀬 貴晴 野原 文男 本間 睦朗 横田 雄史
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.120, pp.23-31, 2007-03-05
被引用文献数
1

本研究では,性能検証過程の指針に準じた過程を経て竣工したオフィスビルの熱源系統に対して,受渡し後段階における性能評価の実践的研究として,企画・設計要件書に倣った性能規定に基づき,熱源システムの運用段階における性能評価を行った.その結果,一部熱源構成機器を除いてほぼ性能規定どおりであることと,建物全体のエネルギー消費面でも規定を満たすことが確認でき,充実が望まれる第三者性を確保した性能評価の事例を提示することができた.
著者
桑原 康浩 杉山 浩美 宋 永学 住吉 大輔 黒江 大亮 赤司 泰義
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.124, pp.11-18, 2007-07-05
被引用文献数
1

本研究の目的は,インバータ冷凍機を導入した熱源システムの省エネルギー効果を定量的に明らかにすることである.対象となる熱源システムは主に,インバータ冷凍機,統合型冷却塔,フリークーリングシステムで構成されており,インバータ冷凍機のCOPは部分負荷運転時に最大で18を実現する.本報では対象の熱源システムについて概説した後,実測結果に基づいて,熱源システムの性能評価を行った.その結果,冷凍機単体のCOPは月平均値で最大18.2,熱源システム全体のCOPは9.2という高い値が確認された.
著者
瀬尾 要 西川 誠行 水野 稔 小寺 弘一 大西 潤治
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.49, pp.13-23, 1992-06-25

二次元的模型を用いファンコイルユニットによる空調システムを,実際の設定条件下で作動させた場合について,空気の吹出し方向の差異が省エネルギー性および室内温熱環境に与える影響の基本的特性を,実験・計算の両方から検討した.その結果,吹出し方向によっては,室内での気温・気流分布特性がかなり異なることや熱損失の軽減が図れることがわかった.また,計算ではふく射の影響が顕著であることや壁関数が有用であることも明らかとなった.計算結果は,実験とも比較的よく一致した.
著者
貝塚 正光 岩本 静男
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.33, pp.103-113, 1987-02-25
被引用文献数
1

室内の熱環境は,気温・湿度・気流・放射などの物理的条件と,着衣・代謝などの人体側条件とによって評価される.これらを総合した温冷感指標の一つとしてPMVがP.O.Fangerによって提唱されている.通常の空調室内では,これらの物理的条件やPMVは一様ではなく,その不均一さは在室者の不快や空調効率の悪化を招く.例えば,コールドドラフト,大きな上下温度差,大きな片側放射冷却や加熱などの障害を生じたりする.したがって,熱環境をより的確に評価するためには,このような物理的条件やPMVなどの分布をも把握する必要があり,数値予測法はそのための有力な方法となりつつある.室内気流や気温の分布の数値予測法については,例えば貝塚に概観されているように,多くの研究がなされており,実用的にも用いられる段階に至っている.また,本論文で取り扱う室内放射授受の計算法についてはB.Gebhart,P.O.Fangerなどがすでに定式化している.さらに,坂本は加熱面のある模型室内に対して気流流動と放射授受を組み合わせた計算を行っており,平松・貝塚は二次元暖房室内のベクトル放射温度や作用温度の分布の計算をも示している.本論文は,室内熱環境の数値予測法を確立するための研究の一環として,特に放射授受による熱環境の分布のみに着目し,壁面温度・ベクトル放射温度・平均放射温度・PMVなどの算法を定式化し,床暖房または強制対流暖房を想定した室内に適用し,両暖房方式の特性の一面が把握できることを示すものである.二次元室内を対象とした平松・貝塚では,気流流動と放射授受の計算を組み合わせ,気温や対流熱伝達率の分布をも未知量として数値予測を行ったが,本報では放射授受の計算法を吟味するために気流流動の計算は組み込まず,気温と気流は一様なものと仮定し,対流熱伝達率は既知なものとして適切な値を用いた.このような計算法は,基本的にはP.O.Fangerがすでに示したものと同様である.異なる点は,気流計算と組み合わせることを考慮して室内表面を細かく分割したこと,放射場の方向性を表す中村によるベクトル放射温度を計算したこと,人体の形態係数を微小立方体の形態係数から近似する中村の方法を用いたこと,射度(radiosity)の代わりにB.Gebhartの吸収係数を用いたこと,形態係数の計算に山崎による優れた算法を用いたこと,などである.なお,本論文の一部は筆者らによって,参考文献8),9),10),11)にすでに報告したものであることを付記する.
著者
田中 毅弘 後藤 滋
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.35-42, 1991-02-25
被引用文献数
1

運用信頼性の立場からみた,遠隔監視システムによる建築設備に関する調査と解析を,1986年から1988年の3箇年間行った.本報では,まず遠隔監視システムの概要,解析データと調査概要,警報発生の状況における建物用途・規模別,月・曜日・時刻別,原因・設備別などの解析を多面的に行い,定性的な傾向と特徴を明らかにした.これらの結果から,建物用途・規模別では文化施設で中小ビルが,月・日・時刻別では特に冷房運転時の立上げ負荷変動時で,そして,原因・設備別状況においては機器故障の原因による熱源設備が,それぞれ多いことを統計的解析によって算出した.
著者
谷口 孚幸 並木 裕 高橋 一郎
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.19-31, 1981-02-25
被引用文献数
1

本研究は,事務所建物における必要衛生器具数を使用者の"許容待ち時間"から算出する方法を提示したものであり,1)業務内容別の衛生器具使用状況アンケート調査と,2)許容待ち時間に関するアンケート調査の結果からGPSS(General Purpose Simulation System)による衛生器具使用シミュレーションモデルを作成し,男子小便器を例にとり,衛生器具使用の待ち時間を"あふれの割合"と対応させ,既往の算定値との比較・検討を行ったものである.本研究により各計画対象階の計画人員数が同じでも,業務内容が異なると衛生器具使用頻度のピーク発生時とその値は異なり,衛生器具使用時の待ち時間を一定に保つサービスを行うためには各階の必要器具数は,かなりの差を生じることが明らかになった.
著者
鈴木 哲夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.59-66, 1991-10-25

管路を流れる流体の形状損失ヘッドを生じさせる原因が,流体あるいは管壁への流れの衝突に基づくものとして,乱流の流れにおける合流管の損失係数を示す理論的表示式,および文献にある研究者の実験結果に基づいて理論的な表示式の実験係数を定めた.それらにより,任意の合流角度と任意の面積比の場合について非対称Y形の合流する流れの損失係数を計算することができる.また,計算値は実用上十分な精度で良く一致している.
著者
田中 毅弘 後藤 滋
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.1-6, 1991-10-25
被引用文献数
1

第1報では,遠隔監視システムの概要,解析データと調査概要,警報発生の状況における建物用途・規模別,月・曜日・時刻別,原因・設備別などの解析を多面的に行い,定性的な傾向と特徴を明らかにした.そこで,本報では,初期故障の概念とその評価方法を提案し,具体的な事例として,既報のフィールドデータのうち,幾つかの建物を対象に初期故障の解析を行い,初期故障における発生推移状況,原因・設備別の解析結果を示す.これらの結果は,遠隔監視システムによる建築設備における初期故障の取扱いについての一つの提案と実証を行うものである.
著者
児玉 昭雄 大蔵 将史
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.127, pp.11-18, 2007-10-05

太陽熱温水器を駆動熱源とするデシカント空調機と顕熱処理用の冷却コイルを組み合せた太陽熱利用デシカント空調システムについて,全冷房出力に対するデシカント空調部の寄与割合に着目し,室内全熱負荷,顕熱比,換気回数の影響を調べた.処理風量と太陽熱温水器の循環水流量が室内顕熱負荷と連動する本システムでは,顕熱負荷の増加に伴って除湿機再生温度が低下することに加えて,顕熱交換器の低温側空気中の外気割合が増加することで給気温度が土昇し,デシカント空調プロセス部の寄与割合は低下する.換気回数が増加しても再生空気入口温度が低下して顕熱交換器で給気温度が低下するため,冷却コイルに求められる顕熱処理能力は増大しない.
著者
崔 光煥 木村 建一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.51, pp.43-51, 1993-02-25
被引用文献数
1

再生器,熱交換器,蓄乾槽,および除湿器からなる太陽熱利用開放形吸収式除湿乾燥システムのうち,再生器について屋内で行った実験の結果を報告する.従来の屋外の実験では,外気条件の変動,特に風速の変動が激しいため,再生器の特性を把握することが困難である.そこで,開放式模型再生器を製作し,定常状態で再生表面の温度を一定にし,水溶液の流量を制御しながら再生器の空気層の高さと風速を変え屋内実験を行い,風速と風量の再生量に及ぼす影響を調べた.その結果,空気層の高さが異なる場合,風量の水分蒸発量への影響はほとんどなく同じ空気層の場合には風速が大きいほうの再生量が多かった.また,吸収剤として使用した塩化リチウム水溶液の電導率と温度を測定しあらかじめ作っておいた塩化リチウム水溶液用標準濃度曲線を用いて運転中に水溶液の抽出をせずに濃度を容易に連続して求める新しい方法を提案した.実際にこの方法で濃度を求め連続記録することができた.実験結果から計算して求めた無次元数間の関係は文献所載の層流に対する物質移動の式に比べ0.5m/s以上の風速域ではやや離れるが,より低風速域ではかなり異なる結果となった.
著者
佐古井 智紀 都築 和代 加藤 信介 大岡 龍三 宋 斗三 朱 晟偉
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.126, pp.1-10, 2007-09-05
参考文献数
11

本報では,第1報,第2報の前後,左右,上下に不均一な温熱環境下で得たデータを基に,椅座,定常人体の全身快適感,頭および全身の暑さに伴う不快感,膝先(下腿と足)および全身の寒さに伴う不快感を,局所皮膚温と局所乾性放熱量で表す実験式を提案した.全身快適感の式では,均一に近い条件で快適性が高く,左右,前後の不均一性が強くなると快適性が低くなる.頭および全身の暑さに伴う不快感,膝先および全身の寒さに伴う不快感の式では,「暑さ」または「寒さ」に伴う頭,膝先の不快感が,全身としてはその逆の状態である「寒さ」または「暑さ」によって緩和される.基礎実験と異なる着衣,上下に不均一な条件において検証実験を行った.全身快適感の実験式は,被験者全体の平均値を予測したものの,より詳細に見ると,上下の不均一性を適切に評価できていない点も認められた.頭および全身の暑さに伴う不快感は検証実験においてほとんど見られず,実験式もそれを再現できた.膝先および全身の寒さに伴う不快感は,女性の予測値が高過ぎ,男性の予測値が低過ぎたものの,被験者全体の平均値,および男性,女性,被験者全体,それぞれにおける不快感の順を予測できた.
著者
斉藤 健二 宮武 修
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.76, pp.41-50, 2000-01-25
参考文献数
11

棒状架橋樹脂を充てんした潜熱蓄熱槽に,負荷側との接点として熱交換器を組み合わせたときの放熱特性に関するシミュレーションを行った.蓄熱槽初期温度,熱交換器負荷側入口温度,熱媒体質量流量,蓄熱槽高さ,熱媒体熱容量流量比および熱交換器移動単位数を変化させ,蓄熱槽内の熱媒体温度分布と熱交換器出入口温度の経時変化を算出した.また,蓄熱槽側の熱媒体質量流量を可変制御して熱交換器負荷側出口温度を一定値に制御する場合についても同様の考察を加えた.
著者
谷本 潤 萩島 理 諫山 由紀子 岩井 雄志
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.161, pp.35-39, 2010-08-05
参考文献数
5

空調発停行為を含む生活行為のばらつきを考慮したユーティリティデマンドを高時間分解能で予測するTotal Utility Demand Prediction System(TUD-PS)を適用して,集合住宅1住戸における冷暖房の期間負荷および最大負荷の基本特性,居住者の暑さ寒さ恕限度の影響等を検討した.
著者
品田 宜輝 木村 建一 桂木 宏昌 宋 城基
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.153, pp.45-56, 2009-12-05

北九州市の大学校舎建築に導入されたソーラーチムニーと地中ピットとを組み合わせた自然換気システムを対象とし,運用下におけるその性能を把握することを目的として開校後4年間に渡って実施した実測調査の結果を述べる.本報では実測対象建物の自然換気システムと補助空調システムの概要,本システムの運用状況,自然換気作用時の給排気風量の実測結果について報告する.自然換気が作用する時間は開校3年目まで増え続け,2年目から4年目の自然換気作用時間は冷房期間の33〜61%を占めた.自然換気作用時間の80%程度が夜間であった.自然換気作用時の給排気風量は,年間の全時間平均で,地中ピットからの給気量は6,000m^3/h程度,ソーラーチムニーからの排気量は4,000m^3/h程度であり,4年間を通してほぼ安定していた.この差は主に排気ファンによる影響であり,ソーラーチムニーからの排気量は風量の多い便所排気ファンの運転停止に左右されていた.給排気風量は,中間期に増加し,夏期に減少する傾向が見られた.
著者
吉田 治典 後藤 祥仁
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.73, pp.95-104, 1999-04-25
被引用文献数
6

近年,蓄熱式空調システムの導入が,電力負荷の平準化につながり発電所の総合効率を上昇させ,省エネルギーの効果があると同時に,地球温暖化問題で懸案となっているCO_2の削減にも重要な役割を果たすといわれている.しかし,蓄熱式空調システムは制御が難しく,計画どおりの運用がなされていない事例が多いようである.このシステムの最適運転には建物に発生する次の日の負荷を予測し,その情報を基に適切な温度レベルで適正量を蓄熱する必要があり,熱負荷予測技術が不可欠となる.本研究では,既報で示した熱負荷予測の手法を実建物に適用して検証し,熱負荷予測法における精度向上のため種々の改良を行った過程を報告する.しかしその結果,若干の改善は見られたものの,大幅な改善は見られず,既報の手法の妥当性が裏付けられた.
著者
芳村 惠司 古寺 典彦 吉竹 裕二 木村 公昭 岩坪 良雄 中村 慎
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.87, pp.1-11, 2002-10-25
被引用文献数
2

ついては明らかになっていない点が多い.システム評価についても太陽光発電システム単体について検討するのではなく,空調エネルギーの低減効果,電力負荷の平準化など総合的に評価することが必要である.本報では太陽光発電システムを採用したモデル建物において,空調負荷に与える影響を検討した.太陽光発電パネルによる日射遮へいによる空調負荷の低減やピークカット効果の結果を検討し,太陽光発電パネルによる複合的な負荷削減効果を明らかにした.
著者
原本 賢一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.103, pp.43-46, 2005-10-05

わが国の電力供給信頼度は極めて高く安定であるが,落雷などの自然災害による瞬時電圧低下や瞬時停電は避けられないのが現状である。これまで需要家での瞬時電圧低下・瞬時停電の対策として,重要負荷に常時インバータ給電方式無停電電源装置を設置するなどしていたが,設備維持費がかかるなどの問題があった。そこで超高速回転形フライホィールに着目し,これをエネルギー蓄積装置とした長寿命でメンテナンスフリーな常時商用給電方式無停電電源システムを構築したので紹介する。なお本システムは,瞬時電圧低下や非常用発電機の電圧確立までの短時間停電を対象に,無停電化対応システムとして構築したものである。
著者
奈良 松範
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.80, pp.1-10, 2001-01-25
被引用文献数
2

人間と植物とのつながりは人類の起源までさかのぼることができるが,植物が人間にに及ぼす影響はまだ十分に解明されているとはいえない。本研究では生活環境における植物の影響を定量化するために植物の有無およびその配置の相違が被験者の心理的および生理的変化に及ぼす影響を実験的に調べた。植物の存在により安静状態では不快感が減少し,明るさ感が増加した。また精神的ストレスが加えられた状態で、植物の存在により心理的な落ち着きが増し脳波のα波成分が増加した。また、植物の配置が被験者の環境評価に影響を及ぼすことを示した。
著者
小関 康雄 江原 勝也 高橋 燦吉
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.67-74, 1991-10-25
被引用文献数
1

高溶解性混合吸収媒体の開発を目指し,混合すべき無機物質を選定し,各混合系の媒体性能を,溶解度と水蒸気圧の測定より実験的に評価・検討した.各物質の溶解度と水蒸気圧特性の観点から,Ca,LiのカチオンとCl,Brのアニオンをもつ物質を選定した.混合系での実験から作成した溶解度と水蒸気圧を用いた媒体性能評価図より,カチオン・アニオンともに異なる組合せであるLiBr・CaCl_2系混合水溶液が最も優れていることを確認した.選定した混合水溶液のうち,重量混合比X〔CaCl_2/(CaCl_2+LiBr)〕=0.33の媒体は,吸収冷凍機用高溶解性(14%増大,対LiBr)吸収剤として,混合比X=0.67の媒体がケミカル蓄熱装置用低コスト(コスト43%低減,対LiBr)媒体として優れていることがわかった.