著者
岡 伸也 Ooi Chia Yee 市原 英行 井上 智生 藤原 秀雄
出版者
社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.2207-2216, 2009-12-01
参考文献数
14
被引用文献数
2

無閉路可検査順序回路は実用的にテスト容易な順序回路であり,その一つのクラスとして完全スルー可検査順序回路がある.完全スルー可検査性に基づくテスト容易化設計では,完全スキャン設計に比べて小さい面積オーバヘッドでテスト実行時間の小さいテスト系列を生成できる.本論文では,無閉路可検査性を満たす新たな順序回路のクラスとして,部分スルー可検査順序回路を提案し,部分スルー可検査順序回路に対するテスト生成法,並びに,部分スルー可検査性に基づくテスト容易化設計法を示す.部分スルー可検査性は,完全スルー可検査性のスルー機能に関する十分条件を緩和することで定義され,よって,部分スルー可検査順序回路のクラスは完全スルー可検査順序回路のクラスを真に包含する.実験により,部分スルー可検査性に基づくテスト容易化設計は,完全スルー可検査性に基づくそれに比べて実用的に更なる面積オーバヘッドの削減が可能なだけでなく,テスト実行時間も削減可能であることを示す.
著者
米村 俊一 永徳 真一郎 鎌田 一雄 田邊 勝義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.2000-2010, 2009-11-01
参考文献数
21
被引用文献数
4

本論文では,公共空間での情報保障におけるメディアの適切な使い方を探るための基礎として,鉄道車両内において事故等の列車運行情報を提示するという状況を想定したメッセージ提示実験を行い,ろう者による情報読取りの認知特性,及び,読取りストラテジーを明らかにした.特に,車両内ディスプレイに手話実写映像(JSL)及び日本語テキスト(JT)を組み合わせる二言語提示を対象とし,ろう者に対してJSL,JT,及びJSL+JTによる情報提示を行い,メッセージの読取り時間,メッセージ内容再認テストの正答率によって情報読取りの認知特性を測定するとともに,視線計測を行って情報読取りストラテジーの検証を行った.更に,質問紙調査を実施し,メッセージ提示方法に対する受容性に関する評価を行った.実験の結果,緊急性の高い二言語情報の読取りでは,どのタイプのろう者もJTからの情報読取りを高頻度で行うこと,JSLから情報を読み取るろう者に対してはJTによる補足が必要であること,が明らかとなった.更に,情報受容性の観点から,ろう者はJTによる情報読取りを支持することが明らかとなった.
著者
丸谷 宜史 杉本 吉隆 角所 考 美濃 導彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.2775-2786, 2007-10-01
被引用文献数
12

講義を撮影した映像(講義映像)が遠隔講義や講義アーカイブなどで利用されるようになってきたのに伴い,講義を自動撮影する研究が行われるようになっている.講義映像は講義内容を理解するためのものであるため,自動撮影では適切な撮影対象を選択することが重要である.本研究では,講義内容を理解するために映すべき被写体の組合せを規定する状況を講義状況と定義し,適切な撮影対象をとらえた講義映像を作成するために各時刻での講義状況の認識に取り組む.従来の講義自動撮影の研究では講義状況として講師位置や講師行動を考え,各時刻または決まった時間区間の画像などの観測情報から一意に講義状況を認識してきた.しかしながら本研究で想定するような講義状況では,同じ講義状況でも講師行動や講師位置は様々であるため,従来のような観測情報から講義状況を一意に決定する手法では講義状況を高い精度で認識することが難しい.そこで本研究では講師行動の頻度,講義状況間の遷移確率という統計的性質に着目し,この統計的性質を表現したHMMに基づく講i義状況認識手法を提案する.実験では実際に行われた講義を対象として,提案手法の有効性を確認するとともに,本研究で想定する講義状況に基づいて講義映像を作成し,従来までの講義映像との比較を行う.
著者
工藤 健慈 佐藤 季花 関根 優年
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.101-109, 2008-01-01
被引用文献数
3

ロボット用画像認識システムを容易に実現するために,ハードウェアオブジェクト(hwObject)モデルを用いたhw/sw複合体システムを提案する.hwObjectモデルでは,FPGAにロードされる仮想回路(hwNet)が既存のソフトウェア開発環境にライブラリとして組み込まれる.本研究では,カラー画像によるステレオマッチング及び追跡動作をするアプリケーションの実装を行った.汎用PCx1, hwModuleボードx1 (200kゲート規模のFPGA x3,ローカルメモリ1MByte x3を実装したPCIボード)の実機テストにて,15[frame/s]の画像処理結果が得られた.複数の仮想回路による並列分散処理で浮いたプロセッサリソースを更に高度で複雑な処理に振り向けることが可能である.
著者
永田 亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.1346-1355, 2013-05-01

本論文では,英文における主語と動詞の一致に関する誤りを検出する手法を提案する.提案手法の特徴として,誤り検出の際に必要となる主語と動詞の関係を構文解析を利用せずに抽出するということが挙げられる.構文解析を利用する代わりに,英語の性質に基づいた規則により近似的に主語と動詞の関係を抽出する.その際に必要となるのは品詞解析と句解析のみである.抽出された主語と動詞の侯補に対して検出規則を適用することで一致誤りを検出する.評価実験の結果,提案手法は構文解析を利用した手法より性能が良く,比較的文長が短い学習者の英文に対して特に有効であることを確認した.
著者
青山 正人 楠 卓也 椋木 雅之 浅田 尚紀 米田 洋介 沖川 隆志 浦田 譲治
出版者
社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.139-147, 2010-02-01
被引用文献数
1

従来の脳動脈瘤検出支援に関する研究では,動脈瘤を球状の領域とモデル化し,形状特徴を利用するものがほとんどであったが,実際には様々な形状のものが見られるため,多様な形状の動脈瘤を検出できる手法が必要である.そこで本論文では,脳血管の輝度分布から計算した方向ベクトル情報を用いて,動脈瘤が血管から瘤状に突出した終端をもつという構造特徴を用いた脳動脈瘤の検出手法を提案する.2 mm以上の動脈瘤32個を含む24症例と動脈瘤なし26症例の計50症例に本手法を適用した結果,動脈瘤の検出感度100%のとき症例当りの平均偽陽性数 4.5個,3特徴を用いた線形判別法による偽陽性除去の結果,97%のとき1.5個という結果が得られた.
著者
佐藤 好紀 野田 英行 杉村 武昭 長崎 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.374-383, 2011-01-01
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年,画像認識においてU-SURFのようなスケール不変特徴量抽出アルゴリズムが多く用いられている,U-SURFは,画像認識アプリケーションにとっては非常に有効であるが,実行には画像中に散在する多くの局所領域に対する処理が必要となり,超並列処理時において,処理並列度を高めることは困難である.そこで本研究では,U-SURFの組込み超並列処理プロセッサに対する最適な並列実装手法を提案した.U-SURFの局所特徴量抽出処理を積分画像をベースとして並列化することで,効率的な並列処理アルゴリズムを実現した.提案手法の導入により,MXコア併用時の局所特徴量抽出処理の実行時間は約1710msから約234msへ短縮し,約7.3倍の高速化を実現した.また,汎用RISCプロセッサのみ使用時とMXコア併用時のU-SURF,及びベクトルマッチングの実行時間は,40271msから991msへ短縮し,約40.6倍の高速化を実現した.評価結果より,組込み超並列処理プロセッサを使用したシステムにおける,提案手法の有効性を示した.
著者
平元 綾子 角谷 和俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.257-268, 2007-02-01
参考文献数
22
被引用文献数
3

本研究では,ユーザのオンライン地図に対する操作から意図を抽出し,Web検索を行う方式を提案する.ユーザが意図をもってズームイン,センタリングなどの地図操作を行う場合,ある程度パターンの決まった操作列を検出することが可能であり,その操作を解析することによりユーザの操作意図を抽出することが可能であると考えられる.本論文では,ユーザの意図検出のための基本的な操作列を定義し,その操作列を用いた検索アプリケーションについて述べる.各検索アプリケーションでは,抽出した意図に基づきクエリを生成し,操作意図に合ったWebページを提示する.また,提案した方法に基づき構築したプロトタイプシステムについて述べる.プロトタイプシステムでは,ユーザの地図操作を解析し,定義した操作列との比較を行い,Webページを検索する機能を実装している.更に,定義した操作列,抽出した意図,及び生成されるクエリに対する評価実験と考察について述べる.
著者
石田 憲幸 高崎 俊之 石松 昌展 石田 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.39-46, 2012-01-01

WikipediaはWeb上における有用な百科事典である.しかし,Wikipediaの記事数は言語によって大きく異なり,地域によってWikipediaを活用できる度合にも差が生じている.言語による知識の偏在を是正するために,Wikipedia記事を翻訳する活動がWikimedia財団とボランティアによって行われている.しかし,翻訳の際には,翻訳先言語に適した用語や表現を選択する必要があり,またそのためには,翻訳元言語の記事内容を十分に理解し翻訳を決定するための議論が必要である.この議論は,典型的には翻訳元言語と翻訳先言語を用いた2か国語(一般には多言語)による議論となる.その際,機械翻訳によって多言語の議論を支援することができるが,「翻訳されるべきでない部分まで翻訳される」「メッセージが往復することによって同一箇所が複数回翻訳される」といった問題が発生する.本論文ではそれらを解決する方法として,翻訳を行うべきでない部分の的確な選択と,その部分を説明する翻訳情報を付加するアルゴリズムを提案する.また,このアルゴリズムを実際にWikipediaの掲示板であるLiquidThreadsに実装し,効果の推定を行ったのでその結果を報告する.
著者
大墳 聡 佐々木 信之 長谷川 貞夫 原川 哲美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.100-108, 2010-02-01

小型の振動モータ6個1組を体の任意の部位に装着し,振動によって点字情報を読み取る体表点字の研究を行っている.本論文では,はじめに背中と上肢での振動モータの弁別距離を測定した.その結果,2点で弁別できた距離でも3点では弁別できないことが分かった.そして振動による点字の読取りを考慮したときに背中では12cm,上肢では20cmの間隔が必要であることが分かった.体表点字におけるモータの駆動パラメータは振動継続時間T_m,点字1マス内振動間の休止時間T_s,マス間振動休止時間T_nの3種類がある.本論文では,これらパラメータと点字読取りの関係を明らかにするために,3人の被験者にて背中と上肢でそれぞれのパラメータを変えて単語の読取りの測定を行った.測定から現在の読取りは,1マス0.7〜1.6秒であった.また各振動パラメータの特徴を解析した.そして誤った振動パターンを解析することで,点字マスの真ん中の点に関する振動が誤りやすいことを確認した.
著者
三代 謙仁 川村 隆浩 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.1791-1799, 2011-11-01
参考文献数
19

近年,食や環境への意識の高まりから野菜作りやインテリアグリーンに関心が集まっている.しかし,都市の限られた環境で緑を育てるのは容易ではなく,その環境に適した植物を選択するには専門的な知識が必要ということもあり,不用意に繁茂させたり,逆に枯らしてしまうケースも多い.また,インテリア/エクステリアとしては周辺環境との調和が気になるが,成長時の生い茂った姿を想像するのは素人には難しい.そこで本論文では,携帯電話のセンサを用いて,植裁スペースの環境(日照,温度,気温等)に適した植物を推薦するエージェントシステムの開発について述べる.また,本システムでは,推薦した植物の成長した姿を3DCGで表示するという拡張現実手法を用いて,周辺の景観とマッチするかどうかを視覚的に確認することもできる.これにより,植物や園芸に関する特別な知識がなくとも,環境に適しており,かつ周辺の景観との調和のとれた植物を選ぶことが可能となる.今回の実験では約70%の精度で適した植物を推薦できることを確認できた.
著者
神田 和幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.609-616, 2007-03-01
参考文献数
50
被引用文献数
9

本論文は手話の認知構造とその応用について社会学的,哲学的,言語学的,工学的という多角的な視点から考察した.手話の言語的特性と認知的特性について記述し,手話翻訳,手話認識,手話生成のために必要な情報をまとめた.
著者
國近 秀信 古賀 崇年志 出山 大誌 村上 卓見 平嶋 宗 竹内 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.210-219, 2008-02-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究の目的は,学習者が構成した英文からアニメーションを生成しフィードバックする英作文学習支援システムの実現である.本システムの支援対象は「意図したことが表現できていない誤り」であり,学習者自身に誤りを気づかせるため,誤りをアニメーションにより可視化する.本システムは,原則として学習者が構成した英文の内容をそのまま可視化するが,陽に表現すべき情報が欠落していた場合はそれが顕在化するように可視化する.本論文では,誤りの可視化方法の実現とその評価について述べる.利用者が可視化された誤りに気づくか否かについて調査したところ,ほとんどの誤りに気づくことができ,本手法の有効性が確認された.
著者
大平 健司 宋 中錫 高倉 弘喜 岡部 寿男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.7, pp.1125-1134, 2010-07-01

近年,インターネット上の攻撃活動の対象はマイナーなアプリケーション等に移行しつつあり,ワームやウイルス等によって講じられたバックドアまでもがねらわれる状況となった.それらに関する詳細情報を入手することは非常に困難であり,ゼロデイ攻撃に備えた新たな手法の開発が強く求められている.情報不足は攻撃者側も同様であり,開発初期の攻撃コードによる管理者権限奪取は極めて難しく,攻撃の成否は攻撃対象のシステム設定や状態に依存する.このためインターネット上のランダムに選んだノードによって攻撃コードを試験する事象が多数観測されている.試験段階の攻撃コードを追跡・解析することにより,その完成前に攻撃者の意図(攻撃対象など)を特定できる可能性があり,実現手法の一つとして,ハニーポットと呼ばれる観測装置が注目を集めている.本論文では攻撃状況に応じて待ち受け設定を自動的に変更する観測装置の設計方法を提案する.本装置により従来のセキュリティ機器では十分に解明できなかった攻撃についても解析が可能になる.インターネット上に展開した実験結果から,本装置の長所及び短所,また従来の観測機器と連携する広範囲な攻撃予知システムの構築の可能性について述べる.
著者
石黒 勝彦 山田 武士 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.371-381, 2009-03-01
参考文献数
14
被引用文献数
1

従来の複数対象トラッキング手法は,すべての追跡対象について一つのダイナミックスモデルを適用することが多い.しかし,シーン内に存在するすべての対象が常に同一のダイナミックスに従うとは考えにくい.この問題に対処するためには複数のダイナミックスパターンが必要となるが,シーンの解析前に適切な数のダイナミックスパターンをすべて人手で決定することは困難であり,自動的に学習できることが望ましい.複数のダイナミックスパターンを学習する問題は,時系列データを複数のパターンにクラスタリングし,各クラスタごとに適切なパラメータを推定する問題ととらえることができる.本論文では,複数の移動対象をトラッキングするとともに,同時にそれらをクラスタリングしてダイナミックスモデルを学習する確率的な生成モデルを提案する.人工データ,及び実動画データを用いた実験を通じて,提案モデルがトラッキングとダイナミックスのクラスタリングを同時に実現可能であること,またトラッキング自体の性能も向上することを示した.
著者
川端 聡 日浦 慎作 佐藤 宏介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.2673-2683, 2008-11-01
参考文献数
12
被引用文献数
3

コンピュータビジョンにおいて,画像中の処理対象物体の領域を抽出する手段として背景差分法が広く用いられているが,単純な背景差分法は背景の変化に対応できない.そこで多くの拡張がなされているが,背景物体の動きに再現性がある場合についてはあらかじめ得た背景画像列を固有空間により表現し,入力画像を固有空間に射影することで侵入物体の領域と背景画像とを同時推定する手法が提案されている.ここで侵入物体の領域は,画像修復問題における欠損領域と同様に扱われる.一方,固有空間を用いた欠損画像推定では,カーネルトリックを用いた非線形部分空間を利用する手法が提案されている.ところが,この手法では欠損領域が変化するとカーネル行列を再計算する必要があるため,侵入物体の検出のように,欠損領域が未知である場合には計算量が膨大になるという問題がある.そこで本論文ではカーネルトリックと繰返し投影により背景画像と未知物体領域を高速に同時推定する手法を提案する.
著者
原田 達也 中山 英樹 國吉 康夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.857-869, 2010-06-01

本論文では実世界でユーザの見たものを瞬時に記述・蓄積し,後で言葉を用いて検索可能とするAI Gogglesを提案する.これは,カメラを備えたゴーグル,タブレット型計算機とHead Mount Displayからなるウェアラブルシステムである.本システムは以下の五つの機能を特徴とする. (1)高速かつ高精度な画像アノテーション・リトリーバル機能, (2)画像の大域的な情報から画像に写る対象を推論する機能, (3)安定かつ高速な追加学習機能, (4)常にデータが増え続ける状況に対応可能な機能, (5)意味に基づいた特徴抽出を行える機能.標準的なデータセットを用いた実験では,本手法が精度の面で2008年度の最良手法と同等の性能を示し,計算速度では上回ることを示した.更に,屋内と屋外の双方における実験を実施し,提案システムは統制困難な環境において予測できない認識対象の追加に対応可能であり,安定して動作することを確認した.