著者
牧野内 猛
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

濃尾平野臨海部と大江と鍋田で掘削されたボーリングの泥質コアの火山灰分析が行われ,鬼界アカホヤテフラ(K-Ah,約7000年前)など,数層の広域テフラ(広域に分布する火山灰層)が検出された.これに基づき平野表層の地下地質を検討した結果,従来と異なる新しい見解に達した.すなわち,濃尾傾動運動(西方に傾動)による沈降は,平野西部より東部が遅れ,かつ東部では小規模と認識されていた.しかし,平野東部の海成粘土層は,より早期から,かつ厚く堆積している.この事実は,濃尾傾動運動は絶え間なく進行したのではなく間欠的であった可能性を示唆している.
著者
山田 啓一
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

周辺車両ドライバの状態に応じた運転支援システムのコンセプトを提案し,そのようなシステムが周辺車両ドライバの状態に適応的ではない従来型のシステムと比べ,より効果的に運転支援が行えることを明らかにした。そして,そのようなシステムを実現するための要素技術として,後続車両の車両挙動からその車両を運転するドライバの反応時間や不注意運転傾向の度合いを推定する手法などを提案した。
著者
栗本 譲 野田 宏治 松本 幸正 高橋 政稔
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

この論文は、自動車交通流と駐車場野総合解析システムである。両シミュレーションモデルとも車両の挙動は、各車両の移動が明確に確認できるミクロシミュレーションモデルを用いた。モデルのシステムモジュールは長さLmとし、その先端に信号機を設置した単路を考えた。道路網および駐車場区画は、システムモジュールを直列、並列に組み合わせて任意の道路網や駐車場区画を構築することが出来る。なお、システムモジュールの連結方法はブロック接続表により接続し、車両の流出人はOD表より乱数処理をすることで決定した。また、信号機は、信号機が設置されている場合はその管制方法に従い、信号機がない場合は、常時青信号とした。シミュレーションは、任意の時間間隔で処理できるが、特に指定しないと車両の挙動を考慮して0.2scc間隔とした。なお、各車両の挙動は前車と自車の速度および車頭間隔により自車の速度を決定する追従理論に従い走行させた。車両の挙動として、自由走行、追従走行、加速走行、減速走行、停止、強制停止および強制減速走行の7種類に分けた。作成したシミュネーションモデルを用いて、平成6年に名古屋市・岡崎市および豊橋市の駐車場5カ所で実測を行い、ついて平成5年に名古屋市中区で実施した占用車線実測結果をそれぞれ入力として計算したところ、出力情報として交通量、速度、駐車待ち時間および車頭間隔等の値が実測値に比べて最大・最小値とも5%以内で良好な結果が得られた。また、シミュレーションモデルの一例として、駐車場では豊橋市の駐車場について、交通流では一方向2車線と一方向1車線道路が交差点で交差し、2車線道路側には右折専用車線を持つ道路が連続して5個ある道路を考え、これら道路の交通量、信号機間隔および信号現示との関係を求めることが出来た。
著者
高橋 望
出版者
名城大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、ニュージーランドで展開される業務・業績管理システム(Performance Management Systems : PMS)、及び学校管理職の養成・研修制度に着目し、両者がいかに学校組織マネジメントに貢献しているのか明らかにすることであった。本研究の最終年度である本年度は、PMSに着目した1年目、学校管理職に着目した2年目を踏まえ、これまでの2年間の成果の整理・検討を包括的に行うこと、また不足点を補うことを第一の課題として設定した。そして、両者の関連性を検討し、本研究の主題である学校組織マネジメントの実態に迫ることを第二の課題とした。具体的には、現地訪問調査において、再度学校訪問を行い、学校が独自に作成しているPMS関連文書の収集や校長・教職員へのインタビュー調査を実施し、実態の更なる追究を行った。ニュージーランドは自律的な学校経営を推進しているため、PMSの取り組みは学校ごとに特色を有しているからである。一方、学校管理職に関しては、教育省の担当者、及び学校管理職研修を中心的に担っているオークランド大学担当者にインタビュー調査を実施した。加えて、不足資料を補うために、オークランド大学やヴィクトリア大学の図書館、及び国立図書館での資料収集を行った。その結果、学校管理職は養成・研修制度において組織マネジメントの素養を身につけ、PMSを活用することによって「人」の管理を行っている実態が見出された。学校組織マネジメントの全体像については、更なる研究の必要性が指摘される。
著者
岡戸 浩子
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、この国で推進されている言語政策および言語教育政策と大きな関わりを持つ学校教育における「第二言語教育」について社会言語学(狭義での言語社会学)的視点から現状を考察し、政策の推進における問題点および阻害要因を明らかにすることを目的とした。そのために、平成15年度〜18年度に渡ってニュージーランドを訪れ様々な調査を行った。第一に、「第二言語教育」の実態と学習者の意識に関して明らかにするために、中等学校の第二言語学習者に対してアンケート調査を行い、得られたデータを基にしてSPSS, Amosによる因子分析やパス解析等の種々の統計的手法を用いた分析を行った。第二に、上記の量的調査に加えて、質的にも確認するために、言語教師に対しては第二言語教育の現状と最近の傾向について、そして言語学習者に対しては言語学習に関するインタビュー調査を行った。第三に、カンタベリー大学、マッセー大学、ワイカト大学、オークランド大学、オークランド工科大学の研究者およびニュージーランド教育省の担当者に対してインタビュー調査を行った。その際、今回の研究にとって貴重な資料・情報を入手することができた。上記の調査結果から、(1)カリキュラム、(2)第二言語の必修化、(3)教員不足、(4)学習者の「言語」教育に対する意識、に関する問題点および課題が明らかになった。これらの課題に取り組むためには、行政によるさらなる積極的な言語教育政策の施行と、ひいては総合的な言語政策が国から打ち出されることが必要であると言える。研究期間中には、中間報告的な内容も含め、いくつかの雑誌論文や図書(著作)のかたちで研究の成果を発表した。
著者
伊藤 俊一
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

・室町幕府は、設立当初より寺社本所領や遠隔地武家領の保護という土地所有秩序の維持・再建を目指していたが、内乱の継続により、前線の守護に権限を与えざるを得ず、政策が実施されないという問題を抱えていた。・守護の在京は南北朝内乱期当初より断続的に見られるが、貞治年間以降の在京は、在京が継続すると共に、在京奉行人の登場に象徴される守護の在京政務機構の整備を伴っており、それ以前とは質が違う。・在京奉行人は、人夫や兵根米の徴収、役夫工米や即位段銭の徴収、寺社本所領をめぐる紛争処理などの業務を担当した。・在京奉行人の登場により、寺社本所領主はこのルートを通じて、所領・所役の問題を直接に守護へ訴えることができるようになる。守護関係者と寺社本所関係者との間の日常的な接触も増える。・守護の在京政務機構の登場により、室町幕府の命令が守護によって遵行されないという問題に一定の解決がもたらされ、室町期荘園制の秩序が安定した。・守護在京制の確立により、京都は幕府を中心に、寺社・貴族などの諸権門、各地方への足がかりを持つ守護とその配下が集住し、利害を調整する場となった。そのような「在京人」社会を統御する存在として「室町殿」が立ち現れたと考えられる。・以上の成果は、室町期荘園制の成り立ちと室町幕府の性格を再考する重要な契機と成り得る。
著者
湯川 和典 吉田 謙二 竹内 典子
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

セマフォリン受容体のplexin-A1を欠損するマウスは、精神疾患で異常となる驚愕反射のプレパルス抑制(PPI)試験において、14週齢以上のマウスで障害が顕著となった。また自発活動量増加と毛繕い行動亢進、加齢進行性のミクログリア過剰活性化と脱髄所見を認めた。したがってplexin-A1欠損マウスは、ミクログリア関与の示唆はあるが未だ本態不明の精神疾患の発症機構解明に繋がる新規知見を得るための有用なモデルと判明した。
著者
岡田 恭明
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

都市部の幹線道路の両側には中高層ビルが建ち並び, それに加えて高架道路が併設されている場合も見受けられる。このような沿道での音環境は, 建物壁面や高架裏面からの反射音の影響によって悪化することは良く知られている。そこで, 本研究では高架・平面道路併設部を対象に建物壁面と高架裏面からの反射音による騒音の増加量を計算するモデルについて検討を行った。その結果, 道路周辺の騒音レベルは, 建物や高架道路からの反射音の影響により8dB程度増加すること, またその計算結果は室内模型実験と比較して妥当な値であることを明らかにした。
著者
田中 敏光 杉江 昇
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

小学校低学年の児童を対象として,コンピュータ内の仮想空間における三次元造形教育を支援するため,バルーンアートを題材とした子供向けモデリングソフトの開発を行った.このシステムでは,細長い風船にねじる,曲げる,ひねるなどの操作を加えて形状を作成する.子供が理解しやすいように,主要な造形機能はその内容を図示した大型のアイコンで表示している.また,操作ごとに異なる効果音を出すことで,操作の識別を容易にし,かつ,作業に飽きが来ないように工夫している.風船モデリングを造形教育に使うには,作った形を評価してより良い形に導く仕組みが必要である.そこで,児童が作った作品をお手本と比較し,一定の値より差が大きければ修正を示す矢印を表示するモジュールを追加した.この指示に従うことで,作品をバランスのとれた形に整えることが出来る.作成した形状をアニメーション動作させるモジユールも追加した.児童が作った作品各部分の長さに応じてアニメーション用の形状と動作を修正することで,作品に対応したアニメーションを生成する.動作の種類は評価に連動して切り替えることができる.試用実験により,システムの使い方は5分程度の説明と数枚の図解で難なく理解できることが確認できた.また,アニメーションは好評で,動きを見るために形を何度も作り変える様子が観察された.しかし,造形操作で元に戻すことが難しい状況になると,困った挙句,始めから作り直す場面が見受けられた.そこで,undo/redo機能を追加し,任意の時点までモデリング作業を戻すことが出来るように改良した.undoバッファには作業開始からの全ての操作履歴を保存するので,これを利用して,お手本の作成過程をコマ送りで表示する機能も追加した.また,ウインドサイズを大きくし,不要な機能を削ることで,作業領域を約2倍に拡大した.これらの改良により,使い勝手が大幅に向上した.
著者
吉永 美香
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2007

住宅建物の陸屋根上に水膜を形成し,夏期における最上階居室の暑熱環境を緩和させる手法について効果の検討を行った。H19年度に光透過型ルーフポンド(RP)試験体を用いた実測による熱収支分析を,H20年度に愛知県に実在するRC造集合住宅の最上階にある居室を対象に実験的検証を行った。いずれも高い屋根表面温度抑制効果が確認された。さらにRC造戸建住宅の屋根全体にRPを設置した場合の冷房熱負荷削減効果を計算により検証した。以上より,RPが効果的に冷房時熱環境を改善するとともに,冷房設備使用に伴うエネルギー消費量を抑制することが明らかとなった。
著者
平山 勉 後藤 明史 竹内 英人
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、初任者教師の授業実践能力育成支援のため、「ユビキタス映像記録視聴システム」を活用することを目指した。配信用の携帯ディバイスをiPod touchから大画面のiPadに改良した。SNSの非公開会議室を利用し、学生同士の意見交換に利用し成果があった。卒業生の授業を配信・活用し、教職課程履修生の授業実践能力育成に資することができた。愛知県総合教育センターと授業映像記録の活用について共同研究をスタートした。
著者
鈴木 紀明 西尾 昌治 下村 勝孝 山田 雅博 西尾 昌治 下村 勝孝 山田 雅博
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

Laplace作用素と熱作用素を統一的に取り扱う目的で,上半空間に放物型作用素を導入し,その作用素が作るBergman空間を定義した.この空間に作用する様々な線形作用素を解析し,特に,Carleson埋め込みとToeplitz作用素の有界性とコンパクト性を示した.
著者
鈴木 淳生
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

売り手と買い手の両者が権利行使可能な金融派生商品のペイオフを一般化し、定式化および価格評価を行った。さらにいくつかの例として転換社債、仕組債(ダブルバリア型エクイティリンク債、パワー・リバース・デュアルカレンシー債)などを取り上げ、売り手および買い手が権利行使をすべき閾値(最適行使境界)の解析的な性質を導いた。
著者
一ノ谷 清美
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ヘンリー・フィールディングの政治的パンフレット、および自身が編集した新聞の論説記事をプレス史の観点から包括的に分析し、18世紀英国における政治文化形成過程の諸相を明らかにしようとするものであった。特に、1745年のジャコバイトの乱に際しての政治的議論に焦点をあてて、彼が政体と宗教に関するホイッグの思想をどのように発展させたのか、また、プレスはジャコバイトの大義をどのように扱ったのかについて論証した。
著者
柄谷 友香
出版者
名城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.犯罪発生の要因分析と犯罪に強いまちづくり方策の提案前年度までに実施したクライムマッピング(警察庁)と高解像度写真を活用した犯罪発生箇所の同定,及び,まち歩きの実施による地域モラル情報の収集・整理によって整備された犯罪空間データと犯罪発生率との関係を分析することによって,犯罪発生要因を明らかにした.具体的には,集合住宅,公園,駅,道路,コンビニエンスストアなどの公共施設との距離と,それらのインフラを維持管理していくための市民のモラル水準を説明変数とし,犯罪発生率との関係の定量化を行った.その結果,対象地域である京都市の地区特性と犯罪発生との関係を定量的に捉えることによって,区画整理や市街地開発を行う際に,集合住宅や公園の配置,さらには,その維持管理のための人的,金銭的投資配分など,具体的なまちづくり方策にっいて検討を行った.2.犯罪マップの公開と作成過程のパッケージ化による防犯意識の啓発本研究では,GIS機能をもつ,ESRI社ArcGIS,及び,一般にも閲覧操作可能なGoogleMapsの異なる特性をもっソフトウェアを用いて,1.の分析結果の可視化を試みた.また,これらのGISを活用して作成した犯罪マップは,最終成果物として地域やWeb GIS(インターネット上)での公開を行うことの必要性と効果の高さについて論じるとともに,今後の防犯への意識啓発への貢献について検討を行った.また,これまでの成果を通した犯罪マップ作成から公開までの一連の過程をパッケージ化し,かつ,マニュアル化することによって,他地域への普及を可能にしていくことを自治体等との議論をもとに整理した.