著者
片岡 祥啓 宮本 貴朗 青木 茂樹 泉 正夫 福永 邦雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.139, pp.23-30, 2007-07-12

これまでに提案されているキーストロークを利用した個人認証の研究では,キーが押されていた時間を比較したり,パスワードを打つリズムを意図的に作り出すことによってユーザ認証を行っていた.しかし,これらの手法はパスワードなどの定型文には有効であるが,自由な文章(非定型文)を用いた場合は,定型文に比べ大幅に減少するため識別率が大きく低下するという問題があった.本稿では,非定型文を用いた場合にもユーザの特徴を的確に捉え,個人認証を行うことができる手法を提案する.まず,キーストロークの特徴として,連続する二文字(二連字)を押した時の時刻と離した時の時刻から計算できる各種の時間を特徴として抽出する.次に,二連字の種類ごとにその特徴の平均値で昇順に並べる.そして,その並び方と予め作成しておいたプロファイルの並び方をKendallの順位相関係数で比較する.さらに,二連字が押されていた時間をプロファイルデータに登録されている時間と比較することにより個人を識別する.
著者
宮地 信晴 牛頭 靖幸 稲積 泰宏 木下 宏揚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.96, pp.13-18, 2004-05-21

インターネットの利用者が,他人のコンピュータに不正にアクセスする行為や著作権者に無断でコンテンツを転載する行為等を行うと法的な責任が発生する.そこで,本稿では神奈川大学のネットワークを利用して,法的責任が発生するような行為が起こった場合の責任の所在をインターネット関連の法律を参考にして考察を行う.
著者
森下 壮一郎 横井 浩史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.321, pp.27-30, 2010-12-02
被引用文献数
1

自動機械による事故や不具合が発生すると,それを設計した技術者の予見可能性が問われることが多い.一般には,専門家の見解は専門的知識を持たない者のそれよりも重視され,専門家にとってすら想定外の不具合であることが客観的な証拠を伴って示されれば,予見可能性は否定される.ただし,専門家は専門的知識に基づいて自動機械の適用範囲について妥当な判断を行えるが,専門的知識を持たない者は自動機械の取り扱いについて慎重になって,その適用範囲を過小評価することがある.このような状況下で専門家が予見し得ない不具合が生じると,専門的知識を持たない者による見立てと結果とが偶然に一致し,そのことをもって技術者に対して過大な責任を問われることがある.特にこの傾向は計算機システムにおいて顕著である.本稿では,偽計業務妨害容疑で岡崎市立中央図書館の利用者が逮捕された事件をこの問題のケーススタディとして挙げ,自動機械の設計および技術者倫理的な観点から,今まで筆者らが検討してきた内的セキュリティ問題としての側面について論じる.
著者
辻井 重男 山口 浩 五太子 政史 角尾 幸保 井堀 幹夫 山本 拓真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.19-24, 2011-12-10

先ず,電子行政を,精神構造,社会システム,技術システムの3階層として捉え,各々の階層について概説した後,現在,内閣官房を中心に政府で検討が進められている情報連携基盤について技術システムの立場から考察する.情報連携基盤は,認証機能,番号機能,情報連携機能の3機能を有するが,認証機能については,公的個人認証などの実績があるので,これらを利用すれば良く,番号機能については,個人情報保護を中心に政府で議論が深められている.しかし,情報連携機能については,考察が進んでいないように見受けられる.情報連携基盤の大きな目的は,個人情報を最大限保護しつつ,これを国民のために活用することにある.本論文では,暗号技術などの利用により,個人情報の保護と活用の間の矛盾を可能な限り超克し得る技術システムの構成法を提案する.
著者
Uesugi Shiro
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.375, pp.7-12, 2007-12-04

2007 is the year of e-Money in Japan. There are two existing large services of e-Money- Edy of bit Wallet and Suica of East JR both built on the infrastructure of Felica system provided by Sony. The competitions between the two parties are called "Edy-Suica War." To make it more complicated, the "War" is not the battle only between the two parties. NTT DoCoMo had entered in the competition by establishing their "iD/DCMX" services, and QUICPay of JCB and AEON came as well; both of which use the same Felica smartcard embedded in the mobile phones. In 2007, Seven & i Holdings Co., Ltd. enters into the competition. The numbers of smartcard issued is expected as many as 10 million, one of the largest scales. The technology they are going to deploy was announced Felica as well. In all, 2007 may be marked as the year of "ubiquitous" Felica. There is no other country where Felica is used so commonly than Japan. How would this peculiar monopoly have been attained? This paper provides an analysis about how and why Felica became the standard of smartcard in Japan, and considers how the true ubiquitous business in Japan is carried out. There was a failure of getting international standard as smartcard from ISO/IEC for Felica in the first instance. But years later, another category as Near Field Communication (NFC) by ISO/IEC was established, and now it is perfectly working. This is a paper to investigate the reasons about this.
著者
福田 豊 鈴木 孝一 矢嶋 崇志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.656, pp.19-24, 2003-02-14

地域情報化基本計画策定の市民・自治体・大学による新協働方式について
著者
松原 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.355, pp.75-78, 2013-12-07

福岡工業大学では学生が修得すべき就業力を4つの要素「試行する力」「協働する力」「解決する力」「実践する力」に分けて身につけていくカリキュラムを「就業力育成プログラム」として全学的に体系化した.本発表では「解決する力」の育成のための討論を取り入れた技術者倫理教育の試みを報告する.
著者
小山 裕司 中鉢 欣秀 土屋 陽介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.11-16, 2011-12-10

産業技術大学院大学は,高度専門職を養成するための専門職大学院である.学生及び修了生は専門分野を持ち,社会で活躍している社会人である.彼らは,専門分野での専門職の相互コネクション(人脈)を構築することを希望している.著者らは,これらの活動を支援するため,既存のFacebook, Twitter, LinkedIn等のソーシャルメディアを活用し,相互交流を取ることができる環境の整備を行い,またこれらと連携し,職歴,専門分野,活動等のポートフォリオを横断的に取り扱うことができるシステムを開発した.
著者
大谷 卓史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.442, pp.121-126, 2014-02-20

本発表は、子どもにどのようにSNS(Social Networking Services)を使わせるべきか考察する。子どものSNS利用は、SNS利用にともなうネットいじめや評判のリスク、SNSへの依存の可能性から慎重に許可すべきである。ただし、子どもが行為選択能力を育て、ネット上の人間関係構築能力を育てられるよう、子どものネット利用の問答無用の禁止や監視は避けなければならない。
著者
田崎 三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.505, pp.41-46, 2002-12-06

シュンペーターはその代表作『経済発展の理論』において、『革新』(innovation)を景気循環モデルの核とし、「発展は決して連続的でなく、創造的破壊を伴うものである」ことを示した。ここ数年、国内メディアは、失われた十年といわれる景気の長期停滞ならびに現在の不良債権問題を脱して日本経済を再生させるには、「イノベーションの遂行」こそがそのカギを握るとの認識に立っているように見える.一方、「イノベーション」が「倫理」と関連づけて語られている論調は殆ど見かけない。しかしながら、われわれは情報社会においては、この両者は決して切り離して考えるべきではないとの立場に立っており、本文ではこの観点から「イノベーション遂行」のあり方について考察する。
著者
森住 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.244, pp.5-10, 2014-10-07

振舞いの群れは<仮面>である.<私>の振舞いとは<私>の<仮面>である.世阿弥の「離見の見」は自他を意識する「進化的多元言語ゲーム」を<私>が解釈する概念と見做せる.振舞いの群れはまた<仮面>の裏側であり,振舞いの中核は<仮面>である.<仮面>の差異が「花」となる.そして<仮面>の裏を形成するもの,そして<仮面>の差異を形成せしめるものこそが「群知能」である.「言語的規則」と「感覚の論理」を使用する<私>とシステムのインタフェースの枠組みは,「客観の論理」,「受動的な<私>の「感覚の論理」」,「能動的な<私>の「感覚の論理」」である.<仮面>の差異に基づく緊張作用によって振舞いの群れが調和する必要条件は,それぞれの<私>が振舞いの群れとの相互作用を了解することである.振舞いの<仮面>の調和装置は哲学的原理ではなく,<仮面>の振舞いを見えるようにするパターンランゲージである.
著者
古村 隆明 岡部 寿男 中村 素典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.437, pp.153-158, 2010-02-22

eduroamは,802.11b/g等の無線LANで,802.1x認証を利用した国際無線LANローミング基盤で,国内外の数多くの教育研究機関で導入が進んでいる.ローミング時に訪問先機関や国や地域に設置されている複数のradiusサーバにアカウント名を含む認証情報が記録されることで,ロケーションプライバシが侵害される危険性がある.そこで我々は,SAML連携を用いて発行した仮名アカウントでeduroamを利用する手法を提案する.この手法では,平常時は,個人の特定だけでなく利用者の所属組織の特定もできなくなる.また,インシデント発生時などには,radiusサーバとSAML連携組織の情報を合わせることで個人を特定することが可能である.
著者
中村 謙三 皆川 長三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.25, pp.35-40, 2014-05-07

スマートコミュニティ事業に関する出願特許のIPC分類情報から、ネットワーク図を作成、各構成技術の繋がりや特徴を俯瞰的に観察する。その際の評価指標として、グラフ理論におけるネットワーク中心性を算出、従来の特許調査手法から得られるものとは違う、新たな知見を見出すことが出来るか否かを試験的に評価した。
著者
高清水 直美 野田 哲夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.53-56, 2011-12-10

島根大学におけるRuby教育は,プログラミング知識の習得だけでなく,Rubyを中心とした最新のITビジネスや技術動向について広く学ぶことを目標としている。プログラミング言語Rubyおよび開発フレームワークであるRuby on Railsは,その生産性の高さが注目され,近年のWebアプリケーション開発市場におけるニーズが拡大している。本稿では,本学における教養科目としてのRuby教育の実践と課題について報告する.
著者
中野 由章 米田 貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.355, pp.59-67, 2013-12-07

「LINE外し」のロールプレイングをオフラインで行ない,それによっていじめや人権等に対する意識を向上させることで,情報社会に参画する態度の育成を試みた。以前ならば小さな衝突で済んでいたと思われる生徒間のトラブル事案でも,SNSやLINE等のコミュニケーションツールを介してやり取りをすることにより,問題が急速に拡大・悪化することがある。そこで,「LINE外し」をロールプレイすることで,生徒の倫理観を向上させ,情報社会に参画する態度の育成をめざした筆者らのその指導内容について報告する。
著者
田中 美佐 吉開 範章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.355, pp.151-156, 2013-12-07

日本大学・理工学部・数学科のキャリア支援活動における取り組みと,平成25年度の企業就職活動状況について,アンケート分析結果を基に特徴を述べる.また数学科就職事務室で学生から求められる最も多い業務は,エントリーシート添削作業である.今回,その作業のための支援システムに関するコンセプトを検討したので報告する.
著者
中山 泰一 角田 博保
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.355, pp.69-74, 2013-12-07

共通教科「情報」の高等学校学習指導要領では,「多くの情報が公開され流通している現状を認識させるとともに,情報を保護することの必要性とそのための法規及び個人の責任を理解させる」と規定されており,その内容の取扱いとして,「知的財産や個人情報の保護などについて扱い,情報の収集や発信などの取扱いに当たっては個人の適切な判断が重要であることについても扱うこと」と記されている.一方,国,地方自治体,独立行政法人などの行政機関から情報を収集する意義や手続きについてはあまり扱われていない.本稿では,行政機関の公文書という生の情報を収集することは市民社会を健全に育成するために重要であるとの観点から,大学の教職科目の情報科教育法への公文書公開手続きの活用について,実践例とともに議論する.
著者
一藤 裕 今野 将 曽根 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.437, pp.125-128, 2010-02-22

インターネット上で学校または地域ごとに集まりコミュニケーションをとる学校裏サイトのような電子掲示板では,匿名性などの特徴や誤解から,陰湿ないじめに発展し社会問題となっている.これは,ユーザが経験不足のために,不適切な発言であることを知らずに投稿することが原因の一つとして考えられる.そこで我々は,投稿発言が不適切発言かどうかを自動分類し,ユーザヘ提示できれば,ユーザの経験不足を解消できるのではないかと考えた.本稿では,投稿発言を通常のコミュニケーションを意図した発言と不適切な発言の2種類に分類する手法を提案する.具体的には,発言に分類するために,2種類の学習データを準備し,ベイジアンフィルタと同等の処理を行う.その後,電子掲示板の雰囲気を考慮し投稿発言を2種類に分類する手法を確立する.本提案手法では,約80%の精度で発言を分類することができた.
著者
稲葉 宏幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.223, pp.11-16, 2004-07-19
参考文献数
3
被引用文献数
3

ディジタル技術,ネットワーク技術の進展にともない,ディジタルコンテンツの著作権に関する問題が表面化してきている.本稿では,ディジタルコンテンツ(ディジタル音楽)の利用者として大学生を取り上げ,その著作権意識の実情を調べるために,アンケート調査を行なった結果を報告し,インターネットにおけるディジタル著作物についてその利用者側の意識を明らかにする.また,その結果をもとに,現状の著作権の問題点や,著作権に関する教育のあり方についても考えてみたい.
著者
山内 正人 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.437, pp.97-100, 2010-02-22
参考文献数
18

センサの低価格化や高性能化が進み、様々なセンサの設置が進んできている。また設置されたセンサをネットワークで繋ぐことでセンサ単体では困難なことが可能となった。例えば気象センサネットワークでは高密度な気象データを集めることで、低密度なセンサデータでは困難であったゲリラ豪雨などの高精度な予測が実現可能となる。しかし、センサデータを応用するためには、データの信頼性も重要となる。従来では人手によってセンサデータの信頼性を確保していたが、本稿ではMicro blogを用いることで、自動でセンサデータの信頼性が向上できることの可能性について示した。これにより、今後規模が爆発的に増大するセンサネットワークヘも対応が可能となる。