著者
城崎 博美 北野 昌則
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.509-515, 1979
被引用文献数
1

本研究は, 装軌車の軌弱地における旋回性能について基礎的な解析を行うものである。本報ではこれまでに検討してきた堅固路面における旋回理論をもとにして, 履帯と路面間の摩擦力が履帯のすべり量によって異なったり, 車両重量や履帯のすべりのため路面が沈下したりする場合について定常旋回理論式を導き, 数値解析を行った結果について報告する。第2報以降では履帯のすべり特性, 路面の沈下や盛上り, 旋回半径, 旋回に必要な起動輪トルク等について実験用模型装軌車を用いて実験を行った結果と数値解析結果を比較検討するとともに, 車両の形状や重量, 履帯幅やグローサの形状等車の構造諸元や, 土の諸性第質が旋回性能に及ぼす影響などについて報告する。
著者
古賀 康正
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-7, 1989

収穫後処理技術は社会的諸条件に強く関連しており, その技術協力には総合的な視点と柔軟な対応とを要する。技術的改善の実現は社会的前提を要するが, 公的援助においては外交的配慮によって明示されないことも多い。また資金的援助の実施が自己目的化されることもあるが, 現実の改善はその国の人々自身の活動によってのみ達成される。日本の貢献が期待されるが現状は不十分である。民間による技術協力も推進する必要がある。農業機械技術者はその活動が社会的福利を実現するような方向を判断して活動すべきである。
著者
繆 冶煉 アガド マルシャル D. 吉崎 繁
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.37-41, 1997-01-01
参考文献数
10

培養玄米の遊離脂肪酸度, 胴割および搗精特性を調べた。また, 搗精性能を向上させるために培養玄米のパーボイリング処理を検討した。15~40℃のまき床での培養処理では, 玄米の遊離脂肪酸度は26mgKOH/100gから18mgKOH/100gに減少した。培養玄米の胴割率は23℃の定温実験室内で自然乾燥後に60~80%と極めて高かった。培養玄米を100℃で2分間以上パーボイリング処理してから搗精すると, 砕粒の発生が減少すると同時に, 原料玄米の場合とほぼ同じ搗精歩合が得られた。また, 水中における精白米の胴割率も0~3%と非常に少なかった。
著者
高木 史人 南 清司
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.349-360, 1986

大量の穀物を長期間安全に貯蔵するためには, 穀物がサイロへ投入されてから排出されるまでの段階で発生する様々なトラブル (偏析・固結・破砕・発熱・閉塞・変質等) の中で, 他のトラブルの原因となる穀物をサイロへ投入する際の偏析や貯蔵中の固結に対して, 適切な防止策を講ずることが重要である。<br>そこで, 輸入大豆サイロによる偏析と固結の実態調査と貯蔵物である丸大豆・割豆・ダスト・夾雑物・豆皮に関する各種の物性実験をおこなった。実験の結果, (i) ダストは吸湿性・固結性・発熱性等が高く第1に除去すべき物質である。(ii) 割豆は流動性が悪くダストと共に固結物を形成しやすい物質である。等が明らかになった。以上の結果を基にして, 偏析・固結の防止策を検討し, サイロ投入時に偏析を起こさない粉粒体供給装置を提案した。
著者
山本 博昭
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.3-12, 1994
被引用文献数
1

不整地走行車両には多様な形態が考えられるが, ハウジング揺動型の小型クローラ4基で走行する車両の試作開発を試みた。各クローラは, 走行駆動と同時にそれ自体を回転・揺動させて車体地上高を変え, 路上の段差・障害を踏破しようとする構想である。また, 前後にある左右クローラ揺動軸を差動装置で連結し, 互いに逆方向に差動するそれらの揺動運動を利用して, 車体左右の地上高の差を修正し, 両輪の常時接地と車体の水平化を図った。本報では, 試作車両の構造・機能の特徴, 差動機構を利用した走行部の機構学的特性及び各クローラ接地反力 (接地荷重) の変動に関する解析結果について報告する。
著者
アルカラス ジョエル マツサレム 山下 淳 佐藤 員暢
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.80-89, 2008-03-01
参考文献数
3

グリーンハウスにおいて, トラクタ・トレーラからなる連結車両 (TTC) の運転操作を容易にするため, 機械式けん引制御システム搭載のトレーラ車両を開発した。このTTCは, 旋回角が小さく, 狭い通路で運転するとき, 旋回半径を減じること, 直進後退時に発生するジャックナイフ現象やジグザグ走行を防止することを目的にして考案されたものである。コンクリート路面上でTTCの旋回半径及びヨーレートを測定した結果, 旋回半径は従来の一点ヒッチ式に比して約16%, 内輪差は約20%と小さくなること, 直進後進時には従来型はジグザグ走行し, 無操舵の場合にはジャックナイフ現象が現れるが, TTCはトラクタとトレーラが一体構造になるため, ヨーレートは0.025~0.05deg/sと小さいことが判明した。
著者
今野 博
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.328-335, 1970-03-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
4
著者
ロイ スワパン クマル 澁澤 栄 ラヒム アノアール アドゥル 下保 敏和
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.88-95, 2004-07-01
参考文献数
31
被引用文献数
1

西マレーシアの水田において2000年に土壌特性と収量を格子状に取得した。ジオスタティスク解析の結果, 土壌特性と収量には強い相関があり, レンジは土壌特性より収量の方が短かかった。代用データ (土壌特性) を用い, 収量の空間的ばらつきをコクリギングにより推定したが, このほ場ではそれほど精度を高める効果がなかった。クリギングにより得られた収量マップでは, プロット値の中央部は長辺方向両端に対して低収量 (3.5t/ha未満) であった。5t/ha以上の高収量を得るために, 低収量領域への特別な処置として, 土壌中のN及びP含有量を増加させる必要性が示唆された。
著者
水島 晃 野口 伸 松尾 陽介
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.136-144, 2004-11-01
参考文献数
8

GPSを利用した農業用アプリケーションの開発が国内外で盛んに行われている。本研究では方位センサなどを使用せずGPSのみを使用して方位を計測する手法を考案した。方位角推定には車両のステアリングなどの車両情報も使用できない環境であることを想定した。まず, 直線走行, 曲線走行試験を行いGPSの測位点から直接方位を計算して精度を評価・検討し問題点を明らかにした。その結果, GPSによる方位計測はノイズが大きく, 時間遅れの影響も無視できないことが明らかとなった。そこで, 自己回帰モデル (ARモデル) による方位推定手法を考案し, 方位計測精度の改善を試みた。その結果, 直進走行における方位計測で30%, 曲線走行における方位計測で50%精度を改善することができた。