著者
櫻井 快勢 河合 直樹 北岡 伸也 小林 秀章
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2015-CVIM-195, no.9, pp.1-6, 2015-01-15

本研究では,食品のおいしそうな印象を意味する 「シズル感」 に注目し,シズル感のある画像の生成法を模索する.まず,画像の印象は,画像中の色の分布に影響することが知られていることから,シズル感も色の分布に依存すると仮定する.シズル感の感度と色の分布を定量的に示す画像統計量を知覚実験にて評価する.結果,仮説は棄却され,感度は画像統計量には依存しないことが明らかになる.次に,光沢が感度に影響する可能性があるため,画像に光沢を付与し,評価する.光沢の付与は,画像に存在する鏡面反射成分を強調することで達成する.結果,光沢を付与できた画像で,シズル感の向上を確認する.全ての知覚実験は,被験者に強制選択法にて 「りんご」 と 「ご飯」,「ステーキ」 の 3 画像群に対して最もシズル感を知覚する画像を選択させる.
著者
吉岡 伸也
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.86-95, 2008 (Released:2008-10-16)
参考文献数
46
被引用文献数
2 2

青いモルフォチョウを代表例とする構造色, その輝きは古くから科学者達の注目を集めてきた。光学顕微鏡で詳しい観察がされた時代の後, 20世紀中頃に電子顕微鏡が開発されると構造色研究は大きく進展した。輝きの背後にある緻密な微細構造が次々と明らかにされたのである。その構造には波長サイズの周期性が見られたため, 光の波としての性質である“干渉”が, 波長選択的な反射に寄与していることが確かになった。しかし, 自然界の構造色は, 微細構造だけで語ることはできない。もっと大きなサイズの形状や色素の併用など, 総合的な発色の工夫を生物は持っているのである。蝶や蛾の鮮やかな翅の発色の仕組みを紹介しながら, 構造色研究の現状と今後の方向性について考えてみたい。
著者
佐々木 一磨 北岡 伸也 小田桐 優理
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.B-MB2_1-8, 2023-09-01 (Released:2023-09-01)
参考文献数
35

Pose generation plays an essential role in computer graphics, such as game character design, and 3D modeling. Rather than inverse Kinematics solvers using deterministic heuristic methods suffering from poor diversity, sample-based methods promise to generate a wider variety of poses satisfying the given constraints. In order to obtain generative models from sample data, Generative Adversarial Networks (GANs) are widely used in many problems including pose generation. However, GANs are known to be suffering from mode collapse which causes the generation of specific patterns. Therefore, we propose a novel generative model for pose generation using Implicit Maximum Likelihood Estimation (IMLE), which is a training method for avoiding mode collapse by adaptive sampling of the input-output pairs. The proposed model accepts not only the latent variable, but also the condition of the pose such as a position of the kinematic model’s joint. We trained the proposed model by the IMLE’s optimization method using the dataset consisting of the pair of the pose condition and the corresponding joint angles. In the experiment of a simulated 3-DoF arm simulation, the proposed model successfully avoided mode collapse, thus better diversity rather than the GAN variants while satisfying the given conditional input. Furthermore, we report that the proposed model performs lower prediction error and higher variance than the GAN variants through the experiments on 30-DoF human pose using CMU Mocap Dataset.
著者
荒谷 太郎 平田 輝満 長田 哲平 花岡 伸也 轟 朝幸 引頭 雄一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_229-I_246, 2013 (Released:2014-12-15)
参考文献数
24
被引用文献数
4

本研究では,東日本大震災直後よりあらゆる主体の航空機が飛来した花巻・山形・福島空港を対象に,救助活動などの重要な拠点となった空港がどう使われたのかを明らかにした.震災直後の空港運用上課題となった航空機の飛来数および駐機スペース不足に焦点をあて,主体別目的別の離着陸状況,駐機状況の変化について分析を行った.さらにそれを補うため各空港の管理者や運航主体へのインタビュー調査を実施し,各空港が如何にして多数の航空機を処理し,災害対応活動を支援したかを明らかにした.その結果,震災直後の空港には通常時の6倍~10倍の航空機が飛来したこと,発災後72時間以内の救助活動,救急搬送が多くなることがわかった.さらにインタビュー調査より,駐機スペースに工夫を凝らしていたことや燃料補給体制の課題などが明らかとなった.
著者
吉岡 伸也 木下 修一
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.619-623, 2009-08-05

タマムシを始めとして,昆虫や鳥など多くの生物が輝きのある鮮やかな色を持っている.これらの色は構造色と呼ばれ,自然界のフォトニック材料とでも呼ぶべき微細な構造体にその起源がある.近年のフォトニクス研究の高まりに呼応するように,生物の構造色は再び注目を集め,微細構造が示す光学特性はもちろんのこと,波長よりもはるかに大きい構造や視覚との対応をも利用した,総合的な発色の仕組みが明らかになりつつある.
著者
木下 修一 吉岡 伸也 藤井 康裕
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.10, pp.493-499, 2002-10-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2
著者
北岡 伸也 北村 喜文 岸野 文郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.432-440, 2009-07-25 (Released:2011-08-25)
参考文献数
13

メトロポリス光輸送法において多重重点的サンプリングを利用した場合に生じる統計的偏りを除く手法を提案する.統計的偏りとは,物理ベースのレンダリングを行った際に,結果画像が,真値より明るすぎたり暗くなりすぎたりしてしまい,正しい結果が得られないことを指している.特定のシーンでのみ顕現化し,従来手法では無視されてきたこの問題を,結果画像のバッファを二つ利用し値を補正することで解決した.
著者
花岡 伸也 稲村 肇 田澤 光治
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1-11, 2000 (Released:2009-04-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

This paper aims to clarify which characteristics influence the number of urban park visitors. The study employs a residual analysis as a heuristic approach, which is a useful approach to choose explanatory variables effectively. In fact these characteristics are difficult to identify among numerous related variables, and a big residual value may involve the significant factor. The results reveal five major factors to have influences on the number of park visitors in concern: 1) population living in park's service distance; 2) volume of tall trees; 3) number of simple amusement equipment/facilities; 4) width of streets facing to a park; and 5) park elevation relative to surrounding road level. In addition, it was found that a block park has a service distance of 250 to 350 meters.
著者
吉岡 伸也
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

フォトニック結晶を利用した構造色を持つチョウやゾウムシを対象に、結晶の配向と光学特性の関係を調べた。特にチョウの一種(マエモンジャコウアゲハ)については、単一鱗粉内の特定の結晶ドメインにおいて詳しい研究を行った。その結果、直交偏光配置では、入射する偏光の方向と結晶方位との関係により反射の強度が大きく変化することを明らかにした。また、表面構造の観察から得られた結晶配向を仮定した理論計算を行い、多結晶に分かれたフォトニック結晶構造が直交偏光配置で観察される鱗片のステンドグラス状の模様を生み出していることを明らかにした。
著者
吉岡 伸也
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

鳥の羽根の構造性発色の物理機構を調べるため、ドバトやクジャクなどの数種類の鳥を対象にして、羽根内部の微細構造の観察と光学特性の評価を行った。特にドバトの首の羽根においては、羽根の構成要素である羽枝や小羽枝の構造とその光学的な特徴を明らかにし、異なるサイズの構造が総合的に生み出す発色機構を解明した。また、反射スペクトルの形状と色覚とが対応することで、独特な視覚効果が得られていることが分った。
著者
櫻井 快勢 河合 直樹 北岡 伸也 小林 秀章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CVIM, [コンピュータビジョンとイメージメディア] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.9, pp.1-6, 2015-01-15

本研究では,食品のおいしそうな印象を意味する 「シズル感」 に注目し,シズル感のある画像の生成法を模索する.まず,画像の印象は,画像中の色の分布に影響することが知られていることから,シズル感も色の分布に依存すると仮定する.シズル感の感度と色の分布を定量的に示す画像統計量を知覚実験にて評価する.結果,仮説は棄却され,感度は画像統計量には依存しないことが明らかになる.次に,光沢が感度に影響する可能性があるため,画像に光沢を付与し,評価する.光沢の付与は,画像に存在する鏡面反射成分を強調することで達成する.結果,光沢を付与できた画像で,シズル感の向上を確認する.全ての知覚実験は,被験者に強制選択法にて 「りんご」 と 「ご飯」,「ステーキ」 の 3 画像群に対して最もシズル感を知覚する画像を選択させる.
著者
岡 伸也 Ooi Chia Yee 市原 英行 井上 智生 藤原 秀雄
出版者
社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.2207-2216, 2009-12-01
参考文献数
14
被引用文献数
2

無閉路可検査順序回路は実用的にテスト容易な順序回路であり,その一つのクラスとして完全スルー可検査順序回路がある.完全スルー可検査性に基づくテスト容易化設計では,完全スキャン設計に比べて小さい面積オーバヘッドでテスト実行時間の小さいテスト系列を生成できる.本論文では,無閉路可検査性を満たす新たな順序回路のクラスとして,部分スルー可検査順序回路を提案し,部分スルー可検査順序回路に対するテスト生成法,並びに,部分スルー可検査性に基づくテスト容易化設計法を示す.部分スルー可検査性は,完全スルー可検査性のスルー機能に関する十分条件を緩和することで定義され,よって,部分スルー可検査順序回路のクラスは完全スルー可検査順序回路のクラスを真に包含する.実験により,部分スルー可検査性に基づくテスト容易化設計は,完全スルー可検査性に基づくそれに比べて実用的に更なる面積オーバヘッドの削減が可能なだけでなく,テスト実行時間も削減可能であることを示す.
著者
吉岡 伸也
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR COMPARATIVE PHYSIOLOGY AND BIOCHEMISTRY
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.86-95, 2008-08-20
被引用文献数
2

青いモルフォチョウを代表例とする構造色, その輝きは古くから科学者達の注目を集めてきた。光学顕微鏡で詳しい観察がされた時代の後, 20世紀中頃に電子顕微鏡が開発されると構造色研究は大きく進展した。輝きの背後にある緻密な微細構造が次々と明らかにされたのである。その構造には波長サイズの周期性が見られたため, 光の波としての性質である"干渉"が, 波長選択的な反射に寄与していることが確かになった。しかし, 自然界の構造色は, 微細構造だけで語ることはできない。もっと大きなサイズの形状や色素の併用など, 総合的な発色の工夫を生物は持っているのである。蝶や蛾の鮮やかな翅の発色の仕組みを紹介しながら, 構造色研究の現状と今後の方向性について考えてみたい。
著者
木下 修一 吉岡 伸也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

構造色は、自然界の巧みなナノ構造と光との複雑な相互作用の結果生じる発色現象である。これまで、モルフォチョウをはじめとした多くの生物の構造色が調べられてきたが、この現象を物理学的な見地から検討することは稀であった。今回は、電子顕微鏡を用いた構造決定、光学特性の測定、物理モデルの構築、電磁場シミュレーションの方法を行い、光とナノ構造間のフォトニクス相互作用、発色と視覚・認知との関係の一端を明らかにすることができた。