著者
藤本 忠博 今野 晃市 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.8-21, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
28
被引用文献数
3 3

本稿では,最近活発になってきた研究分野である“ポイントグラフィックス”に関連して,点集合を扱うこれまでのCG技術と,主にポイントグラフィックスとして最近開発されたレンダリング技術について解説し,ポイントグラフィックスはこれまでのCG技術の自然な発展としてある魅力的な技術分野であることを示す.
著者
松山 克胤 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.76-85, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
19

筆者らは,これまで風による樹木の揺らぎの効果音を自動的に付加するサウンドモデリング法を提案している.この提案手法は,樹木の枝と葉に対して,揺らぎの付加と効果音の生成をそれぞれ独立に行い,個々に作成された効果音を合成することで,樹木全体の効果音としている.本論文では,枝と葉の効果音の生成に対して,既提案手法とは異なる統計的なアプローチに基づくより効率的に動作する手法を提案する.
著者
伊藤 智也 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.86-95, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
21
被引用文献数
3 3

本論文では,柱状節理の形成過程のシミュレーションに基づく,岩場形状のモデリング手法を提案する.節理形状は岩場景観の視覚的特徴を与える重要な要因の一つであるが,これまで節理形状の形成に基づく岩場景観の生成技術に関する研究例は極めて少ない.本提案手法は,(1)初期溶岩形状に対する熱伝導シミュレーションによる温度分布の生成,(2)温度分布から収縮中心線の生成,(3)収縮中心線を母線としたボロノイ領域分割,および(4)風化シミュレーションのステップからなる.また,計算の効率化のために,(1)には低解像度のボクセル空間を,(2)-(4)には高解像度のボクセル空間を用いている.本手法では,さまざまな境界条件に応じた柱状節理形状が容易に生成可能である.
著者
小笠原 祐治 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-39, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
16
被引用文献数
4 6

よりリアルに自然景観を表現できるCG技術の開発がますます重要なテーマとなってきている.苔は日本庭園では欠くことのできない構成素材の一つであり,地面や燈籠などの石材物に苔が繁殖している様子は,風情のある印象を与える.本報告では,水辺,地形,植物や石材物などのその他の構成素材など,苔の繁殖に影響を与える生育環境を苔の繁殖シミュレーションに反映する方法を提案する.本手法では,粒子ベースの風の流れのシミュレーションにより,生育環境によって定まる温度,湿度および風速の局所的な分布を求め繁殖シミュレーションを行う.
著者
中川 大介 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.40-50, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
23

本論文では,建築等の完成イメージ図などに用いられるパース図を取り上げ,3次元幾何モデルから水彩パース図風画像を自動生成する手法について提案する.本手法は,水彩パース図の特徴である,輪郭が描画される,建物については彩色のはみ出しが無い,樹木などの建物以外の対象は簡略化されて描かれることが多い,淡い色彩が用いられることが多い,などの点を考慮したアルゴリズムの構成となっている.
著者
小田 泰行 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.51-60, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
17

本論文では,粒子ベースの溶岩流のビジュアルシミュレーション法を提案する.本手法では,粘性流体と熱移動のシミュレーションを基本として,溶岩流の特徴である,流れが扇状に広がる,温度によって粘性率が変化し冷却によって固化する,温度によって色が変化し溶岩流表面にクラストと呼ばれる黒く固化した部分が生じる,クラストが崩壊し明るい溶岩流が流出する,などの現象の表現を可能としている.
著者
藤本 忠博 大野 義夫 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.134-146, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

In this paper, we propose a framework of “fractal deformation” using displacement vectors based on “extended Iterated Shuffle Transformation (ext-IST)”. An ext-unit-IST is a one-to-one and onto mapping that is extended from a unit-IST, which we have proposed, and is basically defined on a code space. When the mapping is applied on a geometric space, a fractal-like repeated structure, which is referred to as “local resemblance in space/scale directions”, is constructed on the relationship between points on the domain and those on the range. By applying the mapping to displacement vectors given on a geometric shape, the shape can be deformed in the fractal-like repeated manner. This fractal deformation is easy to control by changing the displacement vectors intuitively. In addition, a continuous transition between a continuous deformation and a fractal deformation can be realized. We demonstrate how the fractal deformation technique produces attractive results by showing various examples.
著者
尹 新 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.108-110, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
7
被引用文献数
8 6

素材の経年変化はよく見られる自然現象であるため,金属の腐食や石の風化などの表現法の開発が活発に行われてきている.本論文では,木材の経年変化のビジュアルシミュレーション法について提案する.本文では,まず分枝を考慮した木材モデルの表現手法について述べ,次に木材の色および形状の経年変化を表現する手法について述べる.さらに,これらに基づくいくつかのシミュレーション例により手法の有効性を示し,最後に今後の課題について言及する.
著者
阿部 寿人 松山 克胤 藤本 忠博 千葉 則茂
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.121(2004-CG-117), pp.67-72, 2004-11-26

Sosorbaram等は,DLA(Diffusion Limited Aggregation)モデルを拡張した電界を考慮した放電パターンの生成モデルを提案している.本論文では,この放電パターンの生成モデルにより生成された稲妻のパターンに適合する雷鳴を自動的に生成する手法を提案する.雷鳴は稲妻発生時の大気の急激な温度変化で起こる衝撃波である.本手法では,この雷鳴を,生成された稲妻パターンに沿って,それぞれの階段状先駆に,N波を基本として構成したサウンドテクスチャを音源として配置し,受聴点に到達する波形を合成することにより,近似的に生成している.
著者
阿部 寿人 松山 克胤 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CG,グラフィクスとCAD研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.67-72, 2004-11-26
参考文献数
22
被引用文献数
2

Sosorbaram等は,DLA(Diffusion Limited Aggregation)モデルを拡張した電界を考慮した放電パターンの生成モデルを提案している.本論文では,この放電パターンの生成モデルにより生成された稲妻のパターンに適合する雷鳴を自動的に生成する手法を提案する.雷鳴は稲妻発生時の大気の急激な温度変化で起こる衝撃波である.本手法では,この雷鳴を,生成された稲妻パターンに沿って,それぞれの階段状先駆に,N波を基本として構成したサウンドテクスチャを音源として配置し,受聴点に到達する波形を合成することにより,近似的に生成している.
著者
許琪 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.15(2002-CG-110), pp.25-30, 2003-02-14

これまでのCGにおける陶芸の研究には,粘土のシミュレーション,練り込みの表現法,貫入(ひび割れ)の生成法,および釉薬の発色の表現法などがある.本研究では,釉薬の中においても,色彩のみならず,非常に興味深い結晶パターンを呈する結晶釉の表現法を試み,亜鉛結晶釉のビジュアルシミュレーション法を構築するための拡張DLAモデルを提案する.
著者
中野 誠士 李 仕剛 千葉 則茂
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.109(2003-CVIM-141), pp.87-94, 2003-11-06

本論文では,半球以上の視野を持った魚眼コンバージョンレンズを取り付けたカメラ(本論文では魚眼カメラと呼ぶ)を用いて,レンズ中心を回転軸が通るように回転して撮像した前後2方向の半球画像から全天周の球面画像を獲得するための魚眼カメラの校正手法について述べる.3次元空間における平行な直線のもつ消失点対が半球画像上に現れることから,はじめに撮影した人工的な直線パターンの消失点を推定し,その性質を用いた魚眼カメラのパラメータの推定を行う.次に前後の半球画像が一つの全球画像になるという拘束条件を利用して,前後の半球画像が持つ重複部分領域の相関を計算することにより,前後の半球画像の相対回転姿勢と前に推定された内部パラメータの微調整を行う.また,背中合わせに取り付けた2台の魚眼カメラからなる実時間全天周球面画像撮像試作装置にその手法を適用する.
著者
千葉 則茂 海野 啓明 和田 誓一 村岡 一信 CHIBA Norishige KAINO Keimei WADA Seiichi MURAOKA Kazunobu
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D-2 情報・システム (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.p1742-1750, 1990-10
被引用文献数
8

泥のようなものを乾かしてできるひび割れは,粘着性の度合により乾いた地表面のひび割れからガラスのそれをも含むいろいろな形状を示す.もし,このようなひび割れ形状を生成できるような行動モデルが開発できれば理論的にもCGへの応用上も興味深い.本論文では,まずこれらの粘着性の違うひび割れ形状の特徴を解析し,ひび割れの行動モデルの構築のためのいくつかの仮定を示す.次に,これに基づいて粘着性の強さをパラメータとするひび割れの行動モデルを提案し,シミュレーション例によりその有効性を示す.更に,ひび割れの形状のコンピュータグラフィックスへの応用例,すなわちひび割れ形状による大理石模様や陶磁器のうわ薬のひび割れの表現例を示す.最後に,ひび割れの行動モデルを任意曲面上で動作できるように拡張するための今後の課題について言及する.
著者
中川 大介 山口 恵介 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.350-361, 2001-07-25
被引用文献数
2 4

近年, コンピュータグラフィックスにおいて非写実的なレンダリング法の研究が盛んに行われている. 本論文では, 挿し絵やテクニカルイラストレーションなどに用いられているペン画を取り上げ, 与えられた濃淡画像からペン画調画像を生成する手法について提案する. ペン画の基本的な技法には, 線で表す線描法と, 点の集まりで表す点描法がある. 線や点のサイズが表示デバイスの解像度に依存していると, 低解像度のデバイス(モニタなど)では線や点が連結して模様が認識されるアーティファクトの発生がさけられない. 本手法では線描の画像生成に1/fノイズによる揺らぎを与えた平滑化直線と呼ぶ濃度分布を持つ直線を用い, 点描の画像生成に平滑化点と呼ぶ濃度分布を持つ点を用いることでアーティファクトの発生を低減させることできる.
著者
小田 泰行 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.1142-1150, 2001-05-15
参考文献数
12
被引用文献数
6

形状モデリングにおいて,粘土を扱うような直感的な変形操作,すなわち,圧したり,曲げたり,延ばしたりするという素朴な変形操作が可能であれば,バーチャルな粘土細工が実現でき,教育あるいは芸術的創作活動のための造形ツールとして広い応用が期待できる.本論文では,粘土の形状変形のシミュレーションモデルとして,相互作用力の働く粒子群を用いた粒子ベースの粘土モデルを提案する.本モデルは,重力,粒子間に働く斥力,引力,摩擦力などの特殊な作用力,および外力のもとで運動する粒子群により,粘土の形状変形を実現する.粘土は,外力によって変形され,外力を取り除いても変形したままの形で残るという可塑性の性質を持つが,本モデルでは,粘土の可塑性が実現でき,圧す,曲げる,延ばす,などの基本的な変形操作のシミュレーションが可能である.In the shape modeling of deformable objects for Computer Graphics or Virtual Reality, if the intuitive physical modification operations as those used in real clay craft, e.g., simple modification operations like pressing, bending and extending, are possible, ``virtual clay craft'' would be realizable. Such a realistic shape modeling technique has many applications in the areas of education, art, amusement, virtual reality, and so on. In this paper, we propose a clay model implemented by employing the particle based numerical simulation method where every pair of particles receives specific virtual mutual forces each other. These virtual forces consist of gravity, attractive force, repulsive force, friction force and external force that realize clay-like deformation of objects. Actual clay has the property of plasticity where its shape remains as it was after the external forces are removed. Our clay model realizes not only the fundamental modification operations applied to clay but also the plasticity.
著者
千葉 則茂 藤本 忠博
出版者
岩手大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

全方位投影型プロジェクションマッピングを支援するための以下のようなアルゴリズム開発を行った.(1)ポリゴン表面上に一様な6角形セル配置を求めるための点群の一様な分布を生成する運動シミュレーションアルゴリズム(2) 6角形セル空間で動作する典型的な2次元アニメーションアルゴリズムとして,波紋と魚群の遊泳シミュレーションアルゴリズム(3)実物体表面に一致する映像投映のためのカメラを使用しないプロジェクタの位置・姿勢推定と映像変形アルゴリズム
著者
千葉 則茂 原美 オサマ
出版者
岩手大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1. 自然物体・現象を可視化媒体としたレーザプロジェクション技術の開発降雪への投射や積雪への投射効果について実験を行い, 積雪はスクリーンとして, 降雪はビームの可視化媒体として十分に活用できることが分かった. また, 樹木(大木)への投射実験も行い, 投射側から観察するスクリーンとして活用可能であることも分かった. 防風林や街路樹の活用が期待できる.2. 天空でのグラフィックス技術の開発スクリーンを用いない投射では, 観察者側への反射が弱く認識が難しかった. また, 平行ビームの消失点により認識を容易にできることを期待し, 投射を試みたが, やはり良好な結果は得られなかった. ただし, レーザ強度にも依存すると思われるので, 結論を出すためには, さらなる検討が必要である. (購入したプロジェクタの強度300mWでは, 降雪や靄など可視化媒体密度が高くないと可視化されなかった.)3. 効率的で自由度の高いビーム投射技術の開発(1) タイミングを自動的に取るチューニング法レーザプロジェクタは電子的な要素と機械的な要素からなるため連続する描画コマンド間に適当な待ち時間をとらないと, ビームのon, offのタイミングや, 角の描画において, 描画データとの間に不一致が発生する. この待ち時間を自動的に取る手法を開発した.(2) ベクトルデータから効率的な一筆描きを構成する方法レーザプロジェクタでの描画は, 与えられたベクトルデータにビームをoffにして走査するブランクベクトルを加えて一筆描きをすることである. 最小数のブランクベクトルデータと描画に適する一筆描き順を求めるアルゴリズムを開発した.(3)並列投射を可能とするためのキャリブレーション法一般的な平面スクリーンではなく, 任意の可視化媒体(曲面スクリーン)を仮定し, 描画の歪みを補正し, 複数台のプロジェクタにより, 複雑度の高い描画を可能とする方法を開発した.
著者
村岡 一信 千葉 則茂 太田原 功
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1252-1258, 1995-10-20
被引用文献数
11

コンピュータグラフィックスによるリアルな自然景観のシミュレーションのためには, 季節感の表現法の開発が重要である.本論文では, 冬季の近接景観, すなわち庭園の石や灯籠などの積雪景観シミュレーションのための積雪モデルを提案する.本手法では, 少数のパラメタを指定することで, 冠雪などの代表的な積雪形状を生成することができる.
著者
金丸 直義 高橋 清明 千葉 則茂 斎藤 伸自
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.251-252, 1990-09-04

コンピュータグラフィクスにおける樹木の画像生成は,自然景観のシミュレーションにおいて重要な位置を占める.庭園や公園,街路樹の並木などの種々の建設計画のための景観シミュレーションや,へリコプタなどの低速低空飛行機用フライトシミュレータ用の景観シミュレーションにおいては,特にリアルな樹木の表現が期待される.リアルな樹木の表現には,自然な枝振りのシミュレーションが必要であり,そのためには遺伝的に定まる分枝パターンのみならず,生長環境での獲得形状のシミュレーションが重要となる.これまで,受光量不足による枝の枯死を考慮にいれ,自然な枝の分布密度を与える生長モデルがいくつか提案されているが,得られる樹形は枯死のない分枝による樹形の部分形状となっている.そのため,自然に見られるような,能動的に空間の分布を調整するように棲み分ける,あるいは光を求めて生長した軌跡のような枝振りは得られない.さらに,密集しながらも互いに枯死を避けるように,あたかも互いに交信し合うかのように,うまく空間へと広がりながら伸びる枝振りなどは分枝パターンや枝の枯死のみでは得られない,著者らは,これらの自然な枝振りは,前もってプログラムされた分枝パターンや樹木内の交信によるものよりも,生長点の向日性によるものが多いと考え検討を行ってきている.本報告では,生長点の向日性を考慮した生長モデルによれば,自重によらない自然な"枝垂れ"や枝の空間の棲み分けにより実現される"丸みを帯びた冠樹"の形成がうまくミュレーションできることをいくつかの例により示す.このよな試みは,安定して動作する堅固で使いやすい生長モデルの構築という工学的な観点に基づくことを断わっておく.