著者
戸田 英雄 小野 令美
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.655-663, 1982-08-05

Rabinowitzの提出した数値積分についての難問を紹介する. この問題は普通の数値積分公式では, IMT公式を除けば8桁だすのはまず無理であろう. 積分区間の端点に特異性のある積分のための高橋・森の数値積分公式(DE公式)を用いた所, 全く機械的に答が求められた. この難問も含めて各種の例題を中心にしてDE公式の紹介をする. なお使用に際して, 有限桁で計算するために起こる誤差の防止等, 数値計算上の注意も述べる.
著者
吉澤 能政
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.36, no.12, pp.870-876, 1981-12-05

低温は, 流体力学の分野でも有用な実験手段を提供することが明らかとなり, 低温にした風洞が作られ始めている. 気体の範囲で低温であるほど都合がよいので, 10K程度のヘリウム風洞が作れると, 理想的な風洞ができることになる. 現実には経費も含めて多くの制約があり, 窒素ガスによる低温風洞で妥協せざるを得ないが, それでも高圧化を併用することにより, マッハ数とレイノルズ数の可変範囲が大幅に拡大し, 力学的相似則をみたした模型実験が可能になろうとしている. ここでは低温高レイノルズ数風洞の必要性, 原理, 特色などを, 国際的な動向も含めて, わかり易く説明した.
著者
中村 健蔵
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.720-721, 2004-10-05
著者
宮本 雲平
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.610-614, 2011-08-05
被引用文献数
1

真空中に存在できる4次元ブラックホールは種類も限られ,比較的単純な構造を持つ.しかし,ひとたび高次元時空を考えると真空でも様々なブラックホールが存在し,多様な現象が起こる.例えば,高次元では球以外にも円筒・平板・トーラスといった形状を持つブラックホールが存在し,それらの間で不安定性を引き金とした「相転移」さえ起こる.そのような動的過程は非線形性の強い複雑な現象と予想されるが,近年発見された「流体・重力対応」を用いれば平易な流体力学として記述できるという.本稿では,一般相対論・流体力学の基礎までさかのぼり,流体・重力対応のエッセンスと高次元ブラックホール研究への応用を紹介する.
著者
佐藤 哲也
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.79-85, 2003-02-05
参考文献数
1
被引用文献数
3

地球シミュレータの第一義的使命は,地球環境変動(地球温暖化,エルニーニョ,台風,地殻変動)のメカニズムを深く理解し,その変動を的確に予測することを可能にするシミュレーション基盤を固めることにある.しかしながら,その性能は予想をはるかに上回るものであり,単に従来のシミュレーションの解像度,精度を上げるという定量的な貢献と同時に,システムを部分(要素)に分解し,システムから切り離し,その部分のメカニズムを解明するという従来のシミュレーションから脱皮飛躍し,ミクロからマクロまでのプロセスが複雑に絡み合っておりなすシステム全体の営みを,ありのまま探求する"ホリスティック"コンセプトを打ち立てる研究手段としての使命を担っている.