著者
大井 秀一 佐藤 徹雄
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

有機電子デバイスや新薬などの付加価値の高い製品の開発は我が国が推進すべき最重要課題である。そして、これらの製品の生産には、廃棄物の低減、経済的な優位性、高い安全性を満足する高効率次世代型合成プロセスの開発が必須である。本研究では、炭素-水素結合の切断を伴う革新的な触媒的炭素-炭素結合形成反応の開発を基軸に、上記の社会的要請に応えられる実践的な炭素-炭素クロスカップリング反応の開発を行った。
著者
佐藤 徹哉
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

磁性原子がランダムに配列した磁性体であるスピングラスでは、低温でスピンが凍結し、エイジング現象やメモリー効果などの特徴的な記憶現象を示す。しかし、その詳細については不明な点が多い。本研究では、スピン配列の詳細な情報を得るためにスピン流の利用に注目した。これは、スピン流がスピンの方向とスピンが流れる方向の二つの量を持つベクトル量であり、スピングラス中のスピンと直接相互作用してスピン配列の有用な情報をもたらし得るためである。スピン流を用いてスピングラスの低温相での挙動を解明することを目的に研究を進めた。強磁性FeNi層/中間Cu層/スピングラスAgMn層の3層構造をスパッタ法により作成し、強磁性層の強磁性共鳴を利用したスピンポンピングによるスピングラス層への非局所スピン流注入を試みた。比較のため、スピングラス層を含まない強磁性FeNi層/中間Cu層の2層構造も作成した。中間層は強磁性相とスピングラス層の間に交換結合が生じさせないために挿入した。マイクロ波を薄膜に対して垂直方向に、掃引磁場を薄膜に対して平行方向に印加し、低温での強磁性共鳴のスペクトルの半値幅の温度依存性を調べた。その結果、3層構造試料の半値幅はすべての温度領域で2層構造試料の半値幅より大きく、これはスピングラス層に注入されたスピン流が吸収されることにより生じるものと考えられる。また、2つの試料での半値幅の差はスピングラス転移温度近傍で極小を示した。この特徴は、スピングラス転移温度以下で、スピン拡散長が急激に低下するか、またはミキシングコンダクタンスが増大することで解釈される。現在のところ、この両者のどちらが支配的であるのかについては明らかではないが、スピングラス相と常磁性相ではスピン流の挙動が異なることがわかった。
著者
佐藤 徹
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

体育授業において、生徒に教材の運動を習得させる際には、動きのメカニズムや生理的機能の説明をするのではなく、自分の身体で動きのコツをつかませることが必要である。本研究の目的は、動きのコツをつかむことの内実を明らかにし、コツの獲得が効果的に実現される体育授業の方法を開発するための理論的基礎を探求することにある。従来、運動の研究は動きを外から見た特徴を分析するいわゆる科学的手法が主流であったが、それだけでは生命ある人間の運動の研究として不十分であることから、本研究では、フッサールの意味での発生現象学の方法を土台として、運動を実施している人間の内的過程を重点的に考察した。動きのコツをつかませるための方策を考えるにあたり、コツがうまくつかめない生徒は運動習得の過程においてどのような特徴があるのかを重点的に考察した。また、運動実施者がコツをつかむということは、新たな動きを発生させることであることから、動きを覚えさせるために効果的な言語指示のあり方などを研究した。上記の観点から、体育授業で行われるさまざまなスポーツ運動に関して事例的に考察を進めた結果、コツを指導するためには,他者の動きを外部から観察した情報に基づくだけでは不十分であり,指導者自身の運動経験や指導経験,なかでも運動感覚意識を形成していく努力が不可欠であることが分かった。具体的な研究事例に関しては、学会発表ならびに論文として公開された。
著者
篠藤 明徳 日詰 一幸 伊藤 雅春 佐藤 徹 前田 洋枝
出版者
別府大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

市民討議会の全国事例(2006年から2010年)調査を通し、身近なテーマ、青年会議所と行政の共催、プログラムの類型等が明らかになり、高崎市、豊山町の事例調査では、参加動機等を分析できた。ドイツでの変形型プラーヌンクスツェレの状況やアメリカでのアメリカスピークス、ケッタリング財団など全国組織の支援体制を調査できた。その結果、参加者の多様性の担保や情報提供の公正等、市民討議会の質保証の基準を明確化すると共に、データバンクの構築・公開、表彰・認証制度の創設などを提案できた。
著者
宮本 享 山田 圭介 菊田 健一郎 片岡 大治 佐藤 徹 橋本 信夫
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.412-418, 2003-06-20
被引用文献数
1

脳動脈瘤の治療法はclipping, coil embolization, by pass+parent artery occlusionの3種類に大別されるが,困難な症例ほど単一の治療法のみにならない判断が必要になる.このためには治療チームとして上記3種類の治療技術を高いレベルでもち.柔軟性をもった治療計画を立てることが必要である.手術手技についても基本的な方法を大切にしたうえで.体位やアブローチ,剥離操作などを症例に応じてmodifyすべきであり,単一のやり方に偏りすぎるべきではない.安全に外科治療を行ううえには,術前・術中に次のステップで起こりうるリスクに備えそれを防ぐことと,手術器具について基本的知識をもつことが大切である,
著者
神酒 勤 佐藤徹 川越 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.5, pp.25-30, 2002-01-23

ウェーブレットネットワークの FPGA 実現について議論する。ウェーブレットネットワークは、ウェーブレット理論とファンクショナル・リンク・ネットを融合した技術であり、非線形な入出力関係をウェーブレット関数の線形結合の形で記述する。その結合荷重は、教師付き学習によって決定する。本研究では、山川らの提案による高速学習性と良好な収束性を持つ単峰性ウェーブレットを用いたウェーブレットネットワークに着目、その基本形であるシンプレスト・ウェーブレットネットワークのハードウェア化について述べる。基底配置をハードウェアに最適化した新しいモデルを提案し、その性能を非線形関数の近似実験により確認したので報告する。The Wavelet Network (WN) is produced by a fusion of Wavelet theory and the concept of the funcitonal link network. The WN describes the non-linearity of system with a linear conjunction conjuncition of wavelet basis functions. The connection weighs are determined by learning with a teacher. The advantages of the WN are a high-speed learning and a good convergence to the global minimum. In this paper, hardware implementation of the oneinput one output WN, so called' Simpest wavelet network (SWN)', has been discussed. The performance of the porposed system has been confirmed by the experimental results of the approximation of the non-linear function.