著者
大類 孝 中山 勝敏 福島 健泰 千葉 大 佐々木 英忠
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.34-36, 2005-01-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1 63

呼吸器感染症の中で肺炎は, 抗菌剤の開発がめざましい今日においても, 日本での疾患別死亡率の第4位を占めている. また, 肺炎による死亡者を年齢別に見ると, 65歳以上の高齢者が全体に占める割合は約9割と極めて高い. 近年, 高齢者の肺炎は複雑化し難治例が増加しつつあるといわれる. その背景には高齢化社会を迎え, さまざまな基礎疾患を抱えた易感染状態の患者が増加している点や, 加齢に伴う免疫能の低下によって弱毒性の病原微生物によっても肺炎を発症しうる点などが挙げられる. よって, 高齢者特に寝たきり高齢者の免疫状態を把握し, ワクチン等を用いて免疫を賦活化させ感染防御能を高める方法は, 高齢者の感染症, 特に肺炎の予防に有効ではないかと考えられる. 本シンポジウムで, 私は, 初めに寝たきり高齢者の免疫能について言及し, さらにこれらの対象者におけるインフルエンザワクチン, 肺炎球菌ワクチンおよびBCGワクチンの効果について解説する.
著者
大類 孝 山谷 睦雄 荒井 啓行 佐々木 英忠
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.305-313, 2003-07-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
75
被引用文献数
5 4

口腔は, 皮膚と腸管とともに3大細菌網で, 口腔雑菌を知らず知らずに飲み込んでいる. 誤嚥性肺炎患者では, その口腔の中のセンサーが悪く, 唾液がたまったことを感知できない, いわゆる嚥下反射が低下している. そして気管に誤嚥したときは咳として出さなければいけないけれども, 咳反射も低下している. そして不顕性誤嚥を何回も起こしているうちにいつか肺炎になる.それではなぜ嚥下反射, 咳反射が落ちるかというと, 迷走神経あるいは舌咽神経の知覚枝の頸部神経節でつくられるサブスタンスPという物質が少ないからである. サブスタンスPがなぜ少ないかというと, 黒質線状体でつくられるドーパミンという物質が少ないからである. なぜドーパミンが少ないかというと, 深部皮質における脳血管性障害があるからである.サブスタンスPが少ないことから, 抗生物質に頼らないお年寄りの肺炎の予防が可能になる. カプサイシンという物質がサブスタンスPを強力に放出する物質であるため, カプサイシンを口の中に入れてやると嚥下反射が良くなる.ドーパミンが少ないため, ドーパミンを上げてやれば良い. アマンタジン (シンメトレル®) はドーパミンの遊離を促す. ドーパミンを投与した群としない群に分け, 3年間にわたって投与したところ, 肺炎の発生率を1/5に減らすことができた.アンジオテンシン変換酵素阻害薬はサブスタンスPの分解も阻害するため咳が出るが, 肺炎をくり返すお年寄りは咳が出ないで困っているので, ACE阻害薬を投与した. イミダプリル (タナトリル®) を2年間にわたって投与したところ, 投与しない群に比べて肺炎の発生率を1/3に減らすことができた.65歳以上であれば半分の人たちは何らかの脳血管障害がある. 深部皮質に不顕性脳血管障害がある人は, 2年間に30%が肺炎を起こすという成績が得られた. したがって要介護老人のみの問題ではなく, 65歳以上であれば身近な問題であると言える.脳血管性障害を防ぐことがお年寄りの肺炎を防ぐことにつながる. シロスタゾール (プレタール®) を3年間にわたって投与したところ投与しない群に比べて脳梗塞の発生率を半分に減らすことができた. しかも肺炎の発生率も半分に減らすことができた.
著者
佐々木 英和 Hidekazu SASAKI
出版者
宇都宮大学共同教育学部
雑誌
宇都宮大学共同教育学部研究紀要. 第1部 = The Research Bulletin of the Cooperative Faculty of Education Utsunomiya University. Section 1 (ISSN:24325546)
巻号頁・発行日
no.73, pp.121-138, 2023-03-10

本稿は、日本語「自己実現」を例題として、複数の一般的な国語辞典を用いて、時間的経過を追ったり比較したりしながら、調査を行ったものである。この単語の源流や用語法を効果的に探っていくための研究の見地が獲得され、実際に進められた。第一に、「自己実現」を考える際に、「自我実現」という言葉も同時に探るべき必要性が明らかになった。「自己」も「自我」も、ともに英語“self”に相当するが、微妙な違いに注意を払う必要がある。第二に、自己実現とは、倫理学説として把握され続けてきており、辞書的には、学説として見出しにされることもしばしばであった。第三に、アメリカの心理学者のアブラハム・マズローの欲求階層論の自己実現概念が普及しているのを意識しつつも、イギリスの思想家のトーマス・ヒル・グリーンの重要性こそが見直されなければならない。
著者
富永 真琴 山谷 恵一 原 正雄 佐々木 英夫 大島 健次郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.174-179, 1977-03-31 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

糖尿病と感染症の関係を知るために, インフルエンザ流行期に糖尿病死亡が増加するかどうかを人口動態統計の資料を用いて検討した. 近年, インフルエンザ流行の時期と規模の客観的指標として, また, その慢性疾患への影響の指標として, 超過死亡という概念が欧米諸国, WHOで慣行化されており, 今回この方法を用い, インフル満ンザ流行期を推定し, その流行期における糖尿病の超過死亡について検討した. 超過死亡は実際の死亡と非流行期の死亡から予測される期待死亡との差で求められる. 月別期待死亡率は月別死亡率 (観察値) を人口動態統計より得て, Serflingの方法に準じ, y=a+bt+csin (πt/6-θ) の予測式の係数を最小二乗法で求めることにより得られる. 超過死亡率の有意さの程度は比較強度 (超過死亡率/標準偏差) で検討した. インフルエンザ流行期の推定には呼吸器感染症の超過死亡で検討し, 1961年~1974年の14年間に7回の流行を把握した. この流行期に糖尿病の超過死亡は3回に有意, 1回にほぼ有意であることを認めた. 一方, 臨床的には1975年~1976年冬のインフルエンザ流行期に感冒様症状を呈した糖尿病外来患者の約70%に空腹時血糖値の上昇を認めた. したがってインフルエンザに対し糖尿病患者はhigh riskgroup (高危険群) であり, インフルエンザへの対策は糖尿病の管理上重要であると考えられる
著者
海老原 孝枝 大類 孝 海老原 覚 辻 一郎 佐々木 英忠 荒井 啓行
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.448-451, 2007 (Released:2007-09-06)
参考文献数
3
被引用文献数
2

Angiotensin converting enzyme (ACE) inhibitor plays an important role not only as an antihypertensive drug but also for prevention of various complications related to geriatric syndrome. Pneumonia in the disabled elderly is mostly due to silent aspiration of oropharyngeal bacterial pathogens to the lower respiratory tract. Aspiration is related to the dysfunction of dopaminergic neurons by cebrovascular disease, resulting in impairments in both the swallowing and cough reflexes. ACE inhibitor can increase in the sensitivity of the cough reflex particularly in older post-menopausal women, and improvement of the swallowing reflex. In a 2-year follow-up study in stroke patients, patients who did not receive ACE inhibitors had a higher risk of mortality due to pneumonia than in stroke patients who were treated with ACE inhibitor. Moreover, the mortality of pneumonia was significantly lower in older hypertensive patients given ACE inhibitors than in those treated with other antihypertensive drugs. On the other hand, we found a new benefit of ACE inhibitor on the central nervous system. The mortality in Alzheimer's disease patients who received brain-penetrating ACE inhibitor was lower than in those who received other antihypertensive drugs. In a 1-year follow-up study, cognitive decline was lower in patients receiving brain-penetrating ACE inhibitors than in patients receiving a non-brain-penetrating ACE inhibitor or a calcium channel blocker. Brain-penetrating ACE inhibitors may slow cognitive decline in patients with mild to moderate Alzheimer's disease. ACE inhibitor might be effective for the disabled elderly, resulting in the prevention of aspiration pneumonia and Alzheimer's disease for the elderly.
著者
佐々木 英基 小山 里司
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.62-76, 2023-05-01 (Released:2023-05-19)

2022年11月、PBI(Public Broadcasters International,国際公共放送会議)が東京で開催された。放送だけでなくインターネットを通じた情報発信を続ける海外の公共メディアを調査しているNHK放送文化研究所の海外メディア研究グループでは、この「PBI Tokyo 2022」に参加したアメリカ、ヨーロッパ、アジアの公共メディアの代表ら6人にインタビューを行い、それぞれが直面する課題や、情報通信メディア環境が大きく変わる中で、公共メディアが果たすべき役割などについて話を聞いた。3月号の論考(下記URL①参照)では、聞き取り内容から特徴的な内容を抽出し、共通点などを浮き彫りにしながら、公共メディアの課題や役割などを概観した。本稿では、受信許可料や受信料を根本に置いているイギリスBBCと韓国KBSについて、それぞれの国の放送制度などの関連情報を補足しつつ、インタビューを個別に詳しく紹介する。
著者
石橋 恭之 木村 由佳 佐々木 英嗣 千葉 大輔 石橋 恭太
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究の目的は、再生誘導医薬(HMGB1ペプチド)を用いて関節内組織修復を促進する新たな治療戦略を開発することである。関節軟骨は一度損傷すると自然治癒困難と考えられているが、HMGB1ペプチドにより関節内に間葉系幹細胞誘導することで組織修復を促進することが可能となる。このような治療戦略は従来の再生医療とは異なるコンセプトであり、関節軟骨のみならず、半月板や靱帯修復に応用できる可能性を含んでいる。
著者
鳥羽 研二 大河内 二郎 高橋 泰 松林 公蔵 西永 正典 山田 思鶴 高橋 龍太郎 西島 令子 小林 義雄 町田 綾子 秋下 雅弘 佐々木 英忠
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.346-352, 2005-05-15 (Released:2011-03-02)
参考文献数
14
被引用文献数
29 40

【目的】転倒は, 身体的要因と環境要因によっておきるとされているが, 地域において, 環境要因と身体的要因を定量的に比較した研究は少ない. 両者を加味した転倒リスク測定表の開発を目的とする.【方法】厚生労働省研究班, 転倒ハイリスク者の早期発見のための評価方法作成ワーキンググループの会議によって過去の転倒歴と21項目の危険因子を選択し仮の「転倒スコア」とした. 1) 過去一年の転倒 2) つまずく 3) 手摺につかまない階段の昇降 4) 歩く速度が遅延 5) 横断歩道を青のうちにわたりきれない 6) 1km歩行できない 7) 片足で5秒起立できない 8) 杖の使用 9) タオルを固く絞れない 10) めまい, ふらつき 11) 円背 12) 膝痛 13) 視力低下 14) 難聴 15) 物忘れ 16) 転倒不安 17) 5種類以上の服薬 18) 屋内が暗く感じる 19) 家の中の障害物 20) 家の中の段差 21) 家の中の階段使用 22) 生活上家の近くの急な坂道歩行. 対象は全国7地域住民2,439名 (76.3±7.4歳). 検討項目は各項目の該当頻度, 項目の該当有無と転倒の相関, 過去の転倒歴を従属変数とし, 21項目を独立変数とした重回帰分析を行った. 有意な項目に関しては, ロジスティック回帰分析によってオッズ比を算出した.【結果】転倒歴は29%に認められた. 転倒スコア項目では, 物忘れ, 家に段差が60%以上, つまずく, 階段昇降に支障, 視力障害が50%を越えた. 横断歩道を青のうちにわたりきれない, 一方照明が暗い, タオルがきつく絞れないは20%未満であった. 転倒の有無による各因子の頻度の有意差を検定すると, 段差, 階段, 坂道以外のすべての項目が, 転倒者は非転倒者に比べ, 有意に「はい」と答えた率が高かった. 重回帰分析では, 独立した有意な危険因子として, つまずく (p<0.0001), めまい (p<0.0001), 家の中に障害物がある (p=0.0001), タオルがきつく絞れない (p=0.0003), 杖を使っている (p=0.0027), 膝が痛む (p=0.0362) が抽出された. この項目と横断歩道の歩行 (p=0.1) の7項目を用いて, 転倒予測を解析し,3項目以上に該当する場合に, 転倒の感度, 特異度とも良好な値を得た.【結論】内的要因と外的要因を加味した簡便な転倒危険度調査票「転倒スコア」を開発した.「転倒スコア」は, 下位項目の殆どが転倒既往者で高く, 項目選択の妥当性は高い. 段差, 階段などの環境バリアは過去の転倒の危険因子としては重要ではない. 転倒予測因子として, 7項目の短縮板の作成を試み, カットオフ値3項目該当で2/3程度の転倒の予測が可能であり「転倒スコア」の有用性が示唆された.
著者
佐々木 英洋
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前短期大学研究集録 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.29-41, 2007
被引用文献数
1

近年の「ゆとり教育」の方針により小・中学校、高校における各科目の指導実施要綱の内容が以前より少なくなっているなどの影響から、大学・短期大学に入学後、それ以前の基礎学力の欠如により、授業の理解が追いつかない、授業についていけないという学生が多く授業運営に支障をきたす等の問題が全国の大学・短期大学で多く見られている。本学(大手前短期大学)でもそういった事情は例外ではなく、特に基礎学力の低下が就職活動等にも影響を及ぼしており、基本的な知識を問う筆記試験等を学生がクリアできず就職率に影響が出るなど、教育、就職の両面から基礎学力を補完するための対策をとる必要に迫られていた。そこで本学では平成19年度入学生対象に、小・中学の範囲の計算問題を理解させ、解くことができるようにさせるために数学(計算問題)の入学前・リメディアル(補完)教育を実施した。平成19年春学期(4月〜7月)に行ったその実施内容と補習授業への出席率等の結果について報告する。
著者
石川 静香 椋本 泰生 西原 亜希子 清水 佳代子 船田 幸奈 岩部 彩加 毛利 洋久 広瀬 卓哉 綾井 健太 黒住 瑞紀 難波 経立 佐々木 英之 松元 一郎 高木 雄一郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.1130-1136, 2020-10-15 (Released:2021-10-25)
参考文献数
1

目的:当院ではメディカルスタッフが中心となり,循環器科疾患診療に従事する,多職種でチーム医療を行うCardiovascular Care Team(CCT)を立ち上げ,さまざまな取り組みを行っている.CCTではワーキングチームの1つとして心電図チームを組織し,職員の心電図関連のスキルアップを目指した. 方法:新入職の看護師に対しては入職時に12誘導心電図講習を行った.入職後1年以上経過した職員に対しては,当院独自の基準によるモニター心電図ライセンス制度を導入し,講習を受講したのち,資格試験合格によりライセンス取得とした.各講習の受講前後にはアンケートにより知識や意識の変化を調査した.ライセンス取得者らで全病棟のモニター心電図記録の回診を行い実務に還元した.モニター心電図回診導入後に重症不整脈の指摘状況や誤認率が変化したか調査した. 結果:講習終了後には講習前と比較して心電図に対する苦手意識や嫌悪感が減少していた.ライセンス取得者は年々増加し,モニター心電図回診導入後,年々重症不整脈の見落としや誤認が減少していた. 考察:心電図チームによる講習,ライセンス制度により職員の心電図に対する関心が高まり,苦手意識も減少していた.結果として病棟での重症不整脈などの見落としが減少し,リスクマネジメントの向上に寄与できた.専門的にみられがちな12誘導心電図記録,モニター心電図判読を病院内の多くの職員に広めていくことができた.今後もさらなる質的向上を目指した取り組みを行う予定である.
著者
山田 美智子 笠置 文善 三森 康世 宮地 隆史 大下 智彦 佐々木 英夫
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第51回大会
巻号頁・発行日
pp.267, 2008 (Released:2008-10-15)

背景と目的:胎児期に被爆した被爆者では小頭症や知的障害等の神経系への影響が認められる。今回、広島成人健康調査集団の被爆時年齢13歳以上の原爆被爆者とその対照において、原爆被爆が認知機能や認知症の発症に影響したか否かについて調査した。 方法:対象者は1992年の調査開始時に年齢60歳以上で認知症を認めない2286人である。認知機能は認知機能スクリーニング検査(CASI)を用いて評価した。認知症の診断は認知機能スクリーニング検査と神経内科医による神経学的検査の2段階法を用い、人年法により線量階級別の粗発症率を求めた。原爆被曝の認知症発症への影響の評価には他のリスク要因を考慮してポワソン回帰分析を用いた。放射線治療による被曝情報は病院調査と問診調査から得られた。 結果:認知機能は加齢と共に低下し、低学歴で低かったが、被爆時年齢13歳以上の原爆被爆者では認知機能に被爆の影響は認められなかった。約6年の追跡期間中に206人が新規に認知症を発症した。60歳以上の1000人年あたりの粗認知症発症率は15.3(男性12.0、女性16.6)であった。被爆線量別の1000人年あたりの発症率は被爆線量5mGy以下、5-499mGy,500mGy以上で各々16.3、17.0、15.2であった。いずれの被爆線量群でもアルツハイマー病が優位な認知症のタイプであった。ポワソン回帰分析の結果、全認知症ならびにタイプ別認知症において、他のリスク要因を調整後に被爆の影響は認められなかった。対象者の内、68人がこの調査以前に放射線治療を受けていたが、認知症を発症したのは2人にすぎなかった。 結論:原爆被爆者の縦断的調査において認知機能ならびに認知症発症と放射線被曝の関連は認められなかった。

2 0 0 0 OA 微生物腐食

著者
佐々木 英次
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.475-480, 1997-08-15 (Released:2009-11-25)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

A brief overview was done on the mechanisms of Microbiologically Influenced Corrosion (MIC). MIC of steels, stainless steel, copper and aluminum alloys were discussed.
著者
平部 正司 善久 竜滋 宮元 裕章 生田 耕嗣 佐々木 英作
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.195-204, 2019 (Released:2019-12-01)
参考文献数
13

5G やBeyond 5G に向けて基地局の大容量化が進み,バックホール,及びフロントホールの大容量化の要求が高まっている.近年,無線通信の大容量化技術としてOAM(Orbital Angular Momentum)モード多重無線伝送が注目されている.本稿ではOAM モード多重無線伝送をミリ波に適用することによりスモールセルのバックホール,フロントホールに向けた100Gbit/s クラスの無線伝送が可能であることを示す.OAM モード多重無線伝送技術について解説し,筆者らが行ったOAM モード多重無線伝送実験結果について解説する.筆者らは等間隔円形素子配置アレーアンテナ(UCA:Universal Circular Array)とDBF(Digital Beam-Forming)技術で構成したOAM モード多重無線伝送実験装置によりE-BAND で屋外伝送実験を行い,8OAM モード多重と偏波多重により256QAM で16 多重の伝送を達成した.
著者
越川 卓 尾関 順子 柴田 典子 植田 菜々絵 佐々木 英一 村上 善子 細田 和貴 谷田部 恭 長谷川 泰久
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.108-114, 2014 (Released:2014-08-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

甲状腺外科学会病理小委員会では甲状腺細胞診の報告様式を現在の甲状腺癌取扱い規約の様式から甲状腺細胞診ベセスダシステムへ移行することを検討中である。本稿では,取扱い規約とベセスダシステムの報告様式の違いを紹介すると共に,自験例の診断成績を用いて甲状腺細胞診ベセスダシステムの妥当性について検討した。取扱い規約とベセスダシステムの主な違いは,①細胞学的に鑑別困難な症例を,濾胞性腫瘍を疑う群(FN/SFN)とそうでない群(AUS/FLUS)の2つの診断カテゴリーに分けた点,②不適正の判定基準を明確にした点,③各診断カテゴリーについて悪性の危険度を数値で示した点の3点である。両者の基本的な考え方は類似しているので,大きな混乱なくベセスダシステムへの移行が可能と考えている。
著者
島田 卓哉 齊藤 隆 大澤 朗 佐々木 英生
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.461, 2004 (Released:2004-07-30)

ミズナラなどの一部の堅果には,タンニンが乾重比にして10%近くの高濃度で含まれている.タンニンは,植物体に広く含まれる植食者に対する防御物質であり,消化管への損傷や消化阻害作用を引き起こすことが知られている.演者らは,ミズナラ堅果を供餌したアカネズミApodemus speciosusが,著しく体重を減らし,高い死亡率を示すことを既に報告している.その一方で,アカネズミは秋季には堅果を集中的に利用することが知られているため,野外ではタンニンを無害化する何らかのメカニズムを有しているものと予測される. コアラなどの一部の哺乳類の腸内には,加水分解型タンニンを特異的に分解するタンナーゼ産生細菌が存在し,タンニンを代謝する上で重要な働きを持つことが報告されている. そこで,演者らは,アカネズミ消化管内にタンナーゼ産生細菌が存在するかどうか,存在するとしたらどの程度の効果を持つのかを検討した. タンニン酸処理を施したブレインハートインフュージョン培地にアカネズミ糞便の懸濁液を塗布し,タンナーゼ産生細菌の分離を行った.その結果,2タイプのタンナーゼ産生細菌が検出され,一方は連鎖球菌の一種Streptococcus gallolyticus,他方は乳酸菌の一種Lactobacillus sp.と同定された.野外で捕獲されたアカネズミが両者を保有する割合は,それぞれ62.5%,100%であった.また,ミズナラ堅果を用いて堅果供餌実験を行い,アカネズミの体重変化,摂食量,消化率,及び糞便中のタンナーゼ産生細菌のコロニー数を計測した.その結果,体重変化,摂食量,消化率は,乳酸菌タイプのタンナーゼ産生細菌と正の相関を示し,この細菌がタンニンの代謝において重要な働きを有している可能性が示唆された. さらに,アカネズミのタンニン摂取量,食物の体内滞留時間,タンナーゼ産生細菌のタンナーゼ活性等の情報から,タンナーゼ産生細菌がタンニンの代謝にどの程度貢献しているのかを考察する.