著者
鈴木 義和 ガムシンラパサティエン スパチャイ 浅越 圭介 吉川 暹
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.616, 2006

われわれは、これまで、酸化チタンをはじめとする1次元ナノ材料を用いて、色素増感太陽電池等のエネルギー変換デバイスの高効率化を検討してきた。従来検討してきた酸化チタンナノワイヤーでは、結晶性の良いものでは比表面積が小さく、単にナノワイヤーを焼成した場合では高効率化に至っていなかった。今回、酸化チタンナノワイヤーの水熱合成過程を制御することにより、部分的にナノワイヤー化された酸化チタンを用いて色素増感太陽電池を作製することにより、比較的高い光電変換効率を得ることができた。
著者
北中 佑樹 野口 祐二 宮山 勝
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.14, 2011

チタン酸ビスマス(BiT)を始めとするBi系強誘電体において、基礎物性の解明や圧電・光学デバイスへの応用には、分極反転が容易な高品質単結晶の育成が求められる。本研究では、高酸素分圧下(0.9 MPa)での溶液引き上げ法(TSSG法)によって、欠陥濃度の小さい高品質BiT単結晶を育成した。得られたBiT単結晶の電界誘起歪みを測定したところ、明瞭なバタフライループが得られた。BiTの分極方向において、歪み曲線から見積もられた圧電定数は37 pm/Vであった。高圧酸素下TSSG法によって、圧電特性評価が可能なサイズを持つ高品質結晶が得られ、初めて共振・反共振法によるBiT単結晶の圧電特性評価に成功し、決定された電気機械結合定数k11は37 %であった。
著者
山崎 仲道 田路 和幸 セルゲイ コラブロフ 横澤 和憲
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.89, 2003

ダイヤモンドは物理的、化学的にも特異な性質を持っている。その一方天然および合成ダイヤモンドは高価でサイズも小さいため工業的に活用するためには困難である。焼結ダイヤモンドは単結晶ダイヤモンドと比較して様々な利点があるが、多結晶ダイヤモンドの焼結は一般的なダイヤモンド合成法より苛酷な条件が必要である。そこで、我々はマイルドな水熱条件を利用してダイヤモンドの合成および焼結を行った。
著者
横澤 和憲 セルゲイ コラブロフ 田路 和幸 山崎 仲道
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.88, 2003

ダイヤモンドの合成は, HPHT法やCVD法による研究が広く行われている. しかし,本研究では,水熱法を利用して比較的低温, 低圧の条件でダイヤモンドの合成を行ってきた. 水熱法には, SiCやC-H-O系からの蒸気相でのダイヤモンドの作成があるが, 本研究では, アルカリ水熱条件における有機塩素化合物の脱塩素化反応を用いての炭素の生成を利用して, 液相中でダイヤモンド基盤上に新たなダイヤモンド構造を持った炭素生成を行った.
著者
稲田 博
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.86, no.990, pp.76-85, 1978-02-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

(1) 陶磁器釉応力の室温から700℃までの変化を偏光装置付高温加熱顕微鏡を用いて測定した. 無貫入品はすべて同一傾向の変化を示した. 昇温とともに圧縮応力は減少し, 400-560℃のTSで応力0の横軸と交差してから, 引張り応力側で小さなピークを示した後, 620℃近辺のTRで再び応力0の横軸と交差し, 圧縮応力の小さなピークを示した後, 最後に670℃近辺で, 完全に応力が開放されて0となった. 貫入品は約530℃まで室温時の引張り応力の値がほとんど変わらずに推移した後, 応力は急減して約620℃のTRで応力0の横軸と交差し, 圧縮応力の小さなピークを示した後, 最後に670℃近辺で応力が開放され0となった.(2) 応力0の温度では, 釉と素地の寸法は等しいという仮定の下で, 素地の上に薄層でついている釉の熱膨張曲線を計算した. このようにして得られた曲線と, 素地の実測熱膨張曲線をTR点で重ね合わせることにより, 釉応力-温度曲線の変化過程を良く説明することができた.結局, 釉応力発生の起点は, 釉の最低なまし温度ではなく, 釉の転移温度より更に20-100℃高温のTR点とすべきことが分った. また, 素地の上に薄層でついている実際の釉は, かなりの変質をしているらしいことも推察された.
著者
黒澤 佳弘 加藤 且也 斎藤 隆雄 横川 善之 マイケル ムツアロ 亀山 哲也
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.367, 2006

生体親和性に優れ、タンパク質などに対して特異的な吸着を示すアパタイトは,骨充填材のみならず,タンパク質などの生体高分子の除放担体としても検討されている.しかし,一般的なアパタイトはその高い結晶性のために溶解性が低く,除放後に生体内に残存する可能性もある.そこで,生体内で溶解されやすい低結晶性のアパタイトが除放担体として注目されている.今回は,数種類の方法によって合成された非晶質リン酸カルシウム(ACP)ナノ粒子のタンパク質吸着と脱着について検討した.また, ACPナノ粒子が細胞増殖に及ぼす影響,そして細胞に対する毒性に関しても検討を行った.
著者
御崎 智之 福留 寛隆 篠田 豊 赤津 隆 若井 史博
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集 第24回秋季シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.342, 2011 (Released:2011-09-30)

セラミックス製品の作製において焼結現象の理解は非常に重要である。焼結は原料粒子の収縮と粒界形成の過程であるが、多数の粒子が関係する焼結現象も本質は2粒子間の粒子界面で起こるミクロな相互運動の集合と考えることができる。そこで焼結力を定義することにより、このような2粒子間のミクロな相互運動の運動方程式を理論式に構築し、さらにシミュレーションにより収縮挙動を予測することができる。一方でこうした理論的な結果の信頼性を保証するには、実験的に現実で起こる現象を観測する必要がある。そこで本研究では、焼結理論と現実に起こる現象の橋渡しのために、ミクロ領域での粒界の相互運動を直接計測するためのミクロ試験片を開発した。
著者
吉田 正尚
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.1H23, 2008

ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)類は一般にその化学構造から表面不活性で後加工による着色等の表面修飾が非常に困難な材料である。そこで新たにシラン系結合剤と機能性微粒子を含む液相中でPO基材表面に微粒子を固定する、ゾルゲル法を基にした手法を独自に開発した。この方法によるとPE糸にダメージを与えること無くW微粒子を強固に固定でき高比重化等の表面修飾をすることができた。では何故PO基材に表面修飾できるのかを考察したところ、PE基材への熱処理実験と結晶性の異なるn-テトラコンタン基材へのW微粒子固定実験の結果から、PO基材への微粒子固定には高い結晶性が必要であると考えられた。またSEM観察の結果、W微粒子はPOが結晶化した部分に島を形成し、その島を起点として拡がるように基材表面を被覆していくものと思われた。
著者
石原 鉄也 安田 知壱 大門 啓志 引地 康夫 太田 敏孝
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.103, 2003

従来のマシナブルセラミックスは結晶のへき開性を利用しており,低強度で1000℃以上の高温では使用できない. 本研究では,高強度セミックスである3Al_2O_3・2Si0_2(ムライト)にYPO_4を添加し, 焼結後の加工ができ,高強度を維持できるセラミックスの作製を目的とする.実験方法はYPO_4とムライトを湿式ボールミルで混合し, 混合比はYPO_4を0, 10, 20, 30, 40, 100mass%とした. 得られた粉末をCIP成形し,ムライトは1600℃, その他は1550℃, 3時間焼成をした YPO_4を40mass%添加した焼結体について穴あけ加工ができ, 高強度であった.
著者
大岡 一夫 荻野 直彦 川西 宣男
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1033, pp.516-523, 1981-09-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10

誘導加熱によるガラスの溶融は, 炉構造が簡単で操作性, 遠隔制御性もよい. 更に溶融ガラスを直接誘導加熱する直接誘導溶融では, 高温に耐え, 長寿命のセラミックポットを使用できる利点も付加できる. この特長に着目し, 直接誘導溶融こよる “模擬高レベル廃棄物” のガラス固化法の試験を行った.3MHz及び400kHzの発振周波数をもち, 65kWの連続出力の発振器を用い, 内径170-325mm, 高さ600mmの5種のセラミックポットを使用して直接誘導溶融を実現した. 直接誘導のため起動は炭化ケイ素棒の誘導加熱によって行われ, 起動後はこの起動棒を系外に取り去って以後は連続的に直接誘導溶融を続けることができた.模擬廃棄物の混合粉末にガラスフリットを添加した原料を用い, 内径325mmのポット中での直接誘導溶融によって11.8kg/hの溶融能力が得られた. 各ポットの溶融試験によって直接誘導溶融のための条件が定められ, かつこれらの条件下での電気的, 熱的性質について解析, 評価を行った.
著者
糸数 裕子 板谷 清司 梅田 智広 幸田 清一郎
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.420, 2006

噴霧熱分解法によるβ-オルトリン酸カルシウム(β-Ca3(PO4)2; β-TCP)の生成に及ぼす種々の有機化合物添加の影響を調べた。出発水溶液(Ca/P=1.5)の調製では1.8 mol・dm-3 Ca(NO3)2、1.2 mol・dm-3 (NH4) HPO4、濃HNO3の他に、0.2 mol・dm-3 有機化合物を添加した。有機化合物にはカルボン酸としてグルタル酸、また糖類としてラクトースを使用した。相変化はDTA-TGおよび高温X線を用いて検討した。以上の結果を基に噴霧熱分解によりβ-TCPが生成する過程で有機化合物がどのような影響を及ぼしているかを考察した。
著者
松永 克志 田中 功
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.178, 2008

ハイドロキシアパタイトはイオン交換により種々のイオンを結晶中に取り込むことが可能であることが知られている。本研究では、点欠陥に対する第一原理計算法を用いて、二価金属イオンのイオン交換エネルギーを系統的に算出し、イオン交換能を決定づける微視的因子について検討した。
著者
荒井 雄介 鈴木 健伸 大石 泰丈 Khonthon Sasithorn 森本 繁樹
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.515, 2007

近赤外域における広帯域光増幅素子の実現は次世代の波長分割多重(WDM)送信技術に必要不可欠であり、その候補として、希土類金属イオン添加光ファイバやファイバラマン増幅のみならず、新規光増幅媒体の開発が望まれている。今回私たちは、新たに開発したTeイオン添加透明ガラスセラミックス(Te-spinel glass)が、波長1250nmを中心とした半値全幅250nmの広帯域蛍光を示すことを見いだした。また、室温における蛍光寿命が約0.6msと長寿命であり、さらに200Kまで冷却することで1.2msまで長寿命化することを明らかにした。