著者
立川 武蔵
出版者
愛知学院大学
雑誌
禅研究所紀要 (ISSN:02859068)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.200-176, 2007-03-31
著者
伊藤 史 赤嶺 亜紀 木田 光郎
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢. 心身科学部紀要 (ISSN:18805655)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.45-51, 2007-03-10

二重課題法を用いて,課題に配分される注意的資源の量が,事象関連脳電位の2つのP3(初期P3と後期P3)を測定することで査定された.初期P3は刺激評価の処理を,後期P3は刺激評価後の処理を反映すると推察されている.RT only条件において,被験者(N=29)は,弁別反応(RT)課題のみを遂行し,二重課題条件において,彼らはRT課題とカウント課題を同時に遂行した.RT課題の標的刺激に対する初期P3と後期P3が測定された.初期P3振幅は,カウント課題が困難になるにつれて系統的に減衰した.一方,後期P3振幅は,RT only条件よりもカウント課題が最も難しかったときに増大した.初期P3振幅と後期P3振幅におけるこれらの結果は,知覚-中枢資源に依存した刺激評価の処理は2つの課題間で相補的であるが,反応と関連した資源に依存した刺激評価後の処理はそうではないことを示唆している.
著者
杉下 守男
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学教養部紀要 (ISSN:09162631)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.69-81, 1993-12-25

坐禅時にアルファ・パワーの出現と関係する要因として、禅をしようとする努力ないし構えと坐禅の姿勢を保とうとする意志的コントロールが考えられる。通常の坐禅においてはこの二つの要因は重畳して働いている。脳波のアルファ・パワーの出現の様子から考察すると、今回の実験では、経験者群では禅をしようとする努力の要因が十全には働かず、姿勢を保とうとする意志的コントロールの要因が働いた。非経験者群においては、禅をしようとする努力の要因は働いたが、姿勢を保とうとする意志的コントロールの要因は働かなかったと考えられる。
著者
松原 敏浩 Masum Mohammad Ali Al
出版者
愛知学院大学
雑誌
経営管理研究所紀要 (ISSN:13413821)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.51-71, 2007-12

本研究の目的は,カリスマ的リーダーシップの両極端であるオーセンティック・リーダーシップとナルシシスティック・リーダーシップの文献展望をすることである。最近リーダーシップ研究に新しい動きが見られるようになった。オーセンティック・リーダーシップの研究である。本研究ではオーセンティック・リーダーシップの概念定義,ポジティブ組織行動との関連性,リーダー・メンバー関係,能力開発などについて論じた。他の一つがナルシシスティック・リーダーシップである。このリーダーシップについても概念定義,測定法,ナルシシスティック・リーダーのパーソナリティ,リーダー・メンバー関係,能力開発について論じた。最後に両理論の問題点と相互の関係についても論じた。
著者
新井 亨
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢 商学研究 (ISSN:02858932)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.67-81, 2005-12

本稿ではインターネット広告の定義を明らかにし,インターネット広告の分類を(1)パソコンかモバイルか,(2)プッシュ型かプル型かという視点から整理した。さらに,インターネット広告の媒体特性については,プッシュ型の広告は詳細なターゲティングが可能であり,プル型でもWeb広告からホームページに誘導することによって詳細な情報を掲載できるという長所を持つが,インターネット媒体の信頼性は低いと考えている。また,他の広告媒体との関係は,テレビCMとは視聴時間に競合関係があり,新聞・雑誌広告とは情報の信頼性や専門性において補完関係にあるのではないかと結論づけた。
著者
井村 英人
出版者
愛知学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

口蓋突起癒合後に解離し,口蓋裂が発症している現象に着目し,口蓋裂発生のメカニズムを細胞・分子レベルでのシグナル伝達の相互作用と、制御機構から解明することを目的とした。口蓋形成期における口蓋突起癒合時に,上皮索基底膜のパールカンおよびコラーゲンIVの消失が認められ、口蓋突起上皮細胞が分泌したヘパラナーゼは間葉系細胞の分化・増殖を惹起する可能性が推測された。また、口蓋突起が伸長する際、口蓋突起鼻腔側の基底膜にLamininの陽性反応を認めた。癒合前の口蓋突起全体にPCNA の局在を認め、活発に細胞増殖が行われていることが考えられた。
著者
中村 昭二 永原 邦茂
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

国際頭痛学会分類では,咬合異常が頭痛の発症因子である記載は見られない.しかし,咬合治療により頭痛が改善することは少なくない.そこで不正咬合と頭痛の関連について,歯科治療を目的として来院した患者の協力を得て調査を行った.前後的に正常被蓋,上顎前突,下顎前突の3タイプに分類し,同様に上下的に正常被蓋,過蓋咬合,開咬に分類した.頭痛の診断は国際頭痛学会分類(IHS)に従って神経内科医が行った.過去1年以内の頭痛経験者を頭痛ありとした.結果:1.調査対象者1401名の49.2%に頭痛が見られ,そのうち,片頭痛単独が30.2%,緊張型頭痛単独が27.6%,両者の混合性頭痛が36.6%,その他の頭痛が5.6%であった.2.(1)前後的不正咬合の分類;各不正咬合別頭痛発症率は,下顎前突が65.3%,上顎前突が57.5%,正常被蓋が45.1%の順であった.また正常被蓋と下顎前突は片頭痛が緊張型より多くみられ,上顎前突では逆であった.特に正常被蓋と上顎前突に差(P<0.001)がみられ,正常被蓋では偏頭痛が,上顎前突では緊張型頭痛が多く見られた.(2)上下的不正咬合の分類;各不正咬合別頭痛発症率は,開咬が73.9%,過蓋咬合が58.1%,正常被蓋が43.7%の順であった.また,正常被蓋と開咬では片頭痛が緊張型より多くみられ,過蓋咬合では逆であった.その有意差検定でも正常被蓋と過蓋咬合,過蓋咬合と開咬に差(P<0.001)がみられ同様の所見がみられた.総括:頭痛の病態に対する詳細はまだ知られていないが,今回の研究から不正咬合の分類と頭痛のタイプに関連があり,いわゆる「咬合関連性頭痛」があることが窺えた.今後の研究:さらに頭痛と病的咬合因子との関連性を求め,歯科的治療法を確立していく予定である.
著者
夏目 長門 酒井 映子 山中 克己 大塚 隆信 千田 彰 中垣 晴男 小島 卓 服部 正巳 前田 初彦 森田 一三 井上 誠 吉田 和加
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

モンゴル国において3年間に5回にわたり調査を行うとともにモンゴル人スタッフに通年依頼して調査を行った。その結果、(1)モンゴル人口唇口蓋裂発現率は、0.07%であった。(日本人口唇口蓋裂0.2%)(2) 961名の妊婦の母体環境調査を行った。(3)モンゴル人の口唇口蓋裂遺伝子レポジトリーでは、1, 999名の試料を入手できた。
著者
森 隆司
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

生体の顆頭安定位での骨関節隙を,CT画像から再構築した顎関節の全体について3次元的に計測して,顆頭安定位の形態的な適合性を検討することが本研究の目的である。結果の概要を,以下に示す。1.顎関節骨形態の3次元再構築法:CT画像の下顎窩と下顎頭の形態の2次元座標を計測し,その座標値を3次のスプライン関数で補間する。次いで,形態輪郭線上の1画素ごとに,新たにサンプリングした2次元座標値を積み重ねて上下方向の点列を作成する。この点列を補間して曲線化し,矢状面の骨の輪郭線を描画した後に,曲線の始点から終点までを5画素ごとに2次元座標をサンプリングし,約0.25mm間隔で3次元構築のための構成点の座標値を抽出する。そして,この座標値から顎関節の骨形態を再構築した。2.骨関節隙の計測法:下顎窩を構築する構成点の一つから,すべての下顎頭の構成点への3次元的距離を算出し,その距離が最短となる下顎頭の構成点を選び出して,この距離を選出した構成点での下顎窩-下顎頭間距離とする。そして,骨関節隙の量は隣接する3個の構成点での下顎窩-下顎頭間距離を平均した値とする。骨関節隙の様相は,隣接する3個の構成点で規定される部位の面積の総和を算出することで検討した。3.顆頭安定位での形態的適合性:下顎窩と下顎頭が2mm以内で近接する部位が占める面積の割合の平均は,下顎頭の外側前方部:56.4%,同じく外側後方部:36.0%,中央前方部:45.4%,中央後方部:31.1%,内側前方部:38.7%,内側後方部:18.9%であった。すなわち,外側部では,下顎頭と下顎窩とが2mm以下のわずかな間隙を介して対向している部位が多いことになる。これは,下顎窩と下顎頭の形態は,咬頭嵌合位(中心咬合位)では外側部がより適合していることを意味していて,顆頭安定位での形態的特徴の一つであると考える。
著者
熊田 一雄
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学文学部紀要 (ISSN:02858940)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-13, 1998

内観法(内観療法)とは,日本的心理療法(人格修養法)の一種である。そもそも,浄上真宗の一派で阿弥陀仏に対する信心を獲得するために行なわれていた「身調べの行」を応用したものである。内観法の基本は,両親など生活史上の重要人物を対象に,1.していただいたこと 2.して返したこと 3.迷惑をかけたこと,の3点を数え上げていくことである。通常は母親(ないし母親代わり)との関係を最重視する。「我執」を去って「人の身になる」トレーニングであり,「他者の愛と自己の罪」を凝視させることを目的とする。現在内観法は,比較的簡単な心理療法(人格修養法)として,宗教界(既成仏教・新宗教の両方)・教育界・企業研修・矯正所・臨床心理・精神医学などの各方面で広範囲に応用されており,日本内観学会の推定によれば,既に10万人を上回る支持者をもつ。またそれとは別に,70年代以降勢力を拡大しているいわゆる新新宗教(第4期新宗教)に内観を採用するグループは数多く,GLA系諸教団もそのひとつである。筆者が調査した「エルランテイの光」(1986 -)は,GLA系諸教団が完全に「内観サークル」へと展開した事例である。筆者はこうした現代日本の内観サークル運動について,吉本内観との関係を中心に既に何本かの論文を執筆しているので,詳しくはそちらを参照されたい。このグループでは,共依存者(「自分がない」人)に対して自覚を促すべく常識を逆撫でするような独特の説話を読ませている。参加者が初期の段階で必ず読まされるテキストの中には,「ブッダやイエスにならないための戒め」とでも呼ぶべき説話が含まれている。それらの物語では,ブッダは「母を失った自分を呪った」ことを反省している人物として,イエスは「母を切り捨てて神を求めた」ことを反省している人物として描かれている。ブッダは,「揺れない心」を求めるあまり自分の「欲の心」が見えなくなり,「母を失った自分を呪って」苦行に打ち込んだもののド悟った」と思って見た光の正体は自分の「欲の心」であった,ということになっている。一方イエスは,「母を切り捨てて神を求めた」のであり,十字架の上で「殉牧者を気取って自己陶酔」しながら「内心ひそかに母を見下していた」ことになっている。もちろんこれらの説話は学問的にはナンセンスな話であるが,「自分がない」人に対して「私にもそういう裏の心理があるのかもしれない」と自己反省させる効果をもつ。一般に内観サークルにおいて「先行する内観者の記録」は重要な役割を果たすが,このグループは「意識資料集」という名前でそれを蓄積している。そこには「内観者の生の手記や体験談」だけではなく,「軍人・サムライ・カルメン・マリー・アントワネット・巫女・酒鬼薔薇君」といった類型化された「見立て話」が数多く含まれており,参加者に対してそれらの見立て話も各自の内観(反省)の参考にさせている。もちろん,このように『見立て話」が発達するのは,参加者の「匿名性」を確保するためでもあろう。しかし,そうした消極的理由だけではなく,積極的な理由もある。そもそも「見立て話」とは,「個別の人物の物語」と「普遍的な心理学的実体概念」の中間領域に位置付けられる物語論的行為である。このグループの「見立て話」は,普遍的概念への志向が弱い「日本の大衆文化の伝統」と,複雑な心理的葛藤を扱う「心理療法の伝統」が合流したものとみることができる。ひるがえって,1.日本の新宗教における「見立て話」の伝統を再検討する,2.心理療法における実体概念を「見立て話」として再検討する,という作業も今後必要なのではないだろうか。