著者
神田 健三
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.428-435, 2012-09-01 (Released:2018-01-31)
参考文献数
16

雪の結晶には樹枝六花や羊歯六花と分類されるデンドライトの形状のものがあり,これらはサイズが大きく,雪の結晶の代表的な形と考えられることが多い.雪の研究を行った中谷宇吉郎は,人工雪を作ることに成功し,雪の結晶形とそれが成長する際の物理的条件(気温・湿度)の関係を明らかにした.その成果である中谷ダイヤグラムから,デンドライトな成長は-15℃前後で起こることがわかる.本稿では,雪の結晶について,主にデンドライトな成長に関わる内容を検討した.又,筆者が属する中谷宇吉郎雪の科学館(石川県加賀市)では,雪や氷のいろいろな科学実験を実施しているが,そのうち,デンドライトな成長が観察できるものを中心に,実験内容を紹介した.
著者
九鬼 俊雄 中村 智紀 板橋 裕行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.303-308, 2004

0.13μm以降の半導体デバイスの故障解析・早期検証において裏面からの解析が必須となってきている.エミッション裏面解析ツールEmiScope^[○!R]及びIREMは近い将来の45nmプロセスまで対応可能であり,裏面からのフォトンを高効率で収集することができる.
著者
神山 敦
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.196-203, 2018 (Released:2019-12-02)

モバイル製品に搭載されているリチウムイオン電池(LIB)の事故件数に増加傾向が見受けられる. モバイルバッテリー,スマートフォン,ノートパソコンの事故等,LIB が関係する製品事故,LIB の構 造及び特徴について,製品安全の観点から解説する.
著者
向殿 政男
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.554-559, 2002-10-25
被引用文献数
1

これまで個別技術として発展してきた各分野の安全技術には,実はかなりの共通的な考え方がそこには横たわっている.各分野で開発された安全技術に共通する考え方を一般化,原則化することで,他の分野の安全技術にも応用可能な道が開けるはずである.これを実現するためには,あらゆる安全技術をその適用範囲の広さ,抽象度に従って階層化する必要がある.本稿では,それを三層構造で構成することを提案している.一方,安全には,個人の価値観やその時代の社会の価値観が深く関与している.従って,安全には,工学としての技術だけではなく,人文科学や社会科学が深く係りあっている.真の安全を実現するためには,広く人文・社会科学を包含した包括的な立場から安全を考察し,安全を学問として構築していく必要がある.本稿では,安全技術を基礎にした安全学の確立を提案している.以上を実現するために,本稿では安全に纏わるあらゆるキーワードを網羅してリストアップし,それらを分類し,階層化することを提案する.これを安全マップ,または安全曼荼羅と呼んでいる.

1 0 0 0 OA 巻頭言

著者
近藤 次郎
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性技術協会誌 (ISSN:18846475)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.1-5, 1986 (Released:2010-09-07)
著者
斎藤 彰
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.64-71, 2018 (Released:2019-10-07)

ディープラーニング技術の発明以来,様々な分野で業務の AI 化が進み,社会の構造が大きく変化しつつ ある.一方,品質という社会的責任を支える品質管理部門の人材不足は深刻であり,また電子機器の複雑 化・精密化に対応できる高い故障解析力を有する故障解析技術者の育成は至難の業である.本報文では, AI 自体の進歩や社会への浸透ではなく,AI 化がもたらす故障解析業務への影響を主に示した.加えて,故 障解析技術者の育成や技術の伝承をサポートするための方向性も示した.なお,本報文は,日本信頼性学 会故障物性研究会での調査結果と議論した内容に筆者の私見を加えたものである.
著者
鵜沢 滋 小松 昭彦 小川原 鉄志
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.276-283, 2002-05-20 (Released:2018-02-26)

当社では,アルミ固体電解コンデンサに迫る電気的特性と実用性を有するアルミ電解コンデンサを開発し,1998年にZシリーズとして商品化した.このZシリーズの駆動用電解液には,水を主溶媒とした電解液(水系電解液)を用いている.従来,水系電解液を用いたコンデンサは,低インピーダンス特性が期待できる反面,高温条件下では,アルミニウム電極箔と水との著しい化学反応(水和反応)により短時間で急激な特性変化を起こすという欠点があった.また,開発当初に行った温度加速試験において,このコンデンサの寿命は,寿命推定に適用されるアレニウス則(2倍/10℃加速の法則)が成立せず,アルミ電解コンデンサの信頼性に最も重要な寿命の予測ができないという課題も抱えていた.これらの大きな障害により,従来のアルミ電解コンデンサ駆動用電解液は,水を少量添加することはあっても,主溶媒として使われることはあり得なかった.当社では,これらの課題を克服できれば,水系電解液の持つ高い電気伝導特性を生かして,超低インピーダンスの理想的なコンデンサを製造することができると考え,20年前より研究開発を行ってきた.その結果,溶媒として水を単独で用いた電解液でも,従来の有機溶媒を用いた電解液とほぼ同等のコンデンサ寿命特性を有することを確認した.そして,水の反応性を制御することに成功し,多くのノウハウを集積して実用性の高いアルミ電解コンデンサを開発し商品化するに至ったのである.ここでは,水系電解液を用いたコンデンサの開発について述べる.
著者
堀籠 教夫
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.91-98, 1996-02-10 (Released:2018-03-02)

ベイズの定理そのものは比較的構成が簡単であるが、従来の客観的統計と大きく異なる点は事前分布という分布の導入にそのすべてが凝縮されている。つまり、事前分布に個人の経験等が入るためであり、この定理が主観統計と言われるゆえんである。ここでは指数分布を取り上げて、この分布にベイズの定理を当てはめた2つの場合を取り上げる。1つはアイテムのバーンイン時間の決定についてであり、もう1つはこの定理を指数分布に当てはめて表現した場合について取り上げる。いずれもベイズ特有の計算等が入るがそれらについても詳述し解説する。
著者
喜多 義弘
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.207-210, 2016 (Released:2019-07-22)

近年,IoT(Internet of Things)は様々な分野で採用され,医療分野にも広がりつつある.IoT を実現す るために,それを担うソフトウェアが必要不可欠であり,その品質を保証するには開発の際にソフトウェ アテストを実施しなければならない.しかしながら医療分野においては,ソフトウェアの品質に加えて, 安全性も重視する必要がある.本稿では,ソフトウェアテストの現状に触れつつ,医療 IoT のソフトウェ アテストにおける課題について紹介する.
著者
松野 裕
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.174-179, 2014

様々なシステムが開発と運用を明確に分けられることなく,絶え間なく運用されるようになった.例えばスマートフォンは,常にソフトウエアが更新され日々新しくなっている.これからのシステム保全は,運用の一部分としてではなく,システムのライフサイクル全体で行う必要がある.本稿ではシステム保証の新しい手法であり,筆者が最近研究を行っているアシュアランスケースを説明する.次にシステムライフサイクル全体におけるシステム保全性保証の例として,電気通信大学(以下,電通大)などが提案しているOMG Dependability Assurance Framework for Safety-Sensitive Consumer Devices(SSCD)国際規格について説明する.SSCDは日本のすり合わせ開発をモデル化したプロセスモデル,システムのディペンダビリティに関連する用語モデル,そしてシステムのディペンダビリティを保証するためのアシュアランスケーステンプレートよりなり,日本発のシステムのディペンダビリティ保証の枠組みとしてIPA(独立行政法人情報処理推進機構)を中心に策定中である.SSCDを元に,保守の観点から,システムライフサイクル全般のディペンダビリティ保証について考察する.
著者
高倉 弘喜
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.126-133, 2015

サイバー攻撃の手法は日々進歩している.従来,サイバー攻撃に使用されるプログラムの開発では,有効性確認のためにインターネット上のコンピュータを無差別に攻撃する試し撃ちが世界中で観測された.それを観測・解析することにより攻撃者が狙っている脆弱性の推定,攻撃プログラムの開発状況を把握し,事前に防御策を講じることも可能であった.しかし,2010年代に入り,攻撃者の目的が愉快犯的なものから機密情報や個人情報など価値のある情報窃取に移行したため,試し撃ちの観測は困難となりつつある.攻撃者は事前の綿密な調査を経て,標的とする組織や人物に特化した攻撃プログラムをインターネット上で試用することなく開発し,対象者のPCに直接感染させ乗っ取ることができるようになった.このため,従来の観測手法ではサイバー攻撃の状況を把握しにくくなっている.この問題に対処するため,組織内ネットワークの通信を監視し,基準を超える異常な通信を見つけ出す手法が求められつつある.
著者
佐藤 真吾
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.13, pp.31-34, 2000

半導体製品の評価試験の一つにESD耐性試験があり、そのうちの最も標準的に行なわれているものがHuman Body Model (HBM)試験である。このHBM試験では、ESD印加後、デバイス破壊判定を行なうが、この破壊判定において、その従来の方法では充分に検知できない破壊の事例を最近の試験でいくつか経験した。そうした問題に対応する有効な判定方法・条件の改善を実施すると同時に、さらに、従来のDC測定による方法に加えて、製品機能試験を効果的に併用することで、破壊の見逃しのリスクを最小限にする、より正確かつ効率的な判定方法を提案・実施した。
著者
石田 豊 高津 雅一 蓬原 弘一
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.877-880, 2003-11-25

非常停止ボタン,トング利用のドアスイッチ,3-ポジションイネーブルスイッチは代表的な機械的安全コンポーネントとして現在現場で盛んに実用され,また国際的にもその利用が推奨されている。国際安全規格はこれらの機械的構造に対して安全確保原則を定め,その適用を強く推奨している。本報ではこれらのコンポーネントの機械的構造を論理的一般式にて表現し,安全確保の構造特性を安全確保原則に基づいて説明する。
著者
真田 克
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.711-729, 2002
被引用文献数
5

ID_DDQ(Quiescent Power Supply Current)異常はLSI内部に物理的欠陥が存在することを知らせるシグナルである.このシグナルは欠陥箇所を介して電源端子より電流異常として検出される.本文はこの現象を用いたCMOS-LSIのテスティング,故障解析,および診断方式の研究動向について述べるものである.まず,テスティングはこのシグナルを電源端子より検出することでLSIの異常と判定する方式である.故障解析は異常電流に起因する物理現象をLSI全体から観察し発生箇所を検出する方式である.そして,故障診断は論理情報とI_DDQ異常を伴うテストベクタ番号を用いてソフトウェア上で異常発生箇所を特定する方式である.さらに,この診断技術は製造ライン上の致命的欠陥箇所特定に適用される.
著者
益田 昭彦 夏目 武 中村 國臣 小野寺 勝重 原田 文明 堤 晴雄 小渋 弘明
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.554-563, 2003

2002年10月IEC総会が中国北京市で開催され,TC56(Dependability)の総会も同時開催された.日本の代表団は7名となり従来になく充実した討議を行うことができた.今回の焦点はIEC 62309の再使用される電子部品の信頼性要求事項に開する規格で,地球環境にディペンダビリティが関わる第一歩となった.すなわち資源循環型社会の構築に不可欠なreuse (再使用)について信頼性の視点から規格を設けることである.またSAG(戦略諮問会議)では,TC56の基本活動範囲の中でディペンダビリティの概念を拡張する方向付けが容認されている.すなわち従来の信頼性・安全性の範囲を拡大してサービスや環境への指向を考慮することになった.その他の案件は審議継続または定期的更新のものであるが,大幅な見直しを行うものも多い.例えばFMEAやRBD(信頼性ブロック図)の規格が見直されている.今回の開催国である中国はWTOへ加入して国際規格の適用をアピールしており,TEC総会への肩入れには多大なものがあった.2003年のIEC/TC56の総会はシドニーでの開催が決まっており,北京会議以降もIEC/TC56国内委員会で日本の意見反映に努力している.