著者
土屋 利江
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.144-146, 2004-03-01

医療機器・細胞組織医療機器関連の薬事法の改正が昨年度からスタートしている。その内容は,(1)多様性に富んだ医療機器のリスクに応じた新クラス分類とその承認制度の見直し,(2)細胞組織医療機器が含まれる生物由来製品の感染リスクに応じた安全対策の充実,(3)市販後安全対策の抜本的見直しが急ピッチで進められている。また,第三者認証制度の導入において必要な規格・基準の整備も行われている。本稿では,細胞組織医療機器や新たな制度である生物由来製品の薬事法の改正内容について記載した。
著者
中山 亨
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.390-393, 2003-06-01

日本経済再活性化の鍵を握るといわれるベンチャー企業であるが,日米の起業家が創業する環境には大きな差がある。ベンチャー企業に必要なインフラとして,VC,大学,インキュベータに注目し,日米の現状を比較した。今後の日本では,これらのインフラを通じてベンチャー企業のもつ高いリスクを国民全体で分担していくことのコンセンサスが求められる。
著者
村上 恭平
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.7, no.65, pp.193-203, 1950

第1報に於て正プタノール及びPOCl<SUB>3</SUB>よリトリ・プチル・ホスフエートの合成條件を確立したがこの合成方法によつ硬にメタノール, エタノール・イソ・アミルアルコール・エチレングライコールのメチル, エチル, 正プチル, フェニル, クレジル, 及びオルソ・クロロフェニル・モノエーテル並びにエチシングロロヒドリンを使用して, 知の單獨乃至混合燐酸エステル28種を合成した。しかして新に合成した可塑劑の繊維素誘導體に封する親和力は, 繊維素誘導體のこれ等可塑劑に溶解する状態或はマードル數によつて測定した。この測定に使用した繊維棄誘導體は一般可塑物製造用のものである。<BR>硝酸繊維素-窒素量11.20%(ルンゲ法による), アーべル耐熱度7mm28sec<BR>發火點183.5℃<BR>醋酸繊維素-醋化度54.44%(エス氏蒸溜法による);アセトン溶解度99.95%アセトン溶液比粘度71.1c, p., 熔融點242.5℃<BR>ベンジル繊維素-ベンジル基2.25モル<BR>9: 1 volベンゼン: アルコール溶液の溶解度99.1%,<BR>5: 1 volベンゼン: アルコール溶液比粘度32.6c. p. 溶解状態の測定-繊維棄誘導短0.19を試験管に探り可検可塑剤5c.c. を加え常温 (24~26℃) にて昨々振盗しながら15hrs放置後その溶解状態を目測した。<BR>マードル數-繊維素誘導髄0.5gを可検可塑劑20c.c. に完溶させ更に恒温槽中に24hrs放置後恒温にて繊維素誘導體非溶劑のトルエン叉はエーテルを滴加し, 永久白濁を生ずるまでに滴加せる各非溶劑の數にて表す。
著者
鈴木 章泰 内藤 美保 功刀 利夫
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.500-503, 1994
被引用文献数
3

ポリメタクリル酸メチル (PMMA) フィルムのネッキングゾーン延伸における臨界ネッキング応力 (σ<SUB>c</SUB>) と延伸温度 (T<SUB>d</SUB>) との関係を調べた. その結果, ガラス転移温度 (T<SUB>g</SUB>=110.4℃) 以下の温度域で<SUB>c</SUB>T<SUB>d</SUB>の低下に伴いほぼ直線的に増加することが確認された. そこで, T<SUB>g</SUB>以下の温度域でのσ<SUB>c</SUB>をT<SUB>g</SUB>T<SUB>d</SUB>の差 (T<SUB>g</SUB>-T<SUB>d</SUB>) についてプロットしたところ, 次式で示されるような簡単な実験式を得た. σ<SUB>c</SUB>=C (T<SUB>g</SUB>-T<SUB>d</SUB>) (ただ, T<SUB>g</SUB>>T<SUB>d</SUB>) なお, この定数Cは0.490MPa・℃<SUP>-1</SUP>となり, ポリエーテル・エーテル・ケトン (PEEK) フィルムの0.539MPa・℃<SUP>-1</SUP>およびポリ (エチレンテレフタレート) (PET) 繊維の0.546MPa・℃<SUP>-1</SUP>に近い. 種々のT<SUB>d</SUB>でネッキングゾーン延伸して得られたフィルムのネッキング延伸倍率 (λ<SUB>n</SUB>) では, T<SUB>g</SUB>以下で延伸したフィルムのλnがT<SUB>g</SUB>以上で得られたィルムより大きく, また, T<SUB>g</SUB>以下の延伸ではT<SUB>d</SUB>が高いほどλnが大きくなる傾向にある. 負の複屈折 (Δn) を示すPMMAで, T<SUB>d</SUB>=80℃で延伸したフィルムのΔnは-16×10<SUP>-4</SUP>であるが, T<SUB>d</SUB>の上昇とともに負の値が小さくな, T<SUB>d</SUB>=132℃で延伸したフィルムはほとんど無配向である.
著者
An Jung Bum 斎藤 拓 井上 隆 扇澤 敏明 BONG SUP Kim
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.635-638, 1999-10-25
被引用文献数
7

鋭敏色板を挿入しないで高分子球晶を偏光顕微鏡観察すると, 白黒のコントラストでマルテーゼクロスが見られるのが一般的である. これに対して, ポリトリメチルテレフタレート (PTT) 球晶は色板なしでも緑色や青色などの美しい干渉色からなる偏光顕微鏡像を与えることを見いだした. Michel-Levyによる干渉色図を用いて複屈折△<I>n</I> (球晶の半径方向の屈折率と接線方向のそれとの差) を評価したところ, それが約0.065と極めて大きいための発色であることがわかった. さらに, 球晶の中心から半径方向への干渉色の変化が見いだされた. これは, 球晶内の△<I>n</I>が一定ではなく, 中心から離れるに伴い増大するためであり, 球晶が秩序性を増大しながら成長したことを示唆していると考えられる. これまでに例のないこのような鮮やかで美しい偏光顕微鏡像を与えるPTTは球晶組織形成機構の解明という未解決問題を研究する上での有用なモデル試料として注目される.
著者
守田 啓輔 彦坂 正道 米竹 孝一郎 増子 徹
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.54-59, 1995

ポリ [ビス (3, 4-ジメチルフェノキシ) ホスファゼン] の相転移に伴う球晶形態の変化およびその結晶形について, 偏光顕微鏡観察, 脱偏光強度測定, DSC, X線回折により検討した. メソモルフィック相 (δ相) から室温まで徐冷結晶化を行うと, マルテーゼ・クロスを有する小型のA型球晶と, より大型のB型球晶が混在して現れた. 昇温過程では, 96℃付近でA型球晶の輝度が減少し, 110℃でB型球晶は消失した. この変化はDSCの吸熱ピーク温度と一致した. 高温X線回折実験によると, 室温から90℃までは単純格子に帰属される結晶 (α型) が存在するが, 100℃以上ではα型結晶が存在せず, すべて底心格子を持つ結晶 (β型) になると推定した. 一方, δ相より徐冷し75℃で等温結晶化を行った場合, A型球晶は現れず, B型球晶だけが確認され, その結晶形はβ型であった. β型結晶はα型結晶に比べ熱的に安定であり, その発現はB型球晶の形成に関連がある.
著者
柚口 貞夫 渡辺 正元
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.18, no.192, pp.273-278, 1961
被引用文献数
13

過マンガン酸カリーシュウ酸を酸化還元触媒に用い, アクリロニトリル (以下ANと略) の水系沈殿重合を行ない, 触媒濃度, 体単量初濃度および重合温度を変えて, その重合速度と数平均重合度との関係を求めた。その結果<BR>1.重合速度はシュウ酸を過マンガン酸カリの2.5倍モル以上用いた場合に次式で示される。<BR>2.重合温度を10-30℃ に変えてその活性化エネルギーを求めたところ<I>E</I>=9.3kcal/molなる値を得た。<BR>3.数平均重合度は触媒濃度が大きくなるほど低く, 単量体濃度が大きくなるほど高くなる。<BR>また重合温度が高くなるほど低くなる。以上の事実は, ANの重合体が重合系に溶解せず, 生長中のラジカルが重合体中に埋め込まれ1分子的に停止する反応 (burial reaction) を考えに入れると説明することができる。得られた結果について考察を加えた。
著者
山下 雄也 石井 義郎
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.9, no.87, pp.205-210, 1952

塩化ビニール樹脂の可塑剤を得る目的でDOPとは逆の分子構造を有するエステル即ち芳香族二価アルコールと脂肪族一塩基酸とのエステルを合成しその可塑剤としての性質を検討した。このためにベンゼントルエン, キシレンをホルマリンと塩酸によりジクロロメチレン化し, これを加水分解してグリコールにしてカルボン酸とエステル化させるか, あるいはジクロロメチレン化物のままでカルボン酸ナトリウム塩と反応させてエステルを得る条件につき報告した。用いたカルボン酸は酪酸, カプロン酸, カプリル酸, カプリン酸及びレビユリン酸である。得られたエステルは一般に無色透明の液体でカプリル酸以上の高級酸エステルの場合を除き比重は1以上である。沸点は同一分子量のフタル酸エステルに比較して幾分低い。これらのエステルの可塑剤としての性能は第2報において報告する。
著者
天正 市蔵 山田 春雄
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.311-315, 1973

今年のスキーシーズンは終ったが,久しぶりにスキーをしようと,スポーツ店をのぞかれた方は,まずスキー板のデザインがはでになったことに驚かれたことだろう。さらに,もし注意深くスキーの内部構造を数年前のそれと比較されたら, もっとびっくりされたことだろう。スキーの材料といえば, かつては木材に決まっていたが,現在では木材を全然使わないスキーが出現している。スキー靴についてもしかりで,天然皮革を全然使っていないプラスチック製の靴が店頭を飾っている。かように,ここ数年の運動用具の変化はとくに激しいものがある。マラソンのはだしの王者アベベのような例外は別として,スポーツ用具を使わないスポーツは皆無といっても過言ではない。そしてスポーツ用具の進歩は,記録の向上やスポーツの進歩に一役買っている。たとえば,グラスファイバー製の棒高とびのポールは, 記録を大幅に更新してしまった。ここではプラスチックが, スポーツ用具にどのように利用されているかを中心に話を進める。
著者
高橋 清久 石川 直元 尹 興洙
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.757-762, 1990
被引用文献数
3

1, 1-ジアミノー3, 3, 5, 5-テトラ (パラクロロフェノキシ) シクロトリボスファゼン (ACPP) をエポキシ樹脂の硬化剤として用いた. 硬化物の力学的性質をねじり振子試験により測定し, 硬化剤として1, 1-ジアミノ-3, 3, 5, 5テトラフェノキシシクロトリホスファゼン (PC10) を用いた場合と比較した. ACPPはヘキサクロロシクロトリホスファゼンからKajiwara <I>et al</I>. の方法により合成した. ACPPは合成段階における収率がPC10より高く, またACPPはエポキシ樹脂を短時間で前硬化できる. PC10で硬化したエポキシ樹脂は, メタフェニレンジアミンで硬化した場合より室温付近で高い剛性率を示すが, 温度上昇に伴う剛性率の低下が著しい. これに対してACPPで硬化したエポキシ樹脂は150℃付近まで高い剛性率を維持する. またアルカリ浸漬によりPC10で硬化したエポキシ樹脂は劣化したがfACPPで硬化したエポキシ樹脂は優れた抵抗を示した. 以上の結果より, ACPPはエポキシ樹脂の150℃以下での剛性率と耐アルカリ性を高めるために効果的な硬化剤といえる.
著者
上出 健二 今中 明子
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.537-544, 1975
被引用文献数
2

ナイロン6分別区分 (数平均分子量<I>M<SUB>n</SUB></I>=830~43200) の融液からの等温結晶化現象を示差走査熱量法によって解析した. Avrami式θ=exp (-<I>kt<SUP>n</SUP></I>) (θ=未結晶化分率, <I>k</I>=速度定数, <I>t</I>=結晶化時間) のベキ係数<I>n</I>は結晶化の進行につれて6から1へ急激に減少する. これは分別結晶化によるのではなく, 結晶化機構の変化に原因する. <I>n</I>は結晶化温度<I>T</I><SUB>c</SUB>が高いほど, <I>M<SUB>n</SUB></I>が大きいほど大きくなる傾向がある. <I>M<SUB>n</SUB></I>が大きくなると結晶化速度は小さくなる. これは分子鎖の拡散の活性化エネルギーが過冷却度よりもより支配的であるとして説明される. 等温結晶化過程で生成した結晶の融解曲線は一次結晶化終了時には場合により3山ピーク (低温より, <I>T</I><SUB>m</SUB><SUB>2 (1) </SUB>, <I>T</I><SUB>m</SUB><SUB>2 (2) </SUB>, <I>T</I><SUB>m</SUB><SUB>2 (3) </SUB>と名付ける) を示す. 高温側の<I>T</I><SUB>m</SUB><SUB>2 (3) </SUB> ピークは<I>T</I><SUB>m</SUB><SUB>2 (2) </SUB> ピークが昇温過程において再配置したものの融解に対応する. <I>T</I><SUB>m</SUB><SUB>2 (2) </SUB> ピークは主ピークでラメラ結晶の融解に対応する. 低温側の<I>T</I><SUB>m</SUB><SUB>2 (1) </SUB> ピークは結晶化後期に発生し, <I>T</I><SUB>c</SUB>よりも常に数℃高い. <I>T</I><SUB>m</SUB><SUB>2 (2) </SUB> ピーク→<I>T</I><SUB>m</SUB><SUB>2 (3) </SUB> ピークへの転移は分子量が小さく, <I>T</I><SUB>c</SUB>が低いほど起こりやすい.
著者
佐藤 貞雄 斉藤 工 大柳 康
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.57-59, 1991
被引用文献数
1

ガラス繊維を30%充填した液晶ポリマー (以下LCP-GF30と呼称) とポリカーボネートなど汎用樹脂の<I>p-v-T</I>特性を独自に設計-試作した装置を用い, 温度20~325℃, 圧力0~150MPaの節囲で, 等温圧力変化法によって検討した. その結果, ポリカーボネートの大気圧下溶融温度領域の比容積は熱膨張によって7%増大し, 負荷圧力の増加とともに漸次減少する. これに対してLCP-GF30の比容積は0.15% (325℃において) 程度増大するだけでその変化量は前者に比べて著しく小さく, また, 圧力 (最大150MPa) を負荷してもその比容積は大気圧下室温のものとあまり変わらない. したがって, 定常状態におけるこの種液晶ポリマーの比容積は温度・圧力の影響をあまり受けないことがわかった.

1 0 0 0 カミナリ

著者
大滝 善太郎
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.614-614, 1980

1 0 0 0 染色の文化

著者
高岸 徹
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.598-602, 2007-08-01

衣食住の中で,衣は暑さ寒さをしのぐだけでなく,美しく着飾りたいという人間の欲望とともに発展してきた。そこに長い歴史と文化がある。現在では,染色は高分子-低分子間相互作用としてとらえることができるが,ここまでにたどり着いた何千年にもわたる染色文化の流れを探り,さらに最近の話題にも触れてみたい。