著者
佐藤 恵子 白木澤 佳子 高木 利久 藤 博幸
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.782-789, 2014-02-01 (Released:2014-02-01)
参考文献数
5

科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)では,バイオインフォマティクスに関する人材育成のための新たな仕組みを検討するにあたり,2013年1月にアンケート調査を行った。この分野の人材を取り巻く現状や,必要とされている人材像,ならびに人材育成を進めるうえで留意すべきことを把握するためである。回答者のほとんどが人材が不足していると回答した。また,必要としている人材像については,「自分で生物実験系(ウェット)の研究開発を行い,新しい情報技術などを開発できる人材」が最も多い回答となった。また,人材不足の理由として,キャリアパスの未確立が指摘された。
著者
小原 雄治 加藤 和人 川嶋 実苗 豊田 敦 鈴木 穣 三井 純 林 哲也 時野 隆至 黒川 顕 中村 保一 野口 英樹 高木 利久 岩崎 渉 森下 真一 浅井 潔 笠原 雅弘 伊藤 武彦 山田 拓司 小椋 義俊 久原 哲 高橋 弘喜 瀬々 潤 榊原 康文
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)『学術研究支援基盤形成』
巻号頁・発行日
2016

①総括支援活動では、支援課題の公募を行い、領域外有識者による審査委員会により選考し、支援を行った。経費上限設定など多くの採択ができるように努めた結果、応募188件、採択93件(採択率49.5%)となった。支援の成果として2017年度に54報の論文発表がなされた。②大規模配列解析拠点ネットワーク支援活動においては、最先端技術を提供するためにそれらの整備や高度化を進めた。遺伝研拠点では染色体の端から端までの連続した配列完成を目指して、ロングリードシーケンサー(PacBio Sequel)、長鎖DNA試料調製技術、さらに1分子ゲノムマッピングシステム(Irysシステム)の最適化を進め、実際の試料に応用した。東大柏拠点では、1細胞解析技術を整備し支援に供するとともに、Nanopore MinIONを用いた一連の要素技術開発を進めた。九大拠点では微生物ゲノムのNGS解析最適化を進めた。札幌医大拠点ではLiquid Biopsyによる体細胞における低頻度変異検出技術開発を進めた。③高度情報解析支援ネットワーク活動では、支援から浮かび上がった課題を解決するソフトウェアの開発を進めた。支援で特に活用されたものは、真核2倍体用denovoハプロタイプアセンブラPlatanus2(東工大)、染色体大規模構造変異高精度検出アルゴリズムCOSMOS、変異解析結果の信頼性を評価するソフトウェアEAGLE(以上、産総研)、エクソン・イントロン境界におけるスプライソソーム結合頻度の解析パイプライン(東大)、であった。また、CLIP-seqデータの解析パイプライン、高速オルソログ同定プログラムSonicParanoid、ロングリード向けアラインメントツールminialign(以上、東大)は今後の活用が予想される。高度化等の成果として48報の論文発表がなされた。
著者
大波 純一 佐藤 恵子 白木澤 佳子 高木 利久
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.179-185, 2013-05-01
参考文献数
14

バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)は,独立行政法人科学技術振興機構(JST)に平成23年4月に設置された組織であり,ライフサイエンス分野のデータベースの統合を推進している。NBDCでは,Integbioデータベースカタログ,生命科学データベース横断検索,生命科学系データベースアーカイブなどのサービスや,ファンディングによって開発されたサービス(新着論文レビュー,領域融合レビュー,統合TV,TogoDoc,BodyParts3D/Anatomography,生物アイコン,Allie,inMeXes等)をポータルサイトから無償で公開している。本稿ではNBDCの取り組みと各サービスを利用した医学関連データベースへのアクセス方法やツールの活用例を紹介する。
著者
佐藤 仁 小西 史一 山本 泰智 高木 利久 松岡 聡
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2009-HPC-123, no.6, pp.1-7, 2009-11-23

TSUBAME 上で Hadoop を実行するためのツール 「Tsudoop」 を開発した.Tsudoop は,既存システムの構成や運用方針の変更をすることなく,TSUBAME 上のジョブスケジューラである n1ge や Lustre ファイルシステムなどと協調して動作して Hadoop 実行環境を構築し,ユーザの MapReduce アプリケーションを実行する.予備実験として,このツールを用いて,生物医学系の学術論文を対象にした書籍情報データベースである MEDLINE に対してテキストの全文検索を行うアプリケーションを実行した.その結果,1 ノード (16 コア) での実行と 32 ノード (512 コア) での実行とを比較して 14 倍の性能向上を示し,TSUBAME のような高速な共有ファイルシステムやジョブスケジューラが存在するような計算環境でも,MapReduce アプリケーションの実行が可能なことを確認した.
著者
高木 利久 松尾 文碩 二村 祥一 牛島 和夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1133-1134, 1986-10-01

筆者らは、Adbisと呼ぶ、推論関係型データベース管理システムを開発し、1982年以来、九州大学大型計算機センターにおいて実用に供してきた。AdbisはHorn集合の反証に基づく推論機構を備えている。最近、Adbisを使用している機関あるいは使用予定の機関から、エキスパートシステムをAdbisの上に構築したいという要望が出てきた。本研究はAdbisにプロダクションシステムの構築を支援する機構を追加するとともに、これを用いた実用規模のエキスパートシステムの構築を目指すものである。現在、計画のうち、プロダクションシステム構築支援機構の基本設計と、これをHorn集合推論系を用いて実現する方式の設計とを終了した。2節ではプロダクションシステム構築支援機構の外部仕様を、3節ではHorn集合への翻訳方式について述べる。4節ではこの機構の実現に必要なAdbisの拡張の概要について述べる。
著者
高木 利久
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.d12-d24, 2021-04-15

生命科学は,ヒトゲノムの解読以来,ビッグデータを基盤としたデータ駆動型の研究に変貌を遂げつつある.このような背景のもと,約15年前に我が国におけるこの分野のデータの共有・統合を目指す統合データベースプロジェクトが開始され,それを推進するためのデータベースセンタも整備された.本稿では,この15年にどういうことがあったのか,そこから得られた教訓は何か,僭越ながらそれらを「10の教え」としてまとめたので紹介する.
著者
小原 雄治 菅野 純夫 小笠原 直毅 高木 利久 五條堀 孝 吉川 寛 笹月 健彦
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

4領域全体の調整・推進、わが国のゲノム研究の機動的・有機的な研究推進のシステム作り、ピーク研究を支えるための基盤研究事業の支援、すそ野を広げるための研究支援事業、社会との接点などの活動をおこなった。主なものとして以下をあげる。研究支援委員会:シーケンシングセンター委員会では、4領域のゲノム/cDNAシーケンシングについて全面的に請け負った。原始紅藻、ホヤ、ゼニゴケY染色体、メダカゲノムについてホールゲノムショットガン法をベースにプラスミド、フォスミド、BAC配列を加えて決定した。また、日本産由来のマウス亜種MSM系統についてB6標準系統との比較のためにホールゲノムショットガンを1Xまで進め、1%程度のSNPsを見出した。cDNAについては、ミジンコ、線虫C.elegans、近縁線虫、ホヤ3種(カタユウレイボヤ、ユウレイボヤ、マボヤ、ヌタウナギ、メダカ、シクリッド、ドジョウ、アフリカツメガエル原始紅藻、細胞性粘菌、ヒメツリガネゴケ、ゼニゴケ、コムギ、オオムギ、アサガオをおこなった。リソース委員会では、本特定領域研究で作成された遺伝子クローンの維持・配布支援をおこなった。対外委員会:広報委員会では、ホームページ、メールニュース、シンポジウムなどの活動をおこない、対社会、対研究コミュニティへの情報公開・発信をおこなった。社会との接点委員会では、ゲノム科学と社会との双方向のやりとりの場として「ゲノムひろば」を3年にわたり計8回(東京、京都、福岡)開催し、高校生、一般市民との交流の実をあげた。また、医科学倫理問題の検討を進めた。
著者
高木 利久 高井 貴子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会研究報告会講演論文集
巻号頁・発行日
no.9, pp.13-18, 2001-05-19
被引用文献数
1

To substantially promote the integration of heterogeneous knowledge and to further facilitate the discovery of fundamental concepts or hidden structures in biological phenomena, we study genome ontology where biological knowledge is comprehensively reorganized and both the terminology and the concepts are unified across species. We try to establish such ontology of signal transduction and to recompile a dictionary of terms in the universe of living systems.
著者
白木澤 佳子 高木 利久
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.144-151, 2011 (Released:2011-06-01)
参考文献数
8
被引用文献数
7 4

(独)科学技術振興機構(JST)はライフサイエンス分野のデータベース統合を推進するため,平成23年4月1日にバイオサイエンスデータベースセンター(National Bioscience Database Center: NBDC)を設置した。NBDCは,「データベース統合化のための戦略の立案」「ポータルサイトの構築・運用」「データベース統合化基盤技術の研究開発」「バイオ関連データベースの統合化の推進」の4つを活動の柱とし,ライフサイエンス分野のデータベースを統合してデータの価値を最大化することにより,日本の利用者,さらには世界の利用者に貢献できるデータベースセンターとなることを目指す。
著者
大武 美保子 前田 貴記 加藤 元一郎 淺間 一 高木 利久
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
インテリジェントシステム・シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.323-324, 2006-09-25

Schizophrenic patients have abnormal sense of agency. The patients experiencing passivity phenomena believe their thoughts and actions to be those of external or alien entities. In this study, the authors propose method for simulating the cognitive deficit in schizophrenia whose data are comparable to the experimental data. We proposed the efferent copy activation and comparator inhibition model describes under-attribution and over-attribution in schizophrenic subjects. The output of this functional model is mapped onto the corresponding brain area based on Talairach atlas. The simulation results of this study well describe the experimental results of a schizophrenic cerebral pattern of activation.
著者
大武 美保子 新井 航平 前田 貴記 加藤 元一郎 高木 利久 淺間 一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.590, pp.41-44, 2007-03-09

意志作用感(sense of agency)とは,ある動作や思考などを,他人ではなく自分の意志によって為しているという感覚をさす.統合失調症患者は,この意志作用感が障害される。ある時は,自分の動作や思考が他者の意図によるものと感じ,また逆に,自分が制御していない事柄を自分が引き起こしたと感じることがある.本稿では,意志作用感の障害を説明する認知モデルを構築し,シミュレーションを行うことにより検討を行う.