著者
磯ヶ谷 尊
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro journal of psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.(2), pp.35-47, 2006

解離性同一性障害の状態を訴えた二十代女性のクライエントとの面接過程を報告する。面接開始当初クライエントは、恋人に対する暴力的な振る舞いの間の記憶が失われると話し、これは解離性健忘と思われた。しかし経過中に別人格の存在を報告するようになり、面接においても解離性同一性障害様の状態が現れた。結果的に事例は、解離症状の改善を見ながらも中断した。この事例との関わりにおいて筆者には、面接内に持ち込まれない感情を担っており、行動化を起こす別人格とされる部分とどう触れていくかが問題となった。筆者は、別人格があるという訴えを強化してしまう危険性を考え、迷ったが、最終的に、その人格部分が<面接に来られるといい>と伝える事で陰性感情転移を扱おうと試みた。考察では、それぞれ異なった人格として示される部分の取り扱いについて、『本当かも知れないし、そうではないかも知れない』という不安定な位置に自らを置きつつ、セラピストが、時にはクライエントの語る別人格があるとの文脈に乗り、その文脈に沿って介入を工夫することが必要な場合もあることを論じている。また、別人格があるとされる訴えとクライン派精神分析の「病理構造体」との類似点を論じた。中断に到った理由についても検討し、セラピストの逆転移あるいは逆転移の抑圧が面接素材理解に及ぼす影響を論じた。
著者
大須賀 隆子 Takako OSUGA
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 = Bulletin of Junior College of Shukutoku (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.127-149, 2012-02-25

「大地保育とは、太陽と水と土に象徴される自然を充分に取り入れる自由保育方式の総称」であり、「創美(創造美育協会)の精神から生まれたものだ」1)と塩川豊子注1)は述べている。本論文では、倉橋惣三が実践した保育論を基に自由保育について定義し、戦後日本において自由保育をタイトルとして書かれた4冊の書籍を概観することを通して、塩川豊子が実践した自由保育の特色が、「どろんこ保育」「自由画の指導」「食事場面と午睡場面の自己決定」にあると捉えた。この3つの保育実践が、戦後大きく影響を受けたと塩川豊子が言う創美とりわけ宮武辰夫、そして創美を通して学んだと言うホーマー・レインとA.S.ニイルの教育思想とどのように関連しているかを考察することによって、塩川豊子の自由保育の根幹にあるものを明かにしようと試みた。
著者
池間 里代子 イケマ リヨコ
雑誌
流通経済大学社会学部論叢
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.11-26, 2009-03
著者
PESTUSHKO Yuri S.
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本文化の解釈 : ロシアと日本からの視点
巻号頁・発行日
pp.261-273, 2009-12-15

国立ロシア人文大学, モスクワ大学, 2007年10月31日-11月2日