著者
仲地 博 Nakachi Hiroshi
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
琉大法学 (ISSN:04857763)
巻号頁・発行日
no.65, pp.83-114, 2001-03
著者
山里 純一 Yamazato Junichi
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 : 琉球大学法文学部人間科学科紀要 = Human sciences : bulletin of the Faculty of Law and Letters, University of the Ryukyus Department of Human Sciences (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.32, pp.55-77, 2015-03

旱魃は人間の生存を脅かす最たるものの一つである。気象学や科学技術が発達した現代においてさえ、降雨は自然に委ねる他はないが、これを人間の力を越えたものに頼って雨を得ようとする行為が雨乞いである。雨乞いは地域共同体や行政レベルで行われ、一定の儀礼を伴うが、本稿は宮古・八重山を中心に、沖縄本島の中北部および久米島の事例も参照しながら沖縄における地方の雨乞い儀礼について、概観したものである。
著者
浜崎 盛康 川元 恵美子 Hamasaki Moriyasu Kawamoto Emiko
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 : 琉球大学法文学部人間科学科紀要 = Human sciences : bulletin of the Faculty of Law and Letters, University of the Ryukyus Department of Human Sciences (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-16, 2015-09

沖縄県南城市の久高島はイザイホーに代表される神の島として知られるが、高齢化がすすんでおり、55歳以上の高齢者が島の人口に占める割合は40%にもなる。しかし、島には入所型の介護施設がないため、高齢で要介護状態になると島を離れ島外の老人ホーム等に入所し、そこで亡くなり死後に島に戻るという現実がある。このことは島では、「連れて行かれる」と表現する事態であり、スピリチュアルペインを生じさせるものである。本稿は、久高島の調査に基づいて島におけるそのようなスピリチュアルペインを確認し、これに対する島の取り組みが福祉制度におけるスピリチュアルケアとして捉えられることを示し、さらに、その際固有の信仰を尊重することも必要であるということを論じるものである。
著者
稲村 務 Inamura Tsutomu
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
地理歴史人類学論集 (ISSN:21858535)
巻号頁・発行日
no.6, pp.41-63, 2015

主として紅河州の土司遺跡の調査資料とラオスの調査資料を示した。中国南部を中心に近代国家以前の政体をこれまでの東南アジアの政体モデルの検討を通じて、特にJ.スコットの所論を基に、「盆地国家連合」「山稜交易国家」という理念型でとらえなおした。これまで静態的に捉えられてきたハニとアカの文化を「切れながら繋がる統治されないための術」と解釈しなおすことを通じて両者を架橋する新しい山地民像を提示した。未公開:論文中の図1~8,写真1~6は著者の意向により削除
著者
知念 肇 Chinen Hajime
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
琉球大学経済研究 (ISSN:0557580X)
巻号頁・発行日
no.83, pp.1-13, 2012-03

2009年10月に全日空貨物基地が那覇空港にて営業を開始して以来、県民の関心は急速に高まっているが、貿易構造の議論はなされているように思えない。本稿は、2010年の沖縄地区税関の資料をもとに、那覇空港を経由した貿易構造の分析を試みたものである。それによると、那覇空港は、アジアの垂直的貿易の要となる地理的条件を生かし、成長していることがわかった。
著者
鍬塚 賢太郎 Kuwatsuka Kentaro
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.14, pp.89-119, 2004-09
被引用文献数
4

インドでは経済自由化以降、ITサービス輸出が拡大しており、インド経済に少なからぬインパクトを与えている。なかでも近年急速に成長しているのが、アメリカ合衆国を最大の需要先とする情報通信技術を活用した業務受託サービスである。本稿ではインドにおける業務受託サービス輸出の動向について把握するとともに、その生産拠点として捉えることのできるコールセンターの立地の特徴についてナショナル・スケールから検討し、大都市部へ集積していること確認した。これを受け、業務受託サービスの輸出拠点となっているデリー首都圏を取り上げて、都市スケールからみた立地の特徴を把握するとともに、それが既存の都市構造に与える地域的インパクトについて、オペレーターの就業形態に着目しながら考察した。
著者
高良 美樹 金城 亮 Takara Miki Kinjo Akira
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 : 琉球大学法文学部人間科学科紀要 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.29, pp.89-115, 2013-03

本研究は,自己効力感とソーシャル・サポートが入院状況における治癒志向行動(患者・看護師評定)とストレス反応にどのような影響を及ぼすかについて入院患者を対象とした質問紙調査に基づき検討したものである.調査対象者は,入院患者137名(平均年齢56.30歳,男性64名・女性70名・不明3名)であった.本研究の仮説は,「自己効力感高群は,低群に比べて治癒志向行動が多く,ストレス反応が低いであろう」「ソーシャル・サポート高群は,低群に比べて治癒志向行動が多く,ストレス反応が低いであろう」であった.主要な結果は,以下の通りである.①自己効力感の下位尺度『健康統制感』の高い者は,低い者に比べて治癒志向行動(患者評定)がより多く, 『苛立ち』を感じる程度が低かった.また,自己効力感の他の下位尺度『対処行動の積極性』の高い者は,低い者に比べて治癒志向行動(患者評定)がより多かった.②ソーシャル・サポートの構成要素の『行動的サポート』をより多く受けている者は,そうでない者に比べて,『苛立ち』および『無力感』を感じる程度が低かった.全般的に仮説を支持する結果を得た.一方,看護師評定による治癒志向行動においては有意な効果が得られなかったこと,自己効力感は治癒志向行動(患者評定)の促進,ソーシャル・サポートはストレス反応の抑制に効果があることなど,仮説が支持された範囲は限定的なものであった.
著者
Kina Ikue 喜納 育江
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
琉球大学欧米文化論集 = Ryudai Review of Euro-American Studies (ISSN:13410482)
巻号頁・発行日
no.43, pp.9-26, 1999-03

1981年に出版されたレスリー・マーモン・シルコーのStoryrellerは、様々な語りの手法によって作者の共同体意識を表現した物語を集めた作品である。この論文では、Storyrellerの中の短編小説「イエローウーマン」に注目し、ケレス語族プェプロインディアン共同体に伝統的に語り継がれてきたイエローウーマン物語を、シルコーが現代の語り部としてどのような意義で語り継いでいるかを見ていく。ポーラ・ガン・アレンの指摘するように、シルコーの「イエローウーマン」は、確かに伝統と同じモチーフを採用しているという点で、アメリカ先住民女性の語りの伝統の一端を担う作品と言えるが、さらにシルコーの語り部としての独創性を問うならば、過去の物語の伝統的な要素は、この物語の語り手である先住民女性の意識に顕在する作家の現代意識と融合することによって、現代社会の新たな文脈の中でのアメリカ先住民女性の新たな意識を表現していると言える。この論文では、まずアメリカ先住民にとって口承伝承がどのような文化的意義を有する伝統であったかを考察し、そうした伝統の流れの中で再び語られる「イエローウーマン」において、シルコーの自己意識が、共同体意識と連関しつつも、共同体の伝説としてのイエローウーマン物語にどのような独自性を加えていったかという過程を検証する。
著者
野入 直美 Noiri Naomi
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.5, pp.141-170, 2000-03

本稿は石垣島の台湾人の生活史の事例から、石垣島における台湾人と沖縄人の民族関係の変容過程をとらえようとする試論の前編である。ここでは、戦前から復帰前までの台湾から石垣島への人の移動と、石垣島における台湾人社会の生成と変容の過程をとりあげる。台湾から石垣島への人の移動は、戦前と戦後を通じて、台湾人実業家が石垣島にもちこんだパイン産業によって形成されてきた。戦前期については、パイン産業の萌芽と台湾人移住の始まり、国家総動員体制下での沖縄人による台湾人排斥を中心に記述を行う。そして戦後期については、パイン産業が石垣島の基幹産業となるなかで台湾人が集住部落を形成し、沖縄人との民族関係が変化していく過程と、復帰前の移行期における台湾人の職業の多様化について記述する。本稿の続編では、復帰後の台湾人社会について、大量の帰化、世代の移行と家族生活の変容、職業の多様化を中心にとりあげ、それらの変化にもかかわらず相互扶助のネットワークが維持されてきた過程について検討する。
著者
野入 直美 Noiri Naomi
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.8, pp.103-125, 2001-09

本稿では、沖縄の本土復帰以降の石垣島における台湾人社会の変容について検討を試みる。沖縄が本土復帰した1972年に、日本は中華人民共和国と国交を回復し、中華民国との国交は途絶えた。この政情不安を背景として、石垣島では台湾人による家族ぐるみの帰化が大量に行われた。ここでは、まず戦後の台湾人の法的地位について整理し、石垣島に生きるひとりひとりの台湾人にとっての帰化の意味と、帰化をめぐる意識について、聞き取りの事例に基づいて考えたい。さらに本土復帰後の台湾人社会は、集住地域の解体に直面する。前稿で述べたように、石垣島の台湾人社会は、戦前からのパイン産業を柱として形成されてきた。戦後、パイン産業は石垣島の基幹産業となった。労働力の需要があったために、疎開でいったん台湾へ戻っていた台湾人は石垣島に再移住し、新たに就業機会を求めてやってくる台湾人もいた。しかし復帰後、パイン産業は急速に斜陽化し、パイン缶詰工場で働く下層労働者の多くは石垣島を去った。定住を選んだ人びとも、かつて「台湾人村」と呼ばれたX部落、パインの生産と加工によって栄えた台湾人集住地域を離れ、石垣市の市街地に移動した。この稿では、集住地域の解体と職業生活の多様化にもかかわらず、相互扶助と文化継承のネットワークが維持されていく過程を明らかにしたい。
著者
川平 成雄 Kabira Nario
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
琉球大学経済研究 (ISSN:0557580X)
巻号頁・発行日
no.74, pp.1-21, 2007-09