著者
清水 孝治 戸田 瑛人 木下 宏揚 森住 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.331, pp.7-12, 2008-11-28

本論文では,地域SNS上で電子地域通貨を使うことを想定したうえで,既存方式に加えて新たに人間関係ダイアグラムを用いた評価指標を導入する。既存方式の尺度だけではユーザがどれだけ信頼できるかを計るに不十分だったが、この評価を導入することで,周りからの評価値を、より信頼性のあるものとして提示できるようになった。
著者
上原 哲太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.392, pp.1-6, 2004-10-22

近年,電子政府・電子自治体の構築の名の下に,地方自治体は政府によってその住民サービスの電子化とネットワーク化を奨励され,一部は半ば強制されてきた.現在,多くの地方自治体のシステムが住民基本台帳ネットワークやLG-WAN,インターネットなどの広域ネットワークに接続されている.この結果,個人情報の機密性を守るためにこれらのシステムの情報セキュリティマネジメントは極めて重要になった.しかし多くの市民が,自治体に個人情報保護の能力が十分あるのかどうか疑問を投げかけている.本論文では,自治体が抱えている情報セキュリティ上の課題を分析し,その対策について提案する.
著者
岡下 綾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.459, pp.55-60, 2009-02-26

ウェブ上の多くの仮想世界において,ユーザのプライバシーを保護するために本人確認を行うことなく匿名でのアカウント登録が行われている.そのためユーザは複数のアカウントとそれに付随した権利を不正に利用することができる.また,属性の類似した仮想人格(ペルソナ)同士が同一視されてしまうことで,ユーザの権利が他者によって不正に利用され得るという問題がある.ユーザのペルソナは複数の仮想世界をまたいで利用され得る.そのため,ユーザが情報資源の所有権を主張したり他者によるなりすましを回避するためには横断的なペルソナ同一性の証明手段が必要である.本研究ではペルソナに対応した公開IDに関して考察を行う.また分散認証技術であるOpenIDを利用した本人確認基盤アーキテクチャを提案する.
著者
吉浦 紀晃 佐山 弘和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.484, pp.311-316, 2012-03-08

Access Control Listは、Layer3スイッチやFirewallなどのネットワーク機器において、どのようなパケットを通過させ遮断させるかを記述したものである.Access Control Listはネットワークトポロジーやセキュリティポリシーの変更、セキュリティインシデントの発生などで変更されることがある.ネットワーク管理者はその度に変更することになるが、この変更が積み重なるとAccess Control Listには冗長な記述が増えてくることがある.ネットワーク管理者がAccess Control Listを書き換える場合、その前後でAccess Control Listの意味が変わっていないことを確認する必要がある.本論文では、2つのAccess Control Listの等価性を判定するためのテストケースの作成方法を提案する.このテストケースはパケットであり、2つのAccess Control Listをそれぞれ設定したときのこのパケットを透過性をチェックすることで、2つのAccess Control Listの等価性を判定する.
著者
近藤 佐保子 南雲 浩二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.526, pp.39-46, 2007-01-31
被引用文献数
1

近時,ネットワークを巡って著作権問題が顕在化し,また,ファイル共有ソフトの作成者が著作権侵害の幇助で逮捕されるという事件が発生するにいたって,著作権侵害の問題は再考察せざるを得ない状況になっていると思われる.本稿では,いわゆるWinny事件に焦点を当て,現行著作権制度をインターネットに適用した場合の問題点を指摘し,今後の著作権制度とその規制のあり方を検討するものである.
著者
渡辺 博芳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.75, pp.39-43, 2008-05-23

SNSは,人と人とのつながりを促進・支援し,コミュニティ型のウェブサイトである.近年,企業や大学等の組織内に限定したSNSを導入する例も増えている.一方,大学においては,教育・学習活動を支援し,広げるツールとして,コース管理システム(CMS)が導入されている.CMSが学習活動を直接支援するのに対して,SNSでは,モチベーションの向上等に寄与することで学習活動を間接的に支援できる可能性がある.このような観点で,2007年度に帝京大学宇都宮キャンパスにおいてSNSを構築し,利用実践を行ってきた.SNS上の日記やコミュニティでの投稿内容を分析した結果,学習活動や学生生活の支援として有効と思われる場面がいくつか観察された.
著者
谷口 展郎 千田 浩司 塩野入 理 金井 敦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.616, pp.7-12, 2006-02-16
被引用文献数
2 1

近年,ネットでの社会活動の比重の高まりにより,オークション詐欺やフィッシングなどの問題が深刻化しつつあるため,アイデンティティ管理(ID管理)システムが改めて注目されている.他方,ID管理システムは,これまでネット社会でプライバシーや表現の自由を守ってきた匿名性を排してしまうのではないか,との懸念の声も多い.アイデンティティエスクロー(IDエスクロー)は,通常は匿名だが,必要に応じ本人性を確認できる手段を提供し,ID管理と匿名性の両立を目指す枠組みである.筆者らは,匿名性/仮名性/本人性の三層構成を持つ分散型IDエスクロー"DECIDE"の研究を行っている.本稿では,匿名性/仮名性/本人性について論じたうえで,DECIDEを含むIDエスクローがこれらを扱うモデルを示す.
著者
森住 哲也 木下 宏揚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.68, pp.25-34, 2005-05-13
被引用文献数
8

現代社会に潜む情報漏えいと改ざんの問題について, インターネットをツールとする情報処理システムをアクセス制御の視点から考察する.考察対象とする社会システムは, ルーマンの社会システム論をベースとし, 意味生成の過程に対してはクリステヴァのテクスト理論的な見方を導入する.ルーマンの機能分化的社会システムにあって, テクストとしての情報はCovert Channelを必然的に引き起こす性質を内包しており, これがオートポイエーシス的社会システムの瓦解に結びつくことを示す.次に, "Community Based Access Control Model"をルーマンの社会システム理論の概念的枠組みをベースとしたモデルへと発展させる.そして, 機能的に分化したコミュニティに於いて, アクセス権限の分析と制御を実行する社会装置としてのコンセプトを示す.
著者
川口 嘉奈子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.74, pp.71-75, 2009-05-29
被引用文献数
1

2007年,Google社は「Google Street View」(以下,GSV)のサービスを開始した,日本でもGSVが導入され,あらゆる地点の周辺風景が地図情報と併せて公開されている.しかしながら現状では,とくに住宅地での撮影がプライバシーの侵害,住居侵入の手助けになる,肖像権の侵害などを引き起こすとして問題視されている.本稿ではまず,GSVが引き起こしている諸問題を整理する.次に,GSV導入によって引き起こされると言われるプライバシー問題を整理する.そして,今後,セカイカメラ等の類似の問題を孕んだアプリケーションが導入された場合に,撮影される側のプライバシーはどこまで,またどのように守られるべきかを考察する.
著者
船木 麻由 西垣 桂 齊藤 明紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.459, pp.167-172, 2009-02-26
参考文献数
5

PC端末を並べた教室で全端末を常時稼働させると電力を無駄に消費する.逆に原則電源オフで使うときだけ利用者が電源を投入するという方式だとOS起動の待ち時間が生じ,利便性が低下する.そこで,端末室の利用状況に応じて自動的に端末の稼働台数を増減させるシステムを開発した.管理サーバは端末状態を監視し,起動済みの空き端末の台数が指定数を保つように,余分な空き端末を停止したり,不足分の端末を起動したりする.端末室の講義使用時や昼休みなど利用者が多く来室することがあらかじめ分かっている場合には,その数分前に一時的に指定数を増やすことにより,過渡的な新規来室者増加にも対応できる.
著者
曽根 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.240, pp.19-24, 2011-10-11
被引用文献数
1

東日本大震災は,インターネット基盤に依存する社会に対して災害時ディジタルディバイドを出現させ,長時間,広域にわたって情報流通を困難にした。早期に復旧できた地域では,知人の安否や被災・復旧状況を把握し,生活物資の供給情報を得られた。放送や新聞は広域な被災地の詳細情報を扱いにくく,ネット上の多様な情報から個別に検索できる効果は大きかった。その反面で,ディジタルディバイドによる生活の質の格差が現れた。平時からのディジタルディバイド解消が,災害時に生命・安全を保つ減災対策,あるいは復旧・復興の重要な鍵になる。筆者の体験に基づく大学と地域の情報通信基盤の被災の報告に併せて,この問題について述べる。
著者
中山 泰一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.17-18, 2011-12-10

2011年10月29日,早稲田大学西早稲田キャンパスにおいて,高校教科「情報」シンポジウム2011年秋(愛称「ジョーシン2011秋」)が開催された.本発表では,本シンポジウムに関連する最新トピックスを報告する.
著者
森住 哲也 鈴木 一弘 能登 正人 木下 宏揚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.35-40, 2011-12-10
被引用文献数
1

"変動的秩序"の中に公私の価値の循環を実現するクラウドシステムにおいて,行為の連鎖をひとまとまりのParticleと見做す群知能システムは,ウィトゲンシュタインの"言語ゲーム的概念"を持つのかもしれない.即ちその問いは次の通りである.群れのパラメータをどのように観察したらよいか.個々のパラメータをどのように調整すればシステム全体が調和するのか.そのようなメカニズムは,ほんとうに"善く生きること"に繋がるのか.群知能のパラメータは,ある種の超越的な"善く生きること"に結びついているのではないか.本論文の主張は次の通りである.行為のparticleを群れと見做すとき,群知能のパラメータは心の問題に関わる進化的な言語ゲームの概念に繋がる.そしてそれは,ソクラテスがいう"善く生きることの一つ"に違いない.
著者
田中 智規
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.75, pp.25-30, 2008-05-23

これまで、サプライヤ・システムの実態把握は、アンケート調査や個別ヒアリングから分析する方法が取られてきたが、多数の企業を一度に、客観的に評価することが困難であった。本稿では、特許情報の分析によって、サプライヤ・システムの実態を客観的に把握することを試みた。特許情報という客観的な情報に基づいて、サプライヤ・システムの実態が把握できれば、将来の動向を予測することが可能になり、企業の経営戦略、技術戦略において、より有効な戦略的企業連携を模索することができるようになるだろう。
著者
宮城 亮太 池部 実 猪俣 敦夫 藤川 和利 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.429, pp.17-22, 2011-02-21

クラウド環境と呼ばれる計算資源の利用形態では,ユーザが要求する計算資源を割当てることが可能である.このクラウド環境において計算資源を効率良く利用するには,実行中のサービスを常時監視し,変化する処理量や負荷に応じた計算資源割当てを動的に行う必要がある.本稿では,オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアEucalyptusを用いた環境において,計算資源の動的割当てを行う機構を提案し,評価した.
著者
湯浅 晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.52, pp.19-24, 2006-05-12

CMC (Computer Mediated Communication)とはコンピュータを媒介するコミュニケーションのことであり,Mail, BBS, Blog, SNS (Social Network Service)などの総称である.CMCは近年,爆発的に普及している.しかし普及に伴い例えば"フレーミング"や"コメントスクラム"などコミュニケーションにおいて様々な問題が生じている.本稿ではCMCにおける問題を分析し問題解決への指針を提案する.具体的なアプローチとしてコミュニケーションにおける"文脈"に着目したコミュニケーションモデルを考案し,その実装可能性について検討する.
著者
永崎 研宣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.496, pp.13-18, 2003-12-05
被引用文献数
2

インターネットにおいては「匿名性」がしばしば問題にされ、それ自体が-つのコミュニケーションの手段となりつつあると同時に新たな社会問題ともなっている。しかし、インターネット上の匿名の他者を個別の人格として認識することは極めて困難であり、したがって、Web掲示板等における匿名によるコミュニケーションを論じようとしたとき、そもそもそこに本当にコミュニケーションが成立しているかどうかということを証明するのは容易ではない。それは、リモートアドレスの記録やクッキーの利用等、いくつかの手法によってある程度までは確認することが可能だが、究極的には、インターネットの外の世界をも利用して証明する必要がある。
著者
一藤 裕 今野 将 曽根 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.75, pp.31-34, 2008-05-23
参考文献数
7
被引用文献数
3

インターネット上で学校または地域ごとに集まりコミュニケーションをとる学校裏サイトのような電子掲示板では,しばしば匿名性を悪用し,陰湿ないじめにつながることが多々あり社会問題となっている.これは,電子掲示板に書き込んだ発言が他者にどう影響を与えるかを知らないことが原因の一つとして考えられる.したがって,個々の発言が他者にどう影響を与えるかの指標を確立し,その影響度を発言者へ示すことができれば,問題発言の減少につながると考えられる.そこで,本稿では,電子掲示板の発言の特徴である文字と記号のみで構成されていることと,発言の長さがことなっていることに着目する.発言が短いときは,発言中の単語がその発言を象徴し,発言が長いときは,発言中の単語の組み合わせが重要であると考え,既出発言を学習させ,新たな発言が出現したとき,他者にどう影響を与えるかをベイズ理論を応用して影響度を算出する手法を提案する.単語と単語のペアの学習データをそれぞれ準備し,この手法の有効性を示す.
著者
大山 恵弘 甲斐 朋希
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.124, pp.231-237, 2011-07-05

プログラムを解析して潜在的な脆弱性を検出する脆弱性検査ツールが多数開発されている.脆弱性検査ツールは,通常,脆弱性を早期に検出して攻撃前にプログラムを修正するという良い目的に利用される.しかし,悪意の者が,攻撃可能な脆弱性を効率的に発見する用途に悪用することもできる.ツールを用いた攻撃者による脆弱性発見を妨害する技術があれば,攻撃を成功させるコストが上がり,攻撃を減らせる可能性がある.本論文では,脆弱性検査ツールによる脆弱性発見を妨害する方式を提案する.その方式は,ソースプログラムを変換して,脆弱性検査ツールが検出するが攻撃には利用できないバグを大量に含ませる.例えば,バッファオーバーフローを起こすが攻撃者が制御を奪えないバグを含むコードを加える.加えられたバグに対して脆弱性検査ツールは大量の警告を出すため,真の脆弱性がもしあったとしても,より目立たなくなる.