著者
山岸 淳
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.243-259, 1983-12-20 (Released:2009-12-17)
参考文献数
97
著者
服部 眞幸 平舘 俊太郎 荒谷 博 西原 英治 藤井 義晴
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.169-183, 2004-09-30 (Released:2009-12-17)
参考文献数
53
被引用文献数
7 4

新たに侵入した雑草が繁殖・定着する要因の1つとして, アレロパシーによる化学生態的優位性が考えられる。そこで, 日本の在来雑草種18科38種, すでに国内に定着している帰化雑草種12科30種, 輸入飼料に混入されていた雑草種8科18種, および今後, 侵入が予想されるブラジル産雑草種17科55種, 合計25科129種を対象に, 根から滲出するアレロパシー物質の活性を検定した。その結果, 平均すると, 必ずしも外来雑草のアレロパシー活性が既に定着している雑草よりも高いとは言えなかったが, ブラジルの主要雑草の中にはアレロパシー活性が高いものが見られた。また, イチビのように, 輸入飼料由来ならびに定着種の両者でもアレロパシー活性の強いものと, シロザのように輸入飼料由来とブラジル由来の個体のアレロパシー活性が強く, すでにわが国に定着している種には, 活性の弱い個体もあったことから, 同一種であっても強いアレロパシー活性を有した個体の侵入が考えられる。以上のことから, 化学生態的侵略性の高い雑草が侵入・定着した場合, 日本の植生攪乱の一因となる可能性が示唆された。
著者
大段 秀記
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.159-166, 2022 (Released:2023-02-10)
参考文献数
13

暖地二毛作水田での乾田直播栽培において効果的に雑草防除を行うためには,乾田期間に播種後土壌処理剤と入水前茎葉処理剤の2回処理が必要であるが,より省力的な防除技術の開発が求められている。そこで本研究では,播種後土壌処理剤のプロメトリン・ベンチオカーブ乳剤(以下PB剤)とトリフルラリン乳剤(以下T剤)の混用処理による1回防除体系を検討した。試験は2019年~2021年の3か年実施した。2019年と2021年は適度な降雨があったが,2020年は播種前後が極端に乾燥した年であった。3か年の試験を通して,播種後3日目~10日目にPB剤とT剤を混用処理すると,イネ科雑草及び広葉雑草に対して安定して高い除草効果を得られることが明らかとなった。PB剤は1葉期までのノビエに登録があることから,処理時期を播種後3日目以降とすることで初期発生のイネ科雑草を枯殺するとともに,T剤との混用により土壌処理効果が安定すると考えられた。処理時期が遅いほど高い除草効果が得られ,イネへの顕著な薬害は認められなかったものの,イネの出芽が始まるまでに処理する必要がある。残草が少ない場合には入水前茎葉処理剤の処理を省略でき,省力化が可能である。
著者
三浦 励一 小林 央往 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.271-278, 1996-02-09 (Released:2009-12-17)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

京都付近では畑雑草コハコベは春から秋にかけて耕起のたびに発生するが, 人里植物であるミドリハコベは秋期にのみ発生する (前報)。このような発生消長の差異をもたらす種子休眠性および発芽特性の差異を知るため, 両種の種子を7月から野外地表, 野外土中, 実験室内の恒温乾燥 (10,20,30℃) および恒温土中 (10, 20, 30℃) の各条件下で保存し, 定期的に発芽試験を行った。発芽試験は通常15℃明・暗条件で行い, 実験開始時と2ヵ月間保存後 (9月; 発生始期に相当) には温度の影響を調べるため5~30℃のそれぞれ明・暗条件で行った。1) 実験開始時にはコハコベ, ミドリハコベとも全く発芽せず, 一次休眠の状態にあることが示された。2) 野外地表区のコハコベ種子では休眠覚醒が遅く, 光発芽性は顕著でなかった (Figs. 2, 4)。地表で夏から冬まで経過したときの累積発芽率は30%以下であった (Fig. 3)。野外埋土区では速やかに休眠覚醒して著しい光発芽性を示し, 発芽適温域は5~25℃と広かった (Figs. 2, 4)。3) ミドリハコベ種子は野外地表区・埋土区のいずれにおいても比較的速やかに休眠から覚醒したが, 発芽適温域は5~20℃とやや狭かった (Figs. 2, 4)。野外地表区の種子は秋期にその場で発芽し, 累積発芽率は82%となった (Fig. 3)。4) コハコベ種子の室内の恒温乾燥区における休眠覚醒はきわめて遅く, 光発芽性は認められなかった (Figs. 5, 6)。恒温埋土区では速やかに休眠覚醒して著しい光発芽性を示した (Figs. 5, 6)。5) ミドリハコベ種子の室内の恒温乾燥区および埋土区における休眠覚醒の様相は後者でやや光発芽性が認められたほかはよく似ており, いずれも高温 (30℃) で促進され, 低温 (10℃) では遅かった (Figs. 5, 6)。
著者
前中 久行
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.48-55, 2001-03-30 (Released:2009-12-17)
参考文献数
6
被引用文献数
7 3

ある植物が, その植物固有の性質として雑草性をもっているとしても, 人間活動を妨害していなければ現実の雑草ではない。自然環境の構成要素として, 人間が植物に求めている役割には, 植物が存在することで生じる機能, 景観・緑環境の形成要素, 文化財や生活のアメニティ要素, 生物的自然要素がある。農耕地では雑草である植物が, 市街地においては, このような働きを果たすこともある。代表的な場面が, 地面が植物で被われることが, 第一義的に意味をもつ, 芝生地やのり面である。現実に大阪府下の公園緑地の芝生地には, スズメノカタビラ, シマスズメノヒエ, シロツメクサなどが優占する。踏みつけ強度のやや低いと思われる草地では, 出現する種類数が増加し, ニワゼキショウ, カタバミ, セイヨウタンポポなどが出現するようになるなど, 利用の実態に応じた芝生ができあがっており, 多様なレクリエーション活動に役だっている。造成後時間をへたのり面で, 出現頻度が比較的高いものは, 当初の緑化草種ではなく, ススキ, セイタカアワダチソウ, チガヤ, メリケンカルカヤなど, 後から侵入した植物であるが, これらも, 土砂流出防止や裸地の視覚的遮蔽などの効果をもっている。セイタカアワダチソウを, 6月から9月まで時期をかえて刈り取った場合, 成長シーズンの終わりの地下部の現存量は, 地下部への蓄積が開始される8月に刈り取ったときに最も小さくなった。6月刈の場合, 開花時期は無刈り取りとほぼ同じであった。7月刈はややおくれて11月上旬に開花し, 草丈は約60cmであった。6月刈や7月刈では, 花序, 草丈ともに小型化したために, 通常の見苦しさがなく観賞にも耐える状況であった。
著者
野口 勝可 中山 兼徳
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.233-239, 1979-12-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

主要な畑雑草種子の発芽および出芽と水分条件との関係について, 普通作物, 牧草種子と比較, 検討した。1) 土壌水分条件を変えて出芽との関係を検討した結果, 各供試植物とも含水比54.6% (pF 1.5) の条件で最も出芽率が高く, 含水比の低下とともに出芽率も低下し, また平均出芽日数が増加した。土壌水分の低下による出芽率の減少は普通作物より雑草と牧草で著しく, 出芽のための限界的な土壌水分条件は, 含水比で作物では20%前後, 雑草と牧草は25~30%と推定された。なお, 本試験の範囲では, 雑草間の異差についてははっきりしなかった。2) 土壌水分の違いによる出芽率の差異は種子の吸水力が関与しており, グルコースモル濃度により浸透圧を変えて試験した結果, 種子の吸水力は作物で大きく, 雑草と牧草は小さかった。また, 浸透圧の高い条件では草丈・主茎長や根の伸長などの生育も抑制された。3) 圃場において, 地表面 (0~1cm層) の土壌水分は, 灌水後数日で含水比25~30%以下に低下し, 雑草種子の出芽限界以下になるが, それより下層 (1~2cm層) では比較的安定しており, 種子位置のわずかの違いが出芽にとって重要な要因であることが明らかとなった。
著者
竹内 安智
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.305-316, 1990-12-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
48
著者
臼井 健二
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.15-27, 1992-04-28 (Released:2009-12-17)
参考文献数
91
著者
伊藤 幹二 伊藤 操子 田中 聡 三浦 励一 安斎 達雄 Onen Huseyin
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.176-183, 2005-09-26 (Released:2009-12-17)
参考文献数
6
被引用文献数
6 4

土壌処理剤によるワルナスビの制御法を確立する目的で, 以下の実験を行った。畑地におけるワルナスビの発生は, 耕起によって切断された根片繁殖系からの萌芽によることから, まず畑地で汎用される除草剤アトラジン, アラクロール, ブタミホス, クロロプロファム, トリフルラリン, ペンディメタリンからワルナスビ根片萌芽抑制効果のあるものを, 根片浸漬処理によって選抜した結果, クロロプロファムが最も有効であることが分かった。次にトウモロコシ畑 (土壌:壌土)においてクロロプロファムを播種直前に0.46, 0.92および1.37kg a. i./ha土壌混和処理し, 埋土しておいたワルナスビ根片からの出芽・生長に及ぼす効果を調べたところ, 5~10cm深に埋土した根片については, 出芽は阻害されなかったが, 生長は0.46kg a. i/ha処理でも抑制され, 抑制はとくにシュートの生長において顕著であった。20~25cmに埋土した根片では, 逆に出芽は阻害されたがシュートの生長の抑制は小さかった。ワルナスビ根片からの萌芽・生長に対するクロロプロファムの土壌混和処理効果は, 土壌の種類により著しく異なり, 砂壌土>黒ボク土>埴壌土>壌土であった。クロロプロファムは高い揮発性によって土壌中に拡散し, 処理層を形成する特徴をもつことから, 効果の差には土壌の孔隙率が関係していると推察された。
著者
笠原 安夫
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.1962, no.1, pp.61-65, 1962
著者
安達 康弘 内野 彰
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.169-174, 2021 (Released:2022-01-26)
参考文献数
16

コナギに対する効果的な機械除草の時期を葉齢と引き抜き抵抗力との関係に着目して検討した。ポット試験では,コナギの葉齢増加にともなって引き抜き抵抗力が指数関数的に急激に上昇し,1葉期以降では葉齢が1葉増加すると引き抜き抵抗力が2.2倍になった。圃場試験においてもコナギ葉齢と引き抜き抵抗力との関係が指数関数曲線によく適合したことから,葉齢が除草適期の重要な目安になると考えられた。実際の高精度水田用除草機によるコナギの除草効果からは,1回目の除草時期の目安が1葉期以下と推定された。葉齢と引き抜き抵抗力との指数関数的な関係を考慮すれば,機械除草で高い除草効果を得るためには,コナギが目安となる葉齢を超える前に除草することが重要と言える。
著者
笠原 安夫
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.49-55, 1976
被引用文献数
1
著者
木村 一郎 一前 宣正 松中 昭一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.54-59, 1971-10-20
被引用文献数
2

ベンチオカーブのヒル反応阻害力は,クロルIPCと同程度で弱く,who1e plantの光合成にもほとんど影響を示さなかった。また,切断根の呼吸にたいしても影響しなかった。 一方,胚芽除去種子におけるジベレリン誘起α-アミラーゼ生合成にたいして強力な阻害力を示すが,α-アミラーゼそのものの活性には無影響であった。また,ベンチオカーブ自身イネのラミナ・ジョイント伸長にたいしてある程度の阻害を示し,その阻害形式はIAAとの間で拮抗的であった。これらの結果から,ベンチオカーブは,タンパク質生合成過程でオーキシンと拮抗することによって阻害作用を示すことがその作用点のひとつと推定される。
著者
前田 浩子 奥村 恒 中村 りり 野村 卓史 藤井 義晴
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.147-154, 2019 (Released:2020-01-28)
参考文献数
15

効果的な雑草管理能力や雑草抑制効果がある被覆植物を選択するために,多年生被覆植物として,クリーピングタイム(Thymus serpyllum),シバザクラ(Phlox subulata),ヒメイワダレソウ(Phyla nodiflora),マツバギク(Lampranthus spectabilis),リュウノヒゲ(Ophiopogon japonicus),ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)およびヤブラン(Liriope muscari)の7種を選定し,5年間の圃場試験を実施した。被覆植物の被度,乗算優占度,発生した雑草の乾物重,雑草の種数および種類を比較した結果,日本在来の多年生被覆植物であるヤブランは,いずれの評価項目においても2年目以降5年目まで最も良好な雑草抑制効果を示した。また,ヤブランはアレロパシー活性評価試験においても強い植物生育阻害活性を示した。ヤブランは葉による光の遮蔽等の影響で雑草の発生が抑制されると考えられるが,プロリンに構造が類似したアゼチジン-2-カルボン酸がヤブランの根や葉に多量に含まれており,これも雑草の発生抑制に関与していることが示唆された。