著者
岩田 建
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.22, pp.35-42, 2015-03-31

市販の500mL ペットボトル入りミルクティー ( 6 社 8 種) を用いて、 官能評価の結果を、 商品解析に用いられているプロダクト・マッピングの手法に応用し、 味の特徴について系統的に分類することを試みた。 さらに、 商品の販売数と商品の味の特徴とに関連性が見いだせるかどうかを検討した。 この結果、 商品の味を、 「甘さ」 が強いか 「苦さ」 が強いかの軸と、 「紅茶風味」 が強いか 「ミルク風味」 が強いかの軸の 2 軸で考えることで、 系統的に配列できる可能性が示唆された。 また、 販売数と商品の味との関連は低く、 広い味の範囲で好まれていると考えられた。
著者
成瀬 宇平 角田 文 加藤 真理 秋田 正治 村松 啓義
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.141-145, 2003-03-31

京料理の手法を参考に昆布だし汁のグルタミン酸量とだしの調製条件との関連について検討し,さらに昆布だしにかつお節を加えた「一番だし」の香気成分についてガスクロマトグラフィーマススペクトロメトリー(GC-MS)を用いて検討し,次の結果を得た。1)だし汁を調製する水の温度は60℃,昆布の浸漬時間が60分間のだし汁のグルタミン酸量は他の条件に比べて多かったため,京料理のだしを調製する方法は本実験と一致した。2)京料理では昆布に利尻昆布を使用するのは,濃度の薄いだしをとるためと考えられる。3)一番だしの主な香気成分はかつお節由来の成分であった。
著者
吉田 啓子 桑原 礼子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.75-82, 2004-03-31

台所で常に利用し、食品や器具類と接する機会の多い洗浄用のスポンジ・たわしは衛生的取扱が難しく、煩雑になりやすいと考えられる。そこで台所用スポンジ・たわしの微生物学的実態調査を行うと共に、Esherichia coli IAM12119^T, Bacillus subtilis IAM12118^T, Pseudomonas fluorescens IAM12022^Tをそれぞれをスポンジに接種し、乾燥させた状態あるいは湿った状態で20℃、30℃と温度を変えて保存しそれぞれの消長を観察し2, 3の知見を得た。
著者
坂倉 有紀 山口 尚子 大中 佳子 吉田 啓子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.16, pp.37-42, 2009-03-31

Listeriosis has been positioned as one of the important foodborn infections. This study investigated the behavior of Listeria innocua in foods prepared by vacuum-packed pouch cooking. In corn potage soup, Listeria innocua increased 2 log at 2℃ and 6 log at 10℃ after 10 days. The growth of Listeria innocua was slightly inhibited in the vacuum-packed pouch. The addition of 0.1% acetic strongly the growth of Listeria innocua.
著者
山野 清二郎
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.20, pp.66-58, 2013-03-31

日本最古の漢詩集である 『懐風藻』 には、 「元日」 の題を持つ詩として、 藤原不比等と長屋王の作品が載せられている。 また、 その二首に加えて、 大伴旅人の 「初春侍宴」 という詩も、 同じく元日の作として認めてよいだろう。 しかし、 いずれの詩も、 制作された年代や情況などは明らかでなかった。 そこで、 改めて詩の内容を検討して、 作者の置かれた立場や、 同時代の史書 『続日本紀』 などを探ってみると、 不比等と旅人の詩が和銅三年正月、 長屋王の詩が同八年正月に作られたと判断できる。 これらの詩は、 官人のみならず、 異族とされる隼人や蝦夷の人々をも交えて盛大に催された元日の宴において詠じられたものであり、 その場の雰囲気や宴の変化の様相などを窺わせる貴重な作品群として評価できるだろう。
著者
福田 喜一郎
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.19, pp.45-49, 2012-03-31

Zu unserer Uberraschung behauptet Kant,dass das Bestreben des Atheisten, seine sittlich rechtschaffe Eigenschaft zubewahren, begrenzt sei. Aber diese Behauptung von der moralischen Begrenzung des Atheisten steht beileibe nicht im Widerspruch zum Grundsatz der Willensautonomie bei Kant. Er fuhrt dabei seine Unterscheidung des moralischen Actus vom religiosen Habitus ins Feld, um solchen moralischen Nihilismus zu vermeiden. Er versucht zugleich weiterhin, der amoralischen Welt als Natur eine neue praktische Bedeutung beizulegen, was ,, das hochste Gut" oder das Dasein Gottes betrifft. Es ist m. E. die reflektierende Urteilskraft, die diese Bedeutung entdeckt und das Vertrauen zu dieser Welt gewinnt. In diesem Sinne kann Kant als der eigentliche Verfechter der Idee des Gnadenreichs von Leibnitz bezeichnet werden.
著者
川口 和英
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-11, 2004-03-31
被引用文献数
2

近年、大型の国際イベントについては、地域に対する経済波及効果を事前に計測し、予測データを各種メディアを通じて発表する事例が多くなってきている。2002年6月に開催されたFIFAサッカーワールドカップ (以下、W杯とよぶ) は国際的な大型スポーツイベントでもあり、経済波及効果については、これまでも様々な形での計測値が発表されてきた。これらの経済効果については、発表機関や計算方法についてもまちまちであり、十分な検証が行われないまま、多様な媒体によって公開されているのが実態である。また今回のW杯ほど、多くの機関が独自の計測結果を算出した例は過去に少なく、こうした経済効果に期待度が高まっている一方で、その結果については総じて検証が行われていない。本研究においては大規模な集客機能による地域への波及効果として2002年W杯に着目し、その事例研究を行うとともに、今後のこのような開発がもたらす地域波及効果の測定結果の検証方法につき、考察研究を行うことを目的とする。ここではW杯に関連して試算された様々な研究・調査事例のうち、代表的なものについて経済波及効果の試算結果の分析を行った。ここでは分析上の統一性をはかる意味でも産業連関分析による波及効果測定につき特定して検討した。
著者
伊藤 嘉奈子 工藤 吉猛
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.18, pp.61-69, 2011-03-31

The purpose of this study is to investigate the effects of employing collages and a career matrix in career education for third graders in a junior high school. First, the teacher asked students to use a career matrix. Next, the students were divided into several groups and asked to make a collage about a job and then to talk about various jobs based on the collages. The Career Maturity Attitude Scale questionnaire was implemented before and after the learning process. The results show that the students awareness of the importance of a career choice changed positively after the lesson.
著者
福田 喜一郎
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.39-50, 2006-03-31

Kant stand nach seiner Aufklarung-Schrift (1784) verschiedenen Schwierigkeiten gegenuber. Seine Unterscheidung zwischen dem offentlichen Gebrauch und privaten Gebrauch der Vernunft wurde von Hamann streng getadelt. Kant wurde danach in den Spinoza-Streit zwischen Jacobi und Mendelssohn hineingezogen und fur Atheisten gehalten. Ferner gab es heftigen Angriff der Schwarmer auf die in Berlin entwickelte Aufklarung. Kant hat in dieser Phase seine Orientierung-Schrift (1786) geschrieben, um die Idee von seiner Aufklarung in praktischer Absicht zu erklaren. Seine Idee wurde neu als "Selbstdenken" vorgelegt, dessen Maxime heisst: "den obersten Probierstein der Wahrheit in sich selbst suchen".
著者
佐藤 淑子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-10, 2013-03-31

"本研究は、 育児期家族において、 社会・人口動態的な変数が、 父親と母親の自己認識や性別役割分業意識、 夫婦間コミュニケーション、 心理的ストレスにどのような影響を与え、 それが育児の協同にどうかかわっているかを検討した。 対象者は乳幼児を育てる366組の夫婦である。 主な結果は、 (1) 父親の労働時間が長い場合、 子どもの身体的な世話の頻度が少ない。 (2) 夫婦間コミュニケーションがよいと、 父親は子どものしつけ、 遊びの行動を多くする。 (3) 父母の自尊心は育児への肯定感と相関があるが、 母親の就業形態による自尊心に顕著な違いはみられない。 (4) 心理的ストレスは有職母親の方が父親より高いが、 仕事から家庭へのネガティブ・スピルオーバーは父親の方が高く、 家庭内のミクロのジェンダー・ポリティックスの可能性が示唆された。 (2012年 9月28日受稿)"
著者
若林 素子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.20, pp.21-26, 2013-03

カリタ式ペーパードリップ法において、 湯を、 蒸らし時間を加えながら 4回に分けて注ぐ抽出法Iと、 同量の湯を一度に注ぐ抽出法IIによりコーヒー抽出を行い、 それぞれのカフェイン濃度の違いを HPLC により定量分析した。 コーヒーとしては市販の焙煎直後のブラジル、 コロンビアおよびマンデリンの 3種を使用し、 抽出直前に粉砕した。 抽出法 I では65-93 mg/100g、 抽出法IIでは48-55 mg/100gのカフェインが抽出液に含まれることが明らかとなり、 3種いずれのコーヒーにおいても、 抽出法 I においてはIIと比較して約1.4倍から約1.7倍有意に (p < 0.01) カフェイン濃度が高くなることが示された。
著者
谷口(山田) 亜樹子 山口 真由
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.19, pp.51-59, 2012-03-31

This study focused on female students to examine the trend of brown-bag lunch and surveyed the students' awareness of the factors considered while preparing lunch. This survey was conducted in 2009, and the participants were 72 freshman-year female university students. The survey results confirmed that the students brought a brown-bag lunch more than 70% of the time. Their reasons for bringing their own lunch were that it was "economical and thus one saves money" (60%) and that it was "good for one's health as it had well-balanced nutrition" (13%). In contrast, those who did not bring any lunch said that they did not wish to "prepare it and wash the lunchbox" (45%) and "there's no build" (27%). Fifty-three percent of the students prepared their own lunch, whereas forty-seven percent of the students would ask a family member to prepare it for them. Many students also prepared lunch for their respective families. The factors considered by the participants while preparing lunch included nutrition (38%), sanitation (29%), and the financial aspect (25%). While several students considered both nutritional balance and economic savings as important factors, many others focused only on the hygiene factor. Participants mentioned that they would also prefer a lunch box "that could keep food warm," "that was air tight," "that could hold soup without it leaking," "that was easy to clean," and "that did not hold steam pressure."
著者
伊藤 嘉奈子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.43-49, 2008-03

近年、フリーターやニート、ひきこもりなど、若者をめぐる様々な問題が取り上げられている。特にフリーターとニートに関しては、若年者をめぐる雇用の問題として、研究がなされるようになった。しかし、両者の定義ははっきりと定まっていない。そこで、大学生278名に対し、フリーターとニートのイメージについて、質問紙法にて回答を求めた。カテゴリー分析を行なった結果、大学生は、フリーターに比べて、ニートに対しては、ネガティブなイメージを持っていることが明らかとなった。したがって、両者について正しく理解することができるよう、大学においてキャリア教育や、若者の社会的問題への心理的支援などを実施することの重要性が示唆された。
著者
桐生 直幸
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.63-73, 2008-03

本研究では、英語授業を受講している心理学専攻の大学生32名を対象とし、授業改善の一環として授業評価アンケートを実施した。学生による授業評価、学習の自己評価、および授業に対する満足度・理解度の関係を、興味に焦点を当てながら分析した。分析の結果、以下の点が明らかとなった。(1)自己評価に影響を及ぼす要因のうち、興味に関しては「学習内容に対する興味」と、「英語に対する興味喚起」の2つの要因に分けられる。(2)授業の満足度に影響を及ぼす要因は授業回によって異なるが、主たる要因として「授業の展開方法・内容の適切さ」と、「学習内容に対する理解・興味」の2つが挙げられる。
著者
前野 澄子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.12, pp.63-70, 2005-03

John Schumann studied the progress of English language acquisition by Alberto, an immigrant from Puerto Rico. After ten months of research, Schumann found that Alberto showed little progress. Alberto's utterances were strikingly similar to pidgin English, baby talk or foreigner talk. After studying Alberto, Schumann proposed his Pidginization Hypothesis of second language acquisition. In the current climate where English is becoming regarded as a world language and non-speakers of English use English as a communication tool, Schumann's hypothesis seems to shed a new light on the study of changing English.
著者
東 ゆかり
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.24, pp.39-47, 2017-03

The aim of this study is to examine the creative process of Hoiku Shoka from the perspective of the Reijin, members of the Gagaku Department of the Court Ministry, who were engaged in its composition. The study was conducted by analyzing autographed manuscripts written by Fuyu Toyoda, a teacher at the Tokyo Women's Normal School Kindergarten who worked as a translator and lyric writer during the early Hoiku Shoka period. Originally, Hoiku Shoka began as a collection of educational songs for kindergarten instruction. It then started being used for various purposes, such as for Tokyo Women's Normal School students or unspecified audiences at concerts. The study reveals that the music composition quality underwent changes under the circumstances.
著者
薩摩林 淑子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.23, pp.17-29, 2016-03

I discuss the musical properties of Yoshinao NAKADA's 17 children's songs with lyrics by Hachiro SATO, through musical analysis focusing on the relationship between the poems and rhythm, melody, and harmony. As a result, I point out six characteristics of his composing style, from which I could derive three new features; compositions with repetitive lyrics, onomatopoeic words, and reverberation in the bridges. Finally, I discuss the significance of his works for children today from three points of view; cultivating emotions, encountering beautiful Japanese language, and the function of gate in the works of the art of music.
著者
山野 清二郎
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.142-135, 2008-03

河島皇子は大津皇子と莫逆の契りを交わしながら、大津皇子の謀反を密告した人物として『懐風藻』伝記は扱っている。一般に『懐風藻』の伝記は詩作品と関連性を有しているのに、『懐風藻』中に遺る彼の詩「山斎」は、この事件とは関係を持たない春の宴の詩と見られて来た。しかるに、語句の検証により、その詩は事件一、二ヶ月前の作と考えられ、伝の記述とつながってくることが分かる。大津皇子との親交によって、河島皇子はむしろ朝廷側から疑惑を招いた可能性があり、彼は莫逆の契りを守り、大津皇子を弁護することによって、かえって密告者の熔印を押される結果となったのであろうと思われる。
著者
吉田 啓子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.79-87, 2007-03-31

寿司製品は持ち帰り商品として人気があるが、品質および安全性の確保が難しい食品である。一方、それら寿司製品の消費期限は、経験に基づき設定している場合が多く、実態に合わせた科学的根拠のある期限設定が望まれる。そこで、データの蓄積を目的に、29種の寿司製品を対象にして異なる保存温度における微生物学的動態を調査した。その結果、微生物学的品質は、原材料の取り扱いと購入後の保存温度に影響を受け、製品個々の実態に合わせた期限設定が必要であることが認められた。
著者
谷口(山田) 亜樹子 ヒューズ 美代
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.20, pp.41-48, 2013-03-31

"女子大生132名を対象に、 2011年 4月に豆類の摂取に対する意識のアンケート調査を実施した。 アンケート内容は、 豆類の種類、 摂取頻度、 よく食べる豆料理や食品開発についてである。 調査対象者の83%が豆を好み、 46%がよく食べると回答し、 64%が週 1回以上摂取しており、 一人あたり平均4.2種類の豆類を認知していた。 よく食べる豆料理は和風料理が多く、 食べてみたい豆料理は洋風料理であった。 豆類の食品開発は、 従来の和風料理だけでなく、 外国料理、 菓子類についても取り入れ、 美味しさと栄養面の両方を求める消費者のニーズにあった新しい豆類の食品開発が必要であると考えた。 (2012年 9月28日受稿)"