著者
奈良 登喜雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.406-411, 2008-07-01

平成20年2月23日にH-IIAロケット14号機を打上げ,超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」を所定の軌道に役人することに成功した.これは民間移管された三菱重工業株式会社(以下MHI)によるH-IIAロケット打上げ輸送サービスとしては2機目の打上げである.今後この打上げ輸送サービス事業を発展させていくためには,打上げ成功の実績を積み重ねて衛星顧客の信頼を得ることが必須である.本報告では,H-IIAロケット打上げ成功を継続させるための信頼性向上への取り組みを紹介する.
著者
伊藤 貞則
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.670-677, 2008-11-01
被引用文献数
1

市場の要求品質のレベルアップと軽薄短小,環境代替,新技術の投入などを含んだ新商品の開発期間の短縮化は,信頼性評価に対し入念な評価と早期の判断を要求することになっている.信頼性技術はこの要求に応えなければならない.本稿では如何に故障を炙りだすかの観点から筆者が経験した信頼性試験事例を中心に紹介する.
著者
生熊 克己 向殿 政男
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.35-38, 2011

本稿では交通事故を個々の事象に限定せず社会的現象としてとらえることとした.人の特質である行動特性の曖昧さの情況を明確にするとともに,交通統計年鑑の事故データから人間が操作する自動車運転システムの安全性の現状レベルを確認する.次に,ヒューマンエラー水準の推定から今後の事故低減対策に向け,人に依存する安全運転の限界を説明する.更なる交通事故低減目標の実現に向け,安全運転支援装置として電子制御システムによる人の弱点を補う視点で,例として早期危険認知による追突死亡事故半減について提案する.
著者
川上 大介 阿部 俊一
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.68-71, 1995-11-10

機器の使用時間Xと使用回数Yが共に機器の劣化に影響を与える場合、XとYから合成されたストレスZによって機器故障が起こるというモデルが、ある一定の条件を満たせばXのみまたはYのみを考慮した場合の最適予防保全計画よりも費用が小さくなることが示されている。そこで本報告では前報告の結果をさらに般化し、また、ある具体的な事例を取り上げ、Zの確率分布がワイブル分布で、観測データが両側から打ち切られた2変量不完全データの場合の計算例を示す。
著者
坂 清次
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.431-437, 2006-10-01
参考文献数
2

あり得ないJCO事故で20世紀が終わり21世紀の幕が明けたが,牛乳集団中毒事件,自動車のリコール隠し,牛肉偽装事件,回転ドア死亡事故などに始まりアスベスト問題,相次ぐ鉄道事故や耐震偽装事件,原子力発電所死亡事故から最近はエレベーター,ガス瞬間湯沸かし器,シュレッダー事故など事件・事故が続発している.また新興IT会社や伝統のある大企業の粉飾決算や公共事業をめぐる談合問題など企業不祥事も相次いでいる.一方で学術研究分野でも捏造や資金の不正使用などが国内外で大きな問題となっている.当事者である技術者や企業・組織の取り組む問題として技術者倫理,企業倫理とともに企業・組織の社会的責任が大きな関心を集めているが,これらを読み解く鍵に社会の激変がある.コーポレートガバナンス,コンプライアンス,アカウンタビリティー,リスクマネジメント,ステークホルダー,CSR,SR,SRIなどカタカナ・横文字のオンパレードであるが問題の国際性がうかがわれる.以下では,安全とは何かから表題の技術者倫理,企業倫理と社会的責任について,非寛容さを増している社会の変化を踏まえて展望してみる.
著者
平山 雅之
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.206-214, 2008-05-01

近年,様々な分野でコンピュータを利用した組込みシステムが利用されるようになってきている.これらの組込みシステムを構成する要素の中でも特にそれらに組み込まれて動作する組込みソフトウェアの信頼性を如何に確実なものとするかは極めて重要な課題となってきている.本稿では,組込みソフトウェアの品質を向上させるための考え方を紹介していく.
著者
伊藤 誠
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.354-360, 2003-06-25
被引用文献数
4 1

自動化は作業効率や安全の向上に貢献しうる反面,利用者がシステムに頼りすぎるとかえって安全性が損なわれうるため,過信の防止が重要な課題である.しかし,過信を防ぐための方法は確立しておらず,概念の整理も十分でない.本校では,過信を分類することによって,過信が単なる慢心や油断だけではなく,誰にでも起きうるものでもあることを指摘する.さらに,自動化システムの動作限界を利用者に正しく理解させることの重要性を示す.
著者
杉本 旭
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 = The journal of Reliability Engineering Association of Japan (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.276-281, 2011-09-01
参考文献数
5

国際規格ISO12100によれば,「安全とは受け入れ難いリスクがないこと」である.よって,マネジメントの立場から,「製造者は,許容されるリスクレベルの製品を提供すべき」とする安全の原理(Risk-based management safety)が存在する.もう一つの設計者による安全確認の原理(Design-based control safety)は,「危険の可能性のある機械的操作は安全確認を条件とし,安全が確認できないときは操作を実行しない」とされ,安全確認の原理とも言われる.技術的限界で残る危険であれば,使用者(労働者)に使用安全(Safety of use)を委託することになるが,その場合,使用者(労働者)は,安全の原則に準拠して達した「許容リスク」と「使用安全の条件」に関する説明を受ける権利を有する.本論文では,「安全確認→運転許可」の安全確認の原理に則り,運転許可を与える安全の条件を制御によって積極的に作り出す安全を「積極的安全」と位置づけ,わが国の消極的安全と対峙し,近年の欧州が機械の高稼働率のために適用している積極的安全について述べる.
著者
増田 貴之 芳賀 繁
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.223-228, 2009-05-01

本稿では,運転行動の認知モデルである,「リスクホメオスタシス理論(risk homeostasis theory)」,「ゼロ-リスク理論(zero-risk theory)」,そして,両モデルの統合を試みた「TCIモデル(task-capability interface model)」を解説する.また,近年の自動車技術の高度化に伴う負の適応(Negative Adaptation)の問題についても解説する.最後に,有効な安全対策を行うにはどうすればよいかを議論する.本稿では,自動車ドライバの研究について解説するが,特に,負の適応の問題については,自動化が進む自動車以外の分野においても示唆をもつものと考える.
著者
安達 健二
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18, pp.17-20, 2005-11-18

各種制御装置で使用されるプリント基板には半導体部品を初め各種部品が搭載されており、最近の高密度実装基板では表面実装部品が多用され、不具合・故障が発生した場合の回路検査が困難で、異常や故障部分(部品)を特定するために苦慮している。そこで、コンデンサの短絡など故障時に異常発熱が伴うことから、赤外線温度計測装置を用いて異常発熱部品を抽出し、非破壊で迅速に対処する方法を検討した。
著者
大西 一功
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.37-45, 2004-01-25

微細加工技術の進展とともに,半導体素子の高密度高集積化が進み,パーソナルコンピュータから携帯電話,デジタルカメラと,今や社会のあらゆるところで当然のように使われるようになった.これは低消費電力,小型,高機能というだけでなく,非常に高い信頼性(故障し難い)を有しているためである.地球上のあらゆる環境で高信頼性を発揮する半導体素子であるが,原子炉周辺や宇宙放射線環境では非常に故障しやすい.本稿では,半導体素子の放射線から受ける影響について,物質との相互作用として,電離と変位損傷があり,これらが素子内部でどのようなメカニズムで故障や劣化を引き起こすのかを概説した.また半導体素子は宇宙応用には欠かせない部品であり,地上とは異なり故障すれぱボードを取り替えればよいというわけにいかないため,半導体素子の耐放射線性が如何に重要であるかを広く認識していただければとの願いを込めた.
著者
山田 喜一
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.95-103, 2004-04-01

交通事故の低減,運転負荷の軽減のための一つの方策として運転支援システムの実用化が進んでいる.本報告では,まず事故の発生を脳の構造的メカニズムから検討するとともに,ドライバの反応時間をベースにシステム信頼性工学的考えを導入し,事故の発生プロセスを確率論的モデルとして検討した結果を報告する.次に,本モデルを運転支援システムの効果,リスク評価に適用し,運転支援システムによるドライバの反応時間の短縮が交通事故低減に有効であることを検証した結果を報告する.最後に,運転支援システムのリスク評価について述べる.
著者
平野 篤 上村 圭右 内藤 正雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.18, pp.33-34, 2010-05-28

防衛省では、防衛装備品を取得するためのコストを量産単価だけでなく、構想、開発、量産、運用・維持、廃棄までの過程(ライフサイクル)に必要な総経費として、ライフサイクルコスト(以下、「LCC」という。)管理を行うことで、開発や量産への着手時の結節点において、費用(LCC)対効果の判断を踏まえた意思決定が可能になると考えている。防衛省では、平成20年3月に「総合取得改革推進プロジェクトチーム報告書」を作成し、現状の課題、体制整備、統一的なLCCの算定方法の確立、LCC管理の試行及び人材育成の検討結果が述べられた。その過程において、平成20年度より、防衛省の調達機関である装備施設本部においてLCC算定要領を作成し、航空機(戦闘機(図1)、哨戒機)を対象としたLCC年次報告書を提出した。その後、対象を航空機以外にも拡大して平成21年度の報告書にまとめている。さらに、平成21年度には、装備施設本部内にライフサイクルコスト管理室が9名体制で発足し、防衛省内におけるLCC管理業務を行なっている。本内容は、LCC管理室で作成した、LCC算定要領の概要及びLCC管理年次報告書について報告する。
著者
濱野 恒雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.22, no.8, pp.707-710, 2000-11-25
著者
松本 雅行
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.336-344, 2004-07-01

首都圏の高密度線区である山手・京浜東北線に,従来のATCと抜本的に異なる技術を用いた新しい列車制御システムを2003年12月に使用開始した.この新しい列車制御システムにおけるアシュアランス技術を以前本誌で紹介したが,本稿では,従来システムを運転しながら新システムのテストを行うことのできるオンラインテストとアシュアランスとの関係に焦点を当てて説明する.D-ATCに取り替える場合,新旧の異種のニーズを持った2つの列車制御システムを共存させ,段階的にシステムを拡張していくときの課題を明らかにし,アシュアランス技術によるこれらの課題の解決技術を提案した.D-ATCの車上システムとして車上統合型システムと車上分離型システムを提案し,現行システムからそれぞれへの取り替えにおける,テストのアシュアランス度を比較検討し,テストのアシュアランス度を高めるためのシステム構築技術を紹介する.
著者
大庭 英雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.388-399, 1999-09

21世紀の前半には, 欧米から出発した情報革命によって, 世界を巻き込んで政治・経済・社会・文化などが連携し, 情報を知的に活用する社会システムが確立されること想定されており, これを情報社会と言う.情報社会では, 情報と言う媒体を共有して, 国という境界が薄れ, 世界を巻き込んだ共同体としての新しい社会システムに移行するのであるが, そのとき, 情報を積極的に活用する環境を整備した欧米と乗り遅れた各国との間には, 国の繁栄に大きな格差が生じてくる.また, クライシスにおいても世界では, 戦争, テロ, ゲリラ闘争, 組織犯罪, 大量殺害事件, 爆発事故や原子力発電所等の事故, 自然災害, 人災, 政治的なクライシス, 金融不安・通貨不安, エネルギー, 貿易のアンバランスなどから発生する関税障壁, 人口爆発/食料, 難民流入, 宇宙機の落下, 隕石の落下, ミサイルの(誤)発射, 情報戦略戦争など数限りなく発生することが考えられる.欧米では, 情報社会で構築された情報を知的に活用し, これらあらゆるクライシスを想定し, 即応的に真の原因や要因を正しく理解した上でクライシス未然の防止策など, 被害を最小限に食い止めるために知的なクライシスコントロールの研究開発がなされている.我が国は, 島国で閉鎖環境にあり, 危機意識が非常に薄い傾向にある.21世紀に向けて, 情報社会の社会システム構築と平行して, 情報社会におけるクライシスコントロールを真剣に取り組む必要がある.

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著者
荻野 隆彦
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, 2006-11-01