著者
平木 講儒 藤井 和希 緒方 尚樹
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.30, no.119, pp.16, 2010 (Released:2012-04-14)
参考文献数
17

フェザリングを伴う4枚翼型羽ばたき機の飛行時の省エネルギ化を目指し,トンボが断続的に一対の翅の羽ばたきを中断して体力を温存する事実に着想を得て,前翼・後翼のいずれが固定化に適しているかを評価するため,風洞内にて一方の翼を羽ばたかせた際に固定翼側に発生する空気力を測定した.前翼を羽ばたかせた場合には,フラッピング運動とほぼ同位相の空気力が後翼に発生するのに対し,後翼を羽ばたかせた場合には,フラッピング運動に対して逆位相の揚力が前翼に発生した.羽ばたき・固定翼周りの流れ場の可視化を行ったところ,固定翼(前翼)上面の剥離が抑制されることで逆位相の揚力が発生すると考えられた.以上に基づき,前翼固定・後翼羽ばたき式の機体を製作して飛行実験を行ったところ,水平飛行が可能であることともに,4枚すべての翼を羽ばたかせる場合の30%強の消費電力で済むことも示された.
著者
桑原 明栄子
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.36, no.140, pp.29-32, 2016 (Released:2017-01-01)
参考文献数
9

オノマトペとは,様々な事象やモノに印象を付加する言葉であり,擬音語と擬声語を統括した言葉である.日本語は他言語に比べ,オノマトペの数が多く,使用頻度が高いとされている.本研究では,一般的に使用される日本語のオノマトペの印象を体系化し,それらが持つイメージを模様として可視化した.可視化した模様を評価し,活用することで可視化したイメージによって共通認識をどのように持つか,コミュニケーションを図るかなどをこれまでに調査,考察した結果を報告する.日本語オノマトペの印象を可視化してその印象について調査し,体感型システムとして実装した.そのことにより,新しい表現方法を提案し,日本語によるコミュニケーションの発展の一助になると考えられる.
著者
石野 洋二郎 齋木 悠 富田 和史 大北 雄哉
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.31, no.120, pp.9-9, 2011
被引用文献数
1

研究やエンターテーメントの分野で利用されている「多方向同時撮影」と,医療分野でCTスキャンとして普及している「三次元CT(コンピューター断層撮影)法」とを組み合わせた,「多方向同時撮影三次元CT計測法」による非定常火炎の計測について説明されている.ギネス世界記録認定された158眼カメラによる多方向同時撮影による火炎輝度の三次元再構成と,三次元PTV法を組み合わせた複合計測の結果も記載された.また,シングル高速度カメラと立体マルチミラーシステムによる,乱流火炎輝度分布の時系列三次元計測,すなわち四次元計測の結果についても紹介されている.
著者
長谷山 美紀
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.37, no.144, pp.24-29, 2017 (Released:2018-01-01)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本稿では,発想支援型画像検索の応用により実現されたバイオミメティクス画像検索エンジンについて紹介する.バイオミメティクスは,生物の構造や機能、製造プロセスからものづくりの着想を得る新しい技術体系である.バイオミメティクス画像検索エンジンは,データベース中に蓄積された生物の走査型電子顕微鏡画像を可視化し,検索可能とすることで,異なる種類の生物や材料の表面構造に共通性を発見し,工学の研究者が生物から新たな知識を獲得することを想定して構築されている.本稿において示されるバイオミメティク画像検索エンジンは,知識の蓄積としての異分野データベースの連携を通して,産業の創出を支援する産学連携プラットフォームの実現と位置づけられる.
著者
永井 弘人 磯貝 紘二 藤本 達見
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.30, no.119, pp.10-10, 2010 (Released:2012-04-14)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究は、昆虫型超小型飛翔ロボットの羽ばたき翼設計の指針となるように、羽ばたき翼を支配する多くの設計パラメータが羽ばたき翼の空力メカニズムに与える影響、およびそのメカニズムを明らかにすることを目的として実験を行った。また、これまで十分に得られていなかった前進飛行時での羽ばたき翼の空力性能を実験的に明らかにすることを目的とした。本稿では、昆虫の羽ばたき翼を模擬したスケールモデルを水中で羽ばたかせ流体力の計測と流れの可視化を行い,そこから明らかになった空力メカニズムの一例を、PIVによる流れの可視化を中心に紹介する.マルハナバチの羽ばたき翼を模擬した実験では、ホバリングおよび前進飛行時における遅延失速(delayed stall)、回転循環(rotational circulation)、後流捕獲(Wake capture)が空力特性に与える効果について明らかにした。また、トンボを模擬した前後2枚翼間の空力干渉効果について、前後翼間位相差と関連付けてそのメカニズムを明らかにした。
著者
梶田 将司
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.31, no.121, pp.25-25, 2011 (Released:2012-04-14)
参考文献数
12

本稿では,ある特定の教育学習活動をビジュアルに見せることを目的とした「可視化」ではなく,全学的な「情報化」の観点から教育学習活動を「見える」ように工夫することで,教室というクローズドな空間においてなされ,なかなか伺い知ることができなかった大学における教育学習活動が徐々に「見える化」している現状を整理する.そして,コース管理システム・eポートフォリオシステム・教務システムが「仮想世界における教育学習メディア」を形成しながら物理世界・仮想世界双方の教育学習活動の「見える化」が進み,最終的には,大学にある様々な情報システムとの間でデータ連携が行われる「教育学習環境としての大学」の深化に向けた展望を,名古屋大学における知見・戦略に基づいて見通す.
著者
Noriyasu OMATA Susumu SHIRAYAMA
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
Transactions of the Visualization Society of Japan (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.48-54, 2017 (Released:2017-10-31)
参考文献数
19

流体実験や計算によって得られる定量的なデータが,「見た目」といった定性的な方法によって分析される場合は少なくない.これは定量性や客観性の面で問題である.一方で,近年,定量性や客観性を欠くとされるタフト法のような実験法からも定量的な分析が行えることが示唆されている.本稿では,タフト法から取得された,流れの3次元方向ベクトルの時空間データに対する統計的空間分割を介したパターン抽出法を提案する.はじめに,各タフトの位置での時系列データを確率モデルによって表現し,確率分布間の距離を導入することでモデル同士の類似度を算出する.次に,この類似度に対してスペクトラルクラスタリングを適用することでパターン抽出を行う.実際のデータに適用した結果,空間パターンの抽出に成功した.これにより,提案手法に一定の妥当性があることが示された.
著者
染矢 聡 岡本 孝司 飯田 将雄
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.117-118, 2006

Any wind instrument can sound due to the vibration of the air, expiration flow inside of the wind instrument. In case of a trumpet or a clarinet, a mouth or a reed helps to sound variable tones. In case of a flute, there is no mechanical vibration. We would like to investigate more detail about the flow and the vibration with sound inside or outside of the flute, in order to understand the mechanism of the wind instrument and to aid in the manufacture of the good instrument. In this report, a Japanese traditional bamboo flute was used in the experiment. The dynamic PIN technique was applied to measure the vibration. 2 kinds of experiments were done. The Argon-gas flow with different tone inside/outside of the bamboo flute was measured using a high frequency pulse laser. Oil mist was used as the tracer particles. Then, we also tried to measure the flow in bamboo flute when a human player played, using a CW-laser and the water-mist as the tracers. We successfully measured that the periodical flow near a hole of the bamboo flute went out from and came into the flute at 200-500Hz dependent on the tone.
著者
滑川 光裕 塩野 康徳 佐藤 章
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.34, no.133, pp.26-30, 2014
被引用文献数
1

ファジィグラフは、人間関係のようなファジィな情報を質的に分析することを可能とする。ファジィグラフのもつ特徴を明確にするためには、ファジィグラフの近似的な表現や、ファジィグラフの類似性や連結状態のような特徴の抽出が役に立つ。そのためには、ファジィグラフの構造に関する情報を可視化することが必要となる。また、解析には対象となるファジィグラフの構造に関する多種多様の情報を処理して、素早く、解析者に分り易く表示する表示する必要がある。 <br>  我々は、コンピュータを用いてファジィグラフを解析するシステムを開発している。そのシステムは、ファジィグラフを格子状の交点にノードを配置する図形化、分割樹形図、類似度別に分類されたクラスタや近似的なグラフの表現などを用いて、ファジィグラフの分析できる機能をもたせている。本稿では、この解析システム、さらにそれらを使用した事例研究を記述している。
著者
諸星 典子 遠藤 久 斎藤 兆古 堀井 清之
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.235-238, 2001

Visualization of interactive mutation inside reader's mind while reading a book has been studied by employing the discrete wavelet analysis. Readers are attracted to the book world as if they are. However, it is difficult for the readers to keep concentrating their own minds on the book world. Since reading a book is to switch the book and real worlds constructed by some layers of the story, then this sometimes confuses the readers. The layers are classified into two types. One is a real world in the story as character's life. The other one is a virtual world representing character's thoughts or recollections. To clarify the effects of these layers, movement among them is visualized by the wavelet multi-resolution analysis. In the present paper, Ekuni's novel, Rakka suru Yuhgata, is studied to extract the opportunities when the text lets the readers move from the book to real worlds.
著者
上坂 充 木下 健一 西原 鉄平
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.17-24, 2000

Dynamic visualization of atomic motion is going to be available by the femtosecond beam flash method. The method utilizes two synchronized femtosecond beams such as electron, laser, X-ray, ion and neutron. This can be done at Nuclear Engineering Research Laboratory, University of Tokyo. Especially, the time-resolved X-ray diffraction, which is one of the femtosecond beam flash methods, enables the dynamic visualization of atomic motions. Visualized atomic motions in coherent phonon, phase relaxation, phase transition, thermal expansion and shock wave in GaAs monocrystal irradiated by the femtosecond laser are described in this paper.
著者
小林 敏雄 佐賀 徹雄 瀬川 茂樹 金 泰均 崔 正明 金 錫魯
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.223-226, 1996

One of difficulty of particle tracking velocimetry (PTV) applying to air flow measurement is the detection and tracking of high speed fine tracer particles to the digital image. Tc capture and to track particle's images, an unique multi-illumination technique and a particle tracking algorithm are developed, and the technique has been applied to the measurement of a complex air flow around an axial flow fan with a flow velocity of about 6 m/s. In this paper, the details of procedure of the air flow measurements are presented.
著者
藤枝 郭俊 藤田 敏美 岩崎 昭人 高橋 〓 奥山 政広
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.35-38, 1993

The aircraft employing the Upper Surface Blowing(USB) system as a poweredlift technology makes use of the energy of the engine exhoust to augument wing lift. The aircraft with the USB system achieves higher powered-lift by turning full downward the engine exhaust flow. To studying powered-lift characteristics, the wakes of the semi-span aircraft model with USB Powered high lift system were measured by a taversing wake rake with 5-pitot tube in NAL 2×2m Gust Wind Tunnel.<BR>In this report, the characteristics for the wake having different turning angle of exhaust flow are described.
著者
武石 賢一郎 松浦 正昭 小宮山 正治
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.30, no.116, pp.21-27, 2010 (Released:2012-03-03)
参考文献数
21

高温ガスタービンを主機としたコンバインドプラントがその熱効率の良さから脚光を浴びており、最新の産業用ガスタービンのタービン入り口温度は1500℃に達している。最も高温な燃焼ガスに曝されるタービン第一段動静翼の開発がキーポイントである。高温ガスタービンのタービンの翼間流路には複雑な渦システムが形成され、また高負荷化により強い二次流れが生じる。またタービン翼にはフィルム冷却が採用されているため、翼面から吹き出したフィルム空気と主流との混合も生じる。高温強度に耐え高性能で信頼性の高いタービン冷却翼を開発する上で、タービン翼間で生じる熱流動現象を正確に把握する必要があり、このためタービン静止翼列あるいは回転翼列などの試験装置を用いた実験が行われる。本解説では高温ガスタービンに用いるタービン翼の翼およびエンドウォール面上で生じる特徴的な流れを可視化した手法およびその結果について紹介する。