著者
角 美弥子
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編 (ISSN:13442562)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.65-74, 2020-02

都道府県では文化財保護法に基づき,文化財保護条例が定められている。無形の文化財は無形文化財と無形民俗文化財に分類され,都道府県間で指定数に差があり,無形文化財については指定がない都道府県もある。この原因について,都道府県の無形文化財の指定状況及び文化財保護条例からの検討を試みた。条例の差異を比較したところ,指定件数との関連性は特に見られなかったが,都道府県における無形文化財と無形民俗文化財の違い及び国の指定文化財との関連性が判明した。また,包括的な保護の必要性に言及し,現在取り組まれている指定文化財以外の文化財の保護の重要性,加えて文化財指定の解除を受けた文化財の視覚化などが今後の文化財保護の方向性として有効であると判断した。2018年に文化財保護法が改正され,文化財のさらなる活用が求められている。今後は無形有形の別に関わらずより包括的かつ効果的,また動的な保護が求められることとなるだろう。
著者
坂本 紀子 菅野 早彩
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 教育科学編 (ISSN:13442554)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.37-47, 2021-08

2013(平成25)年2月26日,「道徳教育の充実に関する懇談会」が文部科学省に設置された。新しい学習指導要領には,その懇談会で議論された内容が反映されている。本稿は,道徳を教科化することを前提に開催された懇談会での議論の過程を整理し,さらに,教科化に対する批判的見解についても取り上げ検討する。それら両者を対照させることによって,道徳教育が有している問題や,今後の課題について考察するものである。
著者
清水 夕貴 池田 千紗
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 教育臨床研究編 (ISSN:27583902)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1・2, pp.95-105, 2023-01

特別支援学校や特別支援学級では体力づくりとして毎日運動に取り組んでいることも少なくない。近年,運動が脳を活性化させる研究から短時間の運動で注意機能を向上させるという報告もあり,特別支援教育においても毎日の運動が注意機能へ影響していることが予想される。そこで本研究は,運動習慣のない成人に協力を依頼し,毎日2分間の運動を3週間行い,運動による注意機能への影響を検討し,教育現場で運動を導入する際の手掛かりを得ることを目的に実施した。本研究で実施したわらべ歌「おちゃらかほい」に合わせて全身を動かすじゃんけんは,運動直後の注意機能評価で課題達成時間や正確性に,個人差はあるものの好影響を与えることが示唆された。一部の研究協力者の注意機能に短時間の運動の効果が見られたことから,個々に合わせた難易度や強度などの運動内容をさらに検討することで,教育現場での新たな運動の選択肢を広げることに寄与できると考える。