著者
岩田 巌
出版者
日本鳥学会
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.3, no.14, pp.240-248, 1923-03-26 (Released:2010-03-01)
著者
堀江 明香
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.197-233, 2014 (Released:2015-04-28)
参考文献数
351
被引用文献数
3

鳥類は生活史進化の研究において最も古い研究対象であるが,今なおその進化機構の解明には議論が続いている.Ricklefs(2000a)は生活史進化の研究史を2つに分けた.第1期はLackを初めとする鳥類学者が生活史を自然選択の枠組みで捉え,その進化について議論を開始した時期,第2期は生活史理論が成熟してその進化機構を実証しようと研究が進められてきた時期である.この第2期の流れは現在も続いているが,2000年前後を境に生活史進化の分野には新たな視点が加わり,研究は次のステージに入ったと考えられる.つまり,一腹卵数以外の生活史形質への研究拡大,餌資源の制約や捕食以外の新たな選択圧の探索,そして生活史を規定する内的機構の解明といった視点である.これらの研究によって,生活史進化を複合的・総合的に説明する土台が築かれつつある.本稿では,このような研究の転換から10-15年経った現時点において,新旧の選択圧が生活史に与える影響はどの程度検証されているか整理した.それぞれの選択圧についての検討には,個体や個体群内での影響を評価した可塑的なものと,種間比較や個体群間比較などから進化的な影響を推察したものがあったが,後者については検証が不十分なものが多かった.これらの問題点を含めて鳥類における生活史進化の現状と課題を議論し,日本における生活史研究の方向性について述べる.
著者
宮島 仁 嵩原 建二 田仲 謙介
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.267-270, 2015 (Released:2015-12-13)
参考文献数
14
被引用文献数
1
著者
田和 康太 佐川 志朗 宮西 萌 細谷 和海
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.193-208, 2019-10-25 (Released:2019-11-13)
参考文献数
51
被引用文献数
1

兵庫県豊岡市円山川水系の鎌谷川において,河川域から水田域までの連続性確保および上流の水田ビオトープにおける魚道設置と深場造成が水田魚類群集に与える効果を検証した.その結果,ドジョウMisgurnus anguillicaudatusやフナ属Carassius spp.が下流域から水田ビオトープへ遡上した.また,改修前には採集されなかったフナ属とタモロコGnathopogon elongatus elongatusが水田ビオトープ内で繁殖している可能性が高かった.さらにフナ属やタモロコ,ドジョウ,キタノメダカOryzias sakaizumiiは改修後の水田ビオトープを秋冬期の生息場所として利用していた.改修後の水田ビオトープにはコウノトリCiconia boycianaが周年飛来しており,水田ビオトープ内人工巣塔での初営巣,それら営巣つがいおよび幼鳥の水田ビオトープにおける採餌利用も観察された.以上より,健全な水域の連続性確保による水田魚類群集の保全がそれらを餌とするコウノトリの生息や繁殖に大きく寄与することが示唆された.
著者
脇坂 英弥 脇坂 啓子 中川 宗孝 伊藤 雅信
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.43-47, 2014 (Released:2014-05-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1

ケリの生活史や繁殖生態を理解するためには,成長段階の早い時期からケリ雛の性別を知る必要がある.本研究では,簡便かつ確実なケリ雛の性判定法を確立するために初毛羽の基部からのDNA抽出を試みた.その結果,初毛羽からPCR増幅に十分量のDNAを得ることができた.加えて,この方法により京都府南部における17巣30個体のケリ雛の性を,雌14個体,雄16個体に判別することができた.即ち,初毛羽からのDNA採取の手法は簡便であるだけでなく,雛へのストレスを軽減する手法として有効であることが示された.
著者
石沢 慈鳥
出版者
日本鳥学会
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.17, no.79, pp.213-217, 1962

Hegura I. is a small flat island with almost no tree, situated 27.5 miles from the tip of Noto Peninsula. Very few birds have hitherto been recorded. The author received lighthouse-struck birds four times in May and June, 1961 and 1962 These are, <i>Turdus sibiricus, Larvivora cyane, Motacilla cinerea, Muscicapa alseonax, Mnscicapa griseisticta, Muscicapa narcissina, Locustella fasciolata, Locustella lanceolata, Locustella ochotensis, Phylloscopus borealis</i> and <i>Acrocephalus bistrigiceps, Lobipes lobatus</i>.<br>These records support author's previous view that passerine migrants migrateoffshore rather than close to it and the lighthouse may often benifit them for temporal landing in cloudy and bad weathers (all above birds were obtained in such conditions), though small part of it may die by striking at it.

1 0 0 0 OA 錦鶏ノ飼育

著者
飯塚 啓
出版者
日本鳥学会
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.81-83, 1915-12-10 (Released:2009-02-26)
著者
三上 修
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.161-170, 2009
被引用文献数
8

スズメ<i>Passer montanus</i>の数が減っているのではないか,という声を,近年,各所で耳にする.そこで本研究では,スズメの個体数に関する記述および数値データを集め,スズメの個体数が本当に減少しているかどうか,減っているとしたらどれくらい減っているのかを議論した.その結果,現在のスズメの個体数は1990年ごろの個体数の20%から50%程度に減少したと推定された.1960年代と比べると減少の度合いはさらに大きく,現在の個体数は当時の1/10程度になった可能性がある.今後,個体数をモニタリングするとともに,個体数を適切に管理するような方策をとる必要があるだろう.
著者
倉沢 康大 本田 聡 綿貫 豊
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.216-227, 2011 (Released:2011-10-26)
参考文献数
44
被引用文献数
4 6

A survey of the at-sea distributions of 1) planktivorous Short-tailed Shearwater Puffinus tenuirostris, migrating to their northern summering area and 2) piscivorous Rhinoceros Auklet Cerorhinca monocerata, breeding in the northern Sea of Japan off Hokkaido, was carried out by ship, from 16 to 28 May 2008. Avian censuses were combined with: acoustic surveys aimed at measuring prey density, and sea surface temperature (SST) surveys. Surface Chlorophyll a distribution was obtained using satellite imagery. The density of shearwaters was correlated positively with 200 kHz SA (the index of density of zooplankton including krill) at the 10 km scale, and 200 kHz SA was correlated negatively both with SST and Chlorophyll a. However, shearwater densities were not correlated significantly with SST and Chlorophyll a. The result suggest that migrating shearwaters may be able to find patches of krill in cold water. In contrast, the density of Rhinoceros Auklets was not correlated with 38 kHz SA (the index of pelagic fish density) or 200 kHz SA at any scale.
著者
森岡 弘之 ヤン チャンマン
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.149-150, 1990
被引用文献数
1

シロトキコウ<i>Ibis cinereus</i>はジャワ&bull;スマトラ&bull;東マレーシア&bull;カンボジア&bull;ヴェトナム南部に分布するが,タイ国からは記録がなかった.国立シンガポール大学動物学部所蔵の鳥類標本中にタイ国産雄成鳥の標本(1930年8月19目タイ南部のSetulで採集)が1点あるので,この種をタイ国鳥類目録に追加する.マレー半島では,タイ&bull;マレーシアの国境をほぼ境に,北部にインドトキコウ<i>Ibis leucocephalus</i>が,南部にシロトキコウが分布するが,両種とも個体数が近年著しく減少している.今回報告した標本は,マレー半島におけるシロトキコウの北限にあたると考えられるので,貴重なものであろう.
著者
石沢 慈鳥
出版者
日本鳥学会
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.15, no.71, pp.45-46, 1958

The Scops Owl, being a small sized species, feeds almost exclusively on insects. Oka's two December records should be unhealthy birds which remained until early winter. There may be a probability of its wintering in warmer parts in Japan, such as Amami-Oshima as given in the Hand-list (1958), where food insects are to be found in this season. But, the author rather believes, as mentioned by Yamashina (1931), that it is a summer migrant, because La Touche reports it as winter bird from central and southern parts of E. China.
著者
竹中 万紀子
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.77-79, 1992

著者は札幌の繁華街(狸小路)のビル屋上広告塔をねぐらとする約2,000羽のムクドリのフンを1991年11月から5-7日毎に採集している.1991年12月に1群のハギマシコをこの広告塔で初めて目撃した.その後1992年1月から3月まで,ハギマシコはムクドリのフンを探索採食していた.直接観察に加え,VTRで日中と早朝に採食行動を撮影した.画面上に現れたハギマシコの最大羽数は17であった.早朝の撮影では,あたりが薄暗くムクドリがまだねぐらにいる頃からハギマシコはフンを採食し始めた.夕方のムクドリのねぐら入りの際にもハギマシコはムクドリの群に驚いて飛び立ち,ムクドリが落ち着くと再び広告塔にとまり直した.これらの観察からこの時期,このハギマシコ群はムクドリのねぐらである広告塔周辺で一日の大半を過ごし,フンを採食している可能性が高い.この時期のムクドリのフンには主にナナカマド,コリンゴ類,ツタ,イチイの果実片が含まれていた.この群は3月17日まで広告塔でフンを採食するのが観察された.スズメ目の1鳥種が同目種のフンをかなりの割合で食するという報告は,本報告がおそらく最初であろう.
著者
和田 干藏
出版者
日本鳥学会
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.3, no.12-13, pp.120-133, 1922-03-30 (Released:2010-03-01)
被引用文献数
1
著者
黒田 長禮
出版者
日本鳥学会
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.39-42, 1915-05-26 (Released:2009-02-26)
被引用文献数
1
著者
神名 勉聡
出版者
日本鳥学会
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.3, no.15, pp.323-328, 1923-07-10 (Released:2010-03-01)
被引用文献数
1
著者
江崎 保男 橋口 大介 金沢 正文 今堀 るみ子 池田 善英
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 = Japanese journal of ornithology (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.267-279, 2000-03-01
被引用文献数
3 6

1)京都府南部の丘陵地域に約40km<sup>2</sup>の調査地をもうけ,オオタカの目視調査を1年間おこなった.丘陵部はアカマツが混じりコナラを主とする山林,平地部は農耕地と市街地であった.<br>2)オオタカは周年にわたって出現した.調査地中心部の約5km<sup>2</sup>の孤立林で1つがいが営巣し,繁殖に成功した.孤立林の外側には広い山林あるいは農耕地•市街地が虫食い状にまじる山林が存在したが,これらの場所には営巣つがいが存在しなかったと考えられる.<br>3)翼羽の欠損によりつがいのオスは個体識別ができたが,繁殖期にはこのオス以外のオスは確認できなかった.繁殖期を前半と後半に区分すると,オスの行動圏の大きさはそれぞれ6.8km<sup>2</sup>と10.8km<sup>2</sup>であった.<br>4)7月から8月にかけて出現した幼鳥は調査地内で巣立った個体であると推測されたが,巣立ち直後の7月には巣の付近でのみ目撃され,8月にはかなりよく動き回るようになり活動域が季節とともに拡大する様子がみられた.<br>5)オオタカの出現パターンやその他の状況証拠から,孤立林を含む調査地中心部は繁殖期にはつがいによって独占使用されていて,行動圏の大きさは5-10km<sup>2</sup>であったと考えられる.一方,非繁殖期には同じ地域が複数の成鳥オスや亜成鳥を含むオオタカによって非排他的に共同利用されていたとみられる.<br>6)孤立林は繁殖期のみならず周年をとおしてオオタカの生息の好適地であったと考えられるが,尾根にかこまれた比較的安全な巣場所を有することにくわえて,比較的大きな孤立林であること,かつ狩り場として適当な農地につつく林縁部を有することなどがオオタカに好まれる理由ではないかと推察される.
著者
鳥羽 悦男
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.67-77, 1989

1988年4月から7月まで長野県長野盆地の犀川の中洲でコアジサシのEPC(つがい外交尾)の行動を調査し,EPCを試みる雌雄の行動とつがいの繁殖活動について述べた.<br>1)1987年に114羽,1988年に62羽を捕獲し,個体識別した.EPCの試みに関して492時間,つがいの繁殖活動についてのべ630時間観察した.<br>2) 31巣について繁殖活動を観察した結果,すべて一夫一妻のつがいであった.<br>3) つがい以外の雄から雌へめ114例の接近中,'EPCの完了'4例(3.5%),'マウントのみ'11例(9.6%),'EPCの失敗'15例(13.2%)で,接近のみに終わったものが67例(58.8%)であった.<br>4) PC(つがいの交尾)では雄はほとんど餌の小魚をくわえずに雌に近づく.しかし,EPCは雄が小魚をくわえ,出巣中の雌に接近することから始まる.これに対して,雌は交尾要求行動をとる.マウント中に雄の餌を奪い取るために雌は動き,交尾まで到らないことが多い.<br>5) 雌は餌をくわえた雄の接近に対して交尾姿勢やうずくまり姿勢をとり,雄のマウントの寸前に飛びつき餌を奪い取ることがあった.114例の接近中17例(14.9%)あり,4羽の雌が1例ずつ餌を奪い取った.<br>6) 雌は,交尾よりもむしろ餌がほしいために,雄のEPCの試みに応じるふりをして餌奪い行動をとるものといえる.餌奪い行動は抱卵期育雛期に多い.この時期は雌の出巣時間が増え,つがい外雄と接触するチャンスが増える.また,雄のつがい雌への給餌量が減少する.これらが餌奪い行動と関係していると考えられる.<br>7) 産卵期中はつがい雄の雌への給餌が多い.雄はこの時期に抱卵中のつがい雌の防衛をしないが,この給餌がその働きをしていると考えられる.<br>8) 雄は雌の産卵時期が判断できないらしく,またEPCを試みても交尾に到ったものが少ない.このため雄のつがい以外雌への受精の可能性が低い.
著者
齋藤 武馬 西海 功 茂田 良光 上田 恵介
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.46-59, 2012 (Released:2012-04-27)
参考文献数
61
被引用文献数
3

メボソムシクイPhylloscopus borealis (Blasius) は,旧北区北部と新北区最北西部のスカンジナビアからアラスカまで,南端は日本まで繁殖する渡り鳥である.僅かな形態形質の違いから,これまで7の亜種が記載されてきたが,その分類には統一した見解がなく,分類学的混乱がみられる.この問題を解決するため,著者らはこれまでに繁殖分布域の全域において,分子系統学,形態学,音声学的手法を用いた解析を行い,メボソムシクイの地域個体群間の差異を明らかにしてきた.さらに,著者らは利用可能な学名の正しい適用を決めるため,渡り中継地及び越冬地から採集されたタイプ標本のミトコンドリアDNAを解読した.その結果,ミトコンドリアDNAの配列,外部形態,音声の変異の一致から,従来認識されてきたメボソムシクイには3つの独立種を含むことを明らかにした.それは,Arctic Warbler Phylloscopus borealis(ユーラシア北部~アラスカ西部),Kamchatka Leaf Warbler P. examinandus(カムチャツカ・千島列島・サハリン・北海道知床半島),Japanese Leaf Warbler P. xanthodryas(本州・四国・九州)である.さらに,これらの種について種和名を提唱し,Arctic Warblerをコムシクイ,Kamchatka Leaf Warblerをオオムシクイ,Japanese Leaf Warblerをメボソムシクイとすることを提案した.