著者
山本 ちか
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.15-22, 2010-03-31

本研究の目的は,大学生の全体的自己価値の様相を検討することである.全体的自己価値については,男子の得点が高く,女子の方が自分自身を否定的に評価している.また1年生と比較して2,3年生の方が肯定的に評価している.具体的側面の自己評価も同様で女子の方が否定的に評価している.また全体的自己価値と具体的側面の自己評価,具体的側面の重要度の関連の仕方については,男女ともいずれの学年も「身体的外見の自己評価」と「知的能力の自己評価」が全体的自己価値に影響していた.その他については,学年別・性別に影響の仕方が異なっていた.
出版者
名古屋文理大学
巻号頁・発行日
2001
著者
芦田 玉一
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.81-91, 2002-04-01

X線結晶構造解析法は結晶構造・分子構造を決定する最も有力な方法である.この方法は,発足は約90年前であるが,とくにこの30年ほどの間に大きく発展し,低分子の原子価電子の精密解析から,分子量100万を超えるタンパク質複合体までの広い範囲を研究対象とし,また構造解析の専門研究者だけではなく,周辺の,物性,材料,化学,生物,薬学,医学,鉱物等の多くの研究者も研究手段として利用するようになった.この間のこの分野の成果を紹介し,方法の発展のあとをレビューし,将来を展望する.
著者
大西 梨沙 内田 あや 加藤 恵子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.63-67, 2015-03-31

高齢者と高校生の菓子に対する意識についてライフステージ別の特徴を明らかにすることを目的とした.高齢者(65 歳以上)の女性28 名と,女子高校生75 名を対象に,菓子について質問紙法調査を行った.その結果,菓子を食べる頻度では,「ほぼ毎日食べる」が高齢者(46.8%),高校生(48.0%)と多かった.好きな菓子については,高齢者は,「米菓」や「まんじゅう」を好む者が多かった.高校生は「チョコレート」や「スナック菓子」を好む者が多かった.世代間で好きな菓子に違いがみられた.菓子について日頃気にしていることでは,両世代とも「おいしさ」が多かった.他に,高齢者では「糖分」,「脂肪分」,「塩分」,高校生では「値段」,「カロリー」を挙げていた.菓子を食べることは体や心にとって大切と思うかでは,「思う」が多く,その理由は,両世代とも「ストレス解消」「気分転換」「コミュニケーション」だった.世代間で好まれる菓子は異なっていても,菓子には「おいしさ」を求め,菓子を食べることは体や心にとって大切ととらえていた.菓子は両世代において「気持ち」の面でQOL の向上に寄与していることが推察された.
著者
佐久間 重
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.33-42, 2013-03-31

本論は,ラインホールド・ニーバーが彼の著作『人間の本性と運命』の中で正義をどのように解釈しているかを詳述したものである.ニーバーの解釈を通じて,キリスト者は社会的正義をどのように捉えているかを明らかにすることを狙いとしている.ニーバーは,歴史的状況の中で人間が正義を実現するための手段や,正義が確立した理想的な社会を提示することはない.社会の中で同胞愛の理想を求めながらも,歴史から戦争や悪政を取り除くのは不可能であるとしても,より高度の正義の実現に努力することが重要であるとしている.ニーバーにとって,正義の樹立に近づける現実的な状況が諸勢力の均衡状態である.
著者
宮地 忍
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.27-32, 2013-03-31

iPadが日本発売された2010年は「電子書籍元年」とも言われたが,さほど画期的状況が生まれたわけではなかった.各社のタブレット端末が相次いで発売された2012年が,改めて「本格元年」と呼ばれる年になるのかどうか.我々は,ヨハネス・グーテンベルグの"印刷術発明"(1455年ごろ)以来の文化的革命を同時代的に目撃する可能性もあるが,高度複雑な情報伝達力では,印刷の地位は揺るがないようにも見える.「印刷書籍」と「電子書籍」の将来を考察する.
著者
森 博 杉江 晶子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.71-78, 2006-03-31

筆者らは,平成11年4月名古屋文理大学情報文化学部発足時から,一貫して「マルチメディア」を中心にした「情報リテラシー」教育に取り組んできたが,近年急速に進歩し,学生達の必須アイテムと化した「カメラ付き携帯電話」に着目し,それをメディアコンテンツ作成時の入力デバイスとして活用した「メディアリテラシー」教育を提案するものである.カメラ付き携帯電話は,手軽な画像入力デバイスであるだけでなく,今後は,パソコンに変わって,テレビ,ラジオなどの受信媒体,ゲームマシン,音楽や映像プレーヤーになる可能性が高いため,それで扱うファイル形式の知識やデータ入出力技術の修得は,デジタルメディア社会における必要不可欠なメディアリテラシーといえる.本稿では,カメラ付き携帯電話で撮影した動画像をとりこんでショートムービーを作成するための具体的な方法と,実際に半期15コマの演習を行う場合のシラバス案を提示した.
著者
北越 香織 島 康久 堀江 緑 齋藤 由貴 見取 祐子
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.143-146, 2012-03-31

The purpose of the present study was to evaluate the effects of Grifola gargal (mushroom)extracts on insulin resistance induced by high-fructose diet. 12 Male rats of Wistar strain aged 7 weekswere divided into 3 groups. That is 1) high-fructose diet group (Fructose 60% content; FRU), 2) highfructose + Grifola gargal group (FG) and 3) normal diet group (Control). The rats in 3 groups werebreeded for 4 weeks.Then, afterfasting for 16 hours, a sequential euglycemic clamp experiment with twodifferent insulin infusion rates of 6.0 (L-clamp) and 30.0 mU/kgBW/min (H-clamp) was performed. Theserum glucose concentration in each rat was maintained at the level of basal blood glucose concentrationsin the experiment. The glucose infusion rate (GIR) was assumed to be an index of the action of insulinfor 60-90 and 150-180 minutes. As a result, the FRU group and FG group markedly reduced GIRs inL-clamp experiment compared with Control group. However, a significant difference was not able to beconfirmed between FG and FRU groups. Consequently, the effects of Grifola gargal extracts were notshown. While, in H-clamp, GIR in FG group were increased by Grifola gargal extracts compared withFRU group, and reached the almost same levels as in Control group. Therefore, it was suggested t
著者
佐原 理
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.117-124, 2008-03
被引用文献数
1

インタラクティビティーの追求は今日の芸術に大きな影響を与えた.人間は視覚や聴覚,嗅覚,味覚,バランス感覚などの様々な感覚を通じて現象を捉える能力を有する.単一の感覚器で捉えられる現象はそのモノの認知に繋がる,しかし複数の感覚器から同時に得られる反応からは高度に複雑な感覚を得ることができる.感情と呼ばれる感覚はこの複雑な感覚の反応の頂点にあるものである.これらの複雑に絡み合った人間の感覚は複雑な反応をもたらし認知される.新しいテクノロジなどによって新たに拡張された人間の感覚としてのインターメディアアートはインタラクティブな反応を伴い,芸術の表現の一部として成立すると考える.この仮定に基づき,いくつかのコンセプチュアルなインターメディアアートを名古屋文理大学にて制作した.また,新たな芸術概念を文化の一部として定着させるためにはマスメディアがその多くの役割を通訳する形で担っている.芸術が文化の一部として社会に存在するのであれば,このことはインターメディアアートのような新たな概念にとっても重要な視点である.それゆえ,教育機関としての名古屋文理大学というローカルな場から,インタープリテーションプロジェクトを展開した.
著者
関 豪
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.147-153, 2001-04-01
被引用文献数
1

学生が大学でのキャンパスライフを満喫するためには,サークル活動等「課外の教育」が大きな鍵となると思われる.そこでサークル活動を活性化するにあたり,検討していくべき次の事項を提示する.1)サークル活動の基盤となる学生層の獲得,2)教職員の積極的な協力,3)サークル活動に携わる学生及び教職員に対する援助・補助規定の作成,4)学生及び教職員の組織作り,5)大学,自治会,同窓会の組織化等である.今後,以上の事項について検討を進めることにより,本学においてサークル活動の活性化が図られていくことを願うものである.
著者
関 豪
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.133-146, 2003-04-01

学生が大学でのキャンパスライフを満喫するためには,サークル活動等「課外の活動」が大きな鍵になると「課外活動における活性化の試案」で述べた.しかしながら,大学が設立されてから4年目を迎えた現在,サークル活動や自治会活動を積極的に取り組む学生は少ないのが現状である.そこで課外活動に関する本学学生の実態を明らかにすることを目的としてアンケート調査を実施した.有効回答495名(70.1%)の調査結果は,1.中学・高校時代を通じて課外活動を経験してきた学生は,それぞれ80%と62%であり,その活動を大学でも実施したいと希望している学生は46%であった.2.課外活動に携わっている学生は全体の26%にすぎなかった.活動している理由の約半数が,活動している種目や内容が好きであると答えている.しかし,活動しているにも関わらず,障害があると答えている学生は57%であった.3.活動しない理由は,活動したいと思うサークルがないと答えた学生が最も多く32%であった.これらの学生の約半数が新しくサークルをつくりたいと答えているが,つくるに当たり障害があると74%の学生が答えている.4.課外活動は人間形成に役立つ,友人を作る場となる,健康の維持増進に役立つ,忍耐力や根性をつける等と答えた学生は多かったが,進学や就職に有利であると答えた学生は少なかった.5.勉学以外に学生生活で興味を持っている学生は半数以下であった.6.本学学生の77%が運動不足を感じ,47%の学生が全く運動をしていない状況であった.7.約7割の学生がアルバイトに携わっており,週5日4時間の学生が最も多かった.8.平日の自由時間は,遊びもしくはアルバイトで過ごす学生が多かった.9.本学の課外活動についてサークルの数が少ない,課外活動が行われているのか分からないと答えた学生が多く,そのほかにも様々な不満や希望があることが分かった.以上の結果を含まえ,今後「課外活動における活性化の試案」を具体化し,課外活動の活性化,更には大学の活性化に繋がるよう努めたい.
著者
須藤 裕之 菱田 次孝
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.127-138, 2010-03-31

戦後の食生活の大きな変化とともに食の多様化・国際化が進み、わが国の食料消費量の相当な部分が海外からの輸入食料に依存している。その結果、わが国の食料自給率(カロリーベース)は先進国中、最低水準の40%にまで落ち込んでおり、将来の食料安全保障問題を懸念する声が大きくなりつつある。こうした事態に至った背景には、食の簡便化・外部化の進展に伴う調理済み食品への需要増加と栄養面における動物性タンパク質の過剰摂取があるといえる。本稿では、年間2200万tにも達する食品輸入と総量ベースでほぼ同量の食品廃棄物(食品ロス)の問題に焦点を当てて、わが国が現在抱えている「食」に関する諸問題に対して今後どのように対処していくべきかを検討している。
著者
市川 和昭
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.121-130, 2012-03-31

油脂は酸化的劣化や加熱劣化などにより風味および栄養価の低下を引き起こしやすく,さらには食中毒を引き起こすことがある.従ってフライ油などは劣化の程度を適切に判断して新油に交換することが必要である.油脂の加熱劣化の反応は複雑であり一つの分析手段のみでは評価することができないので,過酸化物価(PV)+カルボニル価(CV)+酸価(AV)指標によって加熱油を評価することを試みた.ヨーロッパ等で用いられている極性化合物量(PC%)と比較しながら評価した.PV+CV+AV指標とPC%は非常によく相関した.決定係数R2はエゴマ油0.99,大豆油0.95であった.廃棄基準とされる PC25% に相当する PV+CV+AV 指標は約60 meq/kg であった.CV 及び AV もそれぞれ PC% と比較的によく相関した.エゴマ油は自動酸化が速く進行したが,今回の加熱劣化試験では各分析値,PV+CV+AV 指標及び着色が大豆油やジアシルグリセロール油(DG 油)に比較して劣ることはなく,またエゴマ油中のトコフェロール量は大豆油やジアシルグリセロール油(DG油)に比較してゆっくり減少した.実際の厨房の処理油はモデル実験の加熱油に比較して AV が著しく高いものがあったが,これは揚げ種からの水分による加水分解の影響と思われる.この現場の油のプロットはモデル実験の加熱油の PV+CV+AV 指標と PC% のプロットの直線から外れた.
著者
加藤 恵子 小田 良子 坂井 絵美
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.11-17, 2011-03-31
被引用文献数
1

本研究は,成長段階にある高校女子駅伝選手(以下駅伝選手)の栄養摂取の現状について把握し,栄養摂取の問題点を見つけ出し,今後の競技成績の向上に繋がる栄養指導の在り方を明らかにしようとしたものである.長距離選手は痩身傾向が理想とされているが,本駅伝選手も例外ではなく痩身傾向を示した.栄養摂取状況では駅伝選手と一般女子高校生との間には顕著な差はみられなかった.一般女子高校生には脂質を多く摂取している傾向が見られPFC比もアンバランスであったが,駅伝選手のバランスは良好であった.駅伝選手の活動に見合った食事摂取基準と比較すると充足率はエネルギー,三大栄養素は約70%と低かった.カルシウム,鉄,食物繊維も低かった.長距離選手に多くみられる鉄欠乏性貧血,骨粗鬆症に繋がる危険性を含んだ栄養摂取状況であった. 高校生の場合は,まだ成長段階にあり,競技成績を追求するあまり,体重のコントロールや偏った栄養摂取が原因で,体調不良に陥ることは決して好ましいことではない.特に学校教育の一環として行っている部活動においては十分に配慮すべきところであろう.高校生の競技力向上には全体的にバランスの良い栄養摂取を元に必要な栄養素を強化する必要がある.本人および周囲の者の栄養摂取に対しての関心を高めることが最重要課題であろう.
著者
内多 允
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-34, 2003-04-01

メキシコ経済は米国に対する依存を無視しては語れない.貿易についても,同様のことが言える.メキシコの貿易は1994年に発効した北米自由貿易協定(英語略称NAFTA)によって益々,米国との連携を強固にした.一方,米国は各国との市場開放を進めている.米国市場でも中国製品の進出によって,メキシコ製品のマーケットシェアが低下している商品も現れている.メキシコの輸出産業を支えてきたマキラドーラ(保税加工業)の国際競争力低下も,表面化している.このような変化に対応すべく,メキシコも対米関係を重視しつつ対外経済関係の多様化を目指している.
著者
本多 一彦 田近 一郎 杉江 晶子 森 博
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.85-92, 2013-03-31

名古屋文理大学情報メディア学部では,様々な機会を通してタブレット端末である iPad の教育利用について,情報発信を行っている.その具体的な内容は,マルチメディア機能を有した電子教科書,講義での補助教材,社会的活動などである.iPad は,携帯電話並の機動性とノートパソコン並みの表示装置を持つことが特徴で,これを活かすことにより,教育分野での新たな発展が期待できる.本論文では,情報メディア分野における主要科目の1つであるプログラミング教育について,iPad の活用例を報告する.iPad 上のプログラミングは,制約が多いものの,iPad を補助的に用いることにより,プログラミング演習のみならず,プログラミングに関連する講義で,有用であることがわかった.
著者
佐藤 生一 中島 千枝 山澤 正勝
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.19-26, 2011-03-31

現在市販されているういろうに使用されている原料粉は,米粉,小麦粉,小麦デンプンおよびそれらを組み合わせた混合物などが使用され,非常に多種多様である.ういろうの品質は,米粉の粒度分布,原料粉の種類,加熱条件などによって影響されることが知られている. 著者らは先に,各種原料粉の特性と得られたういろうの物性および官能評価との関係と,ういろうの物性に及ぼす各種原料粉配合比(1:1)の影響について検討し,それぞれのういろうは著しく物性が異なることを報告した.本研究ではういろうの品質に及ぼすグルテンの影響について検討した. まず,RVAによる最高粘度は,小麦デンプンをグルテンに置換すると,置換量が多くなるほど低下する傾向を示した.一方,これら原料粉で調製したういろうの物性の特徴は,小麦デンプンういろうは破断強度が最も強く,グルテン置換量が増加するほど低下する傾向を示した.色調においてはグルテン置換量に比例してb*値が高く,黄色みが強くなる傾向を示した.官能検査では,強力粉ういろうとグルテン15%置換ういろうが有意に好まれた.
著者
長谷川 聡 安井 明代 山口 宗芳
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.51-58, 2013-03-31

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の教育利用の可能性とソーシャルラーニングシステムの教育効果について名古屋文理大学における実践を通して述べる.SNS は iPad を使った講義や講演で講師と学生間のコミュニケーションに利用した.また,ソーシャルラーニングシステムは,モバイルシステム開発の授業で利用したもので,パソコン上で電子教科書にコメントを書きこむものである.コメントは,ネットワークを介して,教員,SA(学生アシスタント),授業の受講者だけでなく卒業生などからも書き込まれて共有された.本論文では,SNS やソーシャルラーニングシステムが大学教育でどのように利用されたかを紹介する.
著者
近藤 みゆき
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.49-52, 2008-03

近赤外分光法を用いて,道明寺粉デンプンの糊化・老化による分子構造の変化を調べた.加熱過程における近赤外スペクトルの変化の検討からは,加熱時間の増加にともない4770cm^<-1>にみられるデンプン由来のOH基に関連するバンド強度が弱くなる様子が観察された.これは,アミロペクチン分子の水和状態が道明寺粉の糊化とともに変化したためと考えられる.一方,充分に糊化した道明寺粉の冷却過程ではスペクトル変化は観察されず,アミロペクチンの老化が進んでいないことが示された.
著者
佐久間 重
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.55-61, 2010-03-31

本論は,ラインホールド・ニーバーが彼の著作『人間の本性と運命』の中で展開しているキリスト者としての近代文化の捉え方を詳述したものである.ニーバーの解釈を見ると,ルネサンスや宗教改革についての一般的な解釈とは異なった,キリスト者の解釈が鮮明になる.ニーバーは,宗教改革の思想に対してルネサンスの思想が圧倒する形で近代文化が成立したが,近代文化の中には中世以来の聖書的な視点が連綿として続いていることを明らかにしている.つまり,精神運動としてのルネサンスは,人間の無限の可能性を肯定し,歴史に意味があるという概念を再発見することであったが,個人や歴史の成就というルネサンスの概念は,古典思想や中世のカトリックの合理主義に遡ることが出来る.これは,カトリック的神秘主義や修道院の完全さを求める姿勢の中に表されていた.こうした思想がプロテスタントの敬虔主義や近代の進歩思想の基礎となった.また,近代の進歩思想には,聖書の終末論にある希望が大きな影響を与えたが,20世紀に入り進歩思想の限界が明らかになり,思想的混迷が生じており,これを打破するにはルネサンス思想と宗教改革の思想を弁証法的に再検討する必要がある,とニーバーは述べている.