著者
高井 一雄 岡崎 浩幸
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.63-71, 2019-10-25

本研究の目的は,ルーブリックを活用した学習活動とパフォーマンス評価を通して,学習者の英語スピーキング能力と英語で話すことへの意欲にどのような変化が見られるかを明らかにすることである。研究協力者は高校2年生120名である。また,英語科教員3名に協力いただき,学科の取り組みとしてパフォーマンス評価を実践することで,教師の協働にどのような変化が見られるかについても調査した。結果は,評価の観点として設定した技能については向上が見られ,ルーブリックを活用した学習は効果的であったと考えられる。意欲については期待した効果が得られなかった。教師の協働については,評価基準や情報共有を行う上で指導の共通目標となる「育成を目指す生徒」の具体化に向けて意見交換や共通理解ができた。
著者
佐伯 聡史
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.73-88, 2009-03

本研究は「倒立プロジェクト」と題し,富山市立堀川小学校の協力のもと,児童を対象とした倒立の段階的指導を実践し,その効果について検証する。そしてこの研究は,原則的に授業以外の時間を有効利用して行うこととした。そのためには児童による自習形態が前提となるため,児童が自らの意志で安全に取り組めることと,体育を専門としない教員でも倒立の指導が容易になるようなるような練習プログラムの作成を心がけ,実際の器械運動指導の現場へ寄与することを目的とする。
著者
千田 恭子 嶋田 愛
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.75-91, 2008-11

現在,わが国のクラシックの演奏会における西洋声楽曲のレパートリーは幅広い。その中でも,ドイツリートやイタリア歌曲,イタリアオペラに馴染みが深いように感じるが,ここに至るまでにわが国の西洋声楽曲のレパートリーはどのように変化してきたのだろうか。 本論では,明治以来のわが国の近代化と共に歩んできた西洋声楽曲のレパートリーの移り変わりについて明らかにする。方法としては主に,現在の東京藝術大学の前身,東京音楽学校で行われた各種コンサートの資料を用い,その中から独唱曲として演奏されている西洋声楽曲について調査する。また,時期としては日本人によって初めて西洋声楽曲が演奏された明治29年から東京藝術大学設立までの約55年間を,時代を追って扱うものとする。
著者
竹腰 佳誉子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.203-210, 2012

本稿では,印刷業に関わるフランクリンの人脈,あるいは人脈づくりに着目し,順を追って述べていきたいと思う。それによって,そのネットワークがフランクリン自身にとって,ひいては植民地にとって何をもたらしたのか,植民地独立にいかに関与したのかということも明らかにされると思われる。
著者
石井 哲夫
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.147-149, 2015-03-15

These examples are music classes of Elementary School of Zoonmod and Voranol in Mongolia. The elements of national music are adopted in these classes. Instruments what are used in these class are made from useless articles in some case. We ought to learn from them in Musical education in Japan.
著者
坂本 麻実子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.235-241, 2012

井上ひさし(1934-2010)は演劇界へのデビュー作「日本人のへそ」(1969年 2月初演)から最後の新作となった「組曲虐殺」(2009年10月初演)までの40年間,役者たちの歌を伴奏するためにピアニストを使用する作品を断続的に書いてきた。ピアニスト1名を使うのが井上が愛用するやり方である。井上が愛好した作曲家ガーシュイン Gershwin, George(1898-1937)が自作自演のピアニストとしても活動したことに着目し,井上のガーシュイン愛好と音楽劇におけるピアニストの使用の関連から考えてみたい。
著者
広瀬 信
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.121-145, 2014-10-30

本研究では,イギリスのアカデミック技術者がどのように形成されていったのかを明らかにするための基礎的研究として,どのような経歴(教育・訓練を含む)の者がアカデミック技術者に採用されたのか,またどのような教育・訓練を通じてアカデミック技術者として養成されたのかについての経歴研究を行う。本稿では研究(1)として,スコットランドの2大学,グラスゴー大学とエディンバラ大学の工学教員(土木系と機械系)を対象とする。スコットランドの大学が採用していたサンドイッチ制による技術者養成は,大学卒業後に3年程度の実地訓練を受ける場合のように,大学の指導教授と長期に離れることがなく,指導関係を連続させることができ,アカデミック技術者の再生産にプラスに働いたのではないかという仮説についても検討する。
著者
坂本 麻実子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.139-145, 2014-03-20

1975年に至る井上の創作状況を跡づけ,さらに『それからのブンとフン』および『たいこどんどん』とそれぞれの原作を音楽面から検証する作業を通して井上の作家人生における1975年の意味を考察し,彼の音楽劇への一つの見方を提示したい。
著者
石井 哲夫
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.119-128, 2017-10-25

ベートーヴェンのロンドハ長調op.51-1は,1797年,ベートーヴェンがウィーンに来た頃の作品である。この頃のベートーヴェンは即興演奏を得意とする独創的なピアニストとしての評価が高く,また当時のヨーロッパ社会情勢から音楽家を取り巻く経済的状況がかなり厳しくなってきたことから,ベートーヴェンも貴族のサロン等で行なわれる音楽活動で高評価を維持してゆく必要があり,自身で演奏することを前提としたピアノ曲を書いてゆく必要に迫られた。この作品はそのような状況の中で生まれた。曲中にはピアニストとしてのベートーヴェンが得意とした演奏テクニック,この後のベートーヴェンの作品に顕れてくる様々な作曲技法上の特徴が出てくる。この作品は(わが国では)ピアノ初級者のための教材として扱われる向きが強いが,そこだけで終わりにするのではなく,中~上級レベルのベートーヴェンの他の作品に取り組むようになった後も,それらの作品解釈を行なう際に立ち返ってみるべき作品である。
著者
栗林 睦美 野﨑 美保 和田 充紀
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.135-149, 2018-03-16

本研究では,知的障害者の学校卒業後が豊かで充実したものとなるためには,卒業前にどのような取組が求められているのかについて検討することを目的として,就労・生活・余暇の視点で卒業生の保護者を対象とした実態調査を行った。就労では人間関係・コミュニケーションなどで困難はあるが,職場の人が相談相手となることで,就労の安心充実につながっている現状がうかがえた。生活や余暇については家族と一緒にすごし,困難には家族が対応している割合が高かった。「親亡き後の将来の生活への不安」や「家族とだけではなく友達や支援者と余暇を過ごすこと」「余暇のレパートリーを増やすこと」等の生活や余暇に対する課題も見出された。卒業後の長い生活を見据え「相談できる機関等の情報」「余暇に関する学習の機会」など,学校教育に求められることや取り入れていくべき内容についての示唆が得られた。
著者
和田 充紀 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.45-53, 2018-03-16

本研究では,特別支援学校における主権者教育の現状を明らかにし,知的障害のある生徒に必要な教育内容,卒業後も社会を構成する一員である自覚をもち安心して意欲的に選挙権を行使できるようにするために必要な内容や方法を検討するための基礎資料を得ることを目的として,全国の知的障害特別支援学校を対象として主権者教育の現状と課題について調査を実施した。その結果,知的障害特別支援学校において,9割以上の学校において主権者教育に取り組んでいる現状が示された。自治体による出前授業を利用し,選挙管理委員会から選挙用具を借用する取り組みは生徒の理解と関心を高めていることがうかがえた。課題としては,知的障害者用の授業用資料の充実や,学校全体での教育の充実,そして卒業後も社会につなげていくためには,家庭や選挙管理委員会との連携と実際の投票時の配慮などが示された。
著者
和田 充紀 堀 ひろみ 廣島 幸子 根塚 明子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.57-64, 2017-03-15

高等学校における,特別支援教育の支援体制や連携の現状を把握するため,特別支援教育コーディネーターを対象として質問紙調査をした。その結果,校内における支援体制の整備はすすめられているが,特別支援教育に関する研修や制度化が進む「通級による指導」などの情報は不足していること,また,在学中の発達障害等の生徒の指導や支援に直結する連携や情報交換と比較して,進学・就職先との連携は少ない現状が明らかになった。発達障害等の生徒の連続性のある支援のためには,高等学校における学校全体での特別支援教育への理解と支援体制の整備,関係機関との円滑な連携が求められる。
著者
Pastor Matamoros Sofia Sumi Atsushi
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.107-120, 2014-10-30

Through the history of art education in Spain, the current Spanish Educational System,the legislative framework in the field of art education, the social reality surrounding Spanish children and the experience of teachers who form them in Art as a compulsory subject: we will approach the reality of the current art education in the country. Taking the assessment as a key theme of our consideration, we will present a study of cases by teachers located in a specific area, in a specific socio-economic, cultural context of high-medium level, describing how they apply in practice, the different methods, of evaluation of Arts Education given by the Spanish government and what are the main tools for evaluating teachers in this field, which in turn is subdivided, in Plastic and Visual Education and Music Education.
著者
中村 順子 浦林 寛英 中島 育美 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.199-204, 2011-10

わが国における大学等の高等教育における発達障害傾向のある学生に対する支援は始まったばかりであり,また,これまでカウンセリングが中心となっている。平成23年度より,大学入試センター試験において,発達障害学生が受験する際の合理的配慮が公的に保障されるようになったため,今後の大学における発達障害学生への支援については,質的にも数的にもさらなる充実した取り組みが必要になると考えられる。本稿では,発達障害学生に対して,障害者支援に関する法的整備,医療との連携を踏まえた上での根拠のある支援を継続してきているアメリカ合衆国の例をもとに,わが国の高等教育における今後の発達障害学生への支援のあり方を検討した。
著者
酒井 卓 福島 洋樹 山田 顕 堀田 朋基
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.57-65, 2014-03-20

本研究の目的は,立ち五段跳の動作特徴を明らかにし,指導場面への知見を得ることであった。通常の立ち五段跳と上肢を固定した条件下での立ち五段跳を実施させた。立ち五段跳の跳躍距離を規定する要因として,鉛直速度,接地時間,腰回旋角度,振込み速度が挙げられた。また熟練者は,より離地直前で肩と腰の回旋の切り返しを行っていた。接地期の肩と腰の回旋動作範囲は,熟練者が最も小さく,未熟練者ほど大きくなる傾向を示した。上肢を固定した試技は,跳躍距離,身体重心速度,脚スイング速度,振込み速度を低下させ,接地時間,体幹の前屈角度を増加させた。指導場面への知見として,短い接地時間で実施できる運動様式であることを優先させながら,遊脚の振込み動作を強調すること,接地期の腕の振りはコンパクトに実施することが挙げられた。