著者
神田 和幸
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌. Suppl. (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.277-278, 2004-07-01
被引用文献数
1

Sign languages are visual language and their grammatical phenomena are often represented in space. The prosodic elements in sign languages named Non-Manual Signals such as facial expressions, postures or other body movements behave as those prosodies in vocal languages. The learners of sign language in general believe that a hand-shape takes the most important role in sign language. This paper proves it is not true and that NMS is a crucial element of communication in sign language. In our experiment, a hand-shape is fixed as a fist, so called 'Doraemon hand'. It is observed that signing by a fist hand shape is still communicable, and in stead other elements are replaced or emphasized.
著者
木村 勉 神田 和幸 田中 久弥
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.61, pp.79-82, 2007-05-17

画像認識型の弱点である情報の爆発を押さえ,手話入力装置として情報の爆発を抑えるモールディングによる手話の動作認識ができる装置の開発を提案する.まず,手話の動作学的解析から始め,手話の音韻表記辞書から動きをパターン化,基本パターンを持つ語彙を選択し,それらの語彙の入力・出力の予備実験を行う.
著者
寺内 美奈 藤森 憲男 神田 和幸 長嶋 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.94, no.102, pp.69-74, 1994-06-18
被引用文献数
3

近年,聴覚障害者の情報伝達手段の一つである手話への関心が高まり,手話の習得を志す人々が年々増加している.一般的に手話を学習する方法として,手話講習会や手話サークルへの参加,TV講座や手話の本の利用などがある.我々は手話を学習するための補助手段として,パーソナルコンピュータによる手話学習システムの構築を目指している.本報告では,手話学習システムを構築するにあたり,従来の手話の学習方法について調査し,本システムにおける学習日標を明確化する.また,手話を学習する上で重要である手話調動を習得するための一機能として,以前我々が報告した液晶シャッターを用いる3D手話アニメーションを採用することについて検討する.さらに,その立体視によるアニメーションでの学習効果を確認するため,初期実験として,3Dアニメーションによる表示された手話語彙について,聴覚障害者を含む20名の被験者により評価実験を行ったので,その結果についても報告する.
著者
神田 和幸
出版者
特定非営利活動法人 手話技能検定協会
雑誌
手話コミュニケーション研究会論文集 (ISSN:27583910)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.48-56, 2019-05-01 (Released:2023-05-09)

手話の言語学的研究が始まって70年以上になる。鼻祖ストーキーの枠組みはアメリカ構造言語学であり、言語相対論に基づく「手話には独自の構造がある」というものであった。その後のアメリカ手話学者は当時流行のチョムスキーによる言語普遍論による枠組みへとパラダイムをシフトした。そのため「手話の音素」という一見、奇妙な概念を設定し、人間の言語の普遍性を強調する一方、音素の中身は音声言語とはまったく異なる構造を設定するという矛盾の中で、音韻論を構築し、統語論を展開しようとしたが、うまくいかなかった。その背景には手話学者の多くが民族主義的な政治思想をもっており、手話が聾者の言語であるという教条から抜け出ることができないまま、科学的な分析技術を拒否し、チョムスキー言語学のいう母語話者の直観にのみ証拠を求める、という思弁的な方法論に終始してきた。本論では言語学のパラダイムの歴史的変化を言語普遍論と言語相対論という対比で考察した。これは哲学的方法論として、演繹的方法論と帰納的方法論に換言できるかもしれない。トマセロの理論は方法論的には帰納法が中心だが、広範囲な諸文献の考察により演繹論も採用している。折衷的という批判もできるが、バランスをとっているという肯定的な見方もできる。あとは実際的な言語処理技術が手話学に応用できるかどうか、というべ実用的な基準もありうるので、別稿においてトマセロの議論の歴史的変化も追いながら考察してみたいと考えている。
著者
神田 和幸 木村 勉
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

聾者の言語である手話は学校教育が始まる以前から存在した。手話の歴史は聾者の歴史と同じ長さである。現在から手話の源流を探るには未就学聾者の手話を採集し研究するしかないが、離島や僻地などに人知れず居住し高齢化により絶滅に近い状態にある。未就学聾者の手話は数手話、色名手話、親族名称がないなどの特徴があり、指さしが多いのが特徴的である。一方、生活に密着した語彙は現代の手話よりも描写力があることがわかった。個人方言性が強いが共通性もみられる。
著者
高梨 克也 坊農 真弓 原田 なをみ 高梨 克也 堀内 靖雄 片桐 恭弘 神田 和幸 細馬 宏通 原田 なをみ 堀内 靖雄 神田 和幸 細馬 宏通 坊農 真弓 城 綾実
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

対面コミュニケーションの基本的単位である「発話」の構造について, 実際に収録されたデータを用いて分析した. 「発話」は言語だけでなく, ジェスチャーや視線などの非言語表現も含んだマルチモーダルな複合体である. そのため, 本研究では, 聴覚モダリティを用いる音声言語と視覚モダリティによる手話を比較し, 各モダリティの特徴を解明した. また, 言語の文法構造がコミュニケーションのやり取りを形成する際にどのように利用されるかを解明した.
著者
高橋 小百合 木村 勉 神田 和幸 森本 一成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.58, pp.25-28, 2011-05-13

本研究では,携帯情報端末使用して,手軽に情報保障が得られるシステムを構築した.例えば博物館などでは,展示物解説は書記日本語や音声によるものが中心である.聴覚障がい者にとっては,音声による解説は聞くことができない.また,多くの聴覚障がい者は,手話が第一言語であるので,書記日本語による解説も不十分である.これを解決するために,携帯情報端末の動画配信機能を用いた手話による情報保障システムを構築する.GPS機能を用いて携帯情報端末の現在位置情報を取得する.この情報をもとに現在位置周辺の展示物を画面上に表示させ,それらから選択することで展示物に対応する手話動画を再生する仕組みである.さらに本研究では,公共施設を用いて,評価実験を行った.
著者
神田 和幸 原 大介 木村 勉 片岡 由美子
出版者
中京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

平成16年度:国内外の公的広報資料収集と統計資料整理、既成資料の調査、各種施設調査を実施。平成17年度:協力要請及び調査打ち合わせをした下記各機関の協力により調査を実施し、各資料を統合的に分析し、提言作成の基礎資料をえた。研究協力機関1. 特定非営利活動法人 手話技能検定協会本部、名古屋支部、大阪支部2. 名古屋身体障害者福祉連合会、名古屋身体障害者情報文化センター3. 名古屋聴覚言語障害者協会調査内容(主として面談調査)1. 現在の福祉・情報サービスへの不満2. 望まれる支援機器、支援システム、支援制度また実験調査遠隔通信による手話通訳サービスの実験を行った。平成18年度:前年度の聴覚障害者側のニード調査に対しサービス側はそれらをどのように受けとめているかを調査した。全国の上場非上場企業8,000社に郵便アンケートのよる企業側の意識を調査した結果、回収率は7%、578社から回答を得た。結果分析概要は(1)障害者雇用促進法の存在は90%が知っていた、実際に聴覚障害者を雇用している企業28%。今後の雇用予定もない企業がほとんどである。社員として雇用していないので、対策も何も採られていない。顧客としての聴覚障害者についても、ほとんど認識がない。客とのトラブルが何もないという回答が93%、聴覚障害者側のニードと大きな差があり、障害者側が一方的に我慢している実態がわかった。緊急時の対応も何もなされておらず、対策もとられていない。これは事故などにおける聴覚障害者の罹災率が高いことが世間に認識されておらず、緊急に改善を要する事柄である。聴覚障害者のニード調査で救急車やパトカーの音の区別ができる装置の希望が多かったが、こうした具体的な機器開発は当該研究グループ(聴覚班)内の会合で情報を交換しており、医療現場でのディスプレイの研究として発表され、また緊急音識別装置への研究へとつながった。
著者
神田 和幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.609-616, 2007-03-01
参考文献数
50
被引用文献数
9

本論文は手話の認知構造とその応用について社会学的,哲学的,言語学的,工学的という多角的な視点から考察した.手話の言語的特性と認知的特性について記述し,手話翻訳,手話認識,手話生成のために必要な情報をまとめた.
著者
長嶋 祐二 市川 熹 神田 和幸 原 大介
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,手話の非手指信号の言語学的機能やコミュニケーションのための認知機能を解明し,その結果を手話画像の符号化,アニメーション生成などに適用することである.本研究では,下記の主な項目について成果を得た.1.認知的機構の解析では,事象関連電位N400計測に基づいた意味処理過程解析の検討を行った.その結果,手話・文字による意味的逸脱単語でN400が観察され電位は文字刺激で大きいことがわかり,呈示モダリティによって処理過程の違いを示した.対視線データの計測では,視線の停留と習熟度との相関を示し,理解度が上がれば顔への停留率が向上する結果を得た.2.解析支援システムでは,電子タグ付けならびに,磁気センサーからの3次元データを描画するシステムの構築を行った.この支援システムにより,映像と生理データを同期して解析することが可能となり,解析時間の効率化が図れた.3.記述・解析部では,手話の階層的形態素NVSモデルの非手指信号の記述機能の強化を行なった.4.対話モデルの解析では,抑制-非抑制手話を解析し,抑制部位の調動が表出可能な身体動作へ変形するメカニズムの存在が示唆された.また,手話の遅延検知限は100〜200msであることを明らかにした.音声会話と比較して,手話は遅延に関して寛容であることを示した.5.画像符号化では,さまざまなサイズの手話映像の評価から読み取りには,空間解像度より画像のフレームレートが重要であることがわかった.上記の成果を基に手話動画像符号化として新しいAdapSync符号化を提案した.本研究を通して得られた成果は,国際会議をはじめ電子情報通信学会論文誌・学会誌,ヒューマンインタフェース学会論文誌・学会誌などに掲載あるいは掲載予定である.尚,本研究の成果をうけ、手話の対話解析を通し脳科学的な認知科学的側面からの理解機構解明の作業を続行している。