著者
熊木 俊朗 大貫 静夫 高橋 健 佐藤 宏之 福田 正宏 臼杵 勲 國木田 大 高橋 健
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、古代から中世における日本列島の北方地域の社会変動について、特に中世アイヌ文化の形成過程に関する問題を中心に考古学的な検討をおこなった。具体的には、北海道東部地域を主な対象としてオホーツク文化の考古資料分析と擦文文化集落の発掘調査を行うことによって、この地域におけるオホーツク文化の終末とその後の擦文文化の展開・終末の過程を解明し、中世アイヌ文化が成立するまでの社会変化の実態を復元した。
著者
中村 生雄 岡部 隆志 佐藤 宏之 原田 信男 三浦 佑之 六車 由実 田口 洋美 松井 章 永松 敦
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、日本および隣接東アジア地域の狩猟民俗と動物供犠の幅広い事例収集を通じて、西洋近代率会において形成された「供犠」概念の相対化と批判的克服を行ない、東アジアにおける人と自然の対抗・親和の諸関係を明らかにすることを目的とした。言うまでもなく、狩猟と供犠は人が自然にたいして行なう暴力的な介入とその儀礼的な代償行為として人類史に普遍的であるが、その発現形態は環境・生業・宗教の相違にしたがって各様であり、今回はその課題を、北海道の擦文・オホーツク・アイヌ各文化における自然利用の考察、飛騨地方の熊猟の事例研究、沖縄におけるシマクサラシやハマエーグトゥといった動物供犠儀礼の実地調査などのほか、東アジアでの関連諸事例として、台湾・プユマ(卑南)族のハラアバカイ行事(邪気を払う行事)と猿刺し祭、中国雲南省弥勒県イ族の火祭の調査をとおして追求した。その結果明らかになったことは、日本本土においては古代の「供犠の文化」が急速に抑圧されて「供養の文化」に置き換わっていったのにたいして、沖縄および東アジアの諸地域においては一連の祭祀や儀礼のなかに「供犠の文化」の要素と「供養の文化」の要素とが並存したり融合して存在する事例が一般的であることであった。そして後者の理由としては、東アジアにおけるdomesticationのプロセスが西南アジアのそれに比して不徹底であったという事実に加え、成立宗教である仏教・儒教の死者祭祀儀礼や祖先観念が東アジアでは地域ごとに一様でない影響を及ぼし、そのため自己完結的な霊魂観や死後イメージが形成されにくかった点が明らかになった。またく狩猟民俗と動物供犠とに共通する「殺し」と「血」の倫理学的・象徴論的な解明、さらには、人間と自然とが出会うとき不可避的に出現する「暴力」の多面的な検証が不可欠であることが改めて確認された。
著者
佐藤 宏之 堀川 桂太郎 及川 利直 水野 浩二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.23, pp.49-54, 1997-03-06
被引用文献数
3

現在,我々は協調学習ナビゲーションの研究を進めている.これは,WWWを利用して学習した際の履歴を学習グループで協調利用することを可能にする.本稿では,協調学習ナビゲーションについて,学習者に提供するインタフェースの観点から述べる.WWWを用いた学習実験を行ない,学習パターンを分析して,先に学習した者の活動履歴を教材として利用するために必要な学習履歴マップの作成方法を提案する.さらに,協調学習ナビゲーションのコンセプトを実装したWWW上で動作するシステム,CoNAVIを説明する.CoNAVIはJava言語で記述され,標準的なWWWブラウザ上で動作するナビゲーションインタフェースを学習者に提供する.これにより,インターネット上のグループが教材を共有・拡張する作業を通して,インタラクティブに学習することができるようになる.We are studying collaborative learning navigation. It enables members of learning group to share and use history of learning on WWW cooperatively. In this paper, We describe collaborative learning navigation method from the viewpoint of user interface. We experiment on learning using WWW, and analyze pattern of it. Then, we propose how to make a learning map used as tutorial materials from the history of leaning. Furthermore, we realize collaborative learning navigation concept as CoNAVI system. CoNAVI is implemented by Java language. It allows members of learning group to use navigation interface which works upon standard WWW browser. As a result, each member on the Internet is able to study interactively, sharing and enlarging tutorial materials.
著者
佐藤 宏之 杉本 重雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.103-114, 2005-01-15

情報リソースのメタデータの記述に利用する共通のボキャブラリの定義やオントロジをWeb 上に置いて,複数のユーザや組織の間で参照するための研究が進められている.本論文は,個別のユーザや組織によって生成され分散環境上に公開された階層的知識をユーザ間で参照して活用する方法について述べる.ここではオブジェクト指向の考えを利用して,情報リソースをインスタンスとしたときのクラスに相当する概念を定義し,概念を階層化して表現した階層的知識を扱っている.セマンティックWeb のフレームワークを利用して,概念と結びついた情報リソースに関するメタデータを記述し,それをPeer-to-Peer 環境で流通させることによって,他者が保持する階層的知識の発見を支援する方式を提案する.さらに,ユーザの「関わった情報を整理して保持したい」というモチベーションを利用して,自らのために行った活動から他者とのインタラクションを発生させ階層的知識を拡張するプロセスモデルを提案する.このプロセスを支援するシステムを用いた実験では,ユーザは自らが生成した階層的知識に他者の概念を引用したり,他者の概念との間の関係付けを行ったりして,階層的知識を拡張することが可能であることを確認した.また,拡張の際に強く関わりあう3~6 人のユーザの階層的知識を結合することで,ユーザ間で平均約71% の概念の引用や関係付けが類似するなどの特徴を持った新たな階層的知識の生成が確認できた.Many studies that have the goal of providing multiple users and organizations with Webbased common vocabularies or ontologies for use in describing metadata on informational resources are now under way. This paper describes a method that facilitates reference to and utilization of concept hierarchies evolved by individual users or organizations and made available in distributed environments. In the method we use an object-oriented paradigm to define resource-related concepts as classes, the instances of which represent resources. We set up these classes in a hierarchy that represents the hierarchy of concepts. We use the Semantic Web as a framework for a way to define metadata that reflects linkages between concepts and resources in a way that makes it easy for users to find associated concept hierarchies held by other users in a peer-to-peer environment. Moreover, we propose a model for the evolution of concept hierarchies through interaction among users. This process takes advantage of the motivation of users to organize information which they find relevant. We implemented the system and ran an experiment which demonstrating that hierarchies created by using the system evolve as the users refer to or make connections with concept hierarchies held by other users. We also identify an interesting feature of new concept hierarchies produced by applying the evolutionary process to merge concept hierarchies initially produced by sets of three to six "strongly related" users: actions common to the users make up an average of 71% of all actions (connection and reference) that lead to the evolution of new hierarchies.