著者
伊藤 崇達
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.340-349, 1996-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
28
被引用文献数
33 10

The purpose of this study was to investigate the relationships among self-efficacy, causal attributions and learning strategy in an academic achievement situation. The Self-Regulated Learning Strategies, self-efficacy and intrinsic value scales developed by Pintrich and De Groot (1990) were translated into Japanese and administered to 251 junior high school students. On the basis of the results of the factor analysis, five learning strategies subscales were constructed: general cognitive, review-summarizing, rehearsal, giving attention and connecting. These subscales were positively correlated, and there were gender differences in three subscales, self-efficacy and intrinsic value. All these subscales were strongly related to self-efficacy and intrinsic value. The relationships among self-efficacy, causal attributions and learning strategy were analyzed, and the findings suggested that learning strategies had a greater influence on self-efficacy than effort attribution for their failure.
著者
伊藤 崇達
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.340-349, 1996
被引用文献数
10

The purpose of this study was to investigate the relationships among self-efficacy, causal attributions and learning strategy in an academic achievement situation. The Self-Regulated Learning Strategies, self-efficacy and intrinsic value scales developed by Pintrich and De Groot (1990) were translated into Japanese and administered to 251 junior high school students. On the basis of the results of the factor analysis, five learning strategies subscales were constructed: general cognitive, review-summarizing, rehearsal, giving attention and connecting. These subscales were positively correlated, and there were gender differences in three subscales, self-efficacy and intrinsic value. All these subscales were strongly related to self-efficacy and intrinsic value. The relationships among self-efficacy, causal attributions and learning strategy were analyzed, and the findings suggested that learning strategies had a greater influence on self-efficacy than effort attribution for their failure.
著者
伊藤 崇達 神藤 貴昭
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.209-217, 2003-08-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
32
被引用文献数
18 7

The two main purposes of the present study were to construct the self-motivational strategies scale for junior high school students, and to examine the validity of the scale. In the first study, from the result of factor analysis on the data of 449 students, eight subscales were constructed, and differences in subscale scores between grades were found. In the second study, the relationships among eight self-motivational strategies, four types of motivation, academic stress coping strategies and appraisal of academic stressors were examined. It was shown that different aspects of students' self-motivational strategy were differentially related to their academic motivation and the use of some stress coping strategies. In addition, covariance structure analysis was carried out to investigate the validity of the scale. The results supported the construct validity of all but one of the subscales.
著者
伊藤 崇達 神藤 貴昭
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.377-385, 2004-03-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
26
被引用文献数
3

本研究は,自己効力感,不安,自己調整学習方略,学習の持続性に関する因果モデルの検証を行うことを目的とした.自己効力感尺度,学習時の不安感尺度,認知的側面の自己調整学習方略尺度,自己動機づけ方略尺度,学習意欲検査(GAMI)の下位尺度である持続性の欠如が,中学生449名に対して,試験の1ヶ月前と1週間前の2回にわたり実施された.共分散構造分析によって検討を行った結果,以下のことが明らかとなった.(1)自己効力感が高いものほど,認知的側面の自己調整学習方略と内発的調整方略をよく用い,外発的調整方略は用いていなかった.(2)学習時の不安感が高いものほど,認知的側面の自己調整学習方略,内発的調整方略,外発的調整方略をよく用いていた.(3)内発的調整方略の使用は,学習の持続性の欠如と負の関連を示し,外発的調整方略の使用は,学習の持続性の欠如と正の関連を示していた.
著者
高垣 マユミ 田爪 宏二 中谷 素之 伊藤 崇達 小林 洋一郎 三島 一洋
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.111-122, 2011-03-30 (Released:2011-09-07)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

本研究では, コンフリクトマップ(Tsai, 2000)の理論的枠組みを, 中学校2年地理「世界から見た日本のすがた」の学習内容に適用した授業を考案した。授業実践を通して, コンフリクトマップのいかなる教授方略が, 「認知的な側面」及び「動機づけ的な側面」の変化に対してどのような影響を及ぼすのかを, 探索的に検討することを目的とした。単元前後, 及び授業後の質問紙調査に基づく数量的分析と, 自由記述に基づく解釈的分析の結果, 以下に示すような変化が明らかになった。1)コンフリクトマップの「決定的な事象」において, 「先行概念(日本と世界の地理的事象の非一貫性=ミクロな理解)」と「科学的概念(地理的事象の世界規模的規則性=マクロな理解)」を関連づける教授方略によって, 「知識活用への動機づけ」が高められる。2)コンフリクトマップの「知覚的な事象」において, ITを活用し地形をシミュレーションする教授方略によって, 「合科動機づけ」が高められる。3)知識活用への動機づけ, 及び合科動機づけが促される過程で, 表面的な知識の暗記ではなく地理学習の意味を追求する「状態的興味」が高まっていく可能性が示唆された。
著者
梅本 貴豊 伊藤 崇達 田中 健史朗
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.334-342, 2016 (Released:2016-10-25)
参考文献数
42
被引用文献数
14 17

This study examined relationships among regulation strategies, emotional and behavioral engagement, and academic achievement. Regulation strategies included metacognitive and motivational regulation strategies. Motivational regulation strategies have three subtypes: autonomous regulation strategies, cooperative strategies, and performance strategies. A self-reported survey was administered to 199 undergraduates from four universities, and an examination was conducted three months after the survey. Path analysis showed that use of metacognitive strategies was positively correlated with test scores, mainly through behavioral engagement. Moreover, use of autonomous regulation strategies was positively correlated with emotional engagement. Emotional engagement was positively correlated with test scores via behavioral engagement. On the other hand, use of performance strategies was negatively correlated with emotional engagement. Use of cooperative strategies was not correlated with engagement. These results indicate that each regulation strategy has a different function in learning, and that engagement mediates the relationships between various regulation strategies and academic achievement.
著者
伊藤 崇達
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.061-064, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

本実践研究では,講義型の授業スタイルがとられることの多い教職科目においてアクティブ・ラーニング型の授業実践を試みた.授業は,ピア・チュータリングと講義内レポートを統合的に取り入れ,「理解深化」型の授業となるようデザインした.そして,コースの途中段階において,内的および外的な活動性を高めるための授業デザインの改善を試み,学習者の心理面,とりわけ思考面,動機づけ面,感情面にどのような変化をもたらしたかについて明らかにした.調査内容を分析した結果,概ねポジティブな変化が報告され,今後の実践の可能性について示唆を得た.
著者
伊藤 崇達
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

日本の高等教育では,アクティブ・ラーニングが理念として掲げられてきており,その実証的な検討が求められている。本研究は,「自己調整学習(self-regulated learning)」と「社会的に共有された学びの調整(socially shared regulation of learning)」をグランドセオリーとし,「I」「You」「We」の学び手の3視点から「真正なる学びあい」がいかに成立するかについて,心理尺度をもとに実証的に検討を行った。尺度の作成にあたっては,「I」視点が,「自己調整学習」,「You」視点が「共調整された学習(co-regulated learning)」,「We」視点が「社会的に共有された学びの調整」によるものと捉え,調整を支えている中核的な心理的要素として,「動機づけ」と「動機づけ調整方略」に焦点をあてることとした。動機づけの自己調整に関する研究では,内発的な動機づけ,すなわち,興味や関心を高めるような自己調整がパフォーマンスの向上において重要であることが明らかにされている。グループ活動において,自分自身,グループのメンバー,グループの全体のそれぞれの動機づけをいかに調整しているかについて,新たに尺度を作成し,検討を行った。学びあいの真正性は,実社会での学びあいとの接続を考慮することで検討することとした。具体的には,すでに職を得ている社会人にも同様の調査を行い,大学生との比較検証によって明らかにした。グループ活動への自律的動機づけ,グループ活動のパフォーマンス指標,期待,価値といった変数との関連について検証を行い,高等教育における実践への示唆を得たところである。
著者
大谷 和大 岡田 涼 中谷 素之 伊藤 崇達
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.477-491, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
48
被引用文献数
11

本研究は, 学級で強調される社会的な目標である, 「学級の社会的目標構造」に焦点をあて, 学級の社会的目標構造が, 児童の学習における動機づけに関連するプロセスを検討することを目的とした。研究1では, 小学5, 6年生, 289名を対象に, 向社会的目標構造と規範遵守目標構造から構成される学級の社会的目標構造尺度を作成することを目的とした。その結果, 本研究で作成された尺度は, 一定の信頼性を有し, 既存の学級環境を測定する尺度と概ね予想される関連を示したことから, 妥当性の一部を有すると考えられた。研究2では, 小学校23校(117学級)に所属する小学5, 6年生合計3,609名を対象に, 学級レベルと児童レベル双方において, 学習動機づけに関連するプロセスを検討した。その結果, 両レベルにおいて, 向社会的目標構造は相互学習を通じ内発的動機づけおよび, 自己効力感と関連することが示された。一方, 規範遵守目標構造は児童レベルにおいてのみ, 有意な媒介効果を示したものの, その値自体は小さなものであった。本研究の研究・教育実践上の意義について論じた。
著者
伊藤 崇達 神藤 貴昭 高嶋 重行 竹内 温子 菅井 勝雄 前迫 孝憲
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.377-385, 2004-03-20
被引用文献数
4

本研究は,自己効力感,不安,自己調整学習方略,学習の持続性に関する因果モデルの検証を行うことを目的とした.自己効力感尺度,学習時の不安感尺度,認知的側面の自己調整学習方略尺度,自己動機づけ方略尺度,学習意欲検査(GAMI)の下位尺度である持続性の欠如が,中学生449名に対して,試験の1ヶ月前と1週間前の2回にわたり実施された.共分散構造分析によって検討を行った結果,以下のことが明らかとなった.(1)自己効力感が高いものほど,認知的側面の自己調整学習方略と内発的調整方略をよく用い,外発的調整方略は用いていなかった.(2)学習時の不安感が高いものほど,認知的側面の自己調整学習方略,内発的調整方略,外発的調整方略をよく用いていた.(3)内発的調整方略の使用は,学習の持続性の欠如と負の関連を示し,外発的調整方略の使用は,学習の持続性の欠如と正の関連を示していた.