著者
和田山 智哉 伊藤 絢 大坪 亮一 大谷 恭子 森川 雅史 上田 直子
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001289, (Released:2019-07-23)
参考文献数
19

症例は48歳,男性.全身痙攣発作後に左顔面,上肢の間代性痙攣が持続し入院.ジアゼパム,ホスフェニトイン,レベチラセタム投与で止痙したが,再び部分てんかん重積状態となり全身麻酔下で管理した.右前頭葉に皮質を含む拡散強調画像,T2強調画像で高信号の病変を認め,造影MRIで病変の中心部とその近傍の皮質が増強された.第6病日に開頭腫瘍摘出術を施行.増強された中心部で退形成性乏突起膠腫を認めた一方,近傍の皮質には腫瘍組織は認めず,増強効果はてんかん重積によるものと考えられた.てんかん重積に伴う造影MRI異常信号は,臨床的に脳腫瘍などの他疾患との鑑別が困難な場合があり,慎重な判断が必要と考えられた.
著者
田中 愛実 三間 洋平 安部 裕子 礒田 健太郎 井村 隼 大原 真理子 上田 直子 池田 充 庄田 武司 森川 雅史 大坪 亮一
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.429-434, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
15

要旨:症例は21 歳女性.入院1 週間前より発熱,頭痛,腹痛,血便がみられるようになった.入院当日に左不全片麻痺を来し,来院した.入院時検査で血小板減少,凝固線溶系の異常を認め,画像検査で多発性出血性脳梗塞と脳静脈,上腸間膜静脈,右大腿静脈の血栓症を認めた.劇症型抗リン脂質抗体症候群を疑い,ステロイドパルス療法とヘパリンによる抗凝固療法を開始した.入院3日目に右前頭葉および側頭葉の血腫増大を認めたため緊急開頭術を行った.抗リン脂質抗体陽性が判明し,劇症型抗リン脂質抗体症候群と診断した.血漿交換,リツキシマブ,シクロホスファミド静注療法を追加した.その後疾患活動性は低下し,プレドニゾロンとワルファリンによる維持療法に移行し再燃なく経過した.1 週間以内に複数臓器に静脈血栓症を来し,急激に重篤化する症例では,劇症型抗リン脂質抗体症候群を念頭に置き,迅速な精査加療を行う必要がある.
著者
鬼塚 剛 柳 哲雄 門谷 茂 山田 真知子 上田 直子 鈴木 學
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.403-417, 2002-05-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
28
被引用文献数
2

現在,洞海湾で水質浄化の試みとして,ムラサキイガイの養殖を行うことが計画されている。そこで,海域浄化に必要な養殖量とその効果を定量的に把握するために,鉛直2次元の数値生態系モデルを用いて洞海湾における物質循環の再現を行い,ムラサキイガイ養殖の有無による湾内物質循環の違いを調べた。その結果,ムラサキイガイ養殖量1,000トン以上で表層のクロロフィルa濃度は減少,湾奥底層の溶存酸素濃度は増加し始め,10,000トン養殖すれば赤潮防止に効果があり,貧酸素水塊の状態にも改善が見られることがわかった。10,000トン養殖時に,ムラサキイガイによる植物プランクトン摂食量は基礎生産量のおよそ2割に達し,2次生産量より大きい値であった。また,養殖しない場合と比較すると湾内有機物濃度が2~3割程度減少していた。洞海湾では工場からのTN(溶存・懸濁態窒素総量)負荷量が大きいため,ムラサキイガイ養殖による窒素除去効果は小さく,TN負荷量の約2%ほどであった。洞海湾が国の定めるTN環境基準を達成するためには,工場からのTN負荷量を削減しなければならないが,ムラサキイガイ養殖と工場からの負荷量削減の両方を組み合わせることで,より効果的に赤潮や貧酸素水塊の発生を防止できる。
著者
Kitano Motoo Hirano Masao Ishihara Takashi YOSHIDA Aichi HATTORI Shosaku UEDA Naoko CHIJIWA Takahito OHNO Motonori キタノ モトオ ヒラノ マサト イシハラ タカシ ヨシダ アイチ ハットリ ショウサク ウエダ ナオコ チヂワ タカヒト オオノ モトノリ 北野 元生 平野 真人 石原 尚 吉田 愛知 服部 正策 上田 直子 千々岩 崇仁 大野 素徳
出版者
鹿児島大学
雑誌
南太平洋研究 (ISSN:09160752)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.11-18, 2002

Trimeresurus flavoviridis (Tf) serum proteins were fractionated by anmnonium sulfate precipitation to five portions depending on the differences of its saturation percentages, that is, 0-20%, 20-30%, 30-40%, 40-50%, and 50-70%. The effects of these proteins on Tf venom-induced rat skeletal muscle damage were investigated with closer attention to histopathological features of impairment, necrosis, and regeneration ofmuscle fibers. The knowledges which portion of Tf serum proteins is effective for prevention of local lesions caused by Tf venom should shed light on the effective medical treatment after bitten by Tf snake. In consequence, it was found that the necrotic change of the rats inoculated with Tf crude venom together with the serum protein fraction of ammonium sulfate saturation percentage 40-50% was the smallest compared to those of the rats tested with other Tf serum protein fractions.
著者
上田 直子 中村 仁美 大栗 誉敏
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本の南西諸島に棲息する毒蛇ハブの毒成分は、意外にも生物の様々な組織にある脂質やタンパク質を分解する酵素が主成分であり、それらが加速進化して多様性を増すとともに、極めて高い特異性とユニークな性質を獲得してきたことが明らかとなりました。またハブ毒は、貴重な創薬シーズ(種)としても注目されています。本研究は、それらの毒成分が、毒を産生する組織である毒腺で、どのようにつくりだされるのか、その分子機構の解明を目指した研究です。