著者
筧 一彦 広瀬 友紀 渡邊 眞澄 近藤 公久
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

人間の文理解過程において先行する文脈情報による予測が、後続する文の理解過程に与える影響及び文中の動詞特性の影響について検討した。実験の手法として、眼球運動測定装置によるVWP(VisualWorldParadigm)法や文完成課題などを用いた。刺激文として統語的構造に多義性を持つ文、語省略のある文、意味不整合語を含む文を使用した。その結果、先行情報の内容と後続の文処理との関係が種々明らかとなった。
著者
尾入 正哲 岸田 孝弥 向井 希宏
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

高齢者の交通モビリティを高めるために、高齢ドライバーの運転実態の分析、ナビゲーション時の方向感覚の検討、新たな交通安全教育の開発といった複数の観点から研究を行った。高齢ドライバーや高齢自転車運転者については、一時停止や確認行動を促進する工夫が必要であることが示された。またグループワークの手法を用いた交通安全教育が高齢者にとって有効であることが確認された。
著者
野口 典子
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

東アジア包摂型福祉社会開発にむけてのソーシャルケアワークの実践方法と福祉専門職養成、とくに都市部の高齢者に生起している新たな「孤立」問題を追究する。地域(メゾレベル)で問題を共有化し、高齢者自身のエンパワーメントを軸に、地域の諸活動との連携を通じ、ニーズ発見システム、福祉専門職との協働によるソーシャルケアワーク実践の開発を意図している。
著者
近藤 健児 藪内 繁己
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究課題の一つのまとめとして、近藤と藪内の共同研究では、環境汚染を引き起こす工業材生産部門に汚染抑制装置を提供する産業部門が存在するという拡張された小国CopelandandTaylorモデルに、都市部門の最低賃金と失業を導入し、環境税や賃金政策、外国人労働の受け入れなどの経済効果について分析を行った。とりわけ労働受け入れは、一定の条件のもとでは、環境問題、失業問題、国内の経済厚生いずれにも好影響をもたらしうるという注目すべき結論が得られた。この共同研究はJournalofInternationalTradeandEconomicDevelopment(2012)に掲載された。
著者
渋谷 努
出版者
中京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では日本、イギリス、フランス、モロッコに住むイスラームマイノリティの生活とグローバルなネットワークについて現地調査によりデータを収集した。今回の研究で得られたデータは宗教的少数派のグローバルなネットワークを理解するための基礎的なものであるとともに、彼らの宗教的マイノリティであるため生じる生活戦略を一般的な理論を考察するためにも重要な寄与をすることが出来ると考える。
著者
白井 英俊 白井 賢一郎 有田 節子
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

日本語の談話を主たる題材として、談話理解、特に対話における情報のやりとりに関する理論を構築することと、計算機と人間との対話のモデルの構築を目的とした。理論的な枠組はSDRT理論(分節談話表示理論)のアイデアに基づきながら、言語学的な理論研究と、計算言語学的な応用研究の両面からアプローチした。日本語に特化してSDRT理論の提唱する談話関係を拡充し、談話構造の記述の可能性を明らかにした。ツィッターのような短い談話には特に有効であることが示唆された。
著者
岡本 祥浩
出版者
中京大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

1998年度に入り全国的にホームレスの数が倍増した。名古屋市においても夜回り支援グループが把握している人数が500〜600人から800〜900人と1.5倍以上に増大している。ホームレスの増大要因としてバブル経済崩壊以降のいわゆる平成大不況が考えられる。第一に通常建設日雇い労働などに就いていた日雇労働者の就労率が極端に下がっていることが指摘できる。この原因は、建設不況による件数の減少、コスト削減による低労働賃金を求めることによる外国人労働者やアルバイト労働の増加、従来の日雇い建設労働者の高齢化などが考えられる。第二に従来の寄せ場を経由していた日雇い労働者以外の労働者などのホームレス化が指摘できる。この原因は、住宅ローンをはじめ多くの債務を抱えている者が、不況によって労働賃金の上昇がみられないため債務を履行できずホームレス化する場合、雇用形態が終身雇用から派遣労働など短期間の雇用に変化しているが、そうした人々が不況期の労働力の調整に充当され、就労の場を奪われる場合が考えられる。発展途上国ではホームレス状態の人々が一般化できる数を占めている。欧米ではホームレスの多くを発展途上国からの労働者が占めている。日本のホームレスは、比較的均一な集団におけるマイノリティに位置付けられ、そのことによる差別化が行われている。しかし、前述しているようにホームレスの属性は多様であり、単一視することはできない。名古屋市のホームレスに関するヒアリング調査によって地区による属性の違いが明確である。すなわち当該地域に長く居住している者と他地域から流入した者、自炊できる者と支援団体の炊き出しでしか食事を摂れない者、ホームレス歴の長い者と短い者などである。いずれにしてもホームレスは看過できない状態であることに変わりはない。
著者
ダナヒュー レイ T
出版者
中京大学
雑誌
国際英語学部紀要 (ISSN:13480162)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.3-18, 2002-11-30

After decades of study, the author explains why contrastive rhetoric (CR) appears to have tenuous roots and the necessity for critical cultural analysis. The once vaunted "empirical" evidence from Japanese, a major basis for CR, appears methodologically unsound. CR, however, has been routinely accepted uncritically by scores of second language instructors, not to mention researchers in the field. Bold words to be sure, but until CR's house is put into order, the field will be left banking on hopes rather than solid empirical evidence expected of any social science. In this "Back to the Future" or nether land condition, practitioners are cast without a compass and so may more easily succumb to ethnocentric impulse. Rather than a strong form of CR, the author argues that a weak form would be more pragmatic. Various examples show why. Suggestions for future research are provided.
著者
中條 秀治
出版者
中京大学
雑誌
中京経営研究 (ISSN:09199209)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.A6-A8, 1999-09
著者
三浦 克己
出版者
中京大学
雑誌
中京大学教養論叢 (ISSN:02867982)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.61-71, 1966-12-05

1) Stone-Blundell のクロマトグラフィーに対し, 〓紙片の酸塩前処理を考案して改良法を作出した。2) マダケリグニンは若竹程p-ヒドロキシフェニル系の第1次リグニン構成単位がグアヤシル系及びシリンギル系のものより相対的に多量含まれている。3) マダケ成竹粉に常圧下の沸点 (102°) で硫酸塩法蒸煮液を作用させると, グアヤシル系及びシリンギル系のリグニン単位に比べて, p-ヒドロキシフェニル系の単位は容易に溶出するか, もしくはニトロベンゼン酸化によってp-ヒドロキシベンズアルデヒドを生成し得ない物質に変化すると考えられる。4) マダケ, バガス及び稲藁の粉末を120°で30分間, 中性亜硫酸塩蒸煮すると第1次リグニン構成単位の溶出傾向はほぼp-ヒドロキシフェニル系>グアヤシル系>シリンギル系の順位となった。尚本研究の一部は1956年11月12日, 第1回りグニン化学討論会に於て発表した。最後にシリングアルデヒドの標品を分譲賜った大阪大学工学部八浜研究室岡部先生, 並びに本研究の指導を賜った大阪府立大学大野教授, 五十野助教授に深く謝意を表するものである。
著者
ゴットホルト・ボーネ 庭山 英雄 田中 嘉之
出版者
中京大学
雑誌
中亰法學 (ISSN:02862654)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.A30-A61, 1979-07-10
著者
木村 泉
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

「練習の巾乗法則」は広く知られ信じられているが、実験データに当てはめてみると、案外よく合わないことが多い。この法則の基本形は「両対数方眼紙の横軸に練習回数を、縦軸に毎回の作業時間を取ってグラフを描けば直線になる」というものであるが、その「直線」というところに留保がつく。直線的であるはずのグラフが両端ではしばしば平坦になっているように見える。Seibel(1964)およびNewell & Rosenbloom(1981)は、その平坦化の成因を「初期学習」および「人の能力の限界」に求めている。そのような留保がつくことは、法則の予測能力をそぐとともに、背後のメカニズムを読み取ることへの障害になっている。「なぜそうなのか」という疑問から出発して、報告者は過去7年半にわたり、主として折り紙(実験参加者延べ13名、ほかにあやとり、組木パズル)を題材とする長期的練習実験を実施してきた。その結果今回の補助金受給期間(平成12〜14年度)においては次のことが判明した。1.得た練習曲線はいずれも実験参加者に、好調と不調の波として認識される波動を含む。従来の「初期学習」および「人の能力の限界」に基づく当てはめは、波動の両端を平坦化部分と誤認した可能性がある。2.過去の研究が主にデータの平均的推移を論じていたのを改め、画期的新記録(一定の定義のもとに「見晴らし台」と呼ぶ)の推移に着目した。従来方式の当てはめがとかくデータの一部に過敏に反応して不安定に変化し、信頼しがたい結果を生じていたのに対し、この方法によれば常に個々の実験データの特徴をよく反映した要約データが得られる。3.練習曲線上で、各試行の所要時間が、見晴らし台をつなぐ線(見晴らし線)の何倍に当たる高さにあるかを調べ、その倍数をグラフに描くと、顕著で規則的な波動が現われる。この波動は、参加者に共通の「好・不調」のパターンを示している可能性がある。