著者
井上 和久 原 和彦 丸岡 弘 河原崎 崇雄 菅原 壮平 望月 あおい 中村 岳雪
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.28-33, 2013 (Released:2013-06-30)
参考文献数
12

[目的]昨今,国内国外において家庭用ゲーム機器であるWiiを使用した研究報告がある。筆者らもこれまでWii Fit(毎日の健康管理をサポートするソフト)を使用しバランストレーニングの効果について検討してきた。今回,病院・施設の方にご協力をいただき,患者・利用者を対象としてどのようなトレーニング効果が得られるかについて検証することを目的とした。[方法]今回,バーチャル機器の一つであるWii Fit Plus(Wii Fit同様,毎日の健康管理をサポートするソフトで,トレーニングの種類が増えたソフト)を使用し,患者・利用者を対象に運動効果および運動習慣について検討した。[結果]効果について,バランス機能の向上は認められなかったが,基礎代謝・柔軟性などについて有意な増加が認められた。質問紙調査結果からは今後も運動を実施したいという回答が87.5%あった。[結論]患者・利用者の方を対象とする場合はリスク管理について事前に検討し実施しなければならないことが今回の研究から明確となり,今後Wii Fit Plusの様々なトレーニング方法についてマニュアルなどの必要性があると考えられた。
著者
星 文彦
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.2-6, 2009 (Released:2009-03-12)
参考文献数
7

1.体幹機能の発達を体幹の抗重力性・支持性・運動性という観点から考察した。2.姿勢や起居移動動作,座位,立位の発達過程に見られる体幹機能の必要性について記述した。3.臥位や座位,立位等各姿勢における運動行動の確立は各姿勢おける体幹機能として抗重力性・支持性・運動性が組織化される必要がある。4.起居移動動作の改善も目的とした理学療法の目標設定や治療技術の選択には体幹機能の発達に関する理解が重要である。
著者
小池 友和 藤谷 順子 西垣 有希子 安藤 武 關口 相和子 山下 祥平 川村 和也 藤江 正克
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.36-39, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
8

呼吸リハビリテーションにおいては胸郭可動域を改善させることによる換気量の増大が期待されている。胸郭拡張差と肺活量の関係は諸家により検討されているが,胸郭拡張差と一回換気量に関しての報告は少ない。今回我々は,胸郭計測システムを用いて胸郭可動域と深呼吸時の換気量の関係について検討した。胸郭拡張差と最大吸気量には相関が認められ,胸郭拡張差1 cmにあたり剣状突起高では男性約168.8 ml,女性約458.9 ml換気量が増えており,第10肋骨高では男性約229.0 ml,女性では約326.0 ml換気量が増えていた。性差等を考慮する必要があるものの胸郭の可動域の改善が換気量の増大につながることがわかった。
著者
矢作 賢史 圷 誠斗 矢作 翔平 吉野 恭平 久高 正嗣 福田 佳男 藤井 基晴
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.102-105, 2017

【はじめに】手指屈曲時において浅指・深指屈筋腱の逆転現象を呈した弾発指症例を経験した。本症例に対し運動療法を実施し,弾発現象の改善を得た。弾発現象の発生機序と治療方法についてその要点を運動学的視点から検討する。【方法】弾発現象の改善を目的として浅指屈筋腱の滑走性改善を主体とした運動療法を実施した。PIP関節の他動運動により浅指屈筋腱の滑走に必要な関節可動域を獲得し,DIP関節伸展位でのPIP関節自動屈曲運動である指腹つまみを反復することで浅指屈筋腱の滑走を促した。【結果】理学療法開始後1年の時点で屈筋腱の逆転は観察されなくなり,弾発現象と手指関節可動域も改善した。【考察】屈筋腱の逆転による弾発現象は運動療法により改善可能な病態であると考える。浅指屈筋腱の滑走性改善が必要であり,DIP関節伸展位でのPIP関節自動屈曲運動である指腹つまみが屈筋腱逆転を防止する重要な手指屈曲様式になると考える。<br>
著者
白子 淑江
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.10-13, 2009 (Released:2009-03-12)
参考文献数
6

重症心身障害児に対する車椅子作製の経験を述べた。外来移行に際し,外来受診時間内乗車可能な車椅子作製の必要性があった。そこで,変形拘縮に対応した姿勢保持機能と消化管通過障害に対応した角度調節機能を搭載した車椅子を作製した。症例の場合,骨盤の正中位方向への誘導が可能となる股関節アライメント,体幹部の支持面と,前方滑り座りの一要因である膝伸展制限角度を把握し作製した。さらに胃内容物排出可能角度を設定することで,長時間の外来受診が可能となった。一方で,組み立て・折り畳みに時間を要すること,移乗時に注意を要すること,定期的な修正が必要であることなどの課題が考えられた。
著者
木戸 聡史
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.3-10, 2018 (Released:2018-04-03)
参考文献数
21

呼吸筋トレーニングは呼吸筋力・持久力の向上,運動時の呼吸筋動態の変化とそれに関連した四肢骨格筋動態の変化,換気機能の改善,呼吸困難感の改善などにより運動耐容能の改善をもたらす可能性がある。呼吸筋に外部負荷をかけるトレーニングのモダリティは大きく分けると吸気筋トレーニング,呼気筋トレーニングがあり目的に合わせて使用する必要があるが身体運動との組み合わせて同時に行う方法は注目されていなかった。運動時呼吸負荷トレーニングでは吸気と呼気の負荷量を分離して設定することができ,呼吸負荷と身体運動を同時に組み合わせて実施できる。これまでの研究報告では健常人においては呼吸筋機能と運動耐容能が従来のトレーニング方法より改善効果が高いことが報告されており,今後疾患を持つ方の運動療法手段としても有用性が明らかになる可能性がある。
著者
會田 萌美 武井 圭一 奥村 桃子 平澤 耕史 田口 孝行 山本 満
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-28, 2016

【目的】本研究では,片脚立位における非支持脚拳上方向の股関節角度の相違に着目し,支持脚筋活動に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】男子大学生13名を対象に,片脚立位姿勢(非支持脚股関節中間位,外転20度・45度,屈曲30度・90度)を保持させ,支持脚の大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋,腓腹筋内側頭の筋活動を測定した。4筋における股関節中間位と外転位,股関節中間位と屈曲位の肢位間の筋活動を比較した。【結果】非支持脚を外転方向へ挙上した片脚立位では,角度の増大に伴い中殿筋に有意な筋活動の増加を認めた。外転45度・屈曲90度の片脚立位では,股関節中間位の片脚立位に比べ,中殿筋・大殿筋の有意な筋活動の増加を認めた。【結論】Closed Kinetic Chainでの筋力トレーニングとしての片脚立位は,股関節外転により支持脚中殿筋の筋活動を鋭敏に増加させ,外転45度・屈曲90度では股関節周囲筋の筋活動を増加させる特徴があると考えられた。<br>
著者
下池 まゆみ 井上 悦男 吉田 志保 武川 真弓
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.54-57, 2012 (Released:2012-03-23)
参考文献数
3

今回,車いす乗車時の不良姿勢から非麻痺側の殿部痛が生じた脳卒中左片麻痺患者を経験した。殿部痛の原因は,車いす乗車時に股関節周囲筋の筋緊張低下が不良姿勢を生じさせ,非麻痺側下肢で駆動する際に骨盤の固定ができず非麻痺側坐骨部が擦れ,崩れた姿勢が持続するためと考えた。さらに姿勢の修正が困難なことにより崩れた姿勢のままで駆動し,駆動のたびに殿部が前方へずれるという悪循環となっていた。そこで姿勢の改善,非麻痺側坐骨部の疼痛軽減を目的に,車いす駆動を想定した膝屈曲運動や骨盤前傾運動などの運動療法,車いす乗車時に頻繁に殿部を動かすように除圧指導,車いす上で姿勢を崩れにくくするための車いすの設定変更を行い,若干の改善がみられた。したがって,姿勢改善や殿部痛軽減には運動療法を行ったうえで除圧指導,車いすによる座位調整の必要があると考えられた。
著者
齋藤 康人 柳澤 千香子 押見 雅義 鈴木 昭広 礒部 美与 高橋 光美 洲川 明久
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.14, pp.21-27, 2007 (Released:2007-05-15)
参考文献数
24

肺癌術後心肺合併症に影響する因子や術後離床日数及び在院日数との関係について術式別に検討した報告は少ない。今回我々は一側肺全摘除術患者の術前・術中因子が術後心肺合併症に影響するか,また,術後心肺合併症の有無が術後離床日数及び在院日数に影響したかを検討した。対象は当センターで肺癌による一側肺全摘除術を施行し術前術後リハビリテーションを行った連続42例とした。対象を術後心肺合併症非合併群(N群)と心合併症群(C群),肺合併症群(P群)に分類し,術前・術中因子,術後離床日数・在院日数を比較した。術前・術中因子の比較では術側,N群とC群との間での麻酔時間,N群とP群との間でのFEV1.0%に有意な差が認められた(p<0.05)。術後離床日数・在院日数の比較ではN群とC群との間で術後離床日数に,N群とP群との間で術後在院日数に有意な差が認められた(p<0.05)。以上より,手術中の不整脈や循環不全などにより麻酔時間が延長した症例やFEV1.0%が低下している症例では,慎重かつ重点的な術前術後リハビリテーションアプローチが必要と考えられた。また,C群では術後離床までの日数が遅延していたことから,今後は心合併症症例に対する術後リハビリテーションプログラムや実施基準について長期的に検討していきたい。
著者
瀧澤 快至 江連 亜弥
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.107-110, 2018 (Released:2018-04-03)
参考文献数
4

【はじめに】近年,大腿骨近位部骨折は年間15万人以上に達していると推定され,急性期病院から在宅復帰を果たす方も多いが,痛みや関節可動域制限が残存し活動と参加を制限されているケースも少なくない。慢性疼痛残存症例に対する約1ヶ月半の理学療法介入での臨床推論を報告する。【症例紹介】左大腿骨頸部骨折受傷(人工骨頭置換術)から,約1年経過した60歳代の女性であり,特徴として左立脚中期(以下,MSt)で左股関節近位前内側部に痛みの訴えが強く体幹左側屈及び左股関節外転代償が著明であった。本人Hopeは「痛みなく生活したい。杖なしで元の様に歩きたい」であった。【方法】平成28年7月5日~同年8月20日の期間で理学療法士による20分間の個別リハビリを週3回の頻度で行った。【結果】左MStでの疼痛は消失し,体幹左側屈及び左股関節外転代償に改善が認められた。【考察】本症例においては「慢性疼痛」と「誤学習」が臨床推論していくうえで重要であったと考えた。
著者
塩澤 和人 廣瀬 圭子 田口 孝行 原 和彦
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.21-26, 2014 (Released:2014-02-05)
参考文献数
10

【目的】本研究では,退院後生活空間に影響を及ぼす要因を退院直前の歩行能力,ADL能力,家屋整備状況,介護サービス整備状況,ADLおよび外出自己効力感の観点から明らかにすることを目的とした。【方法】分析対象は,回復期リハビリテーション病棟から自宅退院した患者のうち,HDS-Rが19点以上であり,移動手段が屋内歩行自立の者43名とした。退院直前に最大5 m歩行時間(直線歩行能力),TUG(応用的歩行能力),FIMの各運動項目得点(ADL能力),家屋整備状況,介護サービス整備状況,ADL自己効力感得点,退院1か月後にLife-Space Assessment(LSA),外出自己効力感得点を評価した。【結果】高活動群と低活動群間の最大5 m歩行時間,TUG,FIM移動得点,ADLおよび外出自己効力感得点に有意差を認めた。LSAを従属変数,LSAと相関がある項目を独立変数として回帰分析を行った結果,TUG,FIM移動得点,ADLおよび外出自己効力感得点でいずれも有意な標準偏回帰係数が得られた。【結論】退院後生活空間に影響を及ぼす要因は,応用的歩行能力,ADL移動能力,ADLおよび外出自己効力感であることが示された。
著者
小林 由紀子 江連 亜弥 小澤 真美子
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.86-88, 2016

リハビリテーション部署の産前産後休業および育児休業(以下,産休育休)の取得状況を検証するため,医療法人敬愛会リハビリテーション部における産休育休の取得状況と妊産婦がかかえる問題について検証した。方法は,医療法人敬愛会リハビリテーション部の職員を対象に,過去10年間の職員総数,男女比,経験年数,離職者数,産休育休取得者数等を調査した。また,産休育休取得者には,産休取得時の経験年数,産休育休の期間についてアンケートを実施した。結果は,職場の動向について,離職率は近年横ばいとなり,療法士の経験年数は中堅層以上が若手層を上回っていた。産休育休取得者は増加傾向が認められた。アンケート結果では,産前休暇は,約3割が体調不良により早めに取得した。育休復帰時期は,半数近くが予定より早く復帰した。産休育休取得者に増加傾向が認められたのは,職場が安定し中長期的な人生設計が立てやすくなったことや,子育て世帯によるロールモデルの蓄積などとの関連性が推察された。育休終了時期に関しては,保育所不足の問題が大きく関与していた。<br>
著者
瀬下 寛之 鳥居 俊 新谷 益己
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.14, pp.28-33, 2007 (Released:2007-05-15)
参考文献数
20

投球動作は,身体のあらゆる部位が連動して行われる一連の動作を言い,この連動過程に何らかの障害が発生すると投球障害を招く危険性を示唆する。今回,投球障害の予測因子として股関節回旋筋力と主観的疲労感に着目し,それらの関連から投球障害の予測因子について検討した。対象は高校硬式野球部員39名とした。方法は質問紙により基本情報,疲労,疼痛に関する調査を行い,その中の疲労に関して,練習中及び練習後の疲労好発部位を記録させ,それが翌日まで残存するか否かにより残存群と非残存群とに分類し,両群の股関節回旋筋力を比較した。軸脚及び非軸脚内・外旋筋力を残存群と非残存群とで比較したところ,残存群で有意に低値を示した。さらに,残存群での軸脚及び非軸脚の比較において,内旋筋力は非軸脚で有意に低値を示したが,外旋筋力は有意差が認められなかった。今回の調査は,投球障害を予測する一つの指標として活用できるものと考える。
著者
宮澤 宏文 白根 実央 佐藤 広祝 佐々木 和人 鈴木 英二
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.19-22, 2012 (Released:2012-03-23)
参考文献数
6

高齢者は疾患にかかわらずバランス能力の低下をきたしていることが多い。当院ではスリングを用いて,運動戦略のうち,股関節戦略,足関節戦略を模したエクササイズを実施している。この股関節運動戦略エクササイズと足関節運動戦略エクササイズについて,各エクササイズ前後にfunctional reach test(以下FRT)とTimed Up and Go test(以下TUG)を実施した。また合わせて重心動揺計を利用して安定性限界の測定も行った。股関節運動戦略エクササイズではFRTの向上が認められ,静的バランスの向上が示唆された。足関節運動戦略エクササイズではFRT,TUGの両方で向上が認められ,静的バランスだけでなく動的バランスの向上が示唆されたが,安定性限界の測定については,有意な変化を認めなかった。
著者
中野 克己
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.6-13, 2012 (Released:2012-03-23)
参考文献数
9

下肢装具は,脳卒中をはじめ多くの患者に利用され,歩行能力など日常生活の拡大に寄与している。これまで装具の材料や継手の種類,背屈角度などさまざまな視点から改良がなされてきたが,これらは進行方向に向かって前後,上下といった矢状面上の分析に限定されており,三次元空間を移動する人の動きを十分に表現しているとはいえない。そこで,水平面上,前額面上を含む三次元的アライメントを考慮した装具について,床反力への影響,足底圧操作と跛行への対応,装具作製後の装具の調整方法,装具の作製例を紹介した。
著者
國澤 洋介 高倉 保幸 國澤 佳恵 武井 圭一
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.8-11, 2014 (Released:2014-02-05)
参考文献数
7

臨床場面での気づきや疑問点を整理し,客観的に捉えて分析していく能力を高めることは,臨床家である我々理学療法士の責務である。症例検討は,この職責を全うするための手段として有用であり,日々の理学療法業務の中から意識的に実践していく必要がある。より有意義な症例検討を行い,理学療法士としてステップアップするためには,臨床活動で生じた興味や疑問にどのように着目していくのか,着目した症例を通して得られた知見をどのように整理するのか,より良い診療を実践していくための手段として臨床研究や症例検討をどのように提示し他者の意見を得るのかが重要と考える。
著者
武井 圭一 國澤 洋介 森本 貴之 岩﨑 寛之 高畑 朱理 山本 満
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.35-38, 2015 (Released:2015-01-09)
参考文献数
8

【目的】本研究は,糖尿病教育入院中の運動療法に対する行動変化の指標として用いた行動変容ステージ(ステージ)の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】糖尿病教育入院中に理学療法(Physical Therapy: PT)を施行した30名を対象に,ステージと身体活動量(Physical Activity: PA,歩数計による1日の歩数)を後方視的に調査し,初回・最終でのステージ変化率,歩数計によるPA記録実行者の割合,PAの経時的変化について分析した。【結果】ステージ変化率は,熟考期から準備期への変化が75%,準備期から行動期への変化が50%,その他は変化を認めなかった。歩数計によるPA記録実行者の割合は,前熟考期0%,熟考期50%,準備期92%,行動期67%,維持期67%であった。PAの平均値±標準偏差(PT1日目から5日目)は,4,608±2,461,5,905±3,288,5,395±2,288,6,840±3,206,7,981±4,218歩/日であり,PT1日目に比べて4・5日目で有意に増加した。【結論】ステージは,熟考期から準備期への変化は捉えやすいが,準備期に対してはPAが増加していても短期間では行動期へ移行しにくい特徴があると考えられた。