著者
川橋 裕
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.239-248, 2010-10-22
参考文献数
9

ネットワークおよびサーバ系システムを基幹とした情報基盤において,現在はコンテンツを含めた情報基盤の整備と,社会的対応を考慮した運用管理が求められている.技術進化による多様なコンテンツは,これまでの情報基盤と一体化して運用管理の負荷を上げている.一方で情報漏洩や苦情対応など法律的,道義的責任を問われる案件が急増している.しかし,幅広い技能と経験に依存している情報危機管理において,人材が著しく不足している状況は変わっていない.これは情報危機管理における,人材育成に必要な体系化したプログラム構築が困難であることに起因する.我々は本研究で,実践形式による演習を通じて情報危機管理の人材育成を進めてきた.実際の運用管理を模した環境下で適切な演習運用フレームを適用することが,得難い経験と座学の有効な活用につながる.本論文では,情報危機管理における演習環境の構築と運用について述べる.
著者
西澤 正己 孫 媛
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.216-223, 2014
被引用文献数
6

2007年から2012年の間に、大学に関連して発行されたプレスリリースが掲載された新聞記事を、読売新聞と毎日新聞について調査した。これまでの調査で、大学に関連したプレスリリースが近年大幅に増加していることがわかり、それに対応して、新聞掲載も増加していることがわかっている。本調査では、プレスリリースが読売新聞と毎日新聞に掲載された記事について、その特徴等を考察する。
著者
狩野 芳伸 神門 典子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.179-184, 2013-05-25
参考文献数
7

「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトでは、最初の課題として大学入試センター試験の自動解答を目指している。本稿では、そのうち歴史系科目を対象とした解答器作成の試みを報告する。我が国の大学入試は、基本的に高校教科書の範囲内から出題されることになっている。しかし、人工知能が機械的に解くという観点でみると、範囲内というのは曖昧さがあるうえ、潜在的に人間の常識や知能を前提にしている。我々はあくまで教科書内の知識のみを用いるアプローチで、どこまで自動解答が可能かを試みた。歴史系科目とセンター試験の特性を鑑みて、解答にあたってはあえて論理的な構造や解析を排除し、教科書内の表現が肯定的であることを前提に単語を基本とする知識でどこまで解答可能かを探った。
著者
長塚 隆 神野 こずえ
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.149-156, 2011-05-28
被引用文献数
1 2

Wikipediaは利用者参加型のオンライン百科事典であり,インターネットに接続し,誰でもが記事を編集できる.Wikipedia日本語版は281言語版のなかで記事数では7番目に大きな言語版である.Wikipedia日本語版の学生を中心とした利用動向を調べるために,認知度,利用経験,利用理由,利用目的,記事の信頼度,記事の編集経験,他の言語版の利用などについてアンケートを実施した.学生におけるWikipedia日本語版の利用時の特徴を明らかにした.
著者
小野 永貴 徳光 亜矢子 下山 佳那子 佐藤 翔
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.259-264, 2013-05-25
参考文献数
2

近年、学校図書館の連携に関する実践が盛んである。特に高等学校の場合、公共図書館が学校を支援したり、大学図書館が高校生向けに開放する等の事例も増え、高校生が複数館種を相互に活用できる機会も多い。しかし、実際に生徒が各館種をどう使い分けているか、実態は明らかでない。 そこで本研究では、高校生28人を対象としたフォーカス・グループ・インタビュー調査を実施した。全発話内容の書きおこしと分析を行い、高校生が複数の館種を使い分ける際の基準となりうる要素を 抽出した。
著者
柴田 尚樹 梶川 裕矢 坂田 一郎
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.171-176, 2010-05-15
被引用文献数
1

二次電池のケーススタディを通して、学術俯瞰、特許俯瞰を通して、商業化可能な技術要素の早期発見を行う方法論を提案する。学術論文は基礎的、特許は応用的になる傾向があった。学術論文と特許それぞれの主要5領域が扱うトピックを比較すると、リチウム二次電池と電解質に関する2組の対応関係が見られ、トピックスの内容や平均出版年から学術論文と特許の差分を抽出した。その結果、商業化の可能性がある領域が発見された。
著者
藤田 桂英 梶川 裕矢 森 純一郎 坂田 一郎
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.144-149, 2012-05-20

本論文では,重み付き引用ネットワーク解析における新興論文群の発見に対し,どの属性を考慮した重みが有効かを調査した.重み付き引用ネットワークでは出版年など論文の属性情報を解析に用いることが可能である.また,複数の学術領域ごとに重みを考慮した重み付き引用ネットワークを作成し,トポロジカルなクラスタリング手法によりクラスタに分割後,各種類のパフォーマンスをvisibility, speed, topological relevance から評価した.
著者
村井 源 川島 隆徳 工藤 彰
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.23-43, 2012-03-26
被引用文献数
1

評判分析などが自然言語処理技術によって進められているが,対象は主にWeb上のテキストであり,人文学的な批評文はその主たる対象となっていない.本研究では人文的な批評文の具体的批評対象を計量化することで,批評行為のより深い意味分析に向けての基礎固めを行う.総合的芸術作品である映画と演劇の批評文を対象として,抽出対象を人名と作品名に絞り分析を行った.結果として頻度分析とネットワーク分析で批評における人物の重要性やグループの傾向,他分野との関わりの相違が明らかとなった.またスタッフのデータベースの利用により,語られる固有名詞の批評文中での意味と機能の傾向が抽出された.
著者
秋元 良仁 亀山 渉
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.9-22, 2012

本論文は,博物館や美術館間において,収蔵品の属性情報(Museumメタデータ)を共有・交換可能にする新しい記述言語Fuzzy Schema(FS)を提案する. FS言語は,分散環境におけるスキーマ共有を促進するため,独自のデータモデルである「マッピング・パターン」と「あいまい度」の2つの機構を備えている. これらの機構は,分散環境におけるMuseumメタデータに対して,情報の相互互換性を提供することができる. 我々は,FS言語を用いてMuseumメタデータを記述することで,博物館・美術館間でMuseumメタデータの共有・交換が可能になることを示した.
著者
杉本 めぐみ
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.355-364, 2012-11-04
被引用文献数
1

防災上,2004年のスマトラ沖津波の教訓を生かすことが出来なかった2011年の東日本大震災を鑑みて,災害記録を次の災害に備えるためにはどのように生かしていくべきか.その記録は,今なお被災地や県外の避難場所で苦しんでいる被災者の気持ちからかけ離れてはいないのか.我々はどのように激甚災害に備えるべきか, 被災者とどう向き合うべきなのか.まだ回答は見つからない中で,これから我々が取り組むためのヒントを見つけるため,大規模災害経験の先を行くインドネシアのアチェではどうなっているのか,アチェでの7年間の防災教育を通じた取り組みを参考に紹介する.
著者
松島 茂
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.328-335, 2012-11-04

本稿では、最近、歴史学、政治学、社会学の分野において活用されるようになったオーラル・ヒストリーとはなにかについて説明するとともに、筆者がこれまでに実施してきた機械工業振興臨時措置法のオーラル・ヒストリー、トヨタ技術者のオーラル・ヒストリー及びラオス企業家のオーラル・ヒストリーを紹介した。その上でオーラル・ヒストリーの実践のためには、インタビューの対象となる事象の起こった時点とインタビューをする時点の時間的距離、インタビューをする側と語り手の心理的距離について考慮することが重要であると指摘した。さらにオーラル・ヒストリーの手法を震災の記憶・記録に活用する場合の留意点について考察を行った。
著者
岡本 真
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.308-315, 2012-11-04
被引用文献数
1

災害の記録を伝えるアーカイブズ(震災アーカイブズ)の現状と課題を主に東日本大震災を中心に論じる。さまざまなアーカイブズを記録主体(自治体、大学等、企業ほか)、記録対象(画像、動画、文章、ウェブほか)、記録方法(デジタル、アナログ、両方)等の観点で分類をおこなう。その上で、現在の日本における震災アーカイブズを巡る課題を指摘する。特にデジタルデータへの傾斜や法的課題、二次利用の壁等についての問題提起を図る。
著者
宮本 聖二
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.298-307, 2012-11-04

2011 年 3 月 11 日の地震発生と同時に、NHK は緊急報道に取り組み、その後は、地震や津波のメカニズムに科学的なアプローチで迫る、震災時の人々の行動心理を分析する、また、がれき処理や復興の課題を追求するなどから、地域の復興支援をねらいにした歌謡番組なども含めて、さまざまなテーマや視点で番組を作り、放送を出し続けている。<br/> 一方で、放送局として東日本大震災をインターネットで伝えることにも取り組んでいる。多くの人々がネットで動画コンテンツや情報を得ようとしているブロードバンド時代のいま、放送局としては放送を出すとともに、ネットにコンテンツを提供することはきわめて重要である。ここでは、筆者が編集責任者をつとめている「NHK東日本大震災アーカイブス」について、制作の経緯から、あの震災を伝えていくためにどのような試みを続けているのかを述べたい。
著者
原田 隆史 吉村 紗和子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.65-72, 2010-05-15
被引用文献数
2 2

オンライン書店のサイトをはじめとして,読者自身が図書の感想などを投稿するオンライン書評サイトが増加してきている。本研究は,このようなオンライン書評の持つ特徴を,新聞書評などと比較することで明らかにするものである。書評中の各文を,評価対象,評価の視点,評価の客観性,評価極性(肯定的か否定的)かという4つの観点から分類し,集計した。その結果,1) 評価対象は「作品に対する評価」がどの書評でも評価組全体の約9割を占め,書評ごとの変化は見られない,2) 評価の視点について,新聞書評では「作家の表現手法」などが全体の48%を占めるのに対し,オンライン書評では「ストーリー」や「場面」がほとんどである,3) 新聞書評では客観的な表現や肯定的な評価がほとんどであるのに対し,オンライン書評では主観的な表現や否定的な評価も多く多様な内容であることが明らかとなった。