著者
伊庭 斉志
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.471-480, 2006-11-01
被引用文献数
1

進化型計算を用いた金融データ予測の研究が近年盛んに行われている.本稿では,遺伝的プログラミング(GP,Genetic Programming)とその拡張手法であるSTROGANOFFを用いて,日経平均株価とオプション価格を予測する研究について説明する.実験の結果,GPとSTOROGANOFFによる予測はおおむね両方のデータにおいて安定した成績を残すことができた.ニューラルネットワークとの比較実験では,ニューラルネットによる探索には山登り法の性質が良く出ているが,最良値はGP系の手法より低く局所値への陥りやすさがしばしば観察された.
著者
上村 圭右 平野 篤 内藤 正雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.18, pp.35-36, 2010-05-28

防衛省では、開発や量産への着手等の結節点における費用(LCC)対効果の判断を踏まえた意思決定、また、コスト面に係る説明責任の強化を行うため、各種装備品のライフサイクルコスト(以下、「LCC」という。)の算定を実施している。LCCの算定において最も重要となるのが、LCC算定の基準となるコストモデルを構築することである。コストモデルは、陸上車両、航空機等装備品の分野ごとに構造が異なるため、それらの分野ごとにコストモデルを構築する必要がある。ここでは、平成21年度にLCCを算定した新戦車(図1参照)について、算定の考え方を説明し、さらに、米国の装軌車両のコストモデルとの比較を行う。
著者
村岡 大樹 田村 信幸 弓削 哲史 柳 繁
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.103-106, 2007-11-30
被引用文献数
1

本研究では、2段階整備方式を受けるマルチアイテムシステムの稼働率解析を行う。対象とするシステムは複数のアイテムから構成された冷待機直列システムであり、故障中のシステム内の正常アイテムは予備として利用可能な場合と不可能な場合の2通りを考える。前者については近似解析手法を提案し、シミュレーション解析の結果を用いて近似解析の近似精度を検討する。後者についてはシミュレーション解析のみを行い、前者のモデルとの比較を、数値例を用いて行う。
著者
北河 博康
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.78-85, 2015-03-01

深刻な人手不足に悩む介護業界において,介護従事者の身体的・精神的な負担軽減や要介護者の自立促進を実現し,介護現場を支える一助として「サービスロボット」である「介護ロボット」が注目され,実用化に向けて介護福祉施設等にて試験的な導入が展開されているところである.一方で,介護ロボットでは,高齢者・要介護者など身体が不自由な方がユーザーとなるケースが多いため,事故防止およびリスクアセスメントへの特段の配慮とともに,万一事故が発生した場合に備えて,適切な「保険の手配」が不可欠である.介護ロボットの開発および普及・実用化の各段階における保険の現状と課題について解説する.
著者
大村 平
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.520-521, 1997-11-10
著者
弓削 哲史 佐々木 正文 柳 繁
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.3-10, 1995-05-10
被引用文献数
2

本論文は電気回路におけるスイッチや流体システムのバルブ等のアベイラビリティ解析について述べたものである.ユニットには導通, 遮断という2種類の命令が定周期で繰り返し与えられ, 2種類以上の故障モードが存在すると仮定している.3種類の数学モデルが定義され, それぞれマルコフ過程に従うことを用いてアベイラビリティが計算される.これらのモデルと従来の2-stateモデルを比較するためにいくつかの数値例が与えられている.
著者
前 友章
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18, pp.97-100, 2005-11-18

ATC (Automatlc Train Control)システムなどの導入にあたって必要な軌道回路のシミュレーション手法について,システム規模の増大とともに,従来の手続き型プログラミングに基づいた手法の問題点が顕在化していた.本開発では,シミュレーション手法にOOP (Obiect Oriented Programming)を適用し,軌道回路をオブジェクトとして一般化することにより大規模かつ簡便なシミュレーションを可能とし,解析の人為的ミス,解析時間の短縮,解析精度の信頼性向上を達成した.更に,現在の山手・京浜東北線の一部区間で更新・稼働中のATC (D-ATC)に適用することにより,軌道回路の電気的特性検討の事前評価に貢献する事ができた.
著者
森貞 晃 小林 孝之 蓬原 弘一
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.163-179, 2004-04-01
被引用文献数
6

本論文では機械安全に関する国際規格上での人間/機械安全作業シテムの扱いをインタロック構造として定式化する。まず人間と機械が協調して作業を行うシステムで人間側と機械可動部側の作業状態を各々3通りに分けて、その結果として生じる人間/機械間の組み合わせ状態での安全確保論理をインタロック構造として定式化する。本論文で示すインタロックシステムは機械側の作業状態に対して再起動防止制御の機能をもつ。このため、機械側の作業実行状態において人間側が確実に安全状態に固定されるようなインタロックシステムと人間側が必ずしも安全状態に固定されないままで機械側は作業実行中とみなされる状態を継続するようなインタロックシステムを考えることができる。前者を相互インタロックシステム、後者を自己確認型インタロックシステムと呼んで両者の各々を定式化して示す。
著者
平沼 栄浩 夏目 武 塩谷 光
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.111-114, 2007-11-30

産業機械の電気装置に於ける安全に関して,「人及び財産の安全」,「制御応答の一貫性」及び「保全の容易さ」の目的達成に関する安全設計のライフサイクルコトスを仮定する。安全の目的達成手段として,感電、電気火災及び機能不全に対する安全方策が要求される。本論文では,機能不全に注目し,安全設計開発から安全設計性能レベルの維持の予防保全を仮定する。安全設計に関する方策及び予防保全のコストをライフサイクルコスティングの観点から試案する。
著者
松田 栄之 中村 太一
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.307-313, 2001-05-29
被引用文献数
2

インターネットの普及によりネットワークに接続されているパソコンなどの端末やサーバの数が急速に増大している.いつでも, どこでも, 気軽に利用できるインターネットの普及によりそのサービス形態にも大きな変化をもたらしている.従来のシステムは, 国内のユーザのみを対象にして, 朝8時から夜7時までのサービスというような形態であった.しかし, インターネットでのサービスは, 世界中のユーザを対象にし, 24時間365日の稼動が求められる.インターネットが社会のインフラとなりつつあり, システム構築にオープンシステムを利用するようになり構築技術も変わってきている.また, インターネット時代のサービスを保証する考え方も新しく生まれてきている.本稿では, システムの信頼性, 特に可用性を中心にインターネット時代のネットワークシステムの構築に関する動向について述べる.
著者
笠井 尚哉 関根 和喜
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.366-373, 2007-09-01

開放検査を行なわず,操業中に石油タンク底部の腐食損傷評価を可能にする新しいAE(Acoustic Emission)グローバル診断システムの考え方と内容を紹介した.この技術は,消防法に準拠して計測された離散的板厚データ群を整理して得られる腐食リスクパラメータとAE計測から求められるAE活動度が相関を持つことをベースとしている.多くの実タンクを対象に,得られた腐食リスクパラメータとAE活動度からデータベースを構築することで,腐食評価検量線を作成し,これを用いれば,供用中のAE活動度計測から,石油タンク底部全体としての腐食損傷を定量的に評価することが可能となる.この診断システムの大きな特徴は,法規に基づき行われている離散的板厚計測で保障される評価と等価な評価結果が担保される点にある.従って,現行腐食管理技術の低コスト代替評価技術として汎用化されることが期待されている.
著者
秋田 雄志 荻野 隆彦
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.71-79, 2005
参考文献数
13
被引用文献数
6

鉄道の安全性を維持し、さらに向上するにはリスクの概念を採り入れた目標管理が必要である。本論文は、最初に過去50年間に発生した日本の鉄道の致死事故を分析し、事故の規模に応じた事故死リスクの実績を示す。次に、鉄道における事故死リスクを、自発的行為の結果を含む事故死リスクR_Aと被災による事故死リスクR_Bに分け、それぞれに対して許容リスク水準R_<A1>とR_<B1>、および広く受容されるリスク水準R_<A2>とR_<B2>の指標値を提案する。また、他の輸送機関における致死事故のリスク実績との比較等により、提案する水準の妥当性を考察する。
著者
周 杰 高橋 聖 中村 英夫
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.24, pp.67-70, 2011-11-07

システムの高信頼性・高性能の要求を応えるため、マイクロカーネルを用いるマルチコアシステムの構築について検討する。複数のプロセッサを搭載したシステムにおいて、アーキテクチャの性能向上率への影響を考慮してオペレーティングシステム機能を分散することでシステムの高信頼性を実現する。この思想のもとに、マイクロカーネル技術を用いてマルチコアシステムモデルの構築とその実現手段について報告する。
著者
根本 規生 鈴木 浩一 中川 剛 山田 敏行 菅沼 克昭
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.23, pp.15-18, 2010-11-05

地上用部品の鉛フリー化に伴い、鉛入り部品が枯渇しているため、現在は宇宙機において鉛フリー部品の使用を制限しているが、将来的に使用せざるを得ない状況を想定して準備している。鉛フリー部品に成長するすずウィスカによる短絡故障等のリスクを低減するため、すずウィスカ抑制効果に関する評価を実施している。宇宙環境を想定した熱真空試験におけるウィスカ成長評価を実施し、大気中で熱サイクルにより成長するウィスカと比較するとウィスカの形状が異なることが判明した。熱真空試験で成長したウィスカの方が直線的に成長し、細く長いことが明らかになった。また、宇宙機に適用されているコンフォーマルコーティング材を用いたウィスカ抑制効果の評価では、熱膨張係数差により成長するウィスカは、コンフォーマルコーティングを貫通しないことを確認した。
著者
横川 慎二
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.811-820, 2003-11-25
被引用文献数
2

ロジックLSIのトランジスタ間を接続するCu配線のエレクトロマイグレーション試験では,寿命分布がBimodal(双山)形状となることが最近報告されている.このBimodal分布の分布形状の把握には,大量のサンプルと長時間の試験が必要となる.また,故障解析も容易ではない.今回,1個のサンプル中に多数の試験対象セグメントを含むTEG(Test Element Group)を開発した.これを用いたサドンデス試験法により,少数サンプルによる試験でも,多数サンプル評価に匹敵する結果を得ることが出来た.同時に,試験時間の短縮を可能にした.加えて, OBIRCH (Optical Beam Induced Resistance CHange)による解析を考慮した設計により,故障解析の容易化を実現した.実験の結果,初期分布は上下配線層を接続するvia中のボイドモードであり,真性分布はvia下のボイドモードであることがわかった.
著者
高田 毅士
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 = The journal of Reliability Engineering Association of Japan (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.84-89, 2010-03-01
参考文献数
10

構造物,設備や部品から観測データや試験データが入手できれば,これらの性能の評価精度は向上する.これにはベイズの更新理論(Bayesian Updating Theory)が有効であることはよく知られている.具体的には,対象物の保証試験(Proof test)による試験データあるいは無被害データ(大きな力を受けても壊れなかったという事実)を有効に利用できる.また,構造物に作用する外荷重の評価においても建設地点固有の観測データが得られれば容易にベイズ更新理論を応用してより精度の高い予測を行うことができる.本解説ではこれらの応用例を紹介する.まず,保証截荷試験を構造信頼性理論の視点から論じ,構造部材の耐力に関する試験データという新しく獲得された情報を用いて対象部材の信頼性を評価した場合,試験実施の効果について論じている.ベイズの更新理論の応用例として,近年,高密度に配備されてきた全国地震観測網で観測される地震動データを活用して,観測点固有の地震動予測式を構築することができ,その有用性について紹介している.いずれの応用においても,貴重なデータを最大限に活用しようとする試みであり,試験や観測実施のインセンティブとなることを願っている.
著者
堀越 雄太 金 路 鈴木 和幸
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.91-94, 2007-11-30

モニタリングシステムから警報が発せられた際に保全行動を行う安全監視保全では、誤報と欠報によるリスクを押さえた上での瞬時の意思決定が要求される。リスクを抑える手段の一つとして複数のモニターを組み合わせるという方法があるが、これには各モニターから得られた情報を如何にして保全行動と結びつけるかを考える難しさもある。瞬時の意思決定を困難とするこの問題を解決する方法の一つとして、k-out-of-n型監視方策(k-Out-of-n構造)がある。本研究では、期待リスクを最小にする視点から、k-out-of-n構造の最適性を示す。これにより、瞬時の意思決定の効率化を図ることが可能となる。