著者
加藤 恒夫 河井 恒 宇都宮 栄二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.107, pp.39-44, 2006-10-20
被引用文献数
2

携帯電話アプリケーションの日本語入力を支援するため、2006年1月よりコンシューマ向けに分散型音声認識のサービスを開始した。携帯電話マイクに入力された音声は携帯電話機上で音響特徴量に変換され、パケット通信で音声認識サーバに送信される。携帯電話が音声認識サーバから受信した認識結果は画面表示されるため、ユーザは瞬時に認識結果を確認し、認識を誤った場合にも誤認識箇所を部分的に修正することができる。音声認識に対するストレスや不安を軽減するため、携帯電話機上の特徴量抽出処理をリアルタイム化し応答時間を数秒に短縮するとともに、誤認識の可能性が高い場合に「声が大きすぎます」、「雑音が大きすぎます」、「発声が早すぎます」と3種類のアラームを発生する機能を追加した。また、ネットワークのコンテンツに日々追加される新しいキーワードを認識できるようにするため、サービスを停止せずに単語辞書・文法を更新する機能を開発した。To assist Japanese text input for applications on cellphones, a distributed speech recognition service for consumer applications was launched in January 2006. Speech input to a microphone is processed for acoustic feature extraction on the cellphone, then the features are transmitted to a speech recognition server by packet exchange, and recognition results received from the server are displayed on the screen. The recognition results are confirmed by sight, and partial correction of misrecognized words is possible if any. To reduce stress and unfamiliarity to speech recognition technology, response time from the server was shorten to a few seconds by real-time acoustic feature extraction on the cellphones, and warning function of three alarms, "Voice too loud ", "Noise too loud", and "Uttered too early", were added to the client software. Moreover, a function of reloading new grammars and lexicons through a nonstop operation is equipped on the speech recognition server to enable frequent update of grammars and lexicons for network contents.
著者
畠山 真一 坂本 浩 加藤恒昭 伊藤 たかね
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.1, pp.1-8, 2005-01-11

語彙概念構造 (Lexical Conceptual Strucuture LCS) とは,言語学のフィールドにおいて,少数の意義素により動詞の持つ基本的な意味を捉えるために考案された意味表現のフォーマットである.LCS は言語学のみならず,自然言語処理の分野でもその応用が提案されている.しかし,どのようにして個々の動詞の持つLCS を推定するかという問題については,確固たる手法が確立されているわけではない.実際,現在までに提案されている LCS 推定に用いられるテストには,いくつかの問題が存在する.本稿では,対象変化動詞と接触・打撃動詞という他動詞の2つのカテゴリを区別する手法を提案する.In linguistics, Lexical Conceptual Structure (LCS), whichis constucted from some semantic primitives, is used to represent the meaning of a verb. In addition, LCS is used in Natural Language Processing as a representation format for the verb meaning. However, the problem of how to determine the LCS of a verb is still disputed. In fact, existing tests for determining the LCS of a verb have some shortcomings. In this paper, we pin down the problems with the existing tests for distinguishing a causative verb and a non-affecting verb, and propose a better test for it.
著者
池田 定博 金田 重郎 金杉 友子 加藤 恒昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.710, pp.113-120, 2000-03-17
参考文献数
6
被引用文献数
2

商品開発やマーケティングでは、効果的なコンセプトの作成が極めて重要である。しかし, 思いついた多数のコンセプトや広告コピー案の中から, 戦略の柱となるキーワード候補を絞り込んでゆく方法は知られていない.本稿では, この問題を解決するため, 「流行ことば予測」手法を提案する.そこでは, まず, 過去・現在・将来における流行語の背景となる社会的要因を、「ことば」として表現する.そして, 今後流行の可能性がある新しい「ことば」と, これら社会的要因との距離を計算し, 「近い」と算出されたことばから, 流行のキーワードを開発する.過去の「ことば」としては、自由国民社発行の「現代用語の基礎知識」を使用し、距離計算にはベクトル空間法を利用した。1998年度の流行語大賞である「ショムニ」等が, どのような背景により流行したかを実験的に分析する。
著者
加藤 恒雄
出版者
近畿作物・育種研究会
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.33-38, 2010

イネ大粒品種'BG1'の粒長を制御する5個の粒長QTLsを対象とし,量的形質の一モデルとしての粒長に対する個々のQTLの主効果(相加効果)および2QTL間の相互作用(エピスタシス効果),さらに大粒品種'房吉'由来長粒型主働遺伝子<i>Lkf</i>の主効果と上記QTLsとの相互作用を解析した.そのため,同一の遺伝的背景(品種'銀坊主')をもつ合計21種類の準同質遺伝子系統および銀坊主を用いて,2007年と2008年(<i>Lkf</i>に関するNILsは2007年のみ)に圃場栽培して得られた粒長のデータをもとに上記の主効果と相互作用を推定した.その結果,主効果は<i>Lkf</i>が最も大きかったが,QTLs間でも有意な変異がみられ,<i>Lkf</i>に匹敵する主効果を示すQTLも存在した.さらに,主効果の程度に関するQTLs間の順序は年次が異なってもほぼ変わらず,主効果の発現程度は安定しているといえた.一方.2QTL間相互作用はほとんどの場合負の値となり,組み合わせ間で大きく異なった.さらに,相互作用の発現程度は年次間で変動していた.このように,QTL間相互作用は量的形質の発現に重要な役割を果たし,特に形質発現の不安定性の一因になっていると推察された.
著者
山口 三重子 島津 望 下妻 晃二郎 矢部 正浩 福島 智子 加藤 恒夫
出版者
県立広島大学
雑誌
広島県立保健福祉大学誌人間と科学 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.77-85, 2005-03

本研究の目的は,自宅で最期を迎えたいと希望するがん患者の在宅緩和ケアを行うために作られた,プライマリケアチーム(開業医・訪問看護師・開業薬剤師など)と緩和ケア専門チーム(緩和を専門とする医師・看護師・MSWなど)の連携がスムーズに行われるための課題を明らかにすることである。分析対象は,在宅緩和ケアに参加した医療職者の事例検討会(学習会)において録音したテープ,診療録,看護記録である。テープは逐語録にし,分析にはワトソンの理論を参考に内容分析法で行った。その結果,在宅緩和ケアにおける連携をスムーズにするために必要な因子として,連携前の準備,緩和ケアに特有のケアや薬剤の理解,両チームの役割分担,の3つの要因が抽出された。今後の検討課題として,連携のアウトカム評価,コーディネーター(リーダー)の役割と職種,より多職種を含めた組織化などが挙げられた。
著者
佐々木 裕 磯崎 秀樹 平 博順 廣田 啓一 賀沢 秀人 平尾 努 中島 浩之 加藤 恒昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.401, pp.17-24, 2000-10-20
被引用文献数
16

本稿では, いくつかの質問応答システムを独立に作成し, 50問の質問文に対する性能評価を行なった結果を報告する.質問応答システムは1999年のTREC-8のQAタスクの開催以降注目を集めており, 次のような点で従来の情報検索や情報抽出と異なっている.従来の情報検索では, 質問に対する答えを文書の単位で列挙していたが, 質問応答システムは質問の答えを記述した部分を返す.また, 従来の情報抽出は対象分野と抽出項目があらかじめ限定されていたが, 質問応答では, 抽出する項目が質問文により自由に決まる点で異なっている.本稿は, 今後の質問応答システム研究の参考とするため, 日本語QAシステムの性能のベースラインを探るとともに, 日本語QAシステムの比較・評価法を紹介するものである.
著者
加藤 恒夫 黒岩 眞吾 清水 徹 樋口 宜男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.136, pp.1-8, 2000-06-15
被引用文献数
6

話者クラスタリングは音響的に近い話者集合を作成する方法であり, 話者集合毎に音響モデルを学習することで特定の話者集合にチューニングされたモデルが得られる.従来の報告では少ない話者数(数十名から数百名)の音声を学習データとして用いているが, 多数話者の音声を学習データに用いれば, 1話者クラスタあたりのデータ量が増加しモデルパラメータの推定精度が向上すること, 任意の話者に近い話者集合の音響モデルを認識に利用できることにより認識性能の改善が期待できる.本稿では, 1, 000名規模の電話音声データベースを用いで話者クラスタリングを行い, 学習データの話者数の増加に伴い認識率が上昇することを確認した.また, 話者集合の作成が理想的に行われた場合の認識率を求めることを目的として, 従来の尤度に基づく方法に替えて, 認識対象の話者に対して高い認識率を与える話者のデータからモデルを学習したところ, 不特定話者モデルと特定話者モデルの性能差の約60%を改善可能であることがわかった.
著者
加藤 恒昭 松下 光範
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.553-562, 2007 (Released:2007-07-17)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

Information compilation is a novel technology that allows it to compile various information intelligently, and to make it easy to understand and to access. In this paper, as an instance of the possibilities of information compilation, we show a framework that extracts and visualizes given time-series information and its changes, and provides users with a multi-modal summarization and also an interactive interface for accessing that information. It can meet information requests, in which users need to comprehend some trend and movement, and access a series of documents containing specific time-series information related. We emphasis the importance of changes of data during some time period rather than data points, as the unit of information extracted and represented. Based on this idea, we propose a visualization method in which qualitative and quantitative characteristics of changes of a given time-series information are plotted with textually represented comments, and a widely applicable information extraction method that regards the changes of time-series information as information primitives and extracts those for the visualization.