著者
永島 聡
出版者
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.12, pp.65-72, 2019-03-31

生徒指導ないし教育相談、あるいは看護場面等、一般的に心理援助場面においては、「共感」は「善いこと」であるということに疑問が抱かれることはまずない。このことはRogers,C.R. における「共感」がベースにあると考えられる。一方で、Bloom,P. にとって共感、特に「情動的共感」は、支援者- 要支援者関係に悪影響を及ぼし得るものである。 拙稿では、心理援助場面の実際におけるいくつかのパターンについて、Frankl,V.E. の「意志の自由」の観点から考察した。そして意志の自由が適切に機能すれば、情動的共感は治療的であり得ることを示した。|It is common for teachers and nurses to regard empathy as an absolute good in psychological support. It seems that their beliefs are based on C .R. Rogers's theory of Client-Centered Therapy. On the other hand, P. Bloom argues that empathy, particularly emotional empathy, can corrode relationships between therapists and clients. In this study, the empathy of some teachers and nurses is specifically examined in relation to the concept of "the freedom of will" (V.E. Frankl's term). Results suggest that emotional empathy can be therapeutic when the freedom of will is adequately performed.
著者
白井 詩沙香
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.427, 2019-04-15

近年,STEM教育や数理・データサイエンス教育の重要性が増し,その土台となる数学基礎力の養成が求められているなか,リメディアル教育や事前事後学習において,eラーニングの活用が期待されている.本稿では,近年注目を集めている数式自動採点システムを利用した数学eラーニングの概要と国内外の動向について紹介する.
著者
稲葉 利江子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.428-431, 2019-04-15

本稿は,大学ICT推進協議会(AXIES)が2017年度に実施した日本の高等教育機関等におけるICT活用教育の推進に関する悉皆調査の結果を基に,大学においてICT環境の導入状況を紹介したものである.特に,LMSとeポートフォリオの導入状況について概要を述べたあと,前回調査から2年間でどのような変化が見られたのかについて説明を行った.具体的には,前回調査と比較し,「入学手続きシステム」と「機関が提供している公式SNS」の導入率が増加している傾向にあることが明らかとなった.これは,入試方式の変化や大学広報のSNS利用などの社会的な変化に伴い増加していることが推察される.その他の悉皆調査の詳細結果については,AXIESのWebサイトを参照いただきたい.
著者
井上 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.432-435, 2019-04-15

SNSはスマートフォンの普及に伴い,幅広い年齢層でコミュニケーションの手段の1つとして利用されている.本稿では,まず高校生のスマートフォンとSNSの利用状況を概観する.また,大学におけるSNSの利用状況に関する調査結果を報告する.次に,日常生活におけるコミュニケーションツールと学習システムとの乖離について述べ,それを解決するための一手段として筆者らが開発し提供しているSNSを利用した医学英語と学習環境を説明する.最後にSNSを利用した学習環境の将来構想を述べる.
著者
和田 英一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.389, 2019-04-15

60年余にわたって見たり使ったりした計算機を回顧する. そういう計算機にはEDSAC, PC-1, TX-0, IAS計算機, ILLIAC I, HITAC 5020, 階差機関,タイガー計算機, クルタ, メルセデスユークリッド, 微分解析機などがあった.
著者
佐藤 義弘
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.446-450, 2019-04-15

「情報のディジタル化」は現行学習指導要領の「情報の科学」「社会と情報」においていずれも取り扱われる内容で,さまざまな種類の情報がコンピュータではどのようにディジタル表現され,取り扱われるのかを学ばせる単元であり,具体的には数値のディジタル化,文字のディジタル化,画像,音,動画のディジタル化について学ぶ内容となっている.生徒たちは特に意識をすることなくこれらのディジタルデータを活用しているが,その理論を学ぶことでより良く活用できるようにするとともに,ディジタルの良い点や悪い点ついて考えられるようになることや,コンピュータにおける処理について考えられるような授業の工夫を紹介する.
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.454-455, 2019-04-15
著者
津田 直彦 井村 誠孝
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.973-974, 2017-03-16

VR技術の活用が期待される分野の一つにスポーツトレーニングがある.VR技術を用いると広い場所が要らず1人でトレーニングが可能となり,また様々な状況を再現できるなどの利点がある.本研究では,初心者のためのフライの捕球訓練を行うシステムを構築する.捕球の困難さは遠方の打球方向を視認し落下地点を推定する経験の乏しさに起因するため,技術の向上のためには繰り返し訓練を行う必要がある.提案システムでは,HMDを着用し,バーチャルな野球場での訓練を行う.天候など周辺環境を変えることで,様々な条件下での訓練を実現する.本発表では,試作システムの概要と,本システム内での野手の移動軌跡を実際のフライ捕球時と比較した結果について報告する.
著者
久保田 秀和 角 康之 西田 豊明
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.90(2004-HI-110), pp.1-8, 2004-09-10

本論文では,知球と呼ばれる持続的に発展可能な個人の外化記憶構築システムを提案する.初めに,外化記憶をコンテンツの一種として捉えることにより,その持続的な発展を時空間的なコンテンツの蓄積としてモデル化する.知球とはこの時空間記憶モデルに基づいた外化記憶を仮想的な球面上に構築するシステムである.実験として約1100件のコンテンツ断片から構成される外化記憶を知球上に構築した結果,知球の奥行きや左右,カードの大きさなど空間的手がかりを生かした外化記憶の配置を行うことによって,自分らしいポリシーに基づく外化記憶が構築可能であるという示唆を得た.
著者
井上 創造
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.600-604, 2013-05-15

スマートフォンを用いた行動認識を実用化するためには,行動を機械学習させるために多様で現実的な行動データを集める必要がある.ところが,多様な行動データを多くの人から集めることは容易ではない.本稿では,スマートフォンを用いた行動データの大規模な収集について述べ,その経験から得られた知見および実用的な行動認識のための課題を述べる.特にアノテーションにおける問題について触れ,補完情報の重要性を指摘する.また,実際の病棟で行った看護行動センシングを紹介し,その中で加速度と音声から看護師が看護を行った区間を検出しアノテーションに活用する手法について述べる.