著者
稲葉 奈々子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.238-252, 2016 (Released:2017-09-30)
参考文献数
44
著者
稲葉 奈々子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.238-252, 2016
著者
稲葉 奈々子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.210-223, 2014 (Released:2015-09-30)
参考文献数
34

新自由主義的な政策に基づく住宅など社会保障の市場化に抗して活動を開始した「DAL (住宅への権利運動)」を中心に, フランスの反グローバリズム運動を分析することが本稿の課題である. 社会保障の市場化は, 社会運動の古いテーマであった再分配の問題をふたたび表舞台に引き出した. 社会保障の市場化によって社会的排除を経験したのは, まず貧困層の移民家族であった. DALの担い手はフランスの旧植民地出身の移民一世が9割以上を占める. DALの運動は, グローバルな規模の構造的不平等を指摘し, 植民地出身者の毀損されたアイデンティティの承認と, 公正な分配を求める運動を連動させて展開する可能性があった. しかし実際には, 新自由主義的な政策が社会の領域をも市場原理で席巻していくことへの異議申し立てとして展開した. 市場経済至上主義に対して「万人にアクセス可能な公共性」を掲げたため, 運動はミドルクラスの支持を得て, 住宅への権利を保障する複数の重要な法律の制定が実現した. そこに植民地主義的な権力関係を問題にするアイデンティティの政治が入る余地はなく, また担い手の移民たちも生活の改善のために勤勉に働く1世で, 「普通の生活」の実現が運動参加の動機であった. 結果として反グローバリズム運動を新自由主義に適合的な行為者が担うという矛盾がみられ, また, 構造的な不平等の是正は実現しなかった.
著者
大曲 由起子 鍛治 致 稲葉 奈々子 樋口 直人 髙谷 幸
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

本研究では、国勢調査オーダーメイド集計を用いて、1980~2010年までの在日外国人の社会経済的地位の動態を分析した。その結果、在日コリアンに関して1950~60年代生まれコーホートに置いて職業ニッチの変化が生じていること、民族経済が脱産業化したという説は過大評価である可能性が高いことを明らかにした。同時に、ニューカマーについては進学格差が縮まりつつあるが、これはリーマンショックによる帰国の影響が強いことも示唆された。また、中国籍に関しては学歴の高い新中間層と技能実習生に分化しており、出生コーホートごとに日本への包摂様式がかなり異なる。
著者
稲葉 奈々子
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.210-223, 2014

新自由主義的な政策に基づく住宅など社会保障の市場化に抗して活動を開始した「DAL (住宅への権利運動)」を中心に, フランスの反グローバリズム運動を分析することが本稿の課題である. 社会保障の市場化は, 社会運動の古いテーマであった再分配の問題をふたたび表舞台に引き出した. 社会保障の市場化によって社会的排除を経験したのは, まず貧困層の移民家族であった. DALの担い手はフランスの旧植民地出身の移民一世が9割以上を占める. DALの運動は, グローバルな規模の構造的不平等を指摘し, 植民地出身者の毀損されたアイデンティティの承認と, 公正な分配を求める運動を連動させて展開する可能性があった. しかし実際には, 新自由主義的な政策が社会の領域をも市場原理で席巻していくことへの異議申し立てとして展開した. 市場経済至上主義に対して「万人にアクセス可能な公共性」を掲げたため, 運動はミドルクラスの支持を得て, 住宅への権利を保障する複数の重要な法律の制定が実現した. そこに植民地主義的な権力関係を問題にするアイデンティティの政治が入る余地はなく, また担い手の移民たちも生活の改善のために勤勉に働く1世で, 「普通の生活」の実現が運動参加の動機であった. 結果として反グローバリズム運動を新自由主義に適合的な行為者が担うという矛盾がみられ, また, 構造的な不平等の是正は実現しなかった.
著者
稲葉 奈々子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

新自由主義は社会的排除という新しい形の貧困を生み出した。それにともなって、これまでの反貧困運動とは異なる特徴を備えた社会運動が1990年代の西ヨーロッパを中心に展開した。本研究はフランスと日本の反グローバリズム運動のなかで、社会的排除を経験する当事者に対するインタビューを行い、その特徴を明らかにした。経済的な貧困のみが問題ではなく、市場原理のみを基準として判断されて自己の存在価値を無用とされた個人の尊厳回復の過程を含む運動として立ち現れていた。そのため運動は、公正な再分配を求める運動であるとともに、傷ついた自己の尊厳を取り戻すアイデンティティ・ポリティクスとしての特徴も兼ね備えている。
著者
稲葉 奈々子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

失業者やホームレスなど社会的排除を経験する当事者の社会運動は、社会的権利を要求する手段であると同時に、同じ経験を共有する排除の当事者の共同性の場としても機能することで、内に向かうインヴォルーションの過程をたどる。しかしながら、「いまだ出会っていない潜在的な仲間」との連帯というフレームが受け入れられたときには、街頭行動が他者と出会う場として認知されるがゆえに、公的空間の占拠などの対抗性を持った抗議行動として表出される。
著者
稲葉 奈々子
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

パリで住宅への権利運動を中心とした争議に参加する都市底辺労働に従事する移住労働者に対して聞き取り調査を行った。福祉国家型の社会統合機能が弱体化するなかで、貧困層の社会権行使は、当事者の当該社会での社会的地位を決定する重要な要素となる。フランスでは、労働運動など、かつて争議を担った主要な社会運動が衰退しており、労働者コミュニティも機能せず、貧困問題への対応が個人化する傾向にある。こうしたなかで1990年代以降活性化してきた社会的排除を争点とした新しい争議は、社会的排除社会といわれる現代社会における社会統合のあり方を考察する上で重要である。本調査では、争議への参加は、移民出身者の場合に出身コミュニティによる規定の度合いが大きいことが明らかになった。当事者のアイデンティティの準拠先が出身コミュニティにある場合には、フランスにおいて経験する社会的排除が、個人的責任として自己認識されない傾向にあることは、前年度までの調査で明らかになったことだが、今回の聞き取り調査では、職業や家族構成が与える影響についても聞き取りを行った。非正規滞在移民については、フランスでの争議の経験が、出身国に帰還したのちに及ぼす影響についても調査を行った。とくに争議の中心を担うマリ人について、バマコにおいて聞き取り調査を行った結果、フランスの出身コミュニティとのつながりを保ち続けているソニンケの場合は帰国後も社会統合が比較的容易であるのに対して、出身コミュニティと切り離されている者の場合、争議をへて獲得したフランスからの資源がまったく得られなくなり、マリにおいても社会的排除を経験していることが分かった。