著者
大塚 宣夫
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-2, 2015
被引用文献数
1
著者
福田 亮介
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.63-77, 2018-04-30 (Released:2018-05-24)
参考文献数
7
被引用文献数
1

過去の臨床研究の不適正事案を受けて設置された「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」において,臨床研究に関して法制化が必要とされた。本会の報告書を受けて成立することとなった臨床研究法は,2016年5月に通常国会に提出され,2017年4月7日に成立,2018年4月から施行される。本法は,臨床研究に対する国民の信頼を確保し,臨床研究の実施を推進することを目的として,未承認・適応外の医薬品等の臨床研究及び製薬企業等から資金提供を受けて実施される当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究の実施者に対して,モニタリング・監査の実施や利益相反の管理等の実施基準の遵守を義務付けるとともに,製薬企業等に対して,当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究に関する資金提供の情報等の公表を義務付けるなどの制度を定めるものである。本稿では,臨床研究法成立の背景を含め,臨床研究部会での議論にも触れながら,法の及び施行規則の概要についてご紹介する。
著者
大久保 豪
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.107-117, 2009 (Released:2010-05-26)
参考文献数
31

目的:成人の先天性ろう者の人工内耳装用が音声言語認識力に与える効果についてこれまでに行われた研究からわかっていることを明らかにすること。方法:MEDLINE(1953年-2008年),PsychINFO(1887年-2008年),CINAHL(1982年-2008年)の検索エンジンを用いた。検索語は「Cochlear implant &(congenital hearing loss or prelingually hearing loss)」である。結果:コホート縦断調査の研究は4件が条件に適合した。比較対照研究については条件に適合する研究論文が存在しなかった。上記のうち3つの研究論文では,集団でみると装用後に音声言語認識力(音声で提示された単語や文章の理解率)が向上することが示されていた。装用者個別の成績でみると,全33名の装用者中,いずれかの項目で認識力が10ポイント以上上昇していた者は15名,いずれかの項目で認識力が10ポイント以上低下していた者は3名,すべての項目でほとんど変化していない者は15名であった。結論:装用前後の音声言語認識力の上昇は個人間のばらつきが大きい。現時点では口話など音声言語を日常の意思疎通に用いるような先天性ろう者に限って,音声言語認識力が向上する可能性があるといえる。しかし,認識力が下がる可能性にも留意しなければならない。これまでの研究では装用効果を高める予測因子については言及できない。
著者
奥山 亮 辻本 将晴
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.iken.2017.001, (Released:2017-07-31)
参考文献数
38
被引用文献数
4

近年,我が国では創薬の基礎研究から医薬候補化合物の創出までの全研究段階をアカデミア研究者が行うアカデミア創薬が推進されている。アカデミア創薬においては,従来企業が中心で行ってきた創薬応用研究部分(リード物質から薬効・薬物動態・安全性を最適化して医薬候補化合物の取得を目指し,並行して創薬標的の妥当性検証を行う研究段階)もアカデミア研究者が実施するが,創薬応用研究はアカデミアの基礎研究とは内容も志向性も異なるため,アカデミア創薬における応用研究部分の研究達成度には懸念が持たれている。この問題を実証的に検討するため,日本の製薬企業もしくは大学等公的研究機関が臨床開発を実施した医薬候補化合物の情報を過去40年程度にわたって網羅的に収集し,分析した。その結果,アカデミア創薬で生み出された医薬候補化合物は,産学連携による創薬で生み出された化合物より臨床開発段階での成功率(上市に至る確率)が有意に低いことが分かった。臨床開発段階の失敗理由の大部分は創薬応用研究段階で見極めが行われる薬効,薬物動態,安全性によると報告されているため,このデータはアカデミア創薬における応用研究部分の研究達成度が相対的に低いことを示唆する。本結果より,アカデミア創薬の問題点や取るべき方向性を議論する。
著者
黒川 清
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.41-50, 2001

21世紀を迎え「日本」のあり方は大きな変換を求められている。それはなぜか。特に国際的に共通の価値をつくり出す分野である高等教育,医学教育と研修,医療,研究,金融,企業等では「国際的」標準での内容と実力がない限り,世界の主流から取り残されていくであろう。交通と情報の国際化の時代にあって,世界の人々がそれらの国の医療,研究,高等教育等の分野での世界標準を知るようになれば当然それらを求めるようになる。従来の「日本」を支えたシステムはこれからの国際時代の要請にあうのか。この10年の日本をかこむ状況は,「お上たのみ」「護送船団」「終身雇用」「年功序列」の限界を示し,「Japan Inc」がもはや機能しないことを示している。このような時にあって,医学教育も医師の研修も同じ問題を抱えている。その背景には日本に特徴的で根本的な問題があるのだが,残念ながら,多くの日本の「リーダー」にはそれが理解できない。その理由はなにか。日本を囲むアジアの状況と近代日本の歴史の背景を考察しながら,21世紀に日本がめざす医学教育と医師研修のあり方を探る。
著者
大日 康史 菅原 民枝
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.157-165, 2006 (Released:2009-08-22)
参考文献数
35
被引用文献数
10 29

目 的:医療や公衆衛生における費用対効果分析における政策意思決定では,社会における1単位のQALYを獲得するためのWTPの情報が不可欠である。日本では先駆的な調査があるが,それは直接法でされており,問題が多い。本稿では先行研究と同じ目的を,コンジョイント分析を用いて行う。対象と方法:2005年度に全国において実施された調査における回答を分析した。調査は,772世帯から回収を得た(回収率88%)。分析対象者は20歳以上の成人1,297人である。質問では,経済社会的属性に加えて,仮想的な費用,期間,患者数,健康状態での医療を賛成するかどうかをコンジョイント分析で行う。また,推定式における説明変数,割引率,健康状態のQOL評価で感度分析を行う。結 果:全ての場合総費用は負で有意,獲得するQALYは正で有意である。QALYあたりWTPは,635~670万円である。所得によるQALYあたりWTPへの影響は確認されない。考 察:本稿で求められたQALYあたりのWTPは先行研究よりもやや高いが,大きく変わらなかったことは特筆に値する。これは,QALYあたりのWTPがほぼ600~700万円であるとする根拠が頑健であることが示唆される。
著者
中田 知生
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.79-89, 2012 (Released:2012-04-28)
参考文献数
35

本研究の目的は,高齢者における健康満足感減退の階層差を集団軌跡モデルによって分析することである。近年,パネルデータに関する関心が高まってきており,データの公開や分析手法の開発が進んでいる。本研究では,有限混合モデルの一種で,また,母集団をいくつかのクラスに分けて分析することができる集団軌跡モデルにより健康満足度のパネルデータを用いてその軌跡の階層差を検証する。本研究においては,老研―ミシガン大学全国高齢者パネル調査のウェーブI(1987)からウェーブIV(1996)までを用いた。従属変数には健康満足感のダミー変数,独立変数には年齢,時間固定共変量として教育と性別,そして,時間依存共変量として従業上の地位と婚姻上の地位を用いた。潜在クラス成長分析を健康悪化プロセスの問題に適用した結果,以下の知見が現れた。1)BICを用いたモデルの当てはめの良さの検定からデータは2つに分割され,第1グループは2次関数,第2グループは1次関数という関数形を持つことがもっとも適合度が高い。2)時間固定共変量の投入から,主として,第1グループは女性や教育が高い個人が集まっており,第2グループは男性と教育歴が短い個人が集まっている。3)時間依存共変量である従業上の地位と婚姻上の地位はともに健康に対して正の効果を持つ。これらから,社会階層間で「罹患率の圧縮」のような現象が起きていることが見て取れた。
著者
川口 功 鎌江 伊三夫 宗圓 聰 坂本 長逸
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.289-302, 2014-10-31 (Released:2014-11-08)
参考文献数
37
被引用文献数
1

本分析では,慢性的な疼痛を伴う変形性関節症,関節リウマチ,腰痛症患者に対しセレコキシブを投与した場合の費用対効果を,ロキソプロフェンナトリウムの投与を比較対照とした場合について検討した。分析は,マルコフモデルを用いて,慢性的な疼痛を伴う変形性関節症,関節リウマチ,腰痛症患者の予後を,ロキソプロフェンナトリウム服用群とセレコキシブ服用群の各々について,分析対象者の生涯に渡り(分析対象者全員が死亡するまで)シミュレーションした。費用の算定は支払者の視点で行い,直接医療費を集計対象とした。効果の指標は質調整生存年(quality-adjusted life years,QALYs)とした。費用と効果はマルコフモデルにより3ヶ月ごとに推計し,年率2%で現在価値に割引換算した。その結果,セレコキシブ投与群はロキソプロフェンナトリウム群よりも0.024 QALY多く獲得されること,反面,総費用は73,496円増加すると算定された。すなわち,セレコキシブによる治療が,ロキソプロフェンナトリウムに比べ1QALY多く獲得するために必要となる追加費用(ICER)は3,126,463円/QALYと算定され,セレコキシブの費用対効果は良好であると結論された。
著者
山本 隆一
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.85-93, 2016

我が国は医療の情報化自体は先進的であったし,現在でも情報システムの導入率という観点では世界の最高水準にある。しかし,情報化の目的は,事務処理の合理化が主体であり,情報を公益目的に利用する二次利用の面においては遅れていたと言わざるを得ない。しかし最近になって,我が国にも大規模な医療情報データベースが構築されるようになったが,それに伴い,公益利用とプライバシー保護の対立的な問題が顕在化してきた。例えば高齢者の医療確保に関する法律に基づいて作成されたレセプトおよび特定健診・保健指導のデータベースは一般的な公益利用に関して根拠法には記載がないために,利用に際して厳格な匿名化が求められ,安全管理に関する要求も厳しく,公益研究にとって使いやすいデータベースとは言えない。一般に,公益目的の研究を行う研究者がプライバシーの侵害を意図的に行う可能性はないと考えられるが,法的な要求自体が曖昧であるために,研究が促進されない可能性もある。医学は診療情報の公益利用なしには発展はあり得ないので,明確で研究者にとっても患者にとってもわかりやすい法制度の整備が強く望まれる。改正個人情報保護法が2015年9月に成立したが,政令や指針の整備は2017年と思われる法の実施までに議論される。医療に関するデータベース研究者はこれの議論を注視すべきであるし,必要な場合は適切な提言を行うべきと考えられる。
著者
大石 明 Schulman Kevin A.
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.25-39, 1998

新しい治療法あるいは新しい医療技術の経済的分析は国を問わずますます重要な課題となっている。薬剤経済学の研究は製薬会社のみでなくアカデミックな研究者によっても行われるべきである。しかし,現在の状況では自社製品の経済的評価をする場合,多くはその製薬会社がスポンサーとなっているのが実状である。このように自社がスポンサーになること自体,研究者を私利私欲に走らせる可能性があり研究方法や結果にバイアスを生じさせかねない。しかしながら, このようなバイアスは研究者とスポンサーとの関係を綿密に定義をすることにより対処可能である。またファーマコエコノミクスの研究を掲載する雑誌が金銭関係を公表する方針を遵守することによっても回避することができる。さらに,臨床研究を用いた質の高い経済的分析のデータが生み出されれば,経済的分析のためのモデルに伴いがちなバイアスを起こしうる多くの原因を除くことが可能である。本論文では経済的分析を扱った論文の質を上げるたあに経済的研究のためのガイドラインを作成する試みを紹介し分析する。一つはNew England Journal of Medicineの費用対効果(cost-effectiveness)分析研究の投稿に対する方針である。もう一つはプロジェクトチームにより自発的にまた倫理的に打ち出された医療技術の経済的分析における原則である。さらに企業の宣伝のための利用と日本の利用者が興味を持つであろう比較研究のための証拠の基準に焦点を当てたFDAによるガイドラインの草稿についても解説した。政策に関わる人々にとって役に立っためには,経済的データは信用があり信頼できるものでなければならない。真に競争のある薬の市場を整えるためにも,われわれは製薬会社が自社製品のバイアスのかからない評価に興味を持てるような体制を作るよう努力しなければならない。
著者
佐藤 元
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.2_119-2_131, 2004 (Released:2010-02-02)
参考文献数
80
被引用文献数
1 2

政策の改正・廃止は,既存の政策を正し資源を有効活用するための重要なステップであり,欠陥を伴う政策の改廃遅延は,物質的なものであれ理念的なものであれ,利益よりは弊害を拡大する。政策の改廃が妥当か否かは主として科学的合理性という観点から評価されるが,非合理と判断され問題視される事例は数多い。こうした科学と健康政策の齟齬に起因する問題は,現行の社会制度・政策過程において古今普遍的な現象と考えられる。本稿は,科学と健康政策との齟齬が生れる要因を科学技術論ならびに政策科学の知見から整理し,それらに基づいて保健医療政策分野における現行の対応と将来にわたる課題について論ずる。
著者
大島 伸一
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.49-57, 2015
被引用文献数
4

超高齢社会の急速な進行によって,医療需要の重心が高齢者層に大きく移動しており,医療のあり方,医療提供のあり方について,バラダイムの転換が求められている。<br>20世紀は「治す医療」を展開し,大きな成果を得た時代であった。治すとは臓器の傷害の原因を見つけ,これを取り除くものである。60歳台までは,病気は一つの臓器に一つの傷害として現れるため,「治す医療」への要請は高かった。しかし,平均寿命が80歳を超えた21世紀では,老化という過程に生活習慣病が加わる慢性の全身疾患という病態への医療需要が最大なものとなる。<br>高齢者では,全身との適正な均衡状態を考慮に入れずに,一臓器の傷害を治そうとすれば,全身と個別の臓器機能との調和に不都合が生じ,全身状態が悪化する。そのため高齢者の医療ではただ治すだけでなく,その人が求める生活が実現できるように自立機能を整えて支えてゆく医療が必要となる。<br>もう一つは,病院中心の医療から地域全体で診てゆく医療へのパラダイムの転換である。日本は,これまで誕生から死までの全てを病院で行う医療の提供体制を構築し,皆保険制度で支えてきたが,その限界がはっきりと見えてきた。<br>今後は,財源にもサービス提供にも限りがあるという理解のもとに,医療の有効,効率的な提供方法として,病院には病院にしかできない機能に特化し,医療・介護を一体的に地域全体で提供してゆく体制に変えなければならない。
著者
吉森 賢
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.21-48, 2002
被引用文献数
1

本稿はまず第一次世界大戦以前のドイツ医薬品産業の劇的な発展と長期間にわたり世界の模範となった先駆的医療保障および社会保障制度を概観する。ドイツ医薬品産業の革新能力の中心的要因は化学の学問水準を高めた工科大学の創設と,染料の派生物質である薬剤開発において見られた企業と大学間の密接な研究協力関係にあった。<BR>第一次世界大戦後,ドイツ製薬産業は相対的に衰退する。その原因は大戦によりドイツ製薬企業の特許,バイエルのアスピリンなどの世界的商標やメルクなどの社名がすべての在米資産と共にアメリカ政府により没収されたからである。<BR>次いで産業構造,市場規模および構造,貿易,雇用,世界における地位,企業集中度,競争状況,価格構成,特許,医療機関などについて概観する。また最近における主要な医療制度改革について紹介する。<BR>最後にドイツの代表的製薬企業5社,アベンティス・ファーマ,バイエル,シェーリング,ベーリンガー・インゲルハイムを取り上げ,それぞれの概況,歴史,市場地位,所有構造,戦略および研究開発について比較考察した。結論として以上が日本の製薬産業へ与える示唆を提示した。
著者
西本 真弓 吉田 あつし
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.221-233, 2009 (Released:2010-05-26)
参考文献数
19
被引用文献数
1

療養病床には医療保険適用の医療療養病床と介護保険適用の介護療養病床の2タイプがあり,前者には医療の必要性が高い患者を,後者には医療の必要性が低い患者を受け入れることを目的としている。本稿では,どんな患者がどちらの入院サービスを受けているかを,ある療養病床を有する病院のデータを用いて検証した。 分析の結果,以下のことが明らかとなった。(1)要介護度が2以下の場合,介護療養病床を選択する確率が3割強減少する。(2)患者が1級または2級の身体障害者手帳を所持している場合,介護療養病床を選択する確率が25%前後減少する。(3)入院回数や脳血管疾患や心疾患によってあらわされている患者の入院時の健康状態は,療養病床の選択に有意に影響しない。いずれの保険も原則的に包括払いを採用し,要介護度が高い患者が介護療養病床を利用した時の報酬は医療療養病床を利用した時の報酬よりも高くなる。分析結果は,保険からの報酬の大きさによって病床が選択されていることを意味している。患者の健康状態にはほとんどかかわらず,介護保険からの報酬が医療保険よりも大きい場合は,介護療養病床が使われる。1級または2級の身体障害者手帳を持つ患者は,医療費自己負担分が地方自治体から助成されるので,医療保険が適用される医療療養病床を選択する。病院の場合も患者の場合も,経済的インセンティブが病床の選択に影響を与えているといえる。