著者
作田 幸憲 佐々木 英樹 星野 光晴 関根 好文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.363-370, 1994-09-25
被引用文献数
9 1

水晶発振器は従来から高安定な周波数発生源として利用されているが,近年では温度変化や経時変化に対する発振周波数の変化が小さいことのほか,出力信号のスペクトル純度の優れていることが必要になっている.スペクトル純度を改善する方法の一つとしては水晶振動子を装着時の発振回路のQ,いわゆる負荷Qを下げないように回路を設計することが重要となるが,従来から負荷Qに着目した論文は理論的な検討が多く,実際上,発振回路の負荷Qをどのように評価すべきかについてはあまり検討されていない.そこで,本論文ではまず水晶発振回路の負荷Qの評価法について検討した.その結果,負荷Qは発振回路を開回路にし,入出力電圧の位相-周波数特性の傾きから算出する方法で評価可能であることを確認した.また,負荷Qが水晶振動子の無負荷Qと回路内の損失分によって決まることより,回路内の損失分を負性抵抗回路によって補償する負荷Qの改善法を提案し,負荷Qを水晶振動子の無負荷Q以上に改善できることを明らかにした.また,負荷Qの改善によって出力信号スペクトルの半値幅が狭くなることを実験的に確認した.
著者
佐々木 英
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.1191-1200, 1984 (Released:2007-12-26)
参考文献数
29
被引用文献数
1

経口的胆汁酸負荷試験を腸疾患 (特に回盲部疾患, 回盲部切除例) に応用し, 胆汁酸の吸収障害を検討した. まず健常者10例において負荷胆汁酸を検討すると酵素法にて血清総胆汁酸濃度を測定する場合遊離型 ursodeoxycholic acid 600mg負荷が有用であり, 次にこれを回盲部疾患7例, 回盲部切除5例に負荷すると, 負荷後の血清総胆汁酸濃度は, 平担な pattern を示し, 特に負荷後120分値がそれぞれ9.5±2.0μM/l, 7.6±0.6μM/lと健常者の20.9±3.4μM/lに比して有意に低値であつた.また各疾患の個々の症例での負荷後のピーク値を比較すると, 回盲部疾患, 回盲部切除例は, 健常者に比して有意に低値であつた. これらのことより, 遊離型 ursodeoxycholic acid 600mgを使用した経口的胆汁酸負荷試験は, 回盲部疾患における胆汁酸吸収障害をよく反映した
著者
佐々木 英昭
出版者
龍谷大学国際文化学会
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
no.12, pp.3-13, 2008

文学的趣味の東西での「矛盾」をどう考えるかという英国留学期以来の夏目漱石の課題は、数年後の大著『文学論』において、「正典」の形成とそれへの抵抗の様相を「暗示」の戦いという図式において把握するという理論に結実している。この「暗示」概念を中核とする漱石の理論をロシア・フォルマリズムやI・A・リチャーズなどの先駆的文学理論と突き合わせ、それらに先行した『文学論』の世界史的意義を考察する。
著者
福岡 裕美子 佐々木 英忠 佐々木 英忠
出版者
秋田看護福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

在宅寝たきり老人へ手軽に下半身浴が実施できることを目指し機器の開発を行った。最終的に完成したものは塩化ビニール製で全長160cm,幅90cm,前面部分へ実施者の腕を挿入する穴6ヶ所(直径14cm),排水口3ヶ所(直径10cm),内部へ保温用のポリウレタンシート(全長160cm,幅73cm)を敷いた。試用の結果この機器は在宅療養中の末期がんの方や,住居の立地条件のため訪問入浴車が入ることのできない場合,訪問入浴を何かしらの理由で拒否している場合等にニーズがあることがわかった。
著者
佐々木 英樹 ゴビン ビヌー スリニバサン クリシュナ ダルミナ シダース サンダラム ベンキー スワミナッサン マダハバン トゥマラ ラオ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.874-884, 2006-11-01
被引用文献数
1

本論文では,ミックスドシグナルSOP (System-On-Package)を実現する際の電気的な課題の一つとして,RF回路とディジタル回路を混載したパッケージにおけるノイズ干渉メカニズムについて検討している.SOPとは,ディジタル,アナログ,RF,オプト,MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)などの異種デバイスを一つのパッケージ内に組み込むことで今後の複雑化するシステムをワンパッケージで実現するというコンセプトであり,現状,メモリチップとロジックチップで構成されたシステムインパッケージ(SiP)を包含するものである.本検討では,ディジタル回路と,受動素子を基板に内蔵したRF回路を混載したテスト基板を用いて,ディジタル回路のレイアウトを変えた際のRF回路に与える影響を評価し,二つのノイズ干渉メカニズムを抽出している.
著者
呉 景龍 佐々木 英人 川村 貞夫
出版者
山口大学
雑誌
山口大学工学部研究報告 (ISSN:03727661)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.21-27, 1998-10

一般に,触覚形状情報を呈示することは困難である。一方,心理学の研究より人間の視触覚は錯覚・融合特性が存在している。つまり,人間は正確な触覚情報を呈示されていなくとも視触覚を通じて実物体の曲面を認識している。そこで,人間の視触覚の錯覚・融合特性を利用して触覚ディスプレイの簡略化を図ることができる。このような目的から人間の視触覚融合領域を調べ,定量的に解析した。この結果に基づいて,4種類の曲率パターンをもった触覚ユニットが作られている。本研究では,親指,人差し指および中指を用いて物体を掴む場合を想定している。これらの指の軌道を測定し,軌道モデルを設計した。さらに,軌道モデル上を移動する機構や回転する機構をもつ3個の触覚ユニットをもった触覚形状呈示装置を試作した。
著者
佐野 信行 仁尾 正記 佐々木 英之 小寺 厚志 大井 龍司
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.679-683, 2005
被引用文献数
1

複数磁石誤飲による小腸内瘻形成に起因した絞扼性イレウスの1例を経験した.症例は3歳4カ月の女児, 主訴は腹痛, 嘔吐.異物誤飲に関連するイレウスの疑いで, 発症36時間後に紹介となった.腹部症状は軽度で発熱はなく, CRPも陰性であった.CTで上腹部に径2cmのリング状に配列する金属片を認め, 家族からの情報で, 8個の磁石と考えられた.X線写真上, 前日と同じ部位に停滞しており, 複数磁石による腸管損傷の可能性を考慮して緊急手術を行った.腹腔鏡下に磁石カテーテルを用いて異物の位置を同定し, 臍部創から病変部腸管を体外に引き出したところ, Treitz靭帯より40cmおよび120cm肛側の空腸同士が磁石で圧挫され内瘻を形成しており, それに伴って生じたblind loopの一部が絞扼性イレウスに陥っていた.同じ創より絞扼腸管を切除した.内瘻の存在によりイレウス症状が軽減されていたものと考えられ, 稀な病態であった.術後経過は良好である.