著者
信岡 尚道
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は海浜侵食が最も顕著になる、台風や非常に強い高潮・高波来襲時の海浜流予測を流砂系全体で行えるようにモデル開発を行った.特にWave-setupが高潮時の水位に大きく寄与し、流れ場に大きく影響することを明らかにした。次に実地形への適応の検証を実施した.2005年にアメリカを襲ったハリケーンカトリーナに対しては、水位を精度よく追算でき、流れの場の予測も本モデルで可能である.2006年10月に茨城県沖を通過した爆弾低気圧に伴う高潮の追算については、十分な精度が得ることはできなかった.精度が得られなかった原因を解明するために、通常の波浪でも発生し海浜流と一体となる現象、Wave Setupの予測が問題であるか、風の吸上げ、風の吹寄せ、エクマン輸送が問題であるのかの検討を行った.この計算では2つの領域、一つは流砂系を網羅するもの,もうひとつは観測地点がある大洗港を含む狭い領域にとした.後者では、計算メッシュ幅を可能な限り小さくして、計算メッシュによる誤差を除外できる.大領域と小領域での計算された水位の差はWave Setupにあり、大領域での計算結果に問題があること、それは風の場の変化と複雑な地形に対応した波浪場を十分に再現できないためと推測された.以上の結果から、日本の海岸地形に流砂系全体の海浜流モデルを適応するには、日本の複雑な海岸線および海底地形を考慮できる波浪場および流れ場の計算座標系の開発が新たに必要であるといえる.
著者
藤間 功司 鴫原 良典 富田 孝史 本多 和彦 信岡 尚道 越村 俊一 藤井 裕之 半沢 稔 辰巳 正弘 折下 定夫 大谷 英夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1381-1385, 2005
被引用文献数
2

2004年12月26日に発生したインド洋津波は, 震源から2, 000km離れたモルディブでも人的・物的に大きな被害をもたらした. そこでモルディブで現地調査を行った結果, モルディブの痕跡高が0.6-3.4m程度であること, リーフが発達している場所でも必ずしも痕跡高が小さくなっているわけでないこと, また南マレ環礁で複雑な流れが観察されており, 環礁内の津波の挙動が複雑であることなどが分かった. モルディブの津波に対する安全性を高めるには強固な構造物や人工地盤などの整備が必要である.
著者
三村 信男 江守 正多 安原 一哉 小峯 秀雄 横木 裕宗 桑原 祐史 林 陽生 中川 光弘 太田 寛行 ANCHA Srinivasan 原沢 英夫 高橋 高橋 大野 栄治 伊藤 哲司 信岡 尚道 村上 哲
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

気候変動への影響が大きいアジア・太平洋の途上国における適応力の形成について多面的に研究した.ベトナム、タイ、南太平洋の島嶼国では海岸侵食が共通の問題であり、その対策には土地利用対策と合わせた技術的対策が必要である.また、インドネシア、中国(内蒙古、雲南省など)の食料生産では、地域固有の自然資源を生かした持続可能な農業経営・農村改革が必要である.また、本研究を通して各国の研究者との国際的ネットワークが形成されたのも成果である.
著者
中川 光弘 加賀 爪優 桑原 祐史 信岡 尚道 田附 明夫 長澤 淳 金澤 卓弥 上林 篤幸 上林 篤幸 井上 荘太朗
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

アジア農業モデルを開発し、農業部門への気候変動の影響予測を行い、その適応戦略を検討した。またGISやリモートセンシングを使ってアジア沿岸域への気候変動の影響予測と土地利用のあり方を検討した。農業部門への気候変動の影響は、既にアジア各地で現れているが、それが食料問題として深刻化するのは特に輸入依存度の高い最貧国であり、世界農産物市場を介して主要国の農業政策の影響も加わって、複合的な形で現れることが明らかになった。