著者
佐藤 亨 宮内 英治 杉本 秀樹
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.305-310, 1988-06-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

サトイモの3つの型, 子イモ用品種(石川早生, 女早生), 親子イモ兼用品種(赤芽), 親イモ用品種(台湾芋)を圃場栽培し, 乾物生産およびイモ肥大特性を調査した. 1. 品種間で個体生長量に大差がみられた. イモ重の推移では, 子イモ用品種では, 子・孫イモの肥大が目立ち, 赤芽では親・子イモが, 台湾芋では親イモの肥大が生育末期まで続いた. 2. 乾物生産速度とイモ生産速度との関係は, 生育の前半と後半に分けられ, とくに, 赤芽と台湾芋では生育後半にイモ肥大によって乾物生産速度が高められた. 3. イモ生産速度と葉面積指数との関係は, 赤芽と台湾芋で葉面積指数が高くなることによってイモ生産速度が高まることが示唆された.
著者
渡邉 圭太 西野 勝 神頭 武嗣 内橋 嘉一 佐藤 文生 有井 雅幸
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.7-12, 2020 (Released:2020-03-31)
参考文献数
21

促成作型トマト‘ハウス桃太郎’および‘レッドオーレ’の病害抵抗性誘導と生育収量の確保を目的にUV-Bを2.30~12.56 μW・cm–2の放射照度で毎日23時から2時まで連続照射した.その結果,両品種とも植物体に縮葉症状を呈し,茎葉における乾物率の増加および日焼け果の発生が認められたが,開花,着果および収量への影響は認められなかった.またUV-B照射により果実の糖度が上昇し,酸度が低下することが明らかとなった.果実の着色およびリコピン含有量にはUV-B照射の影響は認められなかった.
著者
本田 早潔子 川崎 達也 山野 倫代 佐藤 良美 張本 邦泰 三木 茂行 神谷 匡昭
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.966-971, 2015 (Released:2016-08-15)
参考文献数
14

人工心臓弁を有する症例の心エコ−図検査で左室内を移動する高輝度の点状エコーを検出することがある. これは血液中に出現した一過性の微小気泡と考えられ, キャビテーション気泡と呼ばれている. 本研究の目的は人工心臓弁に関連したキャビテーション気泡の臨床的特徴を検討することである. 当院で経胸壁心エコー図検査を施行した人工心臓弁を有する連続50例中11例 (22%) にキャビテーション気泡を認めた. 年齢と性別で補正したロジスティック回帰分析では, 低肥満指数 (カイ2乗=0.65, 95%信頼区間=0.43-0.98, p=0.038) と低年齢 (カイ2乗=0.90, 95%信頼区間=0.81-1.00, p=0.049) がキャビテーション気泡の独立規定因子であった. 心エコー図検査で評価した左室形態や各種ドプラ波形とキャビテーション気泡の有無は関連しなかった. キャビテーション気泡を呈した症例はすべて機械弁を有し, 大動脈弁位 (13%) より僧帽弁位 (67%) で高頻度であった (p<0.01). 平均16カ月の観察期間中14例に有害イベントが生じたが, キャビテーション気泡の有無とは関連しなかった. 本研究では, 人工心臓弁に関連したキャビテーション気泡は機械弁に限定され僧帽弁位に高頻度であった. キャビテーション気泡は低肥満指数と低年齢に関連したが有害イベントとは関連しなかった.
著者
浅海 智之 佐藤 さくら 柳田 紀之 山本 幹太 海老澤 元宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.1219-1223, 2016 (Released:2016-11-22)
参考文献数
13

症例は8歳男児.4歳から春と秋の花粉症を認めた.6歳時から給食後に鼻汁,鼻閉,目のかゆみ,呼吸困難を2カ月に1回程度認めたため,精査目的に8歳時に当院を受診した.病歴からリンゴアレルギーが疑われ,9歳時に入院食物経口負荷試験(OFC)を行った.リンゴ1個を摂取し,90分で咳嗽,鼻汁,眼瞼浮腫,結膜充血を認めた.14歳時に再度入院OFCを行い,リンゴ1個を摂取し55分で咳嗽,呼吸困難,喘鳴を認めた.8,9,11,12,13,14歳でのリンゴ特異的IgE(Ua/ml)は0.35未満,0.35未満,0.36,0.54,0.47,0.66,ハンノキ特異的IgE(Ua/ml)は0.35未満,0.49,1.31,2.14,2.73,3.11,Mal d 1特異的IgE(Ua/ml)は0.10未満,0.13,0.25,0.45,0.88,1.1,Bet v 1特異的IgE(Ua/ml)は0.10未満,0.40,1.0,1.4,2.4,2.8といずれも上昇を認めた.Mal d 3特異的IgEは陰性のままであった.本症例は,全身症状を呈するリンゴアレルギーの感作状況を陰性時から経時的に追うことができ,なおかつ長期経過をOFCで確認できた世界初の報告である.全身症状を呈する果物アレルギーの自然歴の把握のために,同様の症例の蓄積が期待される.
著者
佐藤 紘光
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.17-31, 2000

<p>所有者の立場からすると,企業の投資は現在価値法や内部利益率法などの合理的ルールに従って,株主価値が最大化されるように決定されるべきである.しかし,経営者や管理者はこの基本ルールを無視して株主の選好とは異なる意思決定を行う場合がある.エイジェンシー理論はその理由を経営者や管理者(エイジェント)が株主(プリンシパル)の利益よりも自分自身の利益を優先するインセンティブをもつからであると説明する.エイジェントの投資決定をコントロールするインセンティブ・システムを構築することが業績管理会計の重要課題となる所以である.</p><p>本稿は,このような視点から,経営者や管理者に効率的投資決定を動機づける報酬体系(業績評価システム)のあり方を論じる.最初に,Holmstrom and Ricarti Costaのエイジェンシー・モデルに数値例を当てはめて管理者の投資行動を分析する.そして,効率的な投資決定を動機づけるには,長期(2期間)の雇用関係を自己選択させる業績連動型の報酬体系が必要となることを明らかにする.ついで,モデル分析の含意を用いて,経営者のキャリア・コンサーンが投資決定の効率性を歪めるプロセスをいくつかのケースで説明する.そして,企業価値を測定する業績尺度を報酬体系に結びつける必要性を再確認し,業績評価尺度としての株価や会計利益,経済付加価値などの意義を検討し,経営者報酬との連動性について言及する.</p>