著者
藤村 修 アンドレアス ケラー ファルク アルブレヒト
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.1291-1297, 2006

ドイツのオーデル河畔にあるシュエットのライパ ジョージ ラインフィールダー会社の新4号機が,2004年6月30日にスタートアップした。LWCペーパーが,シリウスリールで,高速で巻き上げられた。この新4号機は,高品質LWCペーパーを年産30万トン生産する能力を持ち,ワイヤ幅8,900mmのマシンである。原料は,DIP100%をベースに設計され,最高品質の製品を生産するために,フォイトは,全体にわたって"ワンプラットフォームコンセプト"の,生産プロセスを基礎にした。<BR>このプロジェクトでは,抄紙機全体のほかに,フォイト社の供給範囲は,原質調整システム,ブローク処理を含むアプローチフローとワインダ,ロール搬送,包装システムも含む。そして,フォイトファブリック社供給の最初の使用用具と包括的なオートメーション機器も,このパッケージに含まれている。<BR>また,このプロジェクトの,技術的な挑戦は,DIP100%の原料から,一級品のLWCを生産しようとの目論見であり,これを,具現化するために,ライパ社とフォイト社は,"システムパートナーシップ"を結び,予定の日程よりも4週間早く,成功裏に達成することが出来た。本文では,最新の操業状況も記述した。
著者
柴田 聡 井上 梅夫 阿部 博文 田中 俊彦
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.600-603,020, 2001

タクマTCP 30マイクロタービン・コージェネレーション・パッケージは, apstone社製28k Wマイクロガスタービン発電機を組み込んだコージェネレーション・パッケージである。マイクロタービンはガスエンジン等のレシプロエンジンと比較して小型軽量, 高効率, 低環境負荷, 低コスト, 無振動, ノーメンテナンスと数多くの特徴を持ち合わせており, また, タクマのエコノマイザ付排気再燃蒸気ボイラで排熱回収を行っている。パッケージは, エンジン本体, ガス圧縮機, 制御・電力変換装置のマイクロタービン機器と排熱回収装置, 制御装置, その他附帯設備から成立っており, 超高速発電システム特有の騒音低減と電子機器からの排熱の効果的な除去という二律背反する面を, コンパクト化されたパッケージ内で両立させている。<BR>26kW電力 (有効電力) と蒸発量600kg/h (換算蒸発量712kg/h) の蒸気を出力し, システム効率93%の高効率コージェネパッケージとなっている。システムの高効率化によって従来の方式 (電力需要は買電, 蒸気需要はボイラによる供給) と比較して約20%の省エネルギーと約25%のCO<SUB>2</SUB>削減が実現するとともに, ユーザ側の大幅なランニングコスト削減が可能であり, 蒸気需要の多いホテル, スポーツクラブ, 銭湯, 病院, 工場等の施設を対象として急速な普及が期待される。
著者
加藤 晴治 小倉 京子
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.11, pp.755-757, 1960

We have made some experiments on whiteness, smoothness as well as opacity.<BR>Whiteness is remarkably less in Japanese paper than in foreign-style paper.<BR>Japanese paper, when utilized to coloured paper, demands particular deliberation upon its whiteness.<BR>Smoothness is important in case of printing : but the weak-point is that smoothness differs between one surface and the reverse.<BR>Opacity relates to closeness ; the denser the closeness is, the bigger the opacity becomes.<BR>Japanese paper, on the whole has a small opacity.
著者
佐野 勝大
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.319-322, 2000-03-01

近年, ITの進化は目を見張るものがあり, もはや企業の業務の根幹となりつつあり, 製造業においてもその例外ではない。<BR>従来, 日本の製造業では, 優秀な従業員の経験と技術, 勘に支えられ, 飛躍的な発展を遂げてきたが, 少品種大量生産の時代が終焉を迎え, 慢性的な景気の低迷に加えて消費者のニーズが多様化してきた今, マーケットに即した製品, サービスをいかにリアルタイムに送り出せるかがキーになってきたといえる。そのためには, 今後の製造業は永遠の命題である生産効率, 品質の向上, コスト削減というテーマを, 従来の人, もの中心からIT技術を有効に活用した業務の改革が急務であり, 今後グローバル化の中で主流となるサプライチェインを含めたヴァーチャル生産体制を完成させることが生き残りの鍵といえる。<BR>当論文では, このような環境の中, IT技術がどのように製造業にとって適用されるべきかを, マイクロソフトが展開するWindows DNA for Manufacturingを中心に解説する。
著者
竹山 康宏
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.502-504, 2016

イタリアの家庭紙加工機メーカーのFUTURA社(イタリア)は,2002年の創業以来,多数の独自技術を盛り込んだワインダーを世界各国の家庭紙製造企業に納入している。本年6月にイタリアのルッカで開催されたイベント「iT's tissue」では,これまでの技術を更に進化させ「アンドロメダコンセプト」と銘打った最新技術が紹介された。<br>コンセプトは自動化と効率化,製品の高品質化に観点が置かれている。ジャンボロールのハンドリングから始まり,エンボッサー,リワインダー,トリムカッターからログソーに至るまで,作業員の介在を極力少なくしている。<br>また革新的なレイアウトにより省スペース化も同時に実現した。新型ワインダーでは巻き始めと巻き終わりまでエンボスを潰さず均一な巻き取りが可能。これらの優れた技術は今後国内の家庭紙製造に大きく貢献できると考える。

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著者
山田 卓良
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.420, 1995
著者
飯田 清昭
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.754-759, 2018

<p>例えば,紙・板紙の消費量を年次に対して対数でグラフ化すると,その年の勾配がその年の変化率となる。1950年からの紙・板紙の消費量の変化を調べると,1970-1975年を境に年当たり増加率が13.2%から3.8%に激減,さらに1995-2000年からマイナス0.9%となっている。これらの時期に,日本のGDP(名目)の年当たり変化率も14.5%増から8.6%増,さらに0.0%と変化しており,社会・経済がこれらの二つの時期に大きく変わったと理解され,製紙産業の生産活動もそれに大きく影響されたことになる。</p><p>製紙産業の日本経済の中での立ち位置は,1960年で製造業の約3%を占め,以後漸減気味であるが,その位置を保っている。これは,浮き沈みの激しい他産業に比して特異的である。また,長年にわたって,輸入,輸出ともに10%以下で,輸出をしない代わりに,輸入紙圧力に対し内需を保ち続けたことになる。</p><p>日本の社会・経済が先の二つの時期に大きく変化する中で,製紙産業がその地位を保ち続けることができたことには技術的な対応が寄与したと考える。その歴史を次号から追いかけてみる。</p>
著者
戸谷 和夫
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.384-387, 2017

<p>出版,広告業界では,顧客のニーズに合わせたプロモーションツールとしてのオンデマンド印刷が市場を伸ばしている。顧客の住所や氏名,地域別広告や顧客の嗜好を元にした商品の案内など可変情報の印刷が可能なオンデマンド印刷は装置の普及も進み,着実に市場に浸透している。クレジットカードの明細書や携帯電話の請求書,ダイレクトメールなど身近に目にするものが多く,日常生活の中でオンデマンド印刷が増加していることを感じておられることと想像する。</p><p>新聞業界においても,製版の必要が無く,少量印刷に優位なインクジェット印刷の導入が始まっており,将来,印刷部数の少ない地方新聞,全国紙地方版などがインクジェット印刷へ切り替わった場合に備え,筆者らは,新聞用インクジェット用紙に要求される各種品質を付与するために古紙パルプの使用,最適なインク定着剤の選定,インク定着剤量およびサイズプレス塗工量の最適範囲の設定,新聞用インクジェット用紙の開発を行った。</p><p>本稿では,筆者らが検討してきた,新聞用インクジェット用紙の技術開発について紹介する。</p>
著者
日本製紙連合会環境保全委員会 水質総量規制検討小委員会
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.347-356, 1982

The measurement of COD was settled on using automatic water quality measuring apparatus in principle, when the regulation of total emission fer keeping water quality at a closed water area was applied in July, 1981.<BR>In order to give facilities for the selection of the type of apparatus to the mills falling under the regulation, Environmental Protection Committee, Japan Paper Association, carried out the field tests at five mills having set up COD meter and at mills of the same number having set up UV meter from July to November, 1981.<BR>Results are as follows:<BR>(1) At non-integrated mills of two companies, the values obtainen with COD or UV meter showed high correlations to those according to JIS, and conversion formulas could be established.<BR>(2) At integrated mills, when used COD meter, high correlation was obtained at two mills, while low or no correlation was obtained at the other two mills.<BR>It is not clear whether this difference originates in the maintenance management, the difference with the apparatus, or the quality of effluent.<BR>When used UV meter, however, high correlation was obtained at all four mills and conversion formula was established, The quality of effluent seems to be matchable with UV meter at each mill.<BR>(3) It will be required for the use of COD or UV meter to lower the amount of suspended solids in the water receiving and discharging course in the case of pulp and paper effluent.<BR>(4) It is necessary to make the maintenance management delicately when using COD meter.
著者
山崎 秀彦
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.151-158, 2004

近年,中国での製紙産業の急速な発展はわが国の製紙業界でも大きな関心が寄せられている。日本を始めとする先進国での紙・板紙の需要がほぼ横這いであるのに対して,中国での紙・板紙の需要は急速な成長を示している。2002年の中国の製紙産業の総生産は3,780万トンであり,前年に比べて8.4%の成長を示した。抄紙機の新設が続いているものの,経済発展と膨大な人口による潜在的消費者の数から大方の予測では将来にわたって中国国内での需要が伸び続けるものと考えられている。<BR>メッツォペーパーは,中国では北京に支社,西安に合弁会社であるValmet―Xian社,無錫(ウーシー)にサービス技術センターを有し,中国でのビジネス,製造,サービスに努めている。これは,とりもなおさず近年,中国での製紙会社からの受注の増,それに伴うマシン稼動,そしてサービスを充足するためのものである。近年の特筆すべき点は,メッツォの技術の粋を集めた最新式のOptiConcept抄紙機が中国に設置,稼動し,さらに成果を上げていることである。1998年,メッツォペーパー(旧バルメット社)は21世紀に向けての革新的な抄紙機コンセプトであるOptiConceptを発表した。これは抄紙機のすべてのセクションを含んでおり,抄速2,000m/minの達成を目標として開発されたものである。現在では,既に何台かのOptiConceptマシンが世界で稼動しているが,その第1号機を中国の南平(ナンピン)造紙廠ナンピン工場に新聞用紙用マシンPM5として納入し,1999年12月にスタートアップさせている。その後,同型の抄紙機をチチハル製紙にも設置している。その後も最新型マシンの導入は続いている。メッツォペーパーにとって,現在,将来ともに極めて重要な市場である。<BR>本稿では,中国の今後の展望とこれまでメッツォペーパーが中国に導入した製紙機械技術の代表的なものについて紹介する。
著者
山下 満
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.1170-1173,052, 1999

古紙利用においては, 原料に含まれるピッチ・タール・ホットメルト等の粘着性物質を除去することは, 古紙再生技術の一つとして重要なことであり, ドライパートの汚れを防止する上でも一定の効果があることがわかっている。しかしながら, 古紙の配合率・リサイクル数が増加してくると, ドライヤー・カンバスが汚れやすくなる。古紙利用を進める製紙工場では, カンバス汚れの防止対策として高圧洗浄装置やワイヤブラシを用いて操業しており, 一定の成果は得られているものの, 運転中は, ある程度の汚れや通気度の低下は許容せざるを得ないのが現状である。汚れたカンバスで抄紙を続けることは, 製品の品質を低下させるだけではなく, 洗浄作業の発生等操業上多くの問題を引き起こす。従って「汚れないカンバス」の実現は, 古紙のリサイクルを進めていく上での重要課題の一つである。<BR>当社ではr汚れないカンバス」を実現する方法として, 汚れの発生原因を抑え, カンバス表面の剥離性被膜を維持するシステムを開発した。このシステムでは, 表面処理剤をカンバス表面に常時スプレー散布し, 紙表面に影響を与えない数ミクロンの薄い被膜を形成することにより, 湿紙上のピッチ・タール等のカンバス面への付着を防止し, さらに表面処理剤のカンパス繊維への浸透効果によって汚れにくい表面へと改質する。また, 防汚効果が操業中常に維持される点が特長である。<BR>本システムの導入効果の具体例として,<BR>1) カンバス及びアウトロールの汚れが激減したことにより, 洗浄作業の軽減と乾燥効率の向上が図られた。<BR>2) 当社ドライヤー汚れ防止システムとの併用により, 紙切れ回数が採用前の1/3-1/5程度に減少し, 生産性が3-4%向上した。<BR>3) 紙粉発生量の激減とピッチ・タール等の付着がなくなったことにより製品の品質が向上した。等が挙げられる。<BR>これらの効果は, 板紙から印刷紙まで適用した実績により確認されており, カンバスの汚れ防止は勿論のこと, 生産性や, 製品の品質向上にも有効であることがわかった。
著者
石渡 正佳
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.1358-1360, 2014

廃棄物処理法による行政処分と刑事処分によって不法投棄などの不適正処理を行う業者を排除しているが,それだけでは不十分なため,産業廃棄物処理業優良化推進事業により,公開情報に基づいた優良業者の認定を行っている。<BR>不適正処理を行った処分者に委託した排出事業者の責任による撤去指導においては,措置命令を発しないことと交換条件に,撤去費用の拠出を求めることがあるが,この場合,法令違反の確認された量ではなく,処分者に対する委託の「全期間全量未処理推定」により,拠出額を計算することが一般化している。このため,拠出額が数千万円になることが珍しくない。<BR>このため,不適正処理を行わない優良業者の選定が重要である。優良業者の選定は,公開情報に基づいた書類審査と,現地調査によって行うのが適当である。<BR>iMethodは,石渡が開発した産業廃棄物処理業者の「公開情報分析法」である。環境省が制度化した公開情報から「処理能力」,「処理実績」,「売上高」,「従業員数」の基本4情報を抽出し,「施設稼働率」,「平均単価」,「オーバーフロー率」,「生産性」の基本4指標を計算する。完全定量分析によって,個別業者の評価のほか,複数業者の計量的比較,グループ企業の連結分析,業界全体のトレンド分析を行うことができる。<BR>iMethodによって,産廃業界の標準処理価格は1トン3万円であること,標準生産性は従業員一人当たり年間667トンであること,一人あたり売上高は2,000万円であること,標準処理価格と標準生産性には相反性があること,総資産と総売上高の標準比は1対1であること,一人あたり売上高が1,500万円以下では経営難に陥りやすいこと,標準生産性の2分の1を超えると,生産性と利益率が比例的に増大することなどの法則性を導き出すことができる。
著者
吉村 秀治
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.64-67, 2013-01-01

日本製紙グループは生産量の減少に伴い慢性的に余剰電力を抱えていたが,震災以後の電力不足を背景に電力会社へ余剰電力を供給・販売するようになった。そこで余剰電力の有効活用を目的に昨年12月「エネルギー事業推進室」を立ち上げ,あらゆる角度から電力販売の可能性を検討している。今年5月には日本製紙が特定規模電気事業者(PPS)に登録し,日本卸電力取引所(JEPX)にも加入してエネルギー事業に参入した。<BR>今夏の電力不足では自家発余剰電力の活用策として出された「みなし節電」スキームを全国で始めて採用した。電力会社・監督官庁へ実現性を相談したが,前例が無いため節電目標が公表されるまで具体的交渉ができなかった。公表後は短期間に「みなし節電達成の判断」や「送電不足時の対応」などを電力会社と協議し,日本製紙八代工場から関西および四国電力管内のグループ15事業所へ3,000kWを送電した。<BR>日本製紙グループは発電所の操業ノウハウやインフラの強みを活かし,余剰電力の配分検討,新規電源の開発・発掘,新規木質エネルギーの開発などの課題をクリアしてエネルギー事業を収益の柱に育てていく。
著者
大西 貴之
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.279-282, 2017

<p>近年,求められる紙の品質は高くなり,それに応えるためには計測計器の高性能化が不可欠である。2007年に設置・稼動した大王製紙三島工場N10M/Cでは,当時最新機種であったカラーセンサーを採用したが,技術革新のスピードが速く,数年で新機種の販売となり,旧機種のメーカーサポートも終了となった。今回,安定した高精度の測定を目的に設備更新に至った。</p><p>更新により測定精度の向上が図れた上に,設備改善を取り入れることでメンテナンス性の向上も図れた。設備改善項目は,更新前より必要性を感じていたもので,今回導入できたことでトラブル時の対応を迅速に行えるようになった。また,更新設備機器は大きく4つのモジュールで構成されており,故障の際は,モジュール毎の交換で対応ができるため,復旧時間の短縮も見込める。</p><p>本稿では更新の背景,新機種の特徴,設備改善,トラブル事例や今後の取り組みについて紹介する。</p>
著者
宇佐美 潤
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.1277-1283, 2013

2011年3月11日東日本大震災で壊滅的なダメージを受けた日本製紙株式会社石巻工場は全損に近い危機的な状況にあったが復興宣言し「今こそ団結!!POWER OF NIPPON」を合言葉に社員一丸となり1年半の短期間で洋紙事業復興計画通り抄紙機6台,塗工機2台全てが操業を開始した。<BR>復興は瓦礫撤去から始まり電力復旧,原質系復旧,生産ラインそして仕上げ設備復旧と完全復興へ向けた工程で進められた。誰も経験のない整備不可能とも思える設備を復旧するに当たり,使用可能パーツの選定,クラックが入った物の処理方法,海水水没品の処理方法と模索しながらの復旧となった。<BR>仕上部門の復興においてはより高効率な仕上げ工程を確立するため,10数年来の課題として取り組んでいた「NO選化」を目指しカッター欠陥自動リジェクト装置設置,カッター2方差パレット化等の対応で立ち上げより実現した。<BR>一方,将来を見据えた震災復興計画として需要に見合った国内事業ダウンサイジングが図られ,石巻工場で新規事業となるPPC小判仕上設備を立ち上げ新たな取り組みを開始した。経験者が誰もいない状況下でオペレーターは同設備を有する工場で3ヶ月間操業経験を積み,更に経験者を配備しながらの立ち上げとなった。<BR>復興したものの震災影響による錆付や地盤沈下の問題対応,仕上げ部門の高効率化を目指す生産体制構築及び新規事業の早期安定化が今後の課題となる。
著者
田頭 弘章
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.201-208, 2005

1998年のメッツォ社のペーパーテクノロジーデイズにおいて, 各セクションに最新の技術を反映し, 設計抄速2,000 m/minをターゲットに置いた全く新しい抄紙機オプティコンセプトが紹介された。実機としてオプティコンセプトのコンプリートマシンが誕生したのは1999年12月であった。<br>それから今日まで, わずか4年ほどの間にオプティコンセプトは世の中に広く受け入れられ, 新設だけで10台を超える抄紙機が稼動に入っている。オプティコンセプトマシンは高速運転における操業安定性に優れているだけでなく, 地合い, 表裏差などの紙品質にも優れ, 更にプレス後の高いドライネスにより乾燥負荷が軽減されるという経済性にも優れている。勿論, 新設抄紙機だけでなく, 改造機にもオプティコンセプトは多数採用されており, 品質改善, 増産等に多大な貢献をしていることは言うまでも無い。<br>オプティコンセプトは新聞用紙, 上質紙, コート紙等の種々の紙種に適用されてきたが, 更なる開発が続けられており, 市場のニーズに応えるためこの度新たに開発された新型オプティフロー, 新型オプティドライ, オプティスプレーの製品の特長をここに紹介する。
著者
香川 詔士
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.376-383, 1975

In order to investigate the properties of lignin in soda pulp waste liquor, Larix wood previously digested by 6% NaOH solution was isolated into PAL (pure alkali lignin). LAL (Larix alkali lignin=PAL) fractionated with organic solvents was investigated by gel filtration with CPG-10, dioxane-H<SUB>2</SUB>O (1 : 1) being used as eluent. Also, these lignin fractions were analzsed mainly by IR, UV, NMR, elemental analysis, - OMe and air oxidation.<BR>In the case of the LAL fractionated by organic solvents, results obtained were as follow : (1) Remarkable change in gel filtration, IR spectrum, and NMR spectrum patterns were shown in ether-soluble fraction. (2) The value for the weight average molecular weight calculated from gel filtration data for water-insoluble and ether-insoluble fraction, comprising more than 82% of the substance, seems to be for water-insoluble fraction about 73, 000 and ether-soluble fraction about 22, 000. (3) The change in the amount of air oxidation products of each fraction except ether-soluble fraction was scarcely observed.