著者
恒枝 宏史 前田 貴大 髙田 慎治郎 大塚 小由希 今 寛太 和田 努 笹岡 利安
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第93回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.2-O-050, 2020 (Released:2020-03-18)

Non-alcoholic steatohepatitis (NASH) is a severe form of fatty liver disease induced by obesity. So far, no therapeutic drug is available against NASH, because the pathogenic mechanism remains unclear. Since hypothalamic orexin system is a main regulator of energy homeostasis, we investigated the role of orexin against NASH under obese conditions, using orexin knockout (ORX-KO) mice fed high fat diet (HFD). ORX-KO mice showed severer obesity and glucose intolerance on HFD, compared to wild-type controls. Also, remarkable NASH-like phenotypes were observed in the liver of ORX-KO mice, such as the accumulation of triglyceride and the increase in the levels of biomarkers for endoplasmic reticulum (ER) stress (phosphorylation of eIF2α, etc.), chronic inflammation (Tnfα mRNA, etc.), and hepatic fibrosis (Tgfβ mRNA, etc.). When the HFD-fed ORX-KO mice were treated with orexin A (i.c.v.), the hepatic ER stress and chronic inflammation were improved, whereas body weight was not altered. These results indicate that the central action of orexin is required to prevent the development of NASH by reducing ER stress and chronic inflammation in the liver under the obese condition. Hypothalamic orexin system may be a crucial therapeutic target to promote the brain-liver network functions for preventing the progression of NASH.
著者
前田 貴記
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.420-425, 2016-09-30 (Released:2017-10-05)
参考文献数
15

高次脳機能障害において, 自己意識の異常は, 病識, 自伝的記憶, 身体感覚, 身体図式, 行為に伴う自己意識などの異常として, よく経験するところである。自己意識は主観的体験であるため, 主観性をいかに実証的に扱うかという方法論的な問題が存在する。本稿では, 統合失調症における自我障害の神経心理学研究である sense of agency 研究について紹介するが, 高次脳機能障害においてみとめられる自己意識について実証的に評価, 研究する際の参考になればと思う。
著者
前田 貴博 西 正博 新 浩一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.10, pp.1353-1363, 2012-10-01

筆者らはヒトの屋内への侵入検知を目的とし,UHF帯テレビ放送波を用いたヒト検知システムを提案している.本システムは,テレビ放送波の受信レベルがヒトの動きに応じて変動することを利用してヒトの有無を判定している.これまでは,テレビ放送波を受信するアンテナを屋内に設置し,受信レベルが変動した場合に「屋内にヒトが居ると判定(検知)」していた.一方,受信レベルは屋内のヒトだけではなく,屋外のヒトや車などの外乱の影響でも変動するため,「屋内にヒトが居なくても外乱により屋内にヒトが居ると判定(誤検知)」することがある.そこで本論文では,より高精度な検知性能を実現するために,屋内と屋外にアンテナを設置し,それぞれの受信レベル変動から外乱を判定し誤検知を低減する協調検知手法を新たに提案する.検知対象として屋内のヒト,また誤検知対象の外乱として屋外のヒト,車を想定し,検知確率及び誤検知確率を従来手法と比較し,協調検知手法の性能を評価した.実測結果から,従来手法では外乱により誤検知が生じる一方,協調検知手法ではどの外乱に対しても誤検知が低減されたことを確認した.またシミュレーション結果により,継続時間が3秒の外乱が10秒に1回生じるような状況においても,提案手法は,誤検知を従来手法と比べて約1/100に低減でき,また約50%の時間率で確実にヒトを検知できることを明らかにした.
著者
鶴井 一純 野崎 忠 佐藤 朗好 長谷部 昭雄 前田 貴 渡部 一郎 丸山 進平
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.120-129, 1998-11-30

プロピオン酸は、香料及び保存料として使用できる食品添加物であるが、独特の香気のため添加使用量は少い。食品添加物であるプロピオン酸の純度試験の一つである易酸化物試験について、第6版食品添加物公定書(Japanese Standards for Food Additives (JSFA))及びFAO/WHOによるConpendium of Food Additive Specification (CFAS)では「本品2.0mlを量り、水10mlを加えて溶かし、0.1N過マンガン酸カリウム溶液0.10mlを加えるとき、液の紅色は、30分以内に褐色に変わらない。」とされている。この試験法においては「液の紅色が褐色に変化しない限り無色であっても合格」としばしば誤って判定されるケースが起こっている。過マンガン酸カリウムが速やかに消費され反応液が無色透明になることは逆に「易酸化物」が多いということを示すものであり、石綿等は、「易酸化物」含量がより明確に測定できるFCC試験法への転換を提案している。本研究では、プロピオン酸の純度試験として、より適した易酸化物試験法を検討することを目的に、日本国内及び広く海外で食品添加物として流通しているプロピオン酸を試料としてJSFA、CFASおよび米国Food Chemicals Codex(FCC)に収載されているプロピオン酸の「易酸化物」測定法について比較検討を行った。同時に「易酸化物」を特定することも試みた。検討の結果、食品添加物として日米欧で流通しているプロピオン酸において含量の多い不純物は、プロピオン酸エチル、エタノール、酢酸等であり、「易酸化物」に相当すると考えられるギ酸やアルデヒド類、ケトン類等の含量は極めて少ないことが判った。なお、本検討からは原料であるプロピオンアルデヒドの存在をGC分析によって確認することができなかった。一方「易酸化物」を測定する方法の検討結果からは、臭素法(FCC)はプロピオン酸中の「易酸化物ギ酸」を定量的に測定できる方法であるが、一方アルデヒド類に対しては定量性が全くない方法であること、これに対し過マンガン酸カリウム法(JSFA, SFAS)は、ギ酸以外の「易酸化物類」を測定できる方法であるが、ギ酸は全く測定できない方法であること等が判った。
著者
大武 美保子 前田 貴記 加藤 元一郎 淺間 一 高木 利久
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
インテリジェントシステム・シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.323-324, 2006-09-25

Schizophrenic patients have abnormal sense of agency. The patients experiencing passivity phenomena believe their thoughts and actions to be those of external or alien entities. In this study, the authors propose method for simulating the cognitive deficit in schizophrenia whose data are comparable to the experimental data. We proposed the efferent copy activation and comparator inhibition model describes under-attribution and over-attribution in schizophrenic subjects. The output of this functional model is mapped onto the corresponding brain area based on Talairach atlas. The simulation results of this study well describe the experimental results of a schizophrenic cerebral pattern of activation.
著者
大武 美保子 新井 航平 前田 貴記 加藤 元一郎 高木 利久 淺間 一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.590, pp.41-44, 2007-03-09

意志作用感(sense of agency)とは,ある動作や思考などを,他人ではなく自分の意志によって為しているという感覚をさす.統合失調症患者は,この意志作用感が障害される。ある時は,自分の動作や思考が他者の意図によるものと感じ,また逆に,自分が制御していない事柄を自分が引き起こしたと感じることがある.本稿では,意志作用感の障害を説明する認知モデルを構築し,シミュレーションを行うことにより検討を行う.