著者
森貞 真太郎 村西 健嗣 新戸 浩幸 東谷 公
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.295-300, 2005 (Released:2005-10-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

平均力ポテンシャルに基づく陰溶媒モデルを用いた分子動力学シミュレーションにより,0.1 Mおよび0.001 MのNaCl水溶液中における帯電コロイド粒子間の相互作用力を算出した.また,Poisson–Boltzmann方程式に基づく粒子間力の理論計算を適切な近似を用いて行った.その結果,粒子間力のシミュレーション結果は理論計算結果と一致し,我々の陰溶媒モデルを用いたシミュレーションは電解質水溶液中における粒子間力を適切に表現できることが示された.さらに,理論的には取り扱いが困難な,コロイド粒子の接近に伴う電気二重層の重なりの様子を可視化することにも成功した.
著者
小島 和夫 加藤 昌弘
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.769-775,a1, 1969-08-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
28
被引用文献数
12 12

加圧下および減圧下における沸点曲線にもとづく2成分系気液平衡の決定を検討するために, 新らたに加圧用, 減圧用沸点測定装置を作製した.装置の信頼性を確かめるために, まずメタノールとエタノールの蒸気圧を測定した.次にメタノール~水系およびエタノール~水系について13.6atm以下190mmHgの間で沸点曲線を測定した.実測した沸点曲線にもとづいて気液平衡の決定を行ない, 既往の測定値と良好に一致することを確かめた.
著者
加藤 禎人 小畑 あずさ 加藤 知帆 古川 陽輝 多田 豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.139-143, 2012-05-20 (Released:2012-05-20)
参考文献数
7
被引用文献数
10 16

日本の撹拌機メーカーによって開発された多目的に使用可能な種々の大型2枚パドル翼について,撹拌所要動力を測定し動力相関を試みた.その結果,亀井・平岡らの相関式の係数を若干変更するのみで,検討したすべての大型翼の動力が,同一の式を用いて相関された.
著者
松田 晃 宗像 健 吉丸 拓司 久原 哲滋 渕 博司
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.119-122, 1980-03-10 (Released:2009-10-21)
参考文献数
7
被引用文献数
6 15

重量分率0.45~0.60の臭化リチウム(LiBr)水溶液の蒸気圧を0~70℃の温度範囲で測定した.50~5mmHg(6,670~667Pa)の高い圧力では通常用いられる蒸発器と凝縮器からなる装置を用い, 20~0.5mmHg(2,670~67Pa)の低い圧力では液と蒸気が平衡にある状態で測定する新しい装置を製作して用いた.測定値を相関する実験式を非線形最小2乗法で求め, 文献値と比較して本実験式の信頼性を確かめた.なお, 防食剤などの入れられた工業用LiBr水溶液の蒸気圧も測定したが, 実験式と一致した.
著者
宗 重雄
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.834-841, 1969-09-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
30
著者
林 信也
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.862-866, 1969-09-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
4
著者
鴨田 稔
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.33, no.9, pp.828-833, 1969-09-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
34
著者
森 重之 長田 純夫 迫口 明浩 上岡 龍一
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.1313-1317, 1996-11-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
1

べつ甲細工は日本の伝統工芸のひとつであり, べっ甲の原料はタイマイである.しかし, タイマイの輸入禁止により, べっ甲業界は存亡の危機にたたされている.そこで, 従来のペっ甲細工技術を活かせるべっ甲の代替材料として牛角に着目し, 牛角を利用した新材料の開発を検討した.本研究で得られた顕著な成果は次のとおりである.a) 牛角を過酸化水素 (H2O2) で化学的に処理し, べっ甲と同様なあめ色に改質する技術を確立した.さらに, b) 牛角粉末とべっ甲粉末を適切な割合で混合し, 110-120℃の温度範囲で成形することによって, べっ甲に類似した新材料を開発した.
著者
奥村 弘一 菅 健一
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.147-154, 1985-03-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

グルコアミラーゼによるアミロペクチン分解反応に対する反応機構を検討し, 定式化した.アミロペクチンの構造分析の結果より, 房状モデルに基づいた簡単なモデル構造を決定した.また, グルコアミラーゼによるアミロペクチンの非還元末端からのexo型分解反応に対して, 分岐点の分解パターンを考慮に入れたMichaelis-Menten型の反応機構を考えた.上述の簡単なモデル基質構造および反応機構から, グルコアミラーゼによるアミロペクチン分解反応に対する反応速度式を得た.反応速度式中の速度パラメータ(Michaelis定数Km,iおよび分子活性k0,1)はアミロースの分解反応に対して得られた結果に基づいて実験式により定式化した.グルコアミラーゼによるアミロペクチン分解反応における反応率および分岐結合(α-1,6結合)濃度の経時変化に対して, 前述の反応速度式による計算結果は実験結果とかなり良く一致した.
著者
水科 篤郎 伊藤 竜象 片岡 邦夫 中嶋 義弘 福田 昭博
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.1116-1121,a1, 1971-10-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
6
被引用文献数
3 5

3次元的なテイラー渦運動に追従する微粒子の飛跡をストロボ光により互いに垂直な2方向から同時撮影する。1対のストロボ飛跡写真より渦の歪みおよびテイラー渦流の速度分布を解析できる。広い間隙幅に, 変動量に関する運動方程式とStuartのエネルギー式を適用し, テイラー渦流の速度 (基波) の理論解を得る。その結果, 実験と理論は基波のみが重要であるテイラー数範囲においてよく一致する。
著者
名久井 恒司 能村 貴宏 秋山 友宏
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.63-73, 2017-01-20 (Released:2017-01-20)
参考文献数
29
被引用文献数
2

本研究では国家プロジェクト等で開発中の水素エネルギーシステムに用いられる水素キャリアをエクセルギーにより評価する方法を提示した.水素のエネルギーキャリアとしての効率を示すために,水素長距離輸送の代表的キャリア3種(有機ケミカルハイドライド,アンモニアおよび液体水素)にその評価方法を適用し,試算した.さらに日本国内で配送する段階での形態である圧縮水素のエクセルギー損失についても考察した.これらを基にキャリアごとに,プロセスでのエクセルギー損失を水素の燃料としての化学エクセルギーに対する比で表し,類型ごとに評価した.いずれの形態でも現状技術では変換および長距離輸送の過程で水素の化学エクセルギーの約40–50%に相当するエクセルギーが失われる.さらに配送・充填の段階での損失が約17%あるので,現状の技術ではシステム全体で約半分以上のエクセルギーが失われることが判明した.プロセスから放出される未利用のエクセルギーを回収・利用により10–30%超の効率改善の可能性があり,今後水素を主要なエネルギーキャリアとするためにはその方法を実現する技術の開発が必要である.