著者
石崎 三郎
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.63-68, 1978-03-15

19の大学付属農場に飼われている乳牛について調査を行ない、飼養法と利用可能なふん尿、同汚水の生産量との関係を検討した。調査は農場の立地条件、乳牛飼養の構造、飲用水量および雑用水量、利用可能なふん尿量、ふん尿の処理工程などについてである。利用可能なふんの量は、乳牛が牛舎内にとどまる時間の長短に影響されることが多い。完全な屋外放牧の場合は、ゼロとなる。この調査における成牛の年平均のふんの量は5〜38kg/頭・日の範囲にあった。利用可能な尿の量は、成牛の年平均で0〜24l/頭・日の範囲に分布した。しかし、その測定には、雨水や雑用水の一部が混入した恐れがある。成牛の飲用水量は、飼料中の含水量の差違、気温の高低など産乳量の多少、こぼし水の多少などの原因で変化する。年平均の飲用水量は20〜86l/頭・日の範囲にあったが、おおむね25〜50lの範囲に分布すると見てよいと考えられる。乳牛飼料のための雑用水量については、大学付属農場によって大差があり、成牛の年平均で26〜127l/頭・日の範囲にあったが、大部分のものは35〜70l/頭・日の範囲に含まれると考えられた。その内訳について考察すれば、搾乳関係の雑用水量は13〜25l/頭・日程度であって、変動は比較的に少ないが、牛体洗浄、牛舎洗浄関係などの水量には大差のあることが認められた。
著者
干場 秀雄 梅津 一孝
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌 (ISSN:13421131)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.47-52, 1999-11-10
被引用文献数
4

馬場牧場に設置された搾乳ロボットはオランダL社製の一搾乳ストール式であった。乳牛が連続して搾乳ストールに入室した時の平均搾乳能率は毎時9.5頭であった。しかし、一日24時間では総搾乳頭数は156頭で、それによる平均搾乳能率は毎時6.5頭で、その稼働率は72%であった。搾乳牛43頭の一日の搾乳回数は1回から6回迄あり、その平均搾乳回数は3.63回であった。その内、一日3回以上の多頻度搾乳牛は全体の93%を占めていた。乳牛の搾乳間隔は牛毎の期待乳量により規定されていたが、6回搾乳牛では平均4.0時間、5回搾乳牛では平均5.0時間、4回搾乳牛では平均6.3時間、3回搾乳牛では平均8.3時間であった。当場では今後さらに60頭に増し一日180頭の搾乳を目指している。日本家畜管理学会誌、35(2) : 47-52、1999 1999年9月受付1999年9月受理
著者
石橋 義幸
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.125-131, 1985-03-15

子豚は, 風を忌避する性質があることから子豚の損耗要因の60〜80%を占める圧死事故の防止を目的に, 送風による圧死防止装置の開発を行なった。その結果場内実証試験では.試験区52腹, 520頭の子豚のうち, 圧死は14頭(2.7%)に対し, 対照区では, 92腹792頭の子豚中、圧死事故は49頭(6.17%)発生していた。一方場外における実証試験で, 試験区において45腹, 521頭の子豚に圧死の発生はなく.対照区では, 51腹, 543頭に対し53頭(9.76%)の圧死事故が発生していた。またこの両区の育成率は, 試験区の94.8%に対し, 対照区85.1%と本装置を使用した効果は顕著であった。このことから, 送風による子豚の圧死防止装置は, 規模拡大傾向にある養豚の一貫経営に大きく貢献し得るものと考えられる。
著者
石井 幹 三塚 あけみ 安部 直重 高崎 宏寿 大宮 正博 金子 香代子
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.93-105, 1981-03-15

屈斜路酪農研修施設において, 1979年5月と7月の2回に分けて, それぞれ15頭づつ導入したホルスタイン種去勢牛29頭に異性双児の雌1頭を含む30頭の間に行われた角突きと, 最高位牛を中心とする社会的順位の決定について, 春に1回, 夏に5回, 計6回調査して, 次のような結果をえた。1.第1回調査〔春期導入牛15頭(去勢牛14頭と雌1頭)〕1)新しく編成のうえ放牧した牛群は, 1日目には激しく闘ったが, 3日目には落着いた。放牧牛1頭1時間当りの角突き回数は1日目が1.3回, 2日目が0.8回, 3日目が0.08回であった。2)角突きでは体重の重い牛が全組み合わせの83%を勝ち, かつ社会的順位が上位の牛はいずれも平均体重より大きかった。3)最高位牛は最も大きい牛であった。4)異性双児の雌牛は10頭の去勢牛と闘い全敗して, 社会的順位は最下位となった。5)最高位牛が群のリーダーになった。6)最上位牛4頭には二つの三角関係があり, 順位型態は直線的, 絶対的ではなかった。2.第2回調査(春期導入牛15頭)1)春期導入牛群の上位牛における社会的順位には, 導入約3ヵ月後に若干の変化があった。2)第一順位とリーダーの地位にある牛は変らなかった。3)異性双児の雌牛の最下位という順位にも変更がなかった。3.第3回調査〔夏期導入牛15頭(去勢牛)〕一カ所に集められた後導入された夏期導入牛群には, 激しい闘争がみられなかったので, この牛群の社会的順位は分らなかった。4.第4回調査(夏期導入牛15頭と春期導入牛の最も体重の軽い3頭, 計18頭)1)夏期導入牛群に春期導入牛のなかの最も体重の軽い牛3頭を合流させたところ, 合流牛の異性双児の雌牛が先住牛群に対して, 最初の積極的闘争を行った。この雌牛は勝率0.93(13頭/14頭)をあげ, 最高位牛にだけ負けた。2)不明であった夏期導入牛群の最高位牛が明らかになった。それは異性双児の雌牛に勝った去勢牛であったが, 体重は群の平均値に近かった。5.第5回調査(夏期導入牛15頭と春期導入牛9頭, 計24頭)第4回調査の18頭の牛群に, 残りの春期導入牛群のなかの体重の軽い6頭を合流させたところ, 先住牛群の最高位牛が全合流牛と闘い全勝し, かつ全群のなかでも勝率1.00(9頭/9頭)をあげて, 新しい牛群の最高位牛となった。6.第6回調査(夏期導入牛15頭と春期導入牛15頭, 計30頭)第5回調査の24頭の牛群に, さらに春期導入牛の残りの6頭を合流させたところ, 春期導入牛群の最高位牛が勝率1.00(10頭/10頭)をあげて, 全群のなかで第一順位を占めた。7.先住牛群が休息形の時に牛を合流させても, 先住牛群が食草を開始するまで角突きを行わなかった。しかし, 食草時に合流させ屈斜路酪農研修施設において, 1979年5月と7月の2回に分けて, それぞれ15頭づつ導入したホルスタイン種去勢牛29頭に異性双児の雌1頭を含む30頭の間に行われた角突きと, 最高位牛を中心とする社会的順位の決定について, 春に1回, 夏に5回, 計6回調査して, 次のような結果をえた。1.第1回調査〔春期導入牛15頭(去勢牛14頭と雌1頭)〕1)新しく編成のうえ放牧した牛群は, 1日目には激しく闘ったが, 3日目には落着いた。放牧牛1頭1時間当りの角突き回数は1日目が1.3回, 2日目が0.8回, 3日目が0.08回であった。2)角突きでは体重の重い牛が全組み合わせの83%を勝ち, かつ社会的順位が上位の牛はいずれも平均体重より大きかった。3)最高位牛は最も大きい牛であった。4)異性双児の雌牛は10頭の去勢牛と闘い全敗して, 社会的順位は最下位となった。5)最高位牛が群のリーダーになった。6)最上位牛4頭には二つの三角関係があり, 順位型態は直線的, 絶対的ではなかった。2.第2回調査(春期導入牛15頭)1)春期導入牛群の上位牛における社会的順位には, 導入約3ヵ月後に若干の変化があった。2)第一順位とリーダーの地位にある牛は変らなかった。3)異性双児の雌牛の最下位という順位にも変更がなかった。3.第3回調査〔夏期導入牛15頭(去勢牛)〕一カ所に集められた後導入された夏期導入牛群には, 激しい闘争がみられなかったので, この牛群の社会的順位は分らなかった。4.第4回調査(夏期導入牛15頭と春期導入牛の最も体重の軽い3頭, 計18頭)1)夏期導入牛群に春期導入牛のなかの最も体重の軽い牛3頭を合流させたところ, 合流牛の異性双児の雌牛が先住牛群に対して, 最初の積極的闘争を行った。この雌牛は勝率0.93(13頭/14頭)をあげ, 最高位牛にだけ負けた。2)不明であった夏期導入牛群の最高位牛が明らかになった。それは異性双児の雌牛に勝った去勢牛であったが, 体重は群の平均値に近かった。5.第5回調査(夏期導入牛15頭と春期導入牛9頭, 計24頭)第4回調査の18頭の牛群に, 残りの春期導入牛群のなかの体重の軽い6頭を合流させたところ, 先住牛群の最高位牛が全合流牛と闘い全勝し, かつ全群のなかでも勝率1.00(9頭/9頭)をあげて, 新しい牛群の最高位牛となった。6.第6回調査(夏期導入牛15頭と春期導入牛15頭, 計30頭)第5回調査の24頭の牛群に, さらに春期導入牛の残りの6頭を合流させたところ, 春期導入牛群の最高位牛が勝率1.00(10頭/10頭)をあげて, 全群のなかで第一順位を占めた。7.先住牛群が休息形の時に牛を合流させても, 先住牛群が食草を開始するまで角突きを行わなかった。しかし, 食草時に合流させると, ただちに闘争を行った。8.体重差が大きい牛群では, 体重が最高位牛を決める最主要々因であった。しかし, 体重差の小さな半群では, 体重が決定的要因ではなかった。家畜の管理16(3) : 93-105.1981 1980年11月18日受理
著者
干場 信司 五十部 誠一郎 佐藤 義和 堂腰 純 曽根 章夫 岡本 全弘
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.73-80, 1988-03-10

カーフハッチの有効性は, 空気の新鮮さと1頭ずつの隔離飼養による疾病の感染防止に基ずいていると考えられるが, 同時にカーフハッチ自体は, 屋外の気象条件を子牛にとって少しでも快適なものとする役割を持っている。本報では, 冬期を対象とした前報にひきつづき, 夏期におけるカーフハッチ内気象環境の改善効果を知る目的で, 子牛のカーフハッチ利用行動と気象環境との関係を検討した。行動調査は, 北海道十勝地方において、7月から9月にわたり8頭の子牛を一般型, 通風型, FRP製, 連鎖型の4種類のカーフハッチに収容して実施した。得られた結果は, 次の通りであった。1)一般型, 通風型およびFRP製のカーフハッチに収容された子牛は, 日中(日の出から日の入りまで)の52%ないし61%をカーフハッチ内で過ごした。これは, 冬期の約80%に比べ, 著しく低い利用率であった。これに対して連鎖型カーフハッチに収容された子牛は, 78%ないし80%の高い利用率を示した。2)冬期間カーフハッチ利用率との間に極めて高い相関を示した風速は, 夏期には, 通風型カーフハッチに収容された3頭のうちの1頭にのみ有意な相関が認められたが, 他の7頭には有意な相関は認められなかった。3)降雨はカーフハッチ利用率に大きく影響を与えており, 降雨日には, 無降雨日の1.3倍ないし1.6倍の利用率を示した。4)通風型カーフハッチに収容された3頭のうちの1頭と一般型カーフハッチに収容された一頭の計2頭の子牛については, 屋外気温および屋外黒球温度とカーフハッチ利用率との間に有意な正の相関が認められ, これらのカーフハッチに防暑効果があることを伺わせた。5)素地のままのFRP製カーフハッチに収容された子牛のカーフハッチ利用率と日射量および日照時間との間には有意な負の相関が認められ, FRP製カーフハッチは防暑効果を有していないことが推察された。6)北海道において, カーフハッチは夏・冬それぞれ異なった機能, つまり冬には風に基ずく寒さを防ぐ機能を持ち, 夏には雨よけとしての機能を持っていることが明らかになった。
著者
竹村 勇司 塗師 憲太郎 小笹 直子 原田 史 鎌田 壽彦 菅野 茂
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌 (ISSN:13421131)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.99-108, 2004-09-24
被引用文献数
2

発情周期にともなうヒツジの試情時の性行動の推移を明らかにする目的で、発情が正常に回帰している成雌3頭に対して成雄3頭による試情を行い、雄が雌に関心を示さなくなるかまたは乗駕に至るまでの時間(試情所要時間)ならびに試情中の雌の排尿行動,雄による性的探査行動および求愛行動の発現回数を測定した。試情所要時間は、おおむね発情同期から発情前期に向けて延長し、乗驚が生ずる発情日は短く、発情後期1日目に再び延長し以後元のレベルに短縮してゆく推移パターンが認められた。しかし、雌個体によって変化が明瞭なものと不明瞭なものがあった。変化が明瞭に現れた個体では、排尿行動の発現回数が試情所要時間の推移と同様の推移を示したほか、雄による陰部嗅ぎやフレーメン行動の発現回数の推移パターンにも同様の変化が認められた。一方、こうした変化が不明瞭であった雌個体に対して、雄は発声,舌出し,頚ひねり,前脚による蹴り上げ(前蹴り)などの求愛行動を多く発現し、前蹴り以外の3つの行動の発現回数は、発情同期から発情前期に向けて増加し、発情後期1日目に再び増加し以後元のレベルに滅少していく推移パターンが認められた。また、前蹴り行動は発情日に比較的多く発生が見られた。以上の結果から、試情時における性行動の発現とその発情周期にともなう推移には雄側よりも雌側の要因がより強い影響を及ぼすものと推測され、雄が雌の発情周期を判断する際には主に雌からの嗅覚情報によって判断する方法と、嗅覚情報が乏しい場合には雄は代償性に視覚、聴覚、触覚刺激を雌に与え、それらに対する雌の反応によって判断する方法があるものと推測された。
著者
尾台 昌治 高橋 敏治 鈴木 伸明 加藤 聖哲 松本 英俊 高田 良三
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
家畜の管理 (ISSN:03888207)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.68-73, 1984-02-27

ロ一夕リーミルキソグパーラーの合理的な使用法を確立する目的で試験を行なっているが, 今回はターンテーブルの回転速度を1.4,1.9,2.5m/分(1回転に要する時間はそれぞれ16分22秒, 13分55秒, 9分48秒), と極端におそくした場合に, 搾乳所要侍間・作業者の移動距離などがどのように変化するかを調査し, 次の結果を得た。1)搾乳所要時間は, ターンテーブルの回転速度が速くなるにしたがって短かくなり, 1.4m/分に比較して, 朝搾乳時は1.9m/分で13%, 2.5m/分では23%, 夕搾乳時では1.9m/分で15%, 2.5m/分では32%短縮した。回転速度は, 1.9m/分で21%, 2.5m/分で42%速くなったが, 搾乳所要時間の短縮とは一致しなかった。2)回転速度が速くなるにしたがって, 作業待ち, タールテーブル洗浄などの時間は減少したが, 他の直接搾乳に関係する作業時間は回転速度が変っても大きな影響は受けなかった。3)回転速度が速くなるにしたがって, 作業者の移動距離は長くなり, 1.4m/分に比べ夕搾乳では1.9m/分で20%, 2.5mでは27%, 朝搾乳時はそれぞれ24%, 36%増加した。4)乳の流出速度の遅い牛がいると, ターンテーブルの回転速度が速くなるにしたがって, ターンテーブルを停止する回数・時間が多くなるとともに, ミルカー離脱位置がパーラー全体に拡まり, 作業者の移動距離が長くなった。