著者
中村 洋 佐藤 是孝
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

ECMの分解において重要視されている酵素の1つであるMMPsとその共通の内因性阻害因子であるTIMPsのバランスの崩壊は、組織破壊の進行の重要なポイントとなっている。これまでに根尖性歯周炎関連細菌がMMP-1やMMP-9を活性化することは報告されているが、プロMMP-2の活性化およびTIMPsの不活性化についての報告は少ないので本研究で検索する。1)MMP-2活性の測定 各SBE共存下で培養したPL細胞培養上清中のMMP-2活性と、各SBEをHT1080細胞培養上清と反応したものをゼラチンザイモグラムで解析した。その結果、両実験ともにP.gingivalisSBE添加群では、活性型MMP-2と考えられるバンドの出現を認めた。2)TIMP-1量およびTIMP-2量の測定 TIMP-1量はKodamaらがそれぞれ開発したEIA法にて測定した。その結果、PL細胞培養上清ではP.gingivalis SBE添加群ではTIMP-1を検出できなかった。また、HT1080細胞培養上清とP.gingivalis SBEとの反応では、TIMP-1,2量はP.gingivalis SBEの濃度依存的に減少傾向が認められた。3)TIMP-1活性の測定 精製TIMP-1と各SBEを反応させ,反応液中に残存するTIMP-1活性をMMP-1およびMMP-2に対する阻害活性として測定した。P.gingivalisのSBEは、TIMP-1のMMP-1阻害活性を低下させた。また、リバースザイモグラム法にてMMP-2に対するTIMP-1の阻害活性を検索した。コントロールに比べて、P.gingivalisSBE添加群の場合には、その活性バンドの著しい減少(MMP-2に対する阻害活性)を認めた。
著者
吉田 康夫 吉村 文信 永野 恵司 長谷川 義明
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

インドールなどの代謝産物は、細菌のバイオフィルムの形成に影響を与える。本研究課題では、歯周病細菌のインドール産生酵素であるトリプトファン分解酵素についての研究を行った。まず、歯周病細菌の一種であるPrevotella intermediaのトリプトファン分解酵素を精製して、その酵素学的な性質を明らかにした。また、22種のPrevotella種のインドール産生能および関連遺伝子の有無にについて検討を行った。次年度以降は、環状ジヌクレオチドである、Cyclic-di-GMPの合成タンパク質と分解タンパク質に着眼して、それらの酵素を精製し、その機能について検討を行った。
著者
鶴田 昌三 伴 清治 岩田 純士 川瀬 真由 鈴木 崇由 安藤 正彦
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

鏡面研磨した歯科修復用ジルコニアは撥水性であるが、(1) 歯磨によって水のぬれ性が向上すること、(2) 673K以上に加熱すると同じく優れたぬれ性を得ることを見出した。加熱試料上は細胞増殖能に優れ、インプラントの前処理として可能であった。XPS分析によると、表面に吸着したカーボン量が歯磨や加熱により減少していた。すなわち、歯磨には加熱と同様にジルコニア表面に吸着したカーボンを除去する働きがあり、このため親水性を獲得することを明らかにした。
著者
安富 真澄
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学教養部紀要 (ISSN:09162631)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.1-11, 2004-03-31
著者
大澤 功
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢. 心身科学部紀要 (ISSN:18805655)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.39-46, 2008-03

目的:身体活動と悪性新生物のリスクとの関係を,発表された臨床研究を用いて評価する.方法:2000年1月から2006年12月までにMEDLINEに登録されている身体活動と悪性新生物との関連を検討した前向きコホート研究を検索収集して評価を実施した.結果:悪性新生物による死亡を検討した11論文,悪性新生物罹患を検討した56論文について評価した.死亡を検討した11論文中8論文において,身体活動量の多い生活習慣は悪性新生物による死亡の減少と統計学的に有意な関連があることを示していた.部位別では,大腸がんと乳がんでは多くの論文が身体活動によって罹患のリスクが低下すると報告していた.前立腺がん,卵巣がん,膵臓がんでは結論は一致していなかった.結論:身体活動量の多い生活習慣によって,悪性新生物による死亡の抑制と大腸がん予防および乳がん予防が期待できる.
著者
岡田 義昭
出版者
愛知学院大学
雑誌
地域分析 : 愛知学院大学経営研究所々報 (ISSN:02859084)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-24, 2008-09

中国通貨当局の市場介入による人民元安維持が経常収支の黒字幅拡大・外貨準備増をもたらしており,こうした貿易不均衡を是正すべく中国為替制度の変更ならびに中国為替市場の改革を早急に押し進める必要があるとの国際的認識が今日顕著となった。しかしながら,中国の"趨勢的"な経常収支不均衡の是正は人民元レートの変動では困難なことを,本稿においてベクトル自己回帰モデル(VAR)に基づく実証分析により明らかにした。ただし,中国における上述為替制度・為替市場改革の議論は,経済厚生の観点からそうした貿易不均衡の議論とは切り離して検討をしておくことの必要性もあわせて指摘した。
著者
川口 高風
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学教養部紀要 (ISSN:09162631)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.158-135, 2002-02-25
著者
平井 勝利
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知學院大学語研紀要 (ISSN:03885402)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.3-8, 2004-01
著者
勝股 高志
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学教養部紀要 (ISSN:09162631)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.33-50, 1999-03-25
著者
斎藤 忠志
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢. 商学研究 (ISSN:02858932)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.11-61, 2004-09-30

家電流通機構は未整備であったが, 戦後, 大量生産体制を確立した家電メーカーは卸売段階, 小売段階に対して各種の指導・援助を提供し家電流通経路を整備した。その結果, 卸売段階はメーカーの販売会社となり, 小売段階は各メーカーの系列店と呼ばれるものになった。業界は成長するが製品普及率の高まりとともに, 複数メーカー製品を扱う非系列の家電専門量販店が誕生し, 品揃えと低価格販売により市場シェアを拡大させた。一方で日米構造協議を契機に業界の取引制度改善が要請されて, 流通系列化政策は見直しを迫られる。バブル崩壊後, 新興大型専門店が出現し中小規模の系列店シェアは縮小し, メーカーは消費者重視の視点から流通業者との間で新しい取引関係の構築が求められる時代になっている。
著者
浅井 昭博
出版者
愛知学院大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

歯周病の原因である細菌は、Porphyromonas gingivalis, Actinomyces viscosus等の嫌気性細菌が有力とされているが、従来の方法による細菌採取では、歯周ポケットに限局した採取とならざるを得なかった。外科療法は歯周治療に占めるウエートは大きいが、歯周外科処置の細菌学的考察は困難とされていた。歯周病の発症や進行の機序解明に関する分野において、歯周ポケットのみならず、ポケット以外の歯周組織への細菌の侵入による局在の様子を明らかにし、実際に歯周病関連菌の侵入を受けている歯肉組織を歯周外科処置にて除去し得ているか、in situ Hybridization(ISH)法を含めて細菌学的に観察をすることを目的とした。歯周外科処置により除去した歯周組織を標本とし、P. gingivalisのFim遺伝子の約0.96kbp HincII-BsmI断片DNAプローベをもとに、従来検出不可能あるいは極めて困難であった歯周組織内への細菌の侵入、局在の様子を観察する方法を得た。その有効性を検証するために、歯周ポケット内においては従来の培養法を用い、歯周外科療法の効果実証を行った。細菌検査は歯周外科処置前後および対照菌について実施し、併せて臨床効果判定を行った。現在、歯周外科処置時に標本を採取することにより、P. gingivalisが歯周ポケット内のみに限局せず、歯周組織内に広範に侵入していることを明らかにしつつある。また、各種歯周病関連菌に対する培養法による結果を基に薬剤投与法の検討を行い、Local Drug Delivery System応用による塩酸ミノサイクリンの歯周局所への投与の有効性を細菌学的・臨床的に実証し、塩酸ミノサイクリンを含有したストリップスタイプ歯周病薬「SDP」を開発し、発表した。今後、“Checkerboard"DNA-DNA Hybridizationを行い、観察可能な歯周病関連菌の菌種を増やす予定である。