著者
松井 幸太
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.20, pp.109-126, 2019-03-10

This exploratory study examines an implementation of encounter-groups based on undergraduate and graduate students’ nature experience activities with regards to their respective self-reflections, self-efficacy, and self-growth. The questionnaire survey, unveiled the natural experience that positively influenced the participants’ self-efficacy (proactivity, fear of failure and self-assessment of one’s abilities in comparison to others) and self-growth (achievement motive, attitude towards putting in effort). The interview survey helped reveal the factors that were influential. In the unusual yet natural environment, the participants experienced successes (achievements and overcoming failures) and misses in the various activities. Additionally, the nonstructured encounter-group was provided an opportunity in which the participants could selfreflect while receiving feedback from others. This contributed to the participants’ self-efficacy and self-growth.
著者
宮地弘太郎
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.211-220, 2011-03-31

テニスプレーヤーが世界で活躍する目安は,世界ランキングで100 位に入ることである。ここ数年,このランキングに到達する日本人選手は数少ない。これまでの世界ランキングに関する研究や,現場指導において,このランキングに到達する年齢は10 代後半から,20 代前半であると言われている。 2005 年より日本テニス協会によって,新たにアフタージュニアの強化が,強化目標の1 つとして掲げられた。アフタージュニアとは,18 歳から22 歳頃の世代を意味しており,いわゆる大学生テニスプレーヤーである。 そこで,本研究において日本男子大学生テニス選手の現状と課題を4 点の柱から探り,今後大学生テニス選手の世界に挑戦する目安を明確にし,今後の強化活動に少しでも生かしていただけたらと考える。結果以下の2 点の課題を提言してゆきたい。 1.休学あるいは,卒業後にスムーズにツアーに順応できるよう,国内の学生大会の見直し。 2.技能的な目安として国内で行われる全日本選手権で優勝争いに絡む,ユニバーシアードのシングルスで金メダルを獲得の2 つをクリアする。 以上の2 点をユニバーシアードチーム及び各大学教育機関の指導者,選手に徹底することで今後可能性が広がると考えられる。
著者
佐藤 広志
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.14, pp.147-160, 2013-03

兵庫県の大学等進学状況は,県外への流出も県外からの流入も多い流動的な状況にあり,結果的に県内の大学入学定員と県下卒業生数とがバランスする程度の量的規模になっている。2011年9月に,兵庫県北播磨地区に所在する全日制高校を対象に実施した高校2年生調査によると,その進学希望はまだ漠然としたものだろうが,一年上の学年の同地区の進学率実績をかなり上回り,潜在的な進学需要も観察される。北播磨地区のおかれた地理的条件を踏まえて考えると,同地区の高校生は通学の利便性を強く求めており,これはつまるところ,通学所要時間を主とした心理的コストへの鋭敏な反応であると考察できる。Hyogo prefecture provides a sufficient amount of opportunity for higher education for their high school graduates. However, the mobility of candidates is so fluid that half of them leaves the prefecture. In a specific district of Hyogo prefecture, North Harima, a maximum estimate of candidates exceeds the results in the previous year, when they replied their expectations in a questionnaire one-year before their actual decisions. Although many of them demanded a traffic convenience of commuting to university from home, it is difficult for them to meet under their geographical condition. To evaluate their decisionmaking about college entrance, their psychological costs of commuting time and distance should be taken into consideration.
著者
桐生 正幸
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.14, pp.243-252, 2013-03

本研究では,身近で発生した殺人事件が,地域防犯への関心や,犯罪に対するリスク認知と不安感に及ぼす影響について検討した。2007年10月に幼女が殺害された加古川市にて活動する防犯ボランティアが研究対象である。この殺人事件は,彼女の家の前にて刃物で刺された未解決事件である。調査は,兵庫県の5市にて行った。加古川市と他の市は,防犯活動が活発な地域である。調査回答者は,全部で361名(女性130名,男性231名。平均年齢67.3歳)のボランティアであった。調査結果は次の通りである。加古川市のボランティアは他の市よりも,1)治安悪化を認識し,2)高い犯罪不安感を感じていた。This study examined the effect of a neighbouring murder case on risk perception, anxiety about crime, and concerns about crime prevention. A volunteer crime prevention group in Kakogawa city, where a little girl murder occurred in October 2007 was examined. This case involved the stabbing of a victim in front of her home, which has remained unsolved. The investigation involved five cities in Hyogo prefecture. In Kakogawa city and other cities, the anticrime activity was active. There were 361 volunteers involved in the survey. 130 are women while 231 are men and the average age is 67.3 years old. The survey results indicated that the volunteers in Kakogawa had higher perceptions than the volunteers in other cities in 1) recognizing that the public peace has worsened; and 2) feeling of anxiety for the increased in crimes.
著者
広沢 俊宗
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.85-96, 2001-03-31

Peplau, & Perlman (1982)は、孤独感を研究する際に、孤独感の先行条件、孤独感経験の諸特性、および孤独感に対処する方法の三者を区別することが有益であることを見出した。本研究では、この考え方に準拠し、(a)孤独に対する原因帰属、感情反応、対処行動、および孤独感との相互関係、ならびに(b)対処行動の因子構造について吟味された。調査は、大学生を対象に3種類の質問紙と2種類の尺度を用いて実施された。それらの質問紙および尺度は、孤独の原因、感情反応、および対処行動に関する質問紙と、改訂版UCLA孤独感尺度、ならびに異なった関係における孤独感尺度であった。結果は、以下の通りである。1)孤独に対する原因帰属と感情反応は高度に構造化され、Weiss (1973)の提案する情緒的孤立と社会的孤立の区別に充分適合することが示された。2)対処行動の主成分分析により、男子では6因子、女子では7因子が抽出された。そして、男女間の因子の重要性の順位、およびその内容に差異のあることが示された。
著者
坂上 雅翁
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.25-33, 2008-03

光明山寺を中心とした南都浄土教についてみるとき,覚樹,実範,永観をはじめ,光明山寺から高野山に移り,のちに法然に帰依した明遍や,高野山往生院に移りのちに京都禅林寺の十二世となった静遍の存在はよく知られている。本論では,まず東大寺東南院三論系の念仏別所としての光明山寺の性格を,最近の研究成果を元に再検証する。さらに,高野山を始め,醍醐寺,禅林寺との関係,および大阪一心寺蔵「一行一筆阿弥陀経」や『高野山往生伝』をとおして,中世の南都仏教界における光明山寺を中心とした南都浄土教の展開をみていく。
著者
広沢俊宗
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.145-152, 2011-03-31

本研究は,孤独感に関する心理学的研究の現状を分析し,今後に向けての方向性を模索するものである。孤独感研究の歴史は比較的新しく,特に孤独感尺度の開発により,実証的研究が盛んになったといえる。本研究では,孤独感の定義,孤独感研究の3 つのアプローチ,孤独感尺度の特徴について概観した上で,今後の方向性にについて考察された。
著者
久保田 真美 高山 成子
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.18, pp.23-35, 2017-03

This study sought to better understand the daily lives of elderly with dementia living alone by illuminating their daily life experiences and thoughts through interviews with the elderly and, furthermore, by illuminating the dangers and issues ssociated with living alone through interviews with care support specialists. Qualitative and inductive analyses were conducted of semi-structured interviews with 6 elderly persons and six of their respective care support specialists. Results showed that elderly with dementia had "a strong desire to continue living alone as themselves" and that those feelings were buoyed by "pride on past self-sufficiency" and "appreciation of the people supporting me." In their daily lives, they "were aware of their memory loss, but have a positive outlook" and "despite bitter experiences, devise ways to work around them". Nevertheless, though rarely admitted by the elderly themselves, daily-life dangers such as "seen as a fire hazard by those around them" and "responsive, rather than preventative medication management due to low awareness of danger (by both elderly people and their caregivers)," were observed.本研究の目的は、独居生活をしている認知症高齢者への面接によって、彼らの日々の体験と思いを明らかにし、さらに彼らを支援する介護支援専門員の面接によって独居生活における危険の問題を明らかにすることである。6人の認知症高齢者と彼らの担当介護支援専門員6名に半構成的面接を行い、質的帰納的に分析をした。その結果、認知症高齢者は【自分らしくありたいという独居継続への強い意志】を持っており、それは、【過去の人生の誇りに支えられた自律意識】と【自分を支えてくれている人達への感謝の思い】で支えられていた。彼らは日々の生活の中で【もの忘れを自覚しながら、前向きな姿勢】を保ち、【苦い体験をしながら生活の工夫を取り入れ】ていた。その一方で、本人はあまり言わないが、【周囲が危機感を感じている火の不始末】や【(両方の)危険意識が少なく、問題発覚後に対応している内服管理】という、危機をはらむ生活上の問題がみられた。
著者
尊鉢隆史
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.149-160, 2012-03-31

前回の研究「小学校体育指導におけるリレー競技の指導」『関西国際大学研究紀要』第12号(平成23年3月31日)1)では,セパレートコースを利用し,理想的なバトンパスを行なうことが,どの程度記録の伸びをもたらすかを明らかにした。 しかし小学校におけるリレー競技の指導では,トラックを周回することで行なわれる。従って,今回は小学校高学年の児童を対象に,実際に授業で行われる曲走路を含んだオープンコースを使用し,リレー競技における理想的なバトンパスの指導法について研究を行った。その結果,曲走路を含むリレー競技の指導では,トラックの曲走路部分にリレーゾーンを設定することにより,ダッシュマークが固定され理想的なバトンパスを行うことができると考えられる。また,上記の方法を用い,短距離走の記録から二人でバトンパスを行ったときの記録(期待値)を設定し目標を定めたところ,記録の伸びをもたらすことができた。
著者
布袋 正樹
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.16, pp.85-95, 2015-03

Previous researches indicate that foreign direct investment (FDI) by Japanese manufacturing industries promotes domestic investment because it induces import of intermediate goods from domestic parent to their foreign affiliated firms. However, after the early 2000s, foreign affiliated firms of Japanese manufacturing industries have decreased import from domestic parent firms by having increased local procurement. In other words, they have changed vertical FDI into horizontal one. We empirically investigate how the relationship between FDI and domestic investment has changed from fiscal year 2001 to 2012 using semi-macro data aggregated by manufacturing industries. Our results are summarized as follows. In the case of whole manufacturing industry, the positive effect of FDI on domestic investment in the latest period is significantly smaller than in the former periods. On the other hand, in the cases of the transportation equipment industry and the electrical machinery industry, the effect of FDI on domestic investment has become smaller during our analysis period, but a decline in the effect is not statistically significant.
著者
王 利彰・劉 暁穎 劉 暁穎
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.207-220, 2012-03-31

日本には米国外食産業史の研究は1953年以降のマクドナルドなどの研究しかない。そこで,筆者たちは米国で最初にレストランをチェーン化した企業の研究を行うことにした。その結果,1876年にレストランをチェーン展開していたフレッド・ハーベー社と言う企業が存在し,最盛期には100店舗以上をチェーン展開していたことがわかった。フレッド・ハーベー社は品質,サービス,クレンリネスと言う技術革新をすでに確立していたことも明らかとなった。
著者
本谷 るり
出版者
関西国際大学
雑誌
関西国際大学地域研究所叢書
巻号頁・発行日
vol.1, pp.37-54, 2004-03

永い歴史を現代まで生き続ける老舗企業は、企業経営においてさまざまな示唆を与える。いかにして継続的な企業活動が可能か、本稿ではそれを「本社機能をおいている地」という視点から分析する。老舗企業は創業の地において永く経営活動を継続していると一般的に考えられるが、実際にそうであるのかの確認と戦略的な要因を分析した。その結果,本社機能をおいている地域に対して老舗企業は密着度が高いことを明らかにした。しかし、本社機能を移動したことがある老舗企業にとってはそれは創業の地ではなく、移動した先の地域でのことである。また,調査から、めまぐるしく変化する現代の経営環境において、老舗企業での強みが発揮されない現状があることも明らかになった。その点について、戦略を策定し実行する際に、産業構造の分析や競争において自社の有利な戦略を展開する環境を創るという視点が必要であることを示唆した。
著者
中山 誠
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.14, pp.185-197, 2013-03

本研究では,内田クレペリン検査によって誘発されたストレスと音楽のもたらす情動効果を検討した。46人の実験参加者は3群(覚醒もしくは鎮静音楽群,あるいは音楽なし群)に割り当てられ,心拍率と皮膚電導度水準が測定された。その結果,音楽が呈示されない群に比べての音楽群では心拍の減速が有意に促進された。音楽群ではポジティブな感情が増加したが,音楽の種類の効果は確認できなかった。以上の結果から,覚醒および鎮静音楽によって引き出される情動には精神的ストレスを低減する効果があることが示唆された。This study examined the effect of music which brings emotional stress and induced by Uchida Kraepelin test. Forty-six volunteers were assigned to three groups, namely: without music group, with music arousal group and sedation group, and the heart rate (HR) and skin conductance levels were measured. As a result, HR in music group was significantly enhanced compared with the group without music. Higher positive affect scores were elicited during the presentation of music; however, the effect of arousal or sedative music groups were not confirmed. These results suggest that emotion caused by music can reduce stress.
著者
中西一彦
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.161-173, 2012-03-31

新学習指導要領には「新聞」という言葉が多く盛り込まれている。新聞活用には「新聞に親しむ」「新聞を読む」「新聞で考える」という三段階がある。新しく教科書教材として取り上げられた新聞活用のための教材に照らし合わせて,この三段階の整合性を考える。今回は1社の4年生,5年生,6年生の教科書新聞教材を対象に,実践をより効果的に行うための必要事項を挙げることとした。事前の準備を周到に行っておくこと,特に子どもたちの実態,現状をしっかり把握し用意することをもとに考察を行った。
著者
堀尾 強
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
no.15, pp.95-101, 2014-03

大学生122名を対象に,やみつきになった食品の有無と,その具体的食品およびやみつきになった理由について調べた。その結果,やみつきになった食品があると答えた人は58%,男女間で差はなかった。やみつきとなった具体的な食品については,「チョコレート」や「マヨネーズ」「わさび」の回答数が多かった。食品群別に分類すると,「菓子類」や「調味料および香辛料」が多かった。やみつきになった理由については,「味」という回答が半数を占め,甘味や塩味,辛味があり,油脂やにおいに特徴のあるようなものがやみつきになりやすいことが示唆された。This research examined the addictive food and the reason which became addictive for 122 university students using a questionnaire. As a result, the ratio of persons who answered that there was food which became addictive was 58%. There was no difference between men and women. About the addictive food, there are many replies of "chocolate", "mayonnaise" and "Japanese horseradish". Classified the food according to the food group, most food was "confectionery" and "a seasoning and spices". Regarding the reason which became addictive, a half of the reply was "taste"; sweet, salty, pungent taste, fat and characteristic smell. These results suggest that those characteristic food become addictive.
著者
清水 美知子
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.135-154, 2003-03-30

本稿は,両大戦間期の日本における<女中>イメージの変容を,第一次世界大戦後に登場した「派出婦」(=家庭などに出向いて家事手伝いに従事する臨時雇いの女性)に焦点をあてて考察するものである。第一次世界大戦後,都市部では女中不足が深刻な社会問題となりつつあった。女中が見つからない,居着かない。そんな女中払底への対応策のひとつとして打ち出されたのが「派出婦」という臨時雇いの女中のシステムである。1918年,東京・四谷に「婦人共同派出会」が設立された。派出婦は,申込者の依頼内容に応じて適任者が派遣されるしくみ。賃金は従来の女中にくらべると割高だが,必要なとき必要なだけ雇えるという利点もある。「派出婦」はその後,家庭の手不足を補う労働力として,都市部を中心に急速に広まっていった。女中になることを"奉公に上がる"といったように,日本の女中は行儀見習や家事習得という修業的な性格を有していた。これに対して派出婦は,雇用期間や勤務時間,仕事内容が前もって決められるという点で,従来の女中とは大きく異なった。そこには"修業"という側面はない。主従関係から契約関係へ。「派出婦」の登場により女中は,"職業人"としての第一歩を踏み出すことになったのである。
著者
林 鎭代
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.14, pp.113-121, 2013-03

民話など昔話に登場する"鬼"は,山奥に住まい,村に来ては食べ物や財産,娘をさらっていく悪しき存在であることが多い。しかし, 筆者の「『読みがたり』に登場する"鬼"」1)には「鬼の田植え」のように,"善い鬼"が登場する話もある。そして,青鬼集落にも"善い鬼"の話が伝えられている。"善い鬼"の話は,非常に稀な例である。"善い鬼"は,どのような事情で生まれたのか。人間と鬼の関係性は,どのようになっているのか。また,子どもには,何を伝えているのかを探った。In a lot of cases," Oni" (demon), which appears on folk tales, is considered wicked who steals food, possessions, daughters and so on, falling sometimes on the mountain village and living in the heart of a mountain. However, the good "Oni" appears on " The rice planting by Oni, " introduced in Hayashi, '"Oni" which appears on" Yomigatari''. Generally, the story of good "Oni" is very rare. The story of good "Oni" is told in the colony of Aoni, Hakuba, too. The talk of "a good demon" is a very rare example. In what kind of situation was "the good Oni" born? What has the relationship of human beings and Oni become? Also, this paper explored what is taught to the child.
著者
桐生 正幸 古河 逞箭
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.77-87, 2008-03

本研究は,日本の大学教育における「犯罪心理学」について,犯罪情報分析を行う「犯罪者プロファイリング」を題材とした講義の内容及び手法について検討を行った。まず,実際の犯罪捜査場面における分析手順をふまえながら,学生が講義にて行える「犯罪情報分析」のプログラム「大学生版CIA」について提案した。また,この「大学生版CIA」を実施するうえで基礎的な資料となると思われる,大学生の犯人像などに関する推論過程の調査を行った。その結果,「大学生版CIA」を用いた演習の効果が,犯人像の推定に影響を及ぼしたことが示唆された。このことは,「犯罪者プロファイリング」の講義が,捜査経験を持たない大学生に対しても,良い教育効果をもたらすことを十分予測させるものと思われた。
著者
百瀬和夫
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.175-185, 2012-03-31

小学校や中学校における『学級崩壊』や『校内暴力』『いじめ』などの問題は,長年にわたり教育現場の課題となっている。 こうした子どもたちの『荒れ』を整え,より安定した心の状況を図るために,特別支援教育の知見をいかした実践を学校での教育活動に取り入れていくことは,学校運営の安定化を図るツールとして,非常に大きな力になる。即ち,特別支援教育の知見を通して,認知レベルまで『子ども理解』を深めることは,子どもたちの『困っているところ』をとらえるだけではなく,教師自身の『指導理解』を深め,より適切な指導や支援につながるからである。しかしながら,特別支援教育の知見を活用し,教師が長年続けてきた指導法を改善・改良していくことは決して容易ではない。なぜなら学校組織の問題教師の仕事上の特性に伴う心理上の問題など,『大人(教師)の側の問題』を克服していく必要があるからである。私自身が校長として赴任したM小学校での取り組みをもとに,まずは特別支援教育の知見の活用を阻む諸原因について明らかにした。
著者
渡邉直樹・安部幸志・竹田茂生 安部 幸志 竹田 茂生
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.139-148, 2012-03-31

筆者ら3名は平成23年9月5日-8日に,アシスタントとしての大学院生3名および大学院修了生(臨床心理士)1名と共に1-4回生の本学学生27名を引率して兵庫県新温泉町居組地域を訪問し,その後学外講師4名と共に3-4回生の本学学生8名を引率して青森県弘前市を訪問した。 いずれの地域でも学生たちは地域の家庭訪問を行い,高齢者へのインタビュー調査を行った。狙いは自殺の多い両地域で,まずは高齢者の生活のありようを調査し,高齢者が「安心して暮らせる地域づくり」の要因を把握し,その要因を踏まえた生活を多くの住民が実践することが,この地域の自殺者を減らしていくのではないかと考えた。このインタビューのデータは質的研究として解析中であるが,今回はこの事業を行うにあたって説明会に参加した住民から得た調査表の量的解析を行った。その結果地域のいわゆるソーシャルキャピタルと抑うつ得点が負の相関を示すことが明らかとなった。