著者
伊藤 晶文
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.537-550, 2003-06-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
34
被引用文献数
2 1

北上川下流低地に分布する浜堤列の形成時期について,空中写真判読,ボーリング資料解析,堆積物の粒度分析と14C年代測定および考古学的資料の整理などから考察した.さらに,本研究で明らかとなった浜堤列形成時期と既存の14C年代資料の整理・検討および埋積浅谷の形成時期とから,仙台湾岸における完新世後期の相対的海水準変動を考察した.北上川下流低地臨海部には,内陸から順に広渕浜堤列,第I浜堤列,第I'浜堤列,第II浜堤列,第III浜堤列の五つの浜堤列が存在し,各浜堤列の形成時期は,内陸側から縄文時代前期 (6,000~4,600 yr B. P.), 縄文時代中期 (4,600~4,000 yr B. P.), 縄文時代後期 (4,000~3,000 yr B. P.), 縄文時代晩期から弥生時代にかけて (3,000~1,600 yr B. P.) および1,000 yr B. P.以前から現在である.仙台湾岸では過去6,000年間に5回の海水準の上下動が認められ,約3,500 yr B. P.と約2,200yrB. P.を含む5回の海水準の極大期,約2,500 yr B. P.と約1,600 yr B. P.を含む4回の海水準の極小期の存在が推定された.
著者
伊藤 晶 糸山 享 小松 貢一
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.56, pp.155-156, 2005-12-05 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5
被引用文献数
2

2004年6月に熱水土壌消毒を実施し, ホウレンソウケナガコナダニに対する防除効果を調査した. 消毒直後の土壌中のコナダニ密度は0頭/100cm3まで減少していたが, 消毒後1作目にはホウレンソウへの加害が認められ, コナダニ密度も再び増加した. また, 消毒後の作付を重ねる度に加害株率は増加し, 3作目には19.0%となった. 熱水土壌消毒を防除体系に導入するためには, 消毒後の侵入や増殖の防止対策を確立していく必要がある.
著者
塚口 真穂登 伊藤 晶子 鈴木 直人 外山 聡
雑誌
第83回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.55-56, 2021-03-04

2018年8月より4カ月おきに、Google AI スピーカー(Google Home)へ、新潟大学医歯学総合病院(以下、当院)での採用医薬品各銘柄名、当院薬剤部医薬品情報管理室(以下、DI室)に寄せられた医薬品に関する問い合わせについて質問を行い、その回答の記録を続けている。当院採用医薬品銘柄名を質問した時、薬効等を回答する割合は、2018年8月の43.93%から、2020年8月には82.13%へと向上していた。DI室への問い合わせについては2018年8月では意味がある回答は0.81%であったのに対して、2020年8月には9.77%で回答が得られた。2019年12月よりAmazon AIスピーカー(Alexa Echo Show)でも当院採用医薬品各銘柄名の質問を行っているが、2020年8月の回答割合は9.95%であった。
著者
伊藤 晶文
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学編 (ISSN:03896692)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-8, 2006-02-28
被引用文献数
3

仙台平野の浜堤列は従来4列に大別されるが,最も海側に位置する第III浜堤列は,さらに細分できる。本研究では,細分した浜堤列の形成時期について,放射性炭素年代測定,テフラおよび史跡の分布状況に基づいて推定した。さらに,浜堤列の分布や形成時期から,歴史時代における海岸線の変化を考察した。第III浜堤列は,陸側から順に,第IIIa浜堤列,第IIIb浜堤列,第IIIc浜堤列に細分され,それぞれの形成開始時期は,約1,300cal.BP,約1,100cal.BPおよび約350cal.BP以前である。歴史時代以降の海岸線の変化には地域差があり,阿武隈川以南の地域において海岸線が顕著に前進した。第IIIa浜堤列形成期には仙台平野全域で海岸線が急速に前進しており,その要因として,流入河川および平野南方からの土砂供給量の増加,もしくは供給される土砂の質の変化が考えられる。
著者
伊藤 晶文
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 = Quarterly journal of geography (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-18, 1999-03-15
参考文献数
25
被引用文献数
2 6

宮城県北東部に位置する北上川下流沖積低地を対象に, ボーリング資料解析, FeS<sub>2</sub>含有量分析, <sup>14</sup>C年代測定結果に基づいて, 完新世における内湾の拡大過程および埋積過程を復元し, 当低地の形成過程を考察した。とくに内湾の埋積過程については, 各時代の海岸線背後における河道の位置を復元することを目的の一つとして復元を試みた。<br>北上川下流沖積低地は, 従来想定されていた南北に連なる一連の埋没谷の埋積により形成された低地ではなく, 海水準が-7mに達した7,500年前までは, 三つの個別の埋没谷を埋積する低地であったことが明らかとなった。7,500年前以降の海水準上昇に伴い, 内湾の拡大によって一つの連続する水域となった。本地域にあった内湾は, そのうち最大め流域面積をもつ北上川によって大部分が埋積され, 支流迫川は埋積にはほとんど関与していないことが明らかとなった。
著者
伊藤 晶子 畔柳 加奈子 櫛 勝彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.3_11-3_20, 2020-01-31 (Released:2020-02-25)
参考文献数
10

クレジットカードや電子マネー、デビットカード、QR コード、スマートフォン・アプリ(以下アプリ)を介しての送金など、現金以外のさまざまな支払い手段が利用され始めているが、日本においては、未だ現金での支払いが優勢である。その理由としてさまざまな社会的な要因が指摘されているが、生活者自身がどのような理由で支払い方法を選択しているか、という生活者の心理については明らかになっていない。そこで、本研究では10 名の生活者へインタビューを行い、グラウンデッドセオリーアプローチを援用し分析した。その結果、生活者が支払い方法を決定するためには共通のプロセスが存在していること、さらに、支払い行動については4パターンの行動原理があることを明らかにした。最後に、キャッシュレス社会に進展していくためのサービスデザインの要件提案を行なった。
著者
伊藤 晶文 Ito Akifumi
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要 自然科学篇 (ISSN:03896692)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.1-8, 2007

鹿児島県志布志砂丘では,台風0416号,0418号,0514号接近時に後浜上限を超えて砂丘まで達した波(越波)による堆積物と地形変化が観察された。本研究では,地形測量,堆積物の観察および粒度分析を行い,2004年および2005年の越波堆積物の分布,粒度組成,単位面積当たりの体積を明らかにし,越波イベント発生時における砂丘の地形変化と各イベントの差異を考察した。さらに言皮浪および気象資料からイベント発生条件を検討した。イベントが発生すると言毎岸林の立地する区域において,越波堆積物の定着により砂丘表面の起伏が埋められて平滑化が進む。調査地(100㎡)におけるイベント当たりの越波堆積物の体積は約7-8㎥であった。台風接近時の最大有義波高が6m以上,かつ台風の経路が調査地の西側であることがイベント発生条件と考えられた。この条件を満たす台風は1980年以降8個あり,1993年から2005年までに7個の台風が来襲している。
著者
伊藤 晶文 木塲 幸乃
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要 自然科学篇 (ISSN:03896692)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.1-8, 2010

鹿児島県本土で執筆された二つの古日記の天気記録を用いて,1830年代から1850年代の夏および冬の寒暖,台風の襲来,および異常天候について検討した。7月の晴天率および冬(12~2月)の降雪率の比較から,現代と比べて当時の夏は大きく変わらないものの,冬は雪が多く寒さが厳しかったと考えられた。対象期間のうち,1837年,1841年,1853年,1855年,1856年,および1859年の夏は暑く,1833年,1840年,1844年,1848年,および1854年の夏は冷涼であり,1840/41年,1851/52年,および1854/55年の冬は多雪で寒さが厳しく,1844/45年および1853/54年の冬は寡雪で温暖であったと推定された。1840年代以降における太平洋側の降水率の増加と,1850年代以降における暑夏の出現頻度の増加は,それぞれ小氷期の終了を示唆する。台風の襲来数が同時期の近畿・東海地方よりも少ないことから,当時の台風の進路は鹿児島県本土から離れていたとみられる。洪水と雨乞の記載日数の比較から,当時は干ばつよりも長雨や大雨などの異常天候が多かったと考えられた。
著者
橋本 修 角 和俊 横川 英広 伊藤 晶彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.90, pp.53-59, 2001-05-18
被引用文献数
11

抵抗皮膜を用いたλ/4型電波吸収体は, 構造が簡単でしかも設計等が容易にできることから, 室内無線LANなどの利用を考えた場合, その利用が期待されている. しかしながら, このタイプの電波吸収体は, 使用するスぺーサ内の波長の1/4より薄くできない欠点がある. そこで, 本研究では, λ/4型電波吸収体のスペーサ部にFSS (Frequency Selective Surface)を吸収膜としての抵抗皮膜と並列に挿入し, スペーサ内の位相を変化させることにより, 吸収体の厚みを薄くすることを試みた. この場合, 設計周波数領域における使用するFSSのインピーダンスを把握する必要があるが, 本研究では, 測定したFSSの透過特性からFDTD法を用いて, インピーダンスを求め, これを電気的等価回路に代入することにより, 吸収特性が最大となるFSSの挿入場所や抵抗皮膜の面抵抗値を決定した.